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特集!あの人の本棚
275.

宮脇淳   (有限会社ノオト代表取締役、編集者)


人工知能に負けない! 生き残れるクリエイターの条件とは!? コンテンツ・メーカー、ノオト代表の宮脇淳さんにインタビュー

宮脇淳
インターネット・メディアを中心に、企画、編集、原稿執筆などを手がける、コンテンツメーカー・ノオト代表の宮脇淳さんは、もともとは工学部出身でエンジニア志望の学生でした。そんな宮脇さんがなぜライターになり、後に編集プロダクションの代表になったのかお話を伺いました。また今後、多くの仕事が人工知能に取って代わられる時代がやってくると言われています。「これからの時代、生き残れるクリエイターとは?」という問いについても、お答えいただきました。
人工知能に負けない! 生き残れるクリエイターの条件とは!? コンテンツ・メーカー、ノオト代表の宮脇淳さんにインタビュー

元々はエンジニア志望。なのに、なぜライターになったのか

古い話ですが、大学は工学部です。卒業後はエンジニアになる予定だったので、他の学生と同じように就職活動をして、ある大手メーカーの技術職に内定をいただきました。しかし、学生時代にやっていた出版社のアルバイトがすごく楽しかったんですよね。大学の最後の年は、単位を取り終えてしまいほとんど授業がなかったので、朝10時から深夜まで出版社で働いていました。基本的にアルバイトなので雑用メインでしたが、ある日、大ファンだったアーティストの佐野元春さんのインタビューに同席させてもらいまして、なんという役得だろうと(笑)。

そのインタビュー記事は編集長が書く予定だったのですが、多忙だったため私が代わりに書くことになったんです。ただ、初めての原稿ですから3回ダメ出しを食らって、最終的には何とか掲載してもらいました。それが今でも覚えているぐらい、嬉しかったんですよ。また就職活動が終わって、編集長にメーカーから内定をもらったことを伝えたところ、「うちに残ればいいじゃん」と言われまして。私もこの仕事にやりがいを感じていたので、そのまま出版社に業務委託で席を置かせていただくことになりました。

入社した出版社が次々倒産し、フリーランスに。クライアントゼロからのスタート

まだまだ編集者見習いでしたが、雑誌の担当ページを持たせてもらい、様々な企画に関わることができました。毎日朝から深夜まで働く日々でしたが、仕事は楽しかったので、全く苦ではありませんでしたね。しかし私が入社した半年後に、その出版社が倒産してしまったんです。さらにその次に入社した出版社も半年後に編集部が解散したので、私の新卒カードはあっけなくビリビリに破れました(苦笑)。そこで、もう出版社に入るのではなく、フリーランスのライターになることを決意。しかし仕事を発注してくれるクライアントのアテはなく、ゼロからのスタートでした。

そこでまずやったのが、アルバイト時代と出版社時代に出会った約400人全員に「フリーランスのライターになりました」というハガキを送ったこと。すると4~5件ぐらい仕事の依頼がきたのです。実はそれ以来、営業らしい営業もせずに仕事が次々にやってくるようになりました。それは多分、どんなにギャラが少なくても、どんなジャンルの仕事でも、何でも断らずにやったからだと思います。そうやって仕事を選ばず、できるだけ相手の期待以上のものを返すことを心がけていったら、クライアントからリピートでお仕事をいただいたり、クチコミで「いいライターがいるよ」と紹介していただいたりするようになりました。

仕事をもらい続けるためには、営業能力を磨くか、無理難題を言われても全部打ち返して相手の期待値を超えていくか、どちらかじゃないですかね。私は性格的にまったく営業に向いていなかったので、後者を選ぶしかなかったのですが。

会社を設立したら、すぐに大型案件を受注した

フリーランスで5年半ほど活動したあと、有限会社ノオトを立ち上げました。なぜ会社を作ったかというと、子供が3歳になって「この子を育てるために、会社という形にした方が経済的に安定するのではないか」と思ったから。そこで妻と二人で会社を立ち上げました。すると会社を作ってすぐに、大手メーカーの大型プロモーション仕事が入ってきたのです。

