【200万人の本好きが選ぶ】本当に面白いおすすめ青年漫画!名作50選【完結済み】

更新:2023.11.9

良いところで終わってしまい、連載を待っているのがもどかしい!そんな思いをした方も多いのではないでしょうか。 この記事では、完結作品だけを集めたおすすめ青年漫画を紹介していきます。

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お金が絡むと人も変わる。裏の世界を描いたおすすめの青年漫画5選

命を掛けた究極のギャンブルゲーム『カイジ』

「カイジ」シリーズの原点、『賭博黙示録カイジ』はアニメ化、実写映画化、パチンコ化などされている大人気の賭博漫画です。

主人公のカイジは上京後、自堕落で金のない生活を送っていました。しかしある日、カイジは保証人になっていた友人の借金の返済を背負わされてしまったのです。しかしカイジはもちろんその大金を支払うことができません。

そんなカイジは金融会社社長の遠藤から、借金をチャラにできるゲームに参加しないかと持ち掛けられます。そしてそこからカイジのギャンブル人生がスタートするのです。

著者
福本 伸行
出版日
1996-09-03

「ざわざわ」もしかしたら、漫画を読んだことはないけれど、この言葉は知っているという人もいるかもしれません。言葉というより、擬音語なのですが、本作はとにかく擬音語の使い方がすごいのです。感情の動きを独特の擬音で表すのですが、そのおかげで分かりやすくなっています。

お人よしで、人に騙されやすく、損ばかりのカイジですが、ここで負けたらまずいという時の機転と勝負強さには目を見張るものがあります。最初は本当にダメダメなカイジが成長していく姿と、ハラハラドキドキする展開からは目が離せません。

「カイジ」はシリーズになっていて、『賭博黙示録カイジ』以外にも作品が出ていますので、きっと一度読み始めたら止まらないでしょう。人を騙す、裏をかく、やられているフリをして一気に形勢逆転といったようなストーリーが好きな方にぜひ読んで頂きたいです。

2007年には、テレビアニメ化もされています。


『賭博黙示録カイジ』については、以下の記事で紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。

漫画『賭博黙示録カイジ』全巻のあらすじとゲームをネタバレ考察!あの有名な効果音が面白い?

漫画『賭博黙示録カイジ』全巻のあらすじとゲームをネタバレ考察!あの有名な効果音が面白い?

「ざわ…ざわ……」などの独特の擬音、人生がかかった手に汗握るギャンブルとその心理戦にギャンブル漫画の大家となった『賭博黙示録カイジ』。藤原竜也、天海由紀、香川照之などの豪華キャストで映像化された映画作品も人気の作品です。 この記事では、もはやネタか!?と思わせるほどにクオリティが高く、絶妙なセンスを感じさせる本作の深い心理戦、独特な表現法を徹底紹介!スマホの漫画アプリで無料で読めるので、気になる方はそちらも試してみてください。

金のためなら、なんでもする!『銭ゲバ』

幼い頃から左目に傷がある主人公、蒲郡風太郎の波乱万丈な人生を描いた青年漫画『銭ゲバ』。実写ドラマ化もされているので知っている人も多いかと思いますが、原作はこの漫画です。

幼少時の風太郎は、酒と女に溺れるろくでなしの父と病弱な母、という貧乏な家庭で育ちました。左目の傷も父からの虐待によってできたものです。貧しいながらも、母と近所の優しい青年の支えによって懸命に生きてきた風太郎ですが、とうとう事件が起きてしまいます。

著者
ジョージ秋山
出版日

貧しさのため薬代を払えなくなり、とうとう母が病で亡くなってしまうのです。そして自暴自棄になった風太郎は些細なきっかけで、いままで優しく接してくれていた近所の青年を殺してしまいました。そこから風太郎の人生は大きく変わっていくのです。

生まれ故郷を飛び出した風太郎は、成り上がりを夢見てどんどんと悪いことに手を染めていくようになってしまうのです。自分が前に進むために邪魔なものは全て殺害していき、自らの欲望を満たすために強姦もします。欲だけのために手段を選ばずに生きる風太郎の狂気には、恐怖と悲しさを感じることでしょう。

どれ程のものを手に入れても満たされることのない、本当の心。金に取り憑かれた男の末路をぜひご覧ください。


『銭ゲバ』については以下の記事で紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。

『銭ゲバ』怖くて切ない!登場人物、結末までの名言をネタバレ紹介!

『銭ゲバ』怖くて切ない!登場人物、結末までの名言をネタバレ紹介!

