幼き頃に読んで衝撃を受けた本【永原真夏】

幼き頃に読んで衝撃を受けた本【永原真夏】

更新:2021.12.1

歌手の永原真夏です。2017年、いかがお過ごしですか。わたしは沖縄ツアーに行ったり、新曲を制作したり、ベッドでゴロゴロしたり、打ち合わせをしたり、丸一日寝たり、ラーメンを食べたり……。勤勉と堕落の往来イベントを我が生活で堪能しております。

ミュージシャン。SEBASTIAN X、永原真夏+SUPERGOODBAND、音沙汰として、精力的に音楽活動を行う。デザイン、イラスト、ZINEの制作などにも定評があり、音楽活動とリンクした様々な商品、グッズを制作している。自身の誕生日でもある2017年7月23日に、20~30歳の10年間を収めた写真集「Fortissimo」を発売した。 永原真夏 秋の行楽ツアー2017「歌声フォルテシモ」 2017年10月21日(土) 豊田スタジアム外周 「TOYOTA ROCK FESTIVAL 2017」 START:10:00 入場無料 出演:永原真夏+SUPER GOOD BAND、他 2017年10月22日(日)十三ファンダンゴ OPEN/START:18:00/18:30 adv:¥3000 出演:永原真夏+SUPER GOOD BAND/他(3マン予定、共演者後日発表) チケット:e+/ファンダンゴ店頭で発売中 2017年10月26(木)下北沢SHELTER OPEN/START:19:00/19:30 adv:¥3000 出演:永原真夏+SUPER GOOD BAND(ワンマン) チケット:e+/永原真夏ライブ物販で発売中 2017年11月3日(金・祝)松江市大根島HOME野外特設ステージ 「アライバリズム2017」 出演:永原真夏+SUPER GOOD BAND/他(共演者後日発表) START/15:00 料金:未定 ※22歳未満入場無料 チケット情報:主催者メール予約にて受付中 宛先アドレス:info@tanuki-onsen.com メール件名「11/3HOMEチケット予約」 本文にお名前(読み方)、枚数、メールアドレスをご記入の上お送りください http://nagaharamanatsu.com/
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2017年は遊びも、ぐうたらも、勢いよくいきたいと思います。さて、連載第二回目は、幼き頃に読んで、ずっと脳裏から離れない個性的な本たちをご紹介いたします。

唱えるだけで楽しい言葉「なんじゃもんじゃ」

著者
長 新太
出版日
2003-10-25
まずタイトルにハートを射抜かれました! この本にハマったわたしは、ことあるごとに「なんじゃもんじゃ」「そんなもんじゃ、どんなもんじゃ」と、なんじゃもんじゃ博士の口癖を連呼していました。

親に怒られても「そんなもんじゃ、どんなもんじゃ」、給食を食べても「そんなもんじゃ、どんなもんじゃ」………。唱えるだけで楽しい言葉でした。ストーリーは、なんじゃもんじゃ博士とゾウアザラシくんが山や木など自然物たちに出会って、決定的な何かが起こるわけでもなく、起承転結があるわけでもない冒険をするという、シュールな内容。

ただ、頭の中で、幼きわたしは、なんじゃもんじゃ博士とゾウアザラシくんと共に、確かに同じ世界を見ていたと思います。頭の中の友達といいますか。共に過ごした思い出は、今でもわたしに呑気さとユーモアを与えてくれます。

「鼻毛が出ている水平さん」の秘密

著者
大竹 伸朗
出版日
1994-11-20
まず、主人公のジャリおじさんは、水兵さんのような格好をして、無表情なうえに、常に鼻毛が出ている。ものすごく長い鼻毛が、数本出ている。はじめて読んだとき「うそでしょ、信じらんない」と思いました。

幼女ですし、キラキラしたものや、ファンシーなもの、マジカルなものを求めているのに、なぜ鼻毛が出ている水兵さん風の格好をした、しかも語尾に必ず「ジャリ」を付ける、ロン毛の男性と心の旅に出てしまったのか。意味がわかりませんでした。

ワニに出会ったり、ジャリおじさんのドッペルゲンガーに出会ったり、くだものの妖怪みたいなのに出会ったり、内容もナンセンス絵本の極み。「うそでしょ」と思いながらも、毎晩毎晩読んでいました。無くなると発狂するくらい心の友でした。

大人になってから調べてみると、鼻毛ではなく、鼻の頭にひげが生えているそうです。そして、作者があの大竹伸朗だということを知るのは、20歳になってからのことでした。

父親からのプレゼント

著者
赤塚 不二夫
出版日
ある日、父が突然プレゼントしてくれました。文庫版全21巻。おそらくわたしが『ひみつのアッコちゃん』を気に入ったので、同じ作者だし的なノリでプレゼントしてくれたんだと思いますが、こんな日本の歴史に残る唯一無二なハードコア作品だとは微塵も思わず熱読しました。

バカボンのパパが大工さんだったこととか、神童だったこととか、バカボンのママが茶髪であるということとか、本官のキャラがどんどんブレていく過程とか、連載誌が変わったタイミングとか、赤塚不二夫のその時期の画風のブームとか、この漫画について知らないことは殆どありません。

かの有名な「これでいいのだ」という台詞に、全然よくねーよ!と突っ込みを入れつつ、「まあ……これでいっか!」と思える余白を与えてくれる、最高の漫画だと思います。日本にはいつの時代も、バカが必要なのだ!

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