小森陽一が原作の漫画ランキングベスト5!男たちの熱いドラマを描く

更新:2021.12.17

大ヒットとなった『海猿』の原作者として名を知られる小森陽一ですが、彼の原作による漫画は他にもまだまだあるんです。様々な職業を題材に、そこで活躍する熱い男たちを活き活きと描き出す小森陽一のおすすめ作品を5つ、ランキング形式でご紹介します。

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マルチに活躍する作家、小森陽一

小森陽一は、佐賀県出身で、漫画原作者、脚本家などマルチに活躍する男性作家です。大阪芸術大学を卒業後、東映の助監督、テレビ制作会社での勤務を経て作家活動をスタートしたそうで、映像監督としても活動しています。

原案として携わった『海猿』で一躍その名を知られ、テレビドラマ化された『S‐最後の警官‐』や潜水士達の活躍を描く『トッキュー!!』など、様々なフィールドで活躍する男たちの情熱や葛藤といった人間ドラマを描くことが多く、小森の原作を元に多数の作品が漫画化されています。

特に、『海猿』では、海洋に関する創作活動の功績を評価され、海洋立国推進功労者表彰を受賞しました。

5位:不可能を可能にしようともがくから格好いい!

『我が名は海師』は、座礁したり事故などに遭遇したりした船舶の引き上げを行う「サルベージ」を題材にしています。潜っては上がりを繰りかえすサルベージは、肉体だけでなくしっかりとした計算に基づいて行われるため、とてもハードな職業です。父親の後を次いでサルベージ会社の社長となった主人公の成長も見どころです。

著者
小森 陽一
出版日
2004-10-29

あまりメジャーではない「サルベージ」という職業にスポットを当てた本作は、主人公の麟太郎がいきなり15億の借金と「難波サルベージ」という家業を背負うことに……、という冒頭から始まります。

麟太郎は何とも魅力的な人物で、一見直情バカのように見えますが、ベテランサルヴァ―である沢の意見を真摯に受け止めたり、慎重であり大胆である一面を見せたりと、話の展開とともに人間として成長していきます。

確執のあった父親の会社を継ぐという葛藤や、次第に天性のサルヴァ―としての才能を開花させていく姿、当初は衝突ばかりしていた仲間たちとの信頼関係や絆が生まれる様子など、数々のスパイスも満点でグイグイと読み進められます。

不可能を可能にしようと懸命になる海の男って格好いいです! サブタイトル『Master of sea』の名の通り、まさに海の支配者たるサルヴァ―たちの活躍を堪能してください。

4位:知ってる?空には、神さまがいるんだよ

航空自衛隊で戦闘機のパイロットを目指す若者たちの熱い物語を楽しめる『天神』。純粋な「空」への憧れと、飛行機乗りだった父親が関わったとされる墜落事故の謎の解明を軸に、壮大なスケールで描くファイターパイロットのドラマを楽しめます。
 

著者
杉江 翼
出版日
2015-12-04

航空ショーなどで知られる戦闘機のパイロットを目指す若者たちの青春ドラマに、不可解な墜落事故の真相究明というミステリー要素をプラスすることで読み応えのあるストーリーに仕上がっています。

一見淡泊なように見える主人公・坂上陸ですが、「ここが地上にいる俺の限界、やっぱりここじゃわからない、ここじゃこの心のモヤモヤが晴らせない」と、「空」への強い憧れを持っています。誰でも一度は「空を飛んでみたい」と夢想したことがあるでしょう。その思いが強いからこその挫折や葛藤、さらに防衛大学卒業のエリートである高岡とのライバル関係など目が離せない展開が目白押しです。

果たして陸は「天神は空に棲んでる守り神で、空の全てを司ってるんだ」という空の神様=天神に会えるのでしょうか?大空を舞台にした男たちの熱い物語は、心を晴れやかにしてくれるはすですよ。

3位:2つの「S」が織りなす、珠玉のヒューマン刑事ドラマ

架空の特殊部隊の隊員とその活躍を描く本作は、2014年にはテレビドラマ化、さらに映画化されヒットしました。コミックスは全20巻と長編ですが、一気に読み進められますよ。 