もとは純粋だった少年が金に裏切られ、金を求め、金に振り回される……。主人公の蒲郡風太郎が金の亡者となり、破滅に向かっていくおどろおどろしい様子を描いた『銭ゲバ』。人間の欲望の底知れなさ、切なさを感じさせる内容です。 この記事では、『銭ゲバ』のストーリーの見所、登場人物、上下巻の名言をご紹介します。

闇金に手を出した人々のリアルを映し出した『闇金ウシジマくん』

『闇金ウシジマくん』と言えば、山田孝之主演でテレビドラマ・映画化されご存知の方も多いのではないでしょうか。

10日で5割の法外な金利をとる闇金「カウカウファイナンス」を経営する丑嶋はどんな手を使ってでも貸した金を回収しようとします。カウカウファイナンスの従業員や訪れる債権者の人生を描いた作品です。

著者
真鍋 昌平
出版日
2004-07-30

金を返そうとしない債権者に対しては冷酷な制裁をくだす丑嶋ですが、返済意欲があったりどん底から這い上がろうとする姿勢を見せる債権者に対しては寛容な姿を見せることもあります。中学生の頃から飼っているウサギを溺愛する人間味ある姿や時折語る人生哲学など丑嶋の個性あふれるキャラクターが人気の一つです。

丑嶋以外にも癖の強い従業員や債権者が登場するので注目です。

社会の闇をありありと映し出し怖くて読み進められないという声が上がるほど心にズシンと来るストーリーは、作者・真鍋昌平が15年間で金融業者や債権者など約1000名に丹念に行った取材によるもの。

本当の裏社会を知りたいという方に特におすすめの作品です。


『闇金ウシジマくん』については以下の記事で詳しく紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。

母を亡くした少女は水商売で復讐を狙う『女帝』

火の国・熊本の女性が主人公の漫画『女帝』。女子高生からホステスとして「女帝」となる半生を描いた物語です。

立花彩香は熊本でスナックを開く母親と二人で貧しいながらも暮らしていた優秀な女子高生でした。しかし母親は病に倒れ亡くなり、学校を辞めることを決意。そんななか同級生の不祥事の濡れ衣を着せられ金で揉み消され、都市開発のために母親のお店が潰されるなど若くして金と権力に侮辱を受けた彼女は、彼らを跪かせるためにホステスとして「女帝」になることを心に決めます。ここから彼女の新たな人生が始まったのでした。

著者
出版日

彩香はホステスとしての才能を持ち、賢さも兼ね備えていたため徐々にホステスとして成長していき大阪から日本一の繁華街・銀座へとステップアップしていきます。

順風満帆に進んでいったわけではなく、それぞれのお店でタイプの違うライバルとなるホステスが登場し熾烈な戦いを繰り広げながらも、彩香は冷静に相手を観察ししたたかに毎回勝利を治めるのでした。彩香は決してライバルを蹴落とそうとしているのではなく、「女帝」になるという目標のためにホステスの仕事に邁進します。そんな彩香の真っ直ぐな姿がかっこいいのです。

ホステスの世界は女性が主役ですが、その世界を支える男性も影の主役です。登場するのは、会社の社長やヤクザ、大物政治家など権力を持ち合わせた男性達。陰謀絡まる権力者たちの社会の裏側も注目のポイントです。

男性たちに時には翻弄されつつ、利用し成長していく彩香が自らの手で自分の城となるお店を開き「女帝」になることができるのか、ぜひ読んでお確かめください。


『女帝』については、以下の記事で詳しく紹介しています。気になった方はこちらもぜひご覧ください。

漫画『女帝』が面白い!全24巻、彩香の激動の人生をネタバレ紹介!

漫画『女帝』が面白い!全24巻、彩香の激動の人生をネタバレ紹介!

母と家を亡くし、復讐を誓った主人公が目指すのは「女帝」。本作は水商売の世界を主な舞台に、友情、戦い、恋愛、親子愛など、たくさんの人間模様を描いた物語です。この記事では、全24巻の魅力、見どころをご紹介したいと思います。

まさにハードボイルドの極み。世界を股にかける狙撃屋『ゴルゴ13』

『ゴルゴ13』の主人公はデューク東郷と呼ばれるスナイパーです。一番多く呼ばれるのがこの名ですが、それ以外にもゴルゴ13、G、などいろいろな呼び名で呼ばれています。彼の仕事場は社会の裏側や、表と裏なのか一見分からないグレーゾーンのような場所で、そこで殺し屋として様々な任務を確実に遂行していくというストーリーです。

