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特集!あの人の本棚
257.

秋山進 × 勝呂彰   (プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役 × リンクアンドモチベーション元副社長)


「社長が〝将来〟役員にしたい人」を語る(対談)

秋山進 × 勝呂彰
世の中の社長は、どういう人を将来の経営幹部にしたいと思っているのか――。

そんなありそうでなかった切り口で書かれた『社長が〝将来〟役員にしたい人』の著者、秋山進氏は、「粗削りでもいいから、エネルギッシュで、ユニークで、行動力のある人材」が求められているという。

秋山氏はリクルートで11年間、主に事業企画と商品企画を担当したあと、独立後は、超大手企業から100年以上続く老舗企業、急成長ベンチャーまで、多くの経営者の「秘書」役として、その意思決定の支援をする仕事に携わり、経営者候補の選抜を行ってきた。

その経験から、秋山氏が挙げる「社長が役員にしたい」人物像は、けしてスマートな優等生ではない。むしろ、「仕事に真正面から真剣に取り組み、一生懸命頭を使って、実務に取り組む人たち」だ。本のタイトルには「役員」とあるが、実際は将来の社長候補でもある。

そこで、本稿では、本書が書かれた背景について、秋山氏と旧友の勝呂彰(すぐろあきら)氏に語っていただいた。勝呂氏は、成長企業の組織人事コンサルティングを多数手掛けてきたリンクアンドモチベーションの創業メンバーで、副社長を務めた。

単なるマニュアル的な「役員像」にとどまらず、社長のものの見方や考え方まで、多くの成功した経営者を身近に見てきた秋山氏だからこそ語ることができるリアルな話は、より上を目指すビジネスパーソンにとって、大きなヒントになるだろう。
「社長が〝将来〟役員にしたい人」を語る(対談)

左:勝呂彰氏、右:秋山進氏
撮影:「麹町アカデミア・遊学堂」 会場:ビジネスエアポート東京


◆社長が〝将来〟役員にしたい人 ビジネスセンスを磨く25の習慣

『社長が〝将来〟役員にしたい人 ビジネスセンスを磨く25の習慣』 秋山進

さまざまな社長の傍らで経営企画にたずさわる

秋山進(以下、秋山) まず、自己紹介をすると、私は1987年に、新卒でリクルートに入社しました。最初に配属された部署は、社長室経営会議統括課というところです。その後、リクルートでは11年間、主に事業企画と商品企画を担当しました。独立後は、各企業の社長補佐とリスクマネジメント全般の仕事をしています。

そのほかに、ブライダル産業最大手のテイクアンドギヴ・ニーズの社外取締役、野菜や食品の宅配で最大手のらでぃっしゅぼーやの社外監査役、私立理工系大学で唯一文科省認定のスーパーグローバル大学の認定を受けた芝浦工業大学の監事などもしています。

また、私が代表取締役をしているプリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社は、エグゼクティブコーチ、メンタルヘルス、BCP(事業継続計画)などさまざまな領域の方が集まったプロフェッショナル集団を形成しています。

さて、社長補佐とリスクマネジメントの仕事には、実は、あまり区別がありません。経営者の仕事というのは、リスクやコンプライアンス、ブランドの維持といった守りの仕事が、多くの割合を占めます。ですから、守りの仕事をしていると、そのまま社長の相談役になるという感じです。

勝呂彰(以下、勝呂) 私は秋山君とはリクルート時代の同期で、30年来の付き合いになります。彼がリクルートをやめた2年後に独立し、仲間7名とリンクアンドモチベーションという会社を立ち上げました。現在は、ブリコルールというコンサルティング会社でCXO(Chief X Officer)というアドバイザーをしています。今日は、本が書かれた背景について、いろいろ聞いていきたいと思います。

秋山 これ、自己啓発や人材育成の本のような感じですが、もともとは、違った内容の本でした。経営者になる可能性のある人を早めにピックアップするための“選抜の本”だったんです。仕事ができても、トップには向く人と向かない人がいる。それをどうやって見極めるか、といった人事部や経営層向けの本だったんですね。でも、編集者からもっと多くの人に読んでもらえる一般向けの内容にというご依頼があり、書き直しました。

