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特集!あの人の本棚
71.

紀伊國屋書店新宿南店   (大手書店チェーン・紀伊國屋書店の新宿南店)


あたらしい働き方を考える人へ送る。「ソーシャルデザイン」という考え方

紀伊國屋書店新宿南店
「ソーシャルデザイン」という言葉を知っているだろうか。「社会的課題に対して解決策をデザインする行為そのもの」という意味の言葉である。 この言葉を世の中に広めてきた草分け的な存在が、大手書店チェーン・紀伊國屋書店の新宿南店で展開されている「ソーシャルデザインの本棚」だ。
本棚が初めて展開されてから3年が経過したいま、あらためて本棚設立の経緯や今後の展望について聞いてみたいと思い、関係者へのインタビューを行うことにした。お話を伺ったのは合計3名。「ソーシャルデザインの本棚」の中の一企画「著者の本棚」で選書された鎌倉幸子さん。ソーシャルデザイン関連書を多く出版している英治出版の岩田大志さん。「ソーシャルデザインの本棚」の担当をされている瀧一馬さんである。
あたらしい働き方を考える人へ送る。「ソーシャルデザイン」という考え方
左から、鎌倉幸子さん、瀧一馬さん、岩田大志さん

ソーシャルデザインという言葉をもっと身近に感じてもらいたい

ーー まず、「ソーシャルデザインの本棚」がはじまった経緯を教えてください。

紀伊國屋書店新宿南店 瀧一馬(以下、瀧と表記) スタートは2013年の3月1日(こちらを参照)ですが、実はその前にもソーシャルデザイン関連書のブックフェアが弊店でありました。

英治出版 岩田大志(以下、岩田と表記) 現在の「ソーシャルデザインの本棚」ができる前、2012年の年始に200タイトルくらい並べたソーシャルデザイン関連書の大型ブックフェアを開いていたんです。これが新宿南店でのちに「ソーシャルデザインの本棚」の初代担当者となる神矢さんという方の企画でした。ぼくが見た範囲ではソーシャルデザインについて開いたブックフェアの一番最初です。

ちょうどその頃に、 英治出版が『地域を変えるデザイン』(2011年11月発行)、朝日出版社が『ソーシャルデザイン』(2012年1月発行)を出しました。そこで、2社でブックフェアをやれないかと考えていたのですが、この神矢さんのブックフェアには規模やキーワードでは太刀打ちできない。そこで、「著者による選書」という切り口で 「デザインの力で、新しい未来を作る!!」フェアをスタートしたんですね。朝日出版社・英治出版・学芸出版社・春秋社・晶文社・羽鳥書店の6出版社による共同企画です(2014年4月よりフィルムアート社が加わり現在は7社)。

すると、神矢さんが声をかけてくれまして、今度は一緒に企画を行うことになりました。 生まれたのがFacebookで読者にも選書に参加してもらうという企画(「みんなでつくるソーシャルデザインの本棚」)で、紀伊國屋書店新宿南店さんによる企画です。これが「ソーシャルデザインの本棚」のはじまりですね。

ーー 「著者の本棚」はいつごろ始まったのでしょうか? 『走れ!移動図書館: 本でよりそう復興支援』の著者である鎌倉幸子さんも選書していましたね。

瀧 いつ始まったかご説明する前に「著者の本棚」について説明しましょう。「著者の本棚」は、先ほども申し上げた「デザインの力で、新しい未来を作る!!」フェアで協力している7社の出版社から本を出されている著者がひと月ごとに選書するという企画です。2015年1月に始まって、鎌倉さんは7人目の著者ですね。

なぜこの企画を始めたかというと、まだまだ可能性がある「ソーシャルデザインの本棚」を3代目担当であるぼくの代で終わらせたくなかったからです。とはいえ、棚をメンテナンスしているだけではお客さんの反応が良くない。「ソーシャルデザイン」というテーマで本棚をつくっているところは少ないので「著者の本棚」のようなフェア企画をやればちゃんと反応が返ってくると思い、出版社の方と相談して、企画しました。