著者
さいとう たかを
出版日

コミックが全184巻(2017年4月現在)という驚異の連載を現在も続ける『ゴルゴ13』。連載開始は1968年とかなりの長寿漫画です。実際のストーリー自体はデューク東郷を取り巻く依頼人やターゲットなどの登場人物を主体に進められるため、最後の最後まで主人公がでてこないなんて話になっていることも時々あります。

基本的に無口ですが、強く冷静で博識なデューク東郷はまさにハードボイルドの代名詞と言っていいのではないかと思える程の人物です。実際ハードボイルド漫画と言ったら『ゴルゴ13』と答える人も多いでしょう。それほど多くの人に知られていて人気のある青年漫画、ぜひ全巻読んでくださいと言いたいところですが、さすがに184巻読破してくださいとは言えません……。

巻数が多い反面、この漫画のよい所はそれぞれの話が数話で完結されていて、次の話に繋がることもないので、たまたま本屋さんでパっと手に取った中途半端な巻からでも問題なく読めます。空いた時間にさくっと読める名作なんてなかなかないですよね。おすすめしたい青年漫画です。


『ゴルゴ13』の名言を集めた以下の記事もおすすめです。

漫画『ゴルゴ13』の名言を徹底紹介!Gは昼も夜も超かっこいい!

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通称「ゴルゴ13」ことデューク東郷は、無口で余計なことは一切しゃべらないキャラで描かれていますが、彼の発する言葉は、混迷する現代社会において指針となるような深い意味が込められているのです。今回はその名言を徹底紹介していきます!

いろんな恋の形にきゅんとする!おすすめの恋愛青年漫画8選

和服美人な年上女性の部屋で……大学生の青春物語『夏の前日』

『夏の前日』は吉田基已による、2009年から2014年まで「good!アフタヌーン」で連載されていた、全5巻の作品です。

油絵を専攻する大学4年生・青木哲生は、バイト先で和服を着た年上の美人と出会います。彼女の名前は藍沢晶といい、哲生が外で絵を描いている時に立ち会うようになります。

当初哲生はなにかと声をかけてくる晶を迷惑がっていたのですが、それは童貞であるがゆえに晶を「いい女」と考え「自分と釣り合わない」と思っていたからでした。

ある雨の日、哲生が晶に忘れ物の傘を渡しに行った際、突然晶にキスされます。そのまま服を乾かす名目で晶の家に招かれ、そこで2人は一夜を明かし、晴れて恋人関係となるのでした。

著者
吉田 基已
出版日
2010-02-05

絵を描く男子大学生と和服の年上美人カップルという設定は、大変絵になりますよね。「見てるだけでよかったんだけど」「欲しくなってしまった」という晶の台詞に、萌える男性読者は少なくないでしょう。

晶のほうが年上であるため余裕があるように見えますが、哲生が心を開いてないように思われて悩んだりするなど、応援したくなるような可愛さも伺えます。

哲生のほうはというと、大学生であるために今後どのような仕事に就くべきなのか迷っていたり、絵を描くこととは別にやっているバンド活動にも励んでいたりなど、青春と恋愛のバランスに悩んでいる姿が年相応で、若さから滲み出る美しさすら感じられます。

まるで映画のように、背景に空や花が丁寧に描写され、それにともなう哲生や晶の心の声に圧倒されることでしょう。主に鉛筆画のような線画で濃淡を表しているため、作品全体に漂うそこはかとない妖艶さに心が奪われる作品です。

9年同居、三十路手前カップルの青春が甘酸っぱい『にこたま』

『にこたま』は渡辺ペコによる、「モーニングコミックス」から出版された、全5巻の作品です。

20歳の頃から同居生活を続けてきた温子と晃平は結婚する予定はないけれど、不満もない平和な日々を送っていました。30歳を目前として、温子はこのまま流れで結婚するのかなと考えていたにも関わらず、晃平は浮気をし、あろうことか相手に妊娠までさせてしまいました。

さらに追い打ちをかけるかの如く、温子に子宮に腫瘍が見つかり、妊娠できない身体であることが発覚します。マンネリ化した二人の愛、将来が見えない出来事が立つ続けに起こり傷づいていく温子が選択した未来は……?