S‐最後の警官‐

2010年01月29日
藤堂裕、小森陽一
小学館

「犯罪者の生け捕り」を目的にした特殊部隊「NPS」と、「SAT」に属する2人の男たちを主人公に、犯罪とは、贖罪とは何かを問う異色の刑事ドラマです。

単純で分かりやすい性格の主人公・神御蔵一號はどこか憎めないキャラクターで充分魅力的ですが、もう1人の主人公、SATに属する曽我伊織の壮絶な過去と厳格なまでに犯罪者を憎む思いに心を鷲掴みにされてしまいます。優しすぎるがゆえに器用に生きることができない伊織が、一號と共闘し、認め合うことで少しずつ変化していく様子も見どころの1つです。さらに、一號とともに犯人逮捕に全力を尽くすNPSのメンバーも個性的な面子ばかりで、読んでいて飽きません。全員がひたむきに職務を全うする姿に心を打たれます。

異なる信条を持ちながら交錯してゆくNPSとSAT、2つの「S」が進んでゆく道に、どんな結末があるのでしょうか。ワクワクしながら一気に読める、珠玉の一冊です。

2位:人の命を救う、特別レスキューチーム

『トッキュー!!』は、海上保安庁を舞台に新米潜水士の活躍と成長を描く物語です。小森による原作を、『モテキ』で人気を博した久保ミツロウの作画によりコミカライズしています。
 

トッキュー!!

2004年05月12日
久保ミツロウ、小森陽一
講談社

漁に出たまま戻らない父親を待ち続け、海難レスキューを志すようになった主人公、神林兵悟が海上保安庁の誇るレスキューチーム=トッキューに入隊するところから物語が展開していきます。人一倍強い「人を助けたい」という気持ちで人命救助を行う兵悟の、暑苦しいまでの「熱」が読んでいる側にまで伝わってきます。

また、トッキューで活躍する登場人物たちも実に個性豊かです。必ず要救助者を救う神のごとき海兵で特殊救助隊第3番隊隊長の真田や、柔和な顔立ちながら鬼軍曹と恐れられる嶋本、兵悟のライバルである石井などひと癖もふた癖もある魅力的な人物との人間関係も、物語をさらに面白くする要素の1つとなっています。

人を助けることしか考えていない、熱い男たちのリアルな姿から、目が離せませんよ!

1位:生きて戻るために死力を尽くす男たちがいた

『海猿』はテレビドラマ化、映画化もされた大ヒット作です。海上保安官である主人公と、「バディ」と呼ばれる仲間たちとともに活躍する姿を描いています。
 

著者
佐藤 秀峰
出版日

『ブラックジャックによろしく』で一躍人気となった佐藤秀峰が作画を担当する『海猿』は、誰もが知る名作の1つです。

小森陽一の最も有名な作品と言える本作には、人の「死」との深い関わり合いが根底に流れています。それは、要救助者であり、救助に向かう者であり、ともに救助を行う仲間にも等しく降りかかります。だからこそ命を賭して「救出」し、生きて戻らなければならないという過酷な運命と闘う海上保安官の姿を見事に描き切った、まさに名作と呼ぶにふさわしい作品です。

また、人の生死を扱っていますが、随所にちりばめられたコミカルな演出が、重く苦しい「死」との対比となりメリハリのある展開を作り上げています。あまり馴染みのない海上保安官の仕事に対しても、リアリティを追及しつつも平易でわかりやすく描かれているため、物語の世界観に入り込みやすいのも特徴です。

実写化されたメディアで作品を知っているという人も、ドラマとも映画とも違う、漫画ならではの臨場感、躍動感あふれる本作を、ぜひ一度読んでみてください。後悔しないと断言できます。
 

小森陽一の作品には、何かに情熱を燃やす熱い男たちがたくさん登場します。彼らの熱いメッセージは、読んでみてこそ分かりますので、気になる一冊があれば、ぜひ手に取ってみてください。忘れていた熱い気持ちが甦ってくるはずですよ。

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