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特集!あの人の本棚
144.

タカオユキ   (視聴覚ユニット「みみめめMIMI」Vo)


「食」から連想するおすすめの本(みみめめMIMI・タカオユキ インタビュー)

タカオユキ
さまざまなプロフェッショナルの考え方・作られ方を、その人の本棚、読書遍歴、本に対する考え方などから紐解いていくインタビュー。今回は8thシングル「晴レ晴レファンファーレ」をリリースし、12月3日に赤坂BLITZでのワンマンライブも決まったばかりの視聴覚ユニット、みみめめMIMIのソングライター&ヴォーカルを務めるタカオユキさんが登場。「食」からイメージする本をセレクトしてもらいました。
「食」から連想するおすすめの本(みみめめMIMI・タカオユキ インタビュー)

友達と一緒に食べるパンケーキってすごく美味しい

7月から放送中のTVアニメ『甘々と稲妻』の主題歌「晴レ晴レファンファーレ」は、同アニメのストーリーを意識してタカオユキが作詞・作曲を手がけた。みみめめMIMIならではの弾けるようなカラフルなサウンドとともに、歌詞に込められたタカオユキのパーソナルな想いが曲に深みを与えている。今回は『甘々と稲妻』の世界観を踏まえて、「食べる」というキーワードで本を選んでもらった。

―― タカオさんの過去のツイッターを辿ってみたんですけど、3年くらい前に自分で作った夜食が馬のエサに見えるっていう内容のツイートがあって……。

タカオユキ(以下、タカオ) ありましたね!

―― その後、料理教室に通ったり……。

タカオ そうなんです! 私、成長したんですよ。

―― だから、もともと自分で料理をするのが好きなんだなと思いまして。

タカオ はい、楽しい努力でした。調理器具にしても、今いろんな種類がありますよね。焼いたり茹でたりするフライパンとか、スムージーが作れる圧力系のミキサーとか。そういうのも含めて楽しいです。今ではコーヒーの種類とか、ちょっと違うものにも手を出してます(笑)。

―― そんなタカオさんがおすすめする料理絡みの本を今日は持ってきてもらったわけですが、まずは『デイズくんのバースデーパーティ』です。

デイズくんのバースデーパーティ

『デイズくんのバースデーパーティ』 五野マサヒロ

タカオ 絵本なんですけど、原宿のパンケーキのお店で誕生日のお祝いを友達がしてくれた時、プレゼントでもらったんです。パンケーキを食べに行くだけかと思ったら、突然ろうそくがついたパンケーキが出てきて、そのサプライズも含めて印象深い1冊です。

友達と一緒に食べるパンケーキってすごく美味しいんです。私はこの絵本を読むたびに、誕生日に皆で食べたパンケーキの美味しい味と幸せな時間を思い出します。自分ではパンケーキって作らないんですけど、お店に食べに行くなら友達と一緒に……っていう楽しいイメージがあるんです。この絵本もまさにそういう感じで、登場人物も可愛くて。でも、パンケーキってズルくないですか?

―― ズルい?

タカオ 私は一人で大抵どこにでも行ける自信があるんですよ。映画やカラオケはもちろんですけど、焼肉も行くし、山登りも一人で行ける。ディズニーランドも友達と一緒に行って、夕方に友達が用事で帰ってしまった後、一人で何時間も過ごしたことがあるんです。最後のショーまで見て楽しんだりとか(笑)。でも、パンケーキ屋さんにだけは行く勇気ないです(笑)。朝昼晩、いつ食べても美味しくて、食べてる間は「ああ、なんて贅沢!」って思えるパンケーキのあざとい感じがズルいなと思いつつ、大好きです。

―― そう言われるとたしかに(笑)。次は『ハイジと山男』です。

ハイジと山男

『ハイジと山男』 安藤 なつみ

タカオ これは本格的な山小屋マンガなんですけど、山小屋で働いていた主人公の女の子のおじいちゃんが亡くなってしまって、ちょっとした縁で彼女がその山小屋で働くことになるんです。それまで山なんか登ったこともないのに山小屋に行って、いざ働き始めていろんな苦労をする。

で、実はこのマンガの舞台になっているアルプスの涸沢ヒュッテという山小屋に、私は行ったことがあるんです。マンガの中に出てくるゴハンも実際に食べたんですよ。何時間も登って食べる山小屋のゴハンって本当に美味しいし、すごく幸せを感じました。空気も澄んでるから、おにぎり一個でもめちゃくちゃ美味しいんですね。だから、このマンガを読むとその時の味が蘇ります(笑)。

―― お話にもリアリティがあるんですね。

タカオ はい。主人公の女の子がお客さんにサービスでちょっと大きめのおにぎりを作るっていうシーンがあって、そしたらお米が足りなくなって、山小屋の人に「何やってんだ!」って怒られる。でも、それくらい山小屋では食材が貴重で、材料も一人前何グラムって細かく決められてるんです。材料はヘリコプターで運ぶか、人の手で運ばれてくるんですけど、それくらい手間がかかるから貴重なんだと。山好きの私としては、そういうことも細かく描かれてるのが素晴らしいと思いました。

―― 山小屋には泊まったんですか?