著者
渡辺 ペコ
出版日
2010-01-22

読み始め、長期交際のカップルによる、平和な日常漫画かと思いそうになるほど穏やかに始まります。柔らかいタッチで何気ない会話がなされてからの、晃平による浮気は温子だけでなく読者の心にも大ダメージを与えます。

登場人物の心の状態とリンクさせるように描かれるシーンも魅力的です。たとえば温子が晃平に対し、家を出ていく意向を話したシーンでは、晃平が感じたであろう驚きと絶望を浮遊感で表して、食卓のお皿や椅子に座っている晃平が宇宙空間のように浮かび上がってるように描かれています。

無条理に発生する予想外な出来事により、長年連れ添った男と結婚し子供を産むという幻想にひびが入っていく描写は、まさに鬱漫画といえます。完全なハッピーエンドでは終わらない、少し心にもやが残り、愛や結婚とは何なのかを考えさせられる作品です。

京都を舞台にした恋愛漫画。ほっこりしたいならコレ『古都こと』

古都こと』は、京都の大学に通うユキチとチヒロの恋模様を描いた作品です。他の恋愛漫画と一線を画しているのは、本作はユキチとチヒロという2人の視点から見た恋を、別々のコミックスで描いているという点。こちらでは彼女であるチヒロ目線からの恋心を描く『古都ことーチヒロのことー』を中心にご紹介いたします。

著者
今井 大輔
出版日

門脇千尋は、母からもらった手鏡を手違いで祖母に売られてしまったため、落ち込んだ日々を送っていました。大学1年になったある日、チヒロは眼鏡の男子とぶつかってしまいます。1年先輩である堀川諭吉の懐からは、見覚えのある手鏡が。拾い上げて返そうとしたチヒロに対し、ユキチはその手鏡をあげると言ってその場を去ります。

実は祖母が手鏡を売った相手がユキチなのですが、運命の人にあげるんだと言いながら購入したというエピソードに、チヒロはドキドキ。ユキチに再会するたびに、ドキドキと恋する心が募っていきます。

黒縁眼鏡に化粧っ気のない、垢抜けない女子だったチヒロが、恋をするようになって格段にかわいくなっていく姿が印象的。ユキチへの想いが加速する姿に、乙女だなとほっこりとした気持ちも湧きます。

しかし、この恋愛漫画の最大の特徴は、そのとき相手がどう感じていたのか、が判ってしまう点。千尋が乙女思考全開だったとき、果たしてユキチは何を想っていたのか。知るのが怖いような楽しいような、ふわりとした感覚をキャラクターと共有できる恋愛漫画です。

年齢差は21歳!小説家と孤独な少女淡い恋の行方は?『これは恋のはなし』

年の差カップルは巷に溢れていますが、その年齢の開きによっては、驚かされるケースもあります。『これは恋のはなし』は、年齢差21歳の2人の恋物語です。スランプに陥った小説家の内海真一は、無精ひげを生やし、身だしなみにはあまり気を遣わないタイプ。気分転換を兼ねて祖母の残した田舎の家に引っ越しをしたところ、空き家だと思い、捨て猫を飼っていた小学生の森本遥と出会います。

著者
チカ
出版日
2011-04-07

自宅で猫を飼うことができない遥は、真一の許可を得て庭先で猫を飼うことに。それがきっかけとなり、どこか影がある真一に惹かれていくようになります。対する真一は、担当編集者の大垣に、遥をイメージした恋愛小説を書くように提案され、遥の持つ年齢よりもどこか大人びた部分を気にかけるように。

出会った時は青年と小学生の少女。真一に特殊な性癖は無く、遥に対する恋愛感情はありません。逆に遥は真一にどんどんと惹かれていき、恋心は大きくなるばかり。あまり口数は多くありませんが、遥の表情が真一への想いを雄弁に語ります。真一との触れ合いが、束の間遥に現実を忘れさせ、普通の少女の顔をさせるのでした。

成長するにつれ、遥を眩しく感じ始める真一と、一途な遥の姿に心が温まりつつもキュンキュンしてしまう本作。ベタな展開を踏襲しつつも、少しずつ恋を育てていく姿にニヤニヤ必至です。少し切なくて、でも温かい年の差恋愛ストーリー、ロリコンではなく、完全なる純愛。ご安心して作品世界に没頭してください。

甘くもほろ苦い、中学生の恋を思い出す作品『ちちゃこい日記』

『ちちゃこい日記』はサワミソノによる、2013年から2014年にかけて「月刊アクション」で連載されていた、全2巻の作品です。

田舎から越してきた中学1年生のユキコは、どことなく街の洗練された感じに慣れません。クラスの女の子は恋だのオシャレだの、どこか大人びており、ユキコは自分の子供っぽさを気にかけていました。

