堀内華央理おすすめ 映像化・舞台化された3冊

本から想像した世界と、映像化された世界

バクステ外神田一丁目、堀内華央理です。寒さが増し、外での吐息が白くなってきた時期……外出をなるべく控えたくなりますが、考えようによっては暖かい室内で読書を楽しむにはぴったりな時期かもしれません。

私は読書も大好きですが、映画、ドラマ、舞台鑑賞などもすごく好きで、時間があるときは映画や舞台の、演じられている世界を楽しんだり、読書で想像の世界に浸ったり……どちらを楽しむか悩んでしまいます。それゆえ、個人的に好きな本が映像化、舞台化されるのは嬉しく、自分が本を読んで想像した世界と、実際に映像化された世界を比べてみたり。今回は映像化、舞台化されたことのある作品を紹介させていただきます。

本を読むことが禁じられた世界

著者
レイ・ブラッドベリ
出版日
2014-04-24
1966年に映画化された作品。物語はテレビやラジオなど、視覚的、感覚的なものしかない世界の話。本を読むこと、所持することも禁じられ、見つかればすぐにファイアマンという、本を焼き払う役職の人に処分され、逮捕されてしまう……。主人公のモンターグは、ファイアマンの職業に就きながらも本に興味を持ち、何冊か仕事で没収した本を自宅にこっそり持ち帰っていました。ある日、クラリスという女性と出会うことで、それらの本を読み始め、本を禁ずる社会に疑問を持ちます。

読書が大好きな私としては、想像すら難しい世界が舞台。人間の飽くなき知識への欲求、抑圧された人々の葛藤などが見事に描かれています。それと同時に、自分がもしこの世界に住んでいたら……なども考えさせられました。社会の言いなりになり、思考力を失い、与えられるものだけを咀嚼するだけの人間側になるのか、モンターグのように勇気を持って社会のあり方を変えようと行動するのか……たくさんのことを考えさせられる作品です。物語の中で没収される本には有名作がたくさん登場し、知っている本もあると思いますので、そこも楽しめるポイントです! 

江戸が舞台の浮世絵風ギャグ漫画! 

著者
仲間 りょう
出版日
2014-02-04
物語の舞台は江戸時代の江戸です。主人公は立派な武士を目指し、「武士道学校」に通っている磯部磯兵衛(いそべいそべえ)。不真面目だったり、言い訳ばかりしたりとどうしようもない主人公ですが、その周りで起こるドタバタ劇が非常に面白い作品です。

歴史上の有名人物などもところどころで登場したり、読者から募集したワードを著者が物語に組み込んだりと、遊びの要素もたくさんあります。とりあえず笑いたい方にオススメです! ミュージカル化もされていて、大阪公演だったため私は観に行けなかったのですが、再演があればぜひ観に行きたいと思っています!

完全な平等とは? 本当の幸せとはなにかを考えさせられるSF小説

著者
ロイス・ローリー
出版日
1995-09-20
この作品も映画化されたことがあります。物語の舞台はすべてが管理された世界。すべての人が仕事を選べず、決められた職に就く。子供を産むという職業さえ存在し、家族も血のつながりはなく、社会が決めた組み分けになって子供は各家庭に男女1人ずつ配属される。その世界で、主人公のジョーナスは「記憶を受け継ぐ者」という職業に任命されます。人類が歩んできた全ての歴史の記憶を受け継ぐ者「ザ・ギバー」たちは、その記憶を使って社会のために助言することが役割。与えられた記憶は他の者たちと共有することは禁じられているという、孤独と痛みに耐えなければならない職業です。世界の記憶を受け継ぎ、真実を知り始めたジョーナスは、すべてが管理され完璧に見えていた世界に疑問を持ち始めます。

アメリカの児童文学で読みやすい作品ですがテーマは重く、読み進めると、描かれているなんとも不気味な世界に身震いしてしまいます。すべてを完璧にした世界が本当に正解なのか? 痛みや苦痛を全く知らないで生きる世界では、反対の喜びや幸せなどを感じられない……社会のあり方や自分の生き方を見直す機会をくれる作品です。

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