タカオ いえ、私はそこの山小屋には泊まらずに、さらに頂上のほうまで行って穂高岳山荘という場所に泊まったんですけど、朝日を見ながら飲んだ一杯のワインがもう、めちゃくちゃ美味しくて。私は普段あまりお酒を飲まないんですけど、その時は「よし、飲もう!」ってなりました。それにしても、さっきのパンケーキの話とぜんぜん違いますね。原宿とアルプスで(笑)。

―― 日常と非日常。

タカオ パンケーキが誰かと食べる美味しさだとしたら、今のお話は、どこで食べるかの美味しさですね。

―― 続いては「ピーターラビット」です。

ピーターラビットのおはなし

『ピーターラビットのおはなし』 ビアトリクス・ポター

タカオ 大人になって面白さに改めて気づきました。昔から「ピーターラビット」がすごく好きで、実家でピーターラビットの人形と寝たりとか、ピーターラビットのカバンを集めたりしてて。子供の頃はキャラクターとして好きで、たぶん絵本も読んでたはずなんですけど「ふーん」で終わってたんです(笑)。でも、今読むと「こんなに食べ物が出てくるんだ」「この子、こんな食いしん坊な子なんだ」と思って。

青い服を着てるのがピーターなんですけど、ほかにプロプシー、モプシー、カトンテールって3匹の姉妹がいるんです。お母さんと一緒に暮らしてるんですけど、お父さんは以前、お百姓さんのマグレガーさんの畑で事故にあって、マグレガーさんの奥さんに肉のパイにされてしまったんですよ。「本当?」って思うくらい残酷なことがさらっと書いてあってビックリしたんですけど、だからピーターは母親から絶対にマグレガーさんの畑に行かないようにって注意されるんです。

―― でも、畑に行ってしまう。

タカオ そうなんですよ。美味しそうなものがたくさんあるから、ピーターは思わずニンジンとかレタスを食べてしまうんです。その時の絵が挿絵になってるんですけど、悪いことしてるシーンだったんだって大人になって気づきました。で、結局マグレガーさんに見つかって、死にもの狂いで逃げるんですけど、またこの逃げる姿が可愛いんですよ! 

―― ほんとだ(笑)。

タカオ 網にお洋服が絡まったり、しくしく泣いてたり、すごく可愛いです。結局、なんとか逃げられて、お家に帰ってくることができるんですけど、姉妹がパンにミルクをかけたものと黒苺の美味しいゴハンを食べてるのに、ピーターだけ食べられないんです。お腹の具合が悪くなっちゃって。

―― あらら。

タカオ 畑に行って、いろいろ食べたせいで具合が悪くなっちゃったんですよね。でも、いい子にしてた姉妹はお母さんの美味しい料理を食べられるっていう、メッセージ性がある本なんだなと。

―― なるほど。

タカオ メッセージが込められてたんだって気づきました。子供の時は何も読み取ってなかったんだなって(笑)。

―― こうして改めて挿絵を見てみると、ピーターが野菜をむしゃむしゃ食べてるところとか、姉妹がお母さんの料理を食べてるところとか、食事のシーンがすごく印象的に描かれてますね。

タカオ そうなんです。私、実家で犬を飼ってるんですけど、すごく食いしん坊のミニチュアダックスで。やんちゃでいたずらっ子なんです。人間が食べてるものに目がなくて、こちらが注意していても隙があればパクって食べちゃうんですけど、そういう部分がピーターと重なって愛くるしくなります。あと、犬も人間の食べ物ばかり食べてるとお腹壊しちゃうので、私も一度動物病院に行ったことがあって、そういうところも似てるなぁと(笑)。

―― (笑)。可愛いですね。さて、最後は『甘々と稲妻』です。

甘々と稲妻

『甘々と稲妻』 雨隠 ギド

タカオ TVアニメ化されて今放送中なんですけど、この作品の主題歌「晴レ晴レファンファーレ」を歌わせてもらっていて、けれど、それを差し置いてもおすすめです。マンガもそうなんですけど、主人公のつむぎちゃんが、ゴハンをすごく美味しそうに食べるんですよ。見てるこちらも「こんなにゴハンって美味しかったっけ?」って改めて気づかされるくらいで(と言いながらページをめくる)。この物語は、妻を亡くした旦那さんーーつむぎちゃんのお父さんが、もともと料理は苦手だったのに、娘に美味しいものを食べさせてあげたい!って奮闘する物語なんです。

ゴハンを食べること、しかも誰かと一緒にお家で食べるっていう普通のことが、こんなに幸せなことなんだって気づかされます。このマンガの凄いところは、そういうテーマを説教っぽくなく面白く描いてるところです。心があったまって自然と涙が出たりして、ホクホクの白米を食べて心があったまる。そんな瞬間を捉えた一番のマンガなんじゃないかなと思います。だから、主題歌のほうも「日常にある当たり前の幸せ」をテーマに書かせていただきました。あと、本にはレシピも掲載されてるんです。

