世界を旅する人たちが本棚に置いていった本

世界を旅する人たちが本棚に置いていった本

更新:2021.12.6

日本から選りすぐって持ってきた本は、街から街へ移動する列車の中で新たなインスピレーションを生み、拡がっていく世界観から新しい心の扉を開く。 「今日はどんな出逢いがあるんだろう…。」 次の街のゲストハウスの本棚で共に旅してきた本を、名も知らぬ旅人が置いていった本と交換する。「誰かが気に入ってくれたらいいな。」と思い次の誰かにまた託す。ばったり仲良くなった旅仲間に「ホンマこれええ本やから読んでみて。」と譲り受け、出会うべく人の元に届くまでまた旅を続ける。そんな世界を旅する本を紹介します。

ブックカルテ リンク

夢を旅する少年

夢を持たせようと希望や期待を投げかけては夢の素晴らしさを子供達に語りかけるが、夢のない大人達がたくさんいる中で一体どんな希望や夢を見て生きていけるんだろう…。この本には夢の素晴らしさが一杯詰まっていて、ストーリーの展開や景色が綺麗に見える中に夢を生きる上で大事なヒントがたくさん散りばめられて、こんな本が小学校とかの教科書なんかに出てくればもっと希望や夢に満ちあふれた世界になるのに…。と思わずにはいられない一冊。本当にたくさんの旅人が好んで読んでいた本であり、世界中から愛されている本です。
著者
パウロ コエーリョ
出版日

自分自身がグル(指導者、教師)なんだ!!

僕がモロッコでグナワの修行をしていた頃に仲良くなったモロッコ老人に、「お前にとって一番のマーラム(アラビア語でグル、マスターの意)はだれや!?」と聞かれて、「うーん…」といつもお世話になっているあの方かな…。なんて思い少しだまっていると。「それはあなた自身だよ。」と、これから日本に帰る僕にその老人が贈ってくれた言葉で、それはただ日本に帰るから物質的に師や友から学べなくなるから。という話ではなく、“自分自身がどうすればいいのかを一番知っている。”“ちゃんと知っておかないといけないよ。”“自分自身から学びなさい。”というメッセージだった。そんな事をこの本からも学んだ。ただのカモメであり、そうじゃないジョナサンが空を飛ぶことに人生を懸け、生きる意味を綴ったフィクションストーリー。
著者
リチャード•バック
出版日
1977-06-01
アメリカのヒッピー達の間で回し読みされていて、草の根のように、何年かのうちに少しずつ拡がっていって出版されるようになった本。凄く薄い本の中にさらさら読めるストーリーが展開している。

なぜ旅を続けるのか?

モロッコに旅立つ僕は、友人からこの本を受け取って初めて読んだ時、アルケミストを読んだ時のような興奮に包まれて日本人の作家による物とは思えないストーリー感に一気に引き込まれた。人間の本能の赴くままに、ひとつの場所で学び、自分の出来る事を着実に他へ返し、風のように次の土地へ旅を続ける主人公の姿は、旅の持つ魅力や新たな自分との出会いの喜びを感じさせる。
著者
筒井 康隆
出版日
1994-03-01
SF小説とは思えない現実味のあるストーリーの中に、旅の目的性を投げかける作品。ただただ世界一周して新しい物や人と出会う旅ももちろんロマンがある。しかし、自己完結してただ終わるのではなく行く先にやるべきことがちゃんと用意されているのを感知して実行し、自己は他者や現象に委ねて開かれているべきであるということを教えられる、次の新たな一歩(旅)の力を与えてくれる本です。

「ガンジス」すべてを包み込む母

本当に21 世紀なのかと感じるような時間や空間の感覚をインドにいた時に感じた。「インドは大好きか大っ嫌いか」そんな話をよく旅人から聞いていた。数々のインド危険話とは裏腹になんともいえぬ安心感を覚えた。それもすべての罪を洗い流し、遺灰をガンガーに流すと輪廻から解脱できると信じている人々や土地の持つ空気感の仕業かもしれない。旅人の話を聞いてるうちに次第にインドに惹かれだし、行ってみたいと思うようになった頃にふと僕の手元にやってきた一冊。
著者
遠藤 周作
出版日
1996-06-13
愛を知らず求める者、命を弔うためにインドに来た人達の人類愛のストーリー。唯一神の宗教家が自分達の宗教者以外に救いはないというような考え方や個人主義が行き過ぎた自分勝手な愛の無い考えが今の現代社会の不調和のひとつであり、本来の人類の姿はガンジス河のようなすべてを包み込む真の愛であることが物語とともに綴られている。

多重人格~光と影~

小さい時に暴力や性的虐待などの苦痛によって多重人格になったマリカがバリ旅行に行くお話。いろんなキャラクターがマリカの中にいて、それぞれが入れ替わり表に出てくる。暖かく光り溢れる中、神妙さを秘めたバリの世界でマリカがマリカ自身になってゆく短編小説です。リゾート地の印象が強いバリだが土着の信仰や芸術に溢れていて本当に独特な空気感がある。この小説からあのむわっと暑い異国南国の香りが漂ってくるようだ。今これを書いていて、飛行機の乗り換えで寄っただけなのにバリの空港でなぜか税関にお金を納めなくてはならなかった、という神秘体験を思い出した。
著者
吉本 ばなな
出版日

僕の手元まで旅をしてきた本の中でも特に自分自身に影響を与えてくれて、且ついろんな旅人が好んでいた本を選んでみました。是非、旅に出たいなって思うときや、旅に出るときのお供にどうぞ!!

この記事が含まれる特集

  • 本と音楽

    バンドマンやソロ・アーティスト、民族楽器奏者や音楽雑誌編集者など音楽に関連するひとびとが、本好きのコンシェルジュとして、おすすめの本を紹介します。小説に漫画、写真集にビジネス書、自然科学書やスピリチュアル本も。幅広い本と出会えます。インタビューも。

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