背景として、ソーシャルデザインという言葉のブームが収束していることがあります。どういうことかというと、2012年から神矢さんや岩田さんなど多くの方の尽力があり、ソーシャルデザインという言葉が一時期ブームになりました。お陰様で2013年3月から始まった「ソーシャルデザインの本棚」も話題になりましたが、2年経った2015年現在ではそのブームも収束しているように思うのです。

そんな中で、この本棚はソーシャルデザインという言葉の草分け的存在なのでぜひ続けていきたい。そう思ったことも「著者の本棚」を始めた理由のひとつです。

今までの著者の本棚は以下のリンクを参照

ーー 瀧さんの立場から「著者の本棚」が始まった経緯を伺いましたが、岩田さんの立場からはどういった思いがあったのでしょうか?

岩田 元々は先程も紹介した出版社7社による「デザインの力で、新しい未来を作る!!」フェアというのを2013年に紀伊國屋書店さんが「ソーシャルデザインの本棚」をつくった頃からずっとやってるんですね。そのときの選書のやり方のひとつに、各社の代表的なソーシャルデザイン関連書の著者にお勧めの本を選んでいただく、というものがありました。

ーー それは、「著者の本棚」とは別にということですか?

はい。「著者の本棚」をはじめる前に「デザインの力で、新しい未来を作る!!」フェアで行っていた選書方法のひとつでした。この選書では実務に直結する本が多かったのですが、これから一歩を踏み出したいと考えている読者には敷居が高い。違うやり方を模索していました。

ーー では、「著者の本棚」ではどういった基準で選書をお願いしたのでしょうか?。

岩田 一般の方にもっと自分ごととして捉えてもらえるような選書はできないかという思いがありました。加えて、地域活性化という「むずかしそうなこと」をしている人たちが自分たちと同じレベルの本を読んでいたら読者には安心感があるだろうなと。この2点に気をつけて「著者の本棚」は選書をお願いしています。 具体的には「自分の家の本棚を見せるような感じで選んでください」とお願いしているんです。この選書で「本を書いてあんなに精力的に活動をしている人も、普段は自分たちと同じ本を読んで笑っているんだ」って身近に感じてもらえるようなコーナーにできれば、と思っています。

ーー なるほど。ソーシャルデザインという言葉自体をもっと身近に感じてもらえるように、という思いがあったんですね。

岩田 そうです。その思いを達成するために、ソーシャルデザインに直接関係のない別のジャンルの本でも選んでいただいています。例えば、「著者の本棚」の第一回目ではグリーンズの鈴木奈央さんに選書いただいたのですが、『風の谷のナウシカ』や『火の鳥』が選ばれています。

ーー いままで4つのフェアについてご紹介いただきましたが、混乱してしまったので整理させてください。

まず、紀伊國屋書店新宿南店さんが企画されたフェアは「2012年始めのソーシャルデザイン関連書の大型ブックフェア」と「ソーシャルデザインの本棚」。そして、「ソーシャルデザインの本棚」の中で展開されている「著者の本棚」。この3つですね。

このほかにソーシャルデザイン関連書に強い出版社7社による共同企画として、「デザインの力で、新しい未来を作る!!」フェアがある。ということでしょうか。

岩田 その通りです。「デザインの力で、新しい未来を作る!!」フェアについては、紀伊國屋書店新宿南店さんだけでなく全国の書店さんで展開させていただいております。

「デザインの力で、新しい未来を作る!!」の本棚はこちら

瀧 ちなみに、「ソーシャルデザインの本棚」は「デザインの力で、新しい未来を作る!!」フェアをアレンジしたものになっています。

(後篇に続きます。)

書店巡りの一覧 インタビューの一覧

プロフィール

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鎌倉 幸子
作家・ライター

■プロフィール
鎌倉幸子
公益社団法人シャンティ国際ボランティア会広報課長補佐兼東日本大震災図書館事業アドバイザー
青森県弘前市生まれ。アメリカ・ヴァーモント州にあるSchool for International Trainingで異文化経営学の修士号を取得。
1999年3月、シャンティ国際ボランティア会に入職。同年4月より、カンボジア事務所図書館事業課コーディネーターとして500を超える小学校に図書室を設置する。2007年より同団体の東京事務所に勤務。2011年より現職。東日本大震災発生後、津波で公共図書館が甚大な被害を受けた岩手県陸前高田市、大船渡市、大槌町、山田町で「いわてを走る移動図書館プロジェクト」を立ち上げを行なった。
著書に『走れ!移動図書館』(ちくまプリマー新書)、共著に『図書館は、国境をこえる』(教育史料出版会)がある。