その仕事は、ある会で知り合った友人経由でいただいた仕事でした。当時は日本にようやくブログが入ってきた頃で、ブロガーがまだまだ少なかった時代。そんな中、私は友人に進められてブログを書いていたので、ブロガー同士で集まるオフ会に顔を出したりしていまして。すると、そこに広告代理店の方も参加していて、「今度ブログを活用して、消費者とのコミュニケーションを軸にしたウェブプロモーションを仕掛けたいんだけれど、そのライターをやってくれないか」と声をかけていただいたのです。

その頃はまだ、ブログを使った消費者参加型のプロモーション事例はほとんどなかったこともあり、多方面から評価いただき、担当者はWeb人 of The Yearという賞に選ばれていましたね。裏方としてとてもうれしい出来事でした。

突然、大きなチャンスを掴めた理由

会社を作ってすぐ、どうしてそんなに大きなお仕事をいただけたのか、よく聞かれるのですが、実はこれも自ら営業はしていませんでした。ブロガーが集まる飲み会で広告代理店の方に出会い、仕事を聞かれた時に、「こんな記事を書いています」と口頭で話しただけなんですよね。でも実は、どんな仕事をしているかと聞かれた時に、それなりの実績があり、その場で答えらるかというのは大切なこと。私は仕事の相談された時に、それができたからこそ、チャンスを掴めたのかもしれません。

また当時は、ウェブで書けるライターがあまりいませんでした。そういう時代に、ウェブライターとしての実績を作り、いち早くそのポジションを取りにいけたというのは大きいかもしれません。ゴールドラッシュと同じで、『先に開拓した人が勝ち』というのはあると思います。

リーマンショックで赤字転落するも、新たな道へ舵を切れた

ウェブ広告の実績ができたことで、広告の仕事の依頼が増えていきました。編集の仕事と比べると広告の仕事は発注金額も大きいものが多いので、売上もどんどん上がっていきましたね。しかし一方で、ジレンマや不満を感じることも増えました。

というのも、広告の仕事はクライアント・ファーストになりがち。例えクライアントのビジネスの成功を考えて「こうした方が、消費者の心に届くと思います」と提案をしても、クライアントがOKするとは限りません。当時は代理店を通すことが多かったので、我々のような制作会社の意見が通りにくかったんです。そうなると「これはなんか違うぞ」と思っても、クライアントの希望通りに作ることになる。どんどん下請け会社感が強くなって、売上は立っていきましたが、私も社員もどんどん疲弊していきました。

そんなタイミングで、リーマンショックが起こりました。世の中が不景気になると真っ先に削られるのは広告費なんですよね。広告の仕事がメインだった弊社は売上が激減し、初めての赤字転落を経験しました。これが2年続いたんです。これはやばいぞと危機感を覚えて、広告収入に依存しない編集の仕事に再び注力しようと、主力事業を現在のオウンドメディアの企画・運営にシフトしていきました。

オウンドメディアとは、企業みずから手がけるメディア。読者ファーストを掲げ、生活者に役に立つ情報を発信することが大切だという原点に立ち返りました。

生活者と企業が少しずつコミュニケーションを重ね、長期的な信頼関係を深めていくのがオウンドメディアの目的です。クライアント側もそれを理解し、自分たちが伝えたいことではなく、生活者目線でコンテンツを作ることをよしとします。私たち編集者の意見も通りやすくなり、より自分達のやりたい方向性の仕事ができるようになりました。リーマンショックによって正直それなりの赤字を計上してしまいましたが、結果的にはプラスへの転換ができた。怪我の功名ってやつですね(笑)。

人工知能に負けない、今後生き残れるクリエイターの条件とは

これから人工知能が発達し、仕事がどんどんAIにとって代わられる時代がやってくると言われています。では、今後生き残れるのはどんなクリエイターかというと、自分の頭で企画を立てられる人だと思います。

AIは数字や事実を正確に伝えたり、作ったりすることはできる。でも世の中の人は今、どんなことに興味を持っているのか人間臭く考えることはできない。だからひたすら企画力を鍛えて、コンテンツを作ることができるクリエイターは、これからの時代ますます重宝されるでしょう。

その企画力をどのように鍛えればいいか。私が社員に口を酸っぱくして言っているのは、まずはネタを見つけるアンテナを高く立てることです。日常生活の中にはネタがいっぱいあるのに、ぼんやりとしていると見逃しちゃうんですよね。日々感じた違和感や変化を感じ取り、それを多くの人と同じように真正面から見るのではなく、逆の視点で見たり斜め後ろから見たりする。物事をいろんな角度から見てみることが、企画を生み出す第一歩です。