勝呂 それで、売れているんですから、多くの人が役員になりたいと思っているんでしょうね。

秋山 と、いうことが、出版してわかったんですよ。さすが編集者です。

勝呂 この本が書かれた背景には、秋山君がたくさんの経営者とふれあってきた経験があると思います。リクルートの江副浩正氏をはじめ、独立後の1998年にはセガ・エンタープライゼスの中興の祖、中山隼雄CEO付き常勤顧問をしていますね。

秋山 ええ、33歳の常勤顧問(笑)でした。業務はセガの仕事が半分と、当時、ITバブルの少し前で、中山さんのところにたくさん投資の話が持ち込まれていたので、その前捌きのようなことです。

勝呂 そして、2004年には産業再生機構下のカネボウ化粧品に入った。

秋山 私はチーフ・コンプライアンス・オフィサーおよびチーフ・リスク・オフィサーとして、同社のコンプライアンスとリスクマネジメントの体制づくりと運用という仕事を業務委託として行いました。

このときのCEOが瀕死の上場企業の再建を見事に成功させた経験のある、産業再生機構(当時)の余語邦彦さん、社長は41歳で大抜擢された生え抜きの知識賢治さんでした。歴史も伝統もある大企業を、社外から来た余語さんと、41歳の知識さんがトップを務めて再建するというのは、本当に大変なことだったと思いますが、成功裏に終わりました。

社長補佐から社長になった人がしていたある習慣

勝呂 これまでたくさんの経営者の方と接する中で、いろいろなエピソードがあると思うのですが、印象的なものを紹介してもらえますか。

秋山 社長の補佐役から、のちに社長になった方がいるのですが、この方は、社長補佐時代、いつも社内をブラブラしていて、席に戻ってくると、どこかに電話をかけていました。

電話の相手は事業部長や関係会社の社長などで、社長がどういうことを気にしていたとか、こんなことを議論していたという話をしていたんです。つまり、社長が事業部長や関係会社の社長に、直接「あれはどうなっている」と言いだす前に、先に手を打って懸案になりそうなことの答えを用意しておくよう誘導していました。

勝呂 この本にも、「社長が将来、役員にしたいと思う人の言動」の中に、「頼まれてもいないのに自分で案を作り、具体化する人」というのがありました。それにも通じる話ですね。

秋山 そうです。そうやって事前に地ならししておいてもらえれば、事業部長も、関連会社の社長も、非常に助かりますし、会社の運営自体も円滑に進みます。さすが、社長になるだけのことはある方だと思いました。

メディアは、「○○社長はこういう戦略をとったからうまくいった」というような話をよく書きます。たしかにそれはそうなのですが、経営者の近くにいると、本物のすごさというのは、戦略をどうしたこうした、というのとは別の、仕事の習慣や気持ちの持ち方にあるような気がしています。

例えば、ある経営者は、これまでの経営体制を180度転換する際、社内からあらゆる抵抗や嫌がらせを受けました。まあ、よくある怪文書の類いから有力政治家を使っての圧力など、それは大変なものです。

けれども、誰に何を言われようが、本当にまったく気にしないんです。自分の評判なんてどうでもいい。何があっても改革を成功させる。そこに、経営者としてのすごみを感じました。

これは、本の中にも書いたのですが、自分がやっていることについて、人の言うことが気になるというのは、「結果を出さなければならない」という思いがまだ弱いからです。何が何でも形にしなければならない、結果を出さなければいけないと深く思っていたら、人にとやかく言われても、どうでも良いと思うみたいです。

一方で、誰の話でもきちんと聞くという点で、すごい経営者にもお会いしました。「きちんと聞く」というのは、よく言われることかもしれませんが、この方の「聞く」は、そんな単純なものではありません。

いろいろな観点から質問をした上で、目の前の人がどういう価値基軸のもとで、どのような状況認識の上に、なぜその主張をしているかをすべて完璧に理解するのです。さらにそれと対抗するような人の話も受け入れます。そして、それらを一同に集め、意見をぶつけさせ、感情的にも中和させたうえで、「こういうものがいいと思うんです」と、最終判断を出すのです。

しかもその判断基準というのが、ごく「普通」。つまりあらゆるステークホルダーを視野に入れた、非常に納得性の高い「これしかないよね」というものを選べるということです。これは、実は非常に難しい。