依然すんでいた場所を時々恋しく思う中、同じ団地に住むクラスメイトの男子・ピータカに少しずつ恋心を抱き始めます。

著者
サワ ミソノ
出版日

舞台は雪国。コマからはみ出すように描かれる雪玉と、顔を寒さでほてらせるユキコたちを見ていると、読んでいる側にまで冬特有の張りつめた空気が伝わってきます。

手編みのニット帽におさげを垂らし、長靴で学校に通うユキコが本当にかわいい漫画です。石焼き芋の車のアナウンスに反応したり方言を使ったり……イマドキの中学生にはない無邪気さです。

とはいえ、彼女が周りの垢ぬけた子たちに戸惑うシーンは、周囲と同調することを気にする思春期ならではのものですよね。共感できる方も多いかと思います。

慣れない町で厳しい寒さ、ユキコは雪の町を背景に心のなかで喋るシーンがよくあります。1人孤独に難しく考え込んでしまう、大人に近づいていくシーンともいえるでしょう。

それとは対照的に、ピータカといるときは寒さなどないかのように明るく振る舞っています。室内の暖房や飲み物といった暖かさを演出する背景描写によって、本当は孤独ではない、ユキコの平和な日常をうかがうことができます。

あまり好きではないというこの雪の町で、ユキコはどのように成長するのか、ピータカへの恋は成就するのか、青春真っただ中にいる中学生の日常に切なくなる作品です。

好きな女性で脱童貞!?夢の詰まった作品!『Bバージン』

主人公の高校生男子、住田秋は生粋の生物好きで、いわゆるオタクです。そんな彼が桂木ユイという女性に一目惚れしたことから始まるストーリー。姉と妹に徹底的にイケメンとして磨き上げられ、ユイと同じ大学に入学することになるのですが……⁈

著者
山田 玲司
出版日

イケメン化した秋は、キャンパスの中で注目の的!ナンパサークルでカリスマナンパ師のように活躍し、「兄貴」と呼ばれるほどになります。たくさんの女の子に言い寄られる秋ですが、彼の目標は好きな女性との脱童貞なのでまったく相手にせず。本当に好きな女性のユイは、イケメンになった秋でもまったく振り向かない、ものすごくガードの堅い女性だったのです。

というのも、イケメンになった秋が姉や妹に教えられた口説き方は、ドンびくほどチャラチャラした言葉ばかり!そんな言い方じゃダメでしょ!とツッコミを入れたくなるほどです。そんなチャラチャラして見える秋ですが心は決まってBバージン!言い寄ってくる女性と脱童貞だってできるけれど、それは絶対にしないというところにはものすごく好感が湧きます。

まっすぐで不器用なヤンキーの純愛物語『純ブライド』

『純ブランド』は吉田聡による、1987年から1988年にかけて「ヤングサンデー」で連載されていた、全3巻の作品です。

付き合っていた彼女に降られて意気消沈していた19歳の茶ボーこと茶稿夏美は、元同級生である織田純子と再会します。傷心の茶ボーと、中学生の頃茶ボーに惚れていた純子は互いに惹かれあい、同棲することになります。

茶ボーはケンカばかりで保護観察されるようなヤンキーです。自分が子供のままでは純子を大切にできないと考え、真面目になろうと考えますが、そのせいで純子とすれ違うようになり……。

著者
吉田 聡
出版日

茶ボーはリーゼントヘアのいかにもヤンキーといった見た目です。第1話から彼女に振られたことを自転車に乗りながら大声で嘆いていたり、抑えようにもない感情を雨の中腕立て伏せをすることで解消しようとしたりするなど、馬鹿まっすぐといった言葉が似あう魅力的な主人公なのです。

そうして大好きな純子のために変わろうとする茶ボーと、なぜ純子はすれ違ってしまうのでしょう。それは、純子はただひたすら自分のやりたいことを突き進んでいく茶ボーに惚れていて、しかし自分と自分との将来のために茶ボーが変わろうとしていることにやるせなさを感じているからなのです。

現実において、日常に垣間見えるのは幸せで平和なシーンだけではありません。互いの事情や体調、考え方の違いだけで、2人の間の空気は不穏になっていきます。愛し合っているにも関わらずどこか緊張した空気になってしまう茶ボーと純子の様子に、ハラハラしながら読むこととなるでしょう。

ただ好きという気持ちだけでは恋愛はハッピーエンドを迎えられません。とはいえ、愛する気持ちと恋人関係の結びつきの強さは比例しないのでしょうか。未来と愛に悩む、19歳の男女2人がどんな結末を迎えるのか、目が離せなくなることでしょう。

男家族と女家族が一軒家で同居!『オレンジ屋根の小さな家』

『オレンジ屋根の小さな家』は山花典之による、2005年から2007年にかけて「ビジネスジャンプ」で連載されていた、全8巻の