外山滋比古のおすすめ本5選!ベストセラー『思考の整理学』著者!

更新:2021.12.17

たくさん勉強したけれど、考える力がついているか自信がない、アイデアが浮かばない、もっと知的な生活を送りたい……。そういった方におすすめな作品が、外山滋比古の本です。知の巨匠とも呼ばれた、外山による著書を5冊、ご紹介していきます。

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大ベストセラー『思考の整理学』著者、外山滋比古とは?

1923年、外山滋比古は愛知県に生まれました。元々は英文学者ですが日本語論の分野も研究しています。お茶の水女子大学の教授であったときには、同大学附属幼稚園長も兼任していました。

90歳を過ぎてもエッセイを発表し続け、言語学者らしく言葉に関する著書から幼児教育に関するもの、自身の考え方や生活習慣を紹介した本まで幅広い分野での執筆活動を行っています。

外山滋比古によるロングセラー

『思考の整理学』は1983年に出版された本です。今なお東大生や京大生の多くに読み継がれています。

タイトルからすると論文的なものかと思われますが、文章はエッセイに近い本書。具体的に「こうせよ!」というような語り口でもなく、「自分はこうしていて、こんな風に考えている」「このことについては、こんな風に解釈できる」というようなことが、平易な文章で綴られていきます。

著者
外山 滋比古
出版日
1986-04-24

著者は知識を詰め込む学校教育に賛成ではありません。より考える力を身に着ける、より考えるとはどういうことかを知ること、といったことに重点が置かれています。本書で著者は、著者自身の思考に触れることで、読者が自分の思考を問い直すきっかけになることを期待しているようです。とにかくたくさん勉強して知識を押し詰めにしてきた大学生にとっては、著者の柔軟な発想とのびのびとした思考と深い考察は、新鮮に映るのでしょう。勉強に疲れた若者が、考えることの楽しさを発見できるヒントが詰まっています。

大学生ならずとも、中高生、社会人でも十分参考になる本書。どれも身近なテーマを元にして書かれていますし、何より文章がやさしいだけでなく、柔らかで優しいのです。外山の文章は心地よく、読者の心に素直に入ってきます。それも本書がロングセラーとなり、ミリオンセラーとなった理由の一つなのかもしれません。

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外山滋比古が勧める「アウトサイダー思考」とは?

おとぎ話や古典は、時代背景が異なり現代文学よりも理解が難しいのにも関わらず、今もなお読まれ続けています。その背景にはどんなことが考えられるでしょうか。外山は著書『消えるコトバ・消えないコトバ』の中で、「アウトサイダー思考」と「インサイダー思考」をポイントとしてあげています。

アウトサイダー思考とは、客観的、つまり当事者にならない第三者の視点でものを見ることです。著者は、最近の言葉はインサイダー思考寄りになっていると考え、アウトサイダー思考の重要さについて説いています。

著者
外山 滋比古
出版日
2016-07-01

著者が生まれたのは、大正時代。戦前戦後は、日本人は外国を模倣しようと一生懸命になり、戦後は多くの研究者が海外留学していました。著者は英文学者でしたが、あえて留学はしないと決めたそうです。外国に行って生活に溶け込んでしまっては、当事者としての視点しか持てなくなる……。あくまでアウトサイダーの視点を大切にしたかったのでしょう。

灯台下暗しということわざにもあるように、インサイダーでは足元をかえって照らしだせないこともあります。外国人の方が日本文化や日本人の特徴を的確に言い当てることがよくあるのも、彼らがアウトサイダーであるからなのでしょう。

本書で紹介される、外山の独特の着眼点と思考を生み出す原点となった考え方。現代は、多くの情報に囲まれ、異文化との交流も盛んで、経済や政治、日常生活においても外国と関わっていかなければなりません。彼らを模倣したり溶け込んでみるのではなく、あえて客観的に見ることがむしろ大切になってくるのでしょう。

独特の着眼点で、考える力を鍛えられる

「国語の教科書はなぜ縦書きなのか」ということを考えてみたことはありますか。これまで誰も教えてくれなかったこと、疑問にすら思わず過ごしてきてしまったことについてふと気づかせてくれる1冊が、本書『ものの見方、考え方 』です。

有名な『思考の整理学』と同じくエッセイ風の語調で、著者独自の思考が語られています。本書を読むと、まだまだ自分は物事を表面でしか見ていなかったということに気づかされるのです。着眼点が独特で、身近な物事もこういう風に見ればこういう風に深い考察が得られるんだ、とお手本にすることができる本になっていますよ。