さまざまな利害が絡みあい、混乱している中では、冷静な判断ができなくなるものです。そして、目の前に見えているリスクや機会だけを重要視して、隠れている大事な判断要素を無視するといったことになりがちなのです。

しかし、この方のように、いろいろな人の話をよく聞き、「あらゆる要素を組み入れて考えたら、これしかないよね」という当たり前の意思決定基準を出せるというのは、まさに社長として最高の能力をもっているな、と思いました。

◆社長が〝将来〟役員にしたい人 ビジネスセンスを磨く25の習慣

企業の社長補佐を事業の柱の一つとする秋山氏。その中で、だいたいどこの企業でも行ってきたのが、「将来、会社の社長になれそうな人を発見して育てる」という仕事でした。その経験をもとに、同書を上梓。「バカまじめに仕事をやる人が、実際には偉い! 」と語る秋山氏は、社長が役員にしたい人に必要なプロフィールをまとめ、そのような人物になるための「カギとなる習慣」を解説します。

『社長が〝将来〟役員にしたい人 ビジネスセンスを磨く25の習慣』 秋山進
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プロフィール

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秋山 進
プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役

リクルート入社後、事業企画に携わる。独立後、経営・組織コンサルタントとして、各種業界のトップ企業などのCEO補佐、事業構造改革などの業務に従事。現在は、経営リスク診断をベースに、組織設計、事業継続計画、コンプライアンス、サーベイ開発、エグゼクティブコーチング、人材育成などを提供するプリンシプル・コンサルティング・グループの代表を務める。主な著書は『社長が将来役員にしたい人 ビジネスセンスを磨く25の習慣』 、『「会社の悪口」は8割正しい コンサルタントが教えるダメな会社の困った病(SB新書)』、『「一体感」が会社を潰す~異質と一流を排除する〈子ども病〉の正体 (PHPビジネス新書)』など多数。 
http://www.principlegr.com/

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勝呂 彰
元リンクアンドモチベーション副社長、現ブリコルールCXO

リクルート入社後、人事採用に携わる。2000年リンクアンドモチベーション設立、取締役副社長。リンクインベスターリレーションズ代表取締役社長、リンクグローバルソリューション代表取締役社長なども歴任、2013年末退任。ベンチャー企業を起業し上場までした立役者。ベンチャーや大企業の組織人事支援、かつCSR、異文化との文化統合などについて詳しい。東京工業大学 社会理工学研究科 博士課程在学中。

ライターについて

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hontoビジネス書分析チーム

本と電子書籍のハイブリッド書店「honto」による、注目の書籍を見つけるための分析チーム。ビジネスパーソン向けの注目書籍を見つける本チームは、ビジネス書にとどまらず、社会課題、自然科学、人文科学、教養、スポーツ・芸術などの分野から、注目の書籍をご紹介します。

丸善・ジュンク堂も同グループであるため、この2書店の売れ筋(ランキング)から注目の書籍を見つけることも。小説などフィクションよりもノンフィクションを好むメンバーが揃っています。

プロフィール

秋山 進
プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役

リクルート入社後、事業企画に携わる。独立後、経営・組織コンサルタントとして、各種業界のトップ企業などのCEO補佐、事業構造改革などの業務に従事。現在は、経営リスク診断をベースに、組織設計、事業継続計画、コンプライアンス、サーベイ開発、エグゼクティブコーチング、人材育成などを提供するプリンシプル・コンサルティング・グループの代表を務める。主な著書は『社長が将来役員にしたい人 ビジネスセンスを磨く25の習慣』 、『「会社の悪口」は8割正しい コンサルタントが教えるダメな会社の困った病(SB新書)』、『「一体感」が会社を潰す~異質と一流を排除する〈子ども病〉の正体 (PHPビジネス新書)』など多数。 
http://www.principlegr.com/

勝呂 彰
元リンクアンドモチベーション副社長、現ブリコルールCXO

リクルート入社後、人事採用に携わる。2000年リンクアンドモチベーション設立、取締役副社長。リンクインベスターリレーションズ代表取締役社長、リンクグローバルソリューション代表取締役社長なども歴任、2013年末退任。ベンチャー企業を起業し上場までした立役者。ベンチャーや大企業の組織人事支援、かつCSR、異文化との文化統合などについて詳しい。東京工業大学 社会理工学研究科 博士課程在学中。

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