―― このレシピは使えますね。

タカオ 土鍋で炊いた白いゴハンを皆で食べるシーンがあって、おかず無しで美味しそうに食べてるつむぎちゃんの表情が本当に可愛くて。土鍋でゴハン食べたい!と思ったら、レシピが載ってました。『甘々の稲妻』は、ほかにも豚汁とか、誰でも作れるメニューを題材にしていて、それでいて自分も食べたくなるっていうのが素晴らしいです。最初読んだ時、マンガから湯気が出てる気がしたんですね。そんなマンガ、読んだことないなと思って。

―― 主題歌を作るにあたって、マンガの世界観だけじゃなくて、自分の中にある「当たり前の幸せ」っていうのも意識しましたか?

タカオ はい。幸せをテーマに曲を書いてるなかで、「幸せってなんだろう?」って数カ月間めちゃくちゃ考えて、歌詞も難航したんです。でも、「そうだ、私にできることがある!」と思って、お父さんに初めて真面目な電話をして、自分が生まれた時どう思ったとか、どんなふうに育って欲しいと思ったのか、そういう話を初めて聞いてみたんです。

私のお父さんは、いい意味で「こうしなさい」ってハッキリ言ってくれる人なので、真面目に育って欲しいとか優しい子に育って欲しいとか、そういうことを言うのかなと思ってたんですけど、そしたら「平凡に育って欲しいと思ってた」って言われて、予想外の答えでした。

でも、その時にすごくハッとさせられたんですね。つむぎちゃんのお父さんも同じだと思うんです。つむぎちゃんに対して何も多くは望んでなくて、平凡に育って欲しいのが一番の願いなのかなって。それに気づいてからは、歌詞の方向性も見えてきました。

―― サウンド的には?

タカオ すごく明るい曲にしたいなと思っていて、皆の1日の始まりの行進曲をイメージしてました。つむぎちゃんでも歌えるような、皆が口ずさめる耳に残るメロディだったり、スキップしたくなるようなリズムだったり、そういう思いが根底にあります。

―― 歌詞には「正解を選ぶんじゃなくて、選んだ道が正解になる」といった内容のフレーズや、「100の色を見上げるよりも1つの色を“100”愛せる」といった内容のフレーズもあったりして。

タカオ 料理も一緒で、素材選びの段階で正解はないと思うんです。自分が選んだ素材でベストな献立ができれば、それが正解なんでしょうし。日常は選択肢だらけですけど、どれを選んでも「これで正解だったのかな?」って思うわけで、それだったら選んだ道を正解にしてしまえばいいと思うんですよね。

―― 今日持ってきてもらった本にも言えますけど、友達や家族、そういった親しい人が常にいてくれるからこそ、食事もそうだし、日常の幸せを噛み締められるのかもしれませんね。

タカオ ほんとですね。幸せとは?みたいな哲学的なところにも入っていくし、「食」っていうのは不思議だなぁと思います。

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プロフィール

タカオユキ
タカオユキ
視聴覚ユニット「みみめめMIMI」Vo

目と耳から刺激する視聴覚ユニット、みみめめMIMIのシンガー・ソングライター&ヴォーカル。声優としても活動中。イラストレーター、ちゃもーいと共に2013年8月、TVアニメのOPテーマ「センチメンタルラブ」にてデビュー。「サヨナラ嘘ツキ」、「CANDY MAGIC」などでアニメ主題歌を多数担当。7月には東名阪ツアーを開催し、8月17日には8thシングル「晴レ晴レファンファーレ」をリリースする。この秋にはアルバムの発売、また12月3日には東京・赤坂BLITZでのワンマンライブも決まっている。
http://www.mimimememimi.com/

ライターについて

Writer 5
ホンシェルジュ編集部・芸術/芸能班

音楽、映画、アイドル、その他の芸術/芸能に詳しいライターによる班。もちろん皆が本好きだが、そのレベルや守備範囲はさまざま。日本のエンタテイメントのトップランナーを通じて、本/読書の楽しみへの入り口をつくりたい。あるいは本/読書という切り口を通じて、トップランナーの新たな一面を引きだしたい。

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タカオユキ
視聴覚ユニット「みみめめMIMI」Vo

目と耳から刺激する視聴覚ユニット、みみめめMIMIのシンガー・ソングライター&ヴォーカル。声優としても活動中。イラストレーター、ちゃもーいと共に2013年8月、TVアニメのOPテーマ「センチメンタルラブ」にてデビュー。「サヨナラ嘘ツキ」、「CANDY MAGIC」などでアニメ主題歌を多数担当。7月には東名阪ツアーを開催し、8月17日には8thシングル「晴レ晴レファンファーレ」をリリースする。この秋にはアルバムの発売、また12月3日には東京・赤坂BLITZでのワンマンライブも決まっている。
http://www.mimimememimi.com/

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タカオユキがセレクト。「チャチャチャ」「チョコレート革命」とリンクする本

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タカオユキ
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