著者
外山 滋比古
出版日
2016-07-03

子どものときには「なぜ?」「どうして?」の連発ですが、成長するにつれ増えすぎた知識が邪魔をして、自分の考え方の枠から出られなくなってくるのもの。しかしただ知識を詰め込み、引き出しにしまい、それをそのまま出し入れするだけでは、単に人からの受け売りであり、自分の頭で考えているとはいえませんよね。

「ものを見る」「考える」ことを訓練しようと思ったら、ぜひ手に取ってみてください。知識以上のもの、学校では決して教えてくれないことが身につくはずですよ。日常の中で見方を変えて考察を深めるだけで、見えてくる様々なもの。それが新たな独創性にも繋がっていくのでしょう。アイデアに行き詰ったときやスランプに陥ったときにも、おすすめです。

外山滋比古の作品をお得に読む

いくつになっても、知的で元気な生活を

誰でも時間が経てば、年を取ります。できていたことができなくなったり、物忘れがひどくなってきたりすると、それを認めまいと抵抗して頑固になったり、日々自信を無くしていったりするもの。高齢者でなくとも中年期から体力の衰えを感じ始め、老いていくことへ嫌悪と不安を密かに抱いている人も少なくないでしょう。

巷(ちまた)には「老い」をテーマにした本は多数ありますが、本書『老いの整理学』は、知の巨人称される90歳の著者による本ですから、内容を見る前から説得力があるような気さえしてきます。そんな著者は昔から病気知らずの健康体だったわけではなく、若い時は病気がちで風邪ばかりひいていたそうです。病弱な若年期を送ってきた体験から、自ら元気でいるためのコツを編み出し、老人となった今では昔よりも元気なのだといいます。

著者
外山 滋比古
出版日
2014-11-01

『思考の整理学』と同様、「自分はこれをコツとして元気にしている」というような実体験に基づく秘訣をエッセイ風にまとめた本書。よくあるような健康本ではなく、型にとらわれない考え方で、精神的に元気に、いつまでも知的に楽しく年をとるコツがいくつも紹介されています。

「老い=衰退」と捉えがちな人も見方や思考を変えることで、老いをポジティブに捉えることができるかもしれません。老いへのネガティブな印象のために、自ら可能性を狭めてしまっている人も沢山いるのです。もちろん全ての人に当てはまるわけではないのですが、まだ若い方でも「なるほど」と共感できるところはたくさんある、知恵袋のような1冊です。

外山滋比古による人生指南書

人は誰しも傷つくのが嫌なものでしょう。しかしリンゴは傷つくと、それを庇(かば)うためにより多くの栄養を吸収し、結果的に甘くなるそうです。人生もそれに似たところがあるかもしれません。傷ついて後悔しても、それを乗り越えた先にはより成長した自分がいるのです。

本書『リンゴも人生もキズがあるほど甘くなる』は、以上のようなことを再認識させてくれる1冊となっています。「失敗は最高の教師」「厄介なことは忘れるに限る」「”欲、半分”を目指す生き方」という三本の章に分けて、苦い経験は人生を甘くしていることに気づかせてくれるヒントが詰まった小話が34話、紹介されていますよ。

著者
外山 滋比古
出版日
2014-07-24

各話に大きな字で書かれる格言が印象的な本書は、158ページという薄い本ですが、短い言葉の中にエッセンスが詰まっていて、普段本をあまり読まない方も手に取りやすい1冊です。知識を詰め込むことを良しとしない著者ですから、あまり多くを語らずに読者により考えさせる形にしたのでしょう。

先ほど紹介した『老いの整理学』が、老いることの不安により自信を失いつつある中高年に向けた本だとしたら、本書は生きていくことへの不安によって自信を失いつつある若者に向けられた、外山流生き方指南書といえます。外山の優しさが詰まった1冊をぜひこの機会にお手に取ってみてください。

外山滋比古の作品をお得に読む

外山滋比古の著書は、内容に学ぶことが多いのももちろん、文章の読み進めたときの心地よさも魅力の一つといえます。著者に会ったことがなくても、物腰柔らかな、それでいて歯切れの良い語りが想像できます。堅い枠にはまらない、柔軟で多角的で深い考察は、新しい見方を求める方に必ずや大きな刺激を与えてくれることでしょう。

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