例えば昨年10月、弊社の社員旅行で北海道に行きました。行きも帰りも新千歳空港でしたが、到着時はそのまま札幌に向かったので、空港内にはさほど目を留めていなかったんですね。でも、帰りに改めてゆっくり立ち寄ると、この空港はものすごく広くて、北海道グルメが楽しめるレストランや土産物屋がたくさんあるし、空港内になんと映画館や温泉まである。そこで社員たちと、「新千歳空港から一歩も出なくても、北海道グルメ旅行を満喫できそうだね」なんて話になったんです。その雑談がきっかけで後日、ノオトの編集者が「新千歳空港の日帰り旅行が最高すぎる!1歩も外に出ず北海道グルメを満喫してきた」という記事を書きました。これは良いコンテンツになったと思います。

北海道旅行って通常、2〜3泊くらいするじゃないですか。それが日帰り、しかも空港から一歩も出ないという縛りを設けても、意外と楽しめる。これもボーっと空港でお土産を買っているだけじゃ、そんな企画は生まれないですよね。365日、日頃からアンテナを張って、いろんな角度から物事を見ることで企画力は養われていくのだと思います。

クリエイティブな仲間、専門分野を持った仲間を作るべし!

私はクリエイター同士の交流の場を作ろうと、3年前にコワーキング・スペースCONTENTZ(コンテンツ)を始め、1年前からはお酒を飲みながら仕事と交流ができるコワーキング・スナックCONTENTZ分室を運営しています。

クリエイティブな人たちが集まれば、自然と「最近、こういうのが面白いよね」なんて話で盛り上がり、次の企画のヒントになったりすることもありますから。そういう意味でも、常にアンテナを張っている仲間を作ることは大切ですね。

コワーキングスナックにて、お酒を飲んでリラックスしている宮脇さんと美人ママのサエコさん

また特定のジャンルに詳しい仲間を作れるのも、こういった場ならではだと思っています。先日も、ある女性向けのメディアを運営している編集者と占い師兼ライターが弊社のコワーキングスペースで出会い、占いの連載企画が始まったと聞きました。また、ある家電に強いライターさんと建築に強いライターさんが一緒に組んで、家電×建築のコンテンツを合作したそうです。

それぞれのリソースやスキルを掛け合わせると、面白い化学反応が起こって新しいコンテンツが生まれる。だから自分の能力を高めるだけでなく、そういう仲間を作っていけるかどうかも、これからの時代に生き残っていけるクリエイターの条件の一つになるのかもしれません。

宮脇淳さんの著書

20代の注目すべきビジネスパーソン10人の取材をもとに、これからの働き方のヒントやウェブツールを紹介する仕事本。

『思いどおりに働く!―20代の新世代型仕事スタイル』宮脇 淳
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プロフィール

宮脇淳
宮脇淳
有限会社ノオト代表取締役、編集者

コンテンツ・メーカー、有限会社ノオト代表取締役。広域品川圏のビジネス&カルチャー『品川経済新聞』『和歌山経済新聞』初代編集長。企業サイトのメディア化を主な業務としている。

有限会社ノオトのHP:http://www.note.fm/

ライターについて

Writer 13
鮫川佳那子(さめこ)

NY在住ライター/ニューヨーク女子部♡主催。青山学院大学フランス文学科卒業後、サイバーエージェントに入社し広告制作・メディア編集・イベント企画運営に携わる。2015年より夫の海外転勤で渡米し、現在はニューヨークの新聞をはじめ様々な媒体でコラムや、海外で活躍する日本人のインタビュー記事を執筆。またNY在住の20~30代女性が約600名所属するコミュニティ「ニューヨーク女子部♡」を主催し、イベント企画運営も行っている。

プロフィール

宮脇淳
有限会社ノオト代表取締役、編集者

コンテンツ・メーカー、有限会社ノオト代表取締役。広域品川圏のビジネス&カルチャー『品川経済新聞』『和歌山経済新聞』初代編集長。企業サイトのメディア化を主な業務としている。

有限会社ノオトのHP:http://www.note.fm/

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