公益社団法人シャンティ国際ボランティア会
Hp http://sva.or.jp/
Facebook https://www.facebook.com/ShantiVolunteerAssociation
Twitter https://twitter.com/sva_1981

鎌倉幸子
Blog http://kamakurasachiko.com/
Twitter https://twitter.com/1192_sachiko

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瀧 一馬
紀伊國屋書店新宿南店 5階人文書担当

書店員

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岩田 大志
英治出版株式会社 プロデューサー

英治出版プロデューサー。
神奈川県横浜市生まれ。
大学時代は有隣堂でアルバイト勤務。大学卒業後のブックファースト勤務を経て2006年12月から現職。主に書店、取次会社への販売促進を担当。
2011年の東日本大震災後、社内にて『災害時のこころのケア』小冊子制作を提案。ピースマインド・イープ株式会社の協力を得て10万部の小冊子を制作、主に被災地の書店店頭を中心に無料配布を実施。
2012年より朝日出版社、学芸出版社、春秋社、晶文社、羽鳥書店、フィルムアート社とともにソーシャルデザイン関連書を集めたブックフェアをプロデュース。3年間で全国80を超える書店でのブックフェア開催を実現。

英治出版株式会社
HP http://www.eijipress.co.jp/
Facebook https://www.facebook.com/eijipress/
Twitter https://twitter.com/eijipress

ライターについて

和氣正幸
和氣正幸

リアル本屋開業を目指す本屋好き。ブログ「BOOKSHOP LOVER」を中心に活動。同名のネット古本屋も営み、「Cannes Lions 2013 Book Project」ではプロデューサーを務める。本をキーワードに様々な分野で活躍中。

プロフィール

鎌倉 幸子
作家・ライター

■プロフィール
鎌倉幸子
公益社団法人シャンティ国際ボランティア会広報課長補佐兼東日本大震災図書館事業アドバイザー
青森県弘前市生まれ。アメリカ・ヴァーモント州にあるSchool for International Trainingで異文化経営学の修士号を取得。
1999年3月、シャンティ国際ボランティア会に入職。同年4月より、カンボジア事務所図書館事業課コーディネーターとして500を超える小学校に図書室を設置する。2007年より同団体の東京事務所に勤務。2011年より現職。東日本大震災発生後、津波で公共図書館が甚大な被害を受けた岩手県陸前高田市、大船渡市、大槌町、山田町で「いわてを走る移動図書館プロジェクト」を立ち上げを行なった。
著書に『走れ!移動図書館』(ちくまプリマー新書)、共著に『図書館は、国境をこえる』(教育史料出版会)がある。

公益社団法人シャンティ国際ボランティア会
Hp http://sva.or.jp/
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鎌倉幸子
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Twitter https://twitter.com/1192_sachiko

瀧 一馬
紀伊國屋書店新宿南店 5階人文書担当

書店員

岩田 大志
英治出版株式会社 プロデューサー

英治出版プロデューサー。
神奈川県横浜市生まれ。
大学時代は有隣堂でアルバイト勤務。大学卒業後のブックファースト勤務を経て2006年12月から現職。主に書店、取次会社への販売促進を担当。
2011年の東日本大震災後、社内にて『災害時のこころのケア』小冊子制作を提案。ピースマインド・イープ株式会社の協力を得て10万部の小冊子を制作、主に被災地の書店店頭を中心に無料配布を実施。
2012年より朝日出版社、学芸出版社、春秋社、晶文社、羽鳥書店、フィルムアート社とともにソーシャルデザイン関連書を集めたブックフェアをプロデュース。3年間で全国80を超える書店でのブックフェア開催を実現。

英治出版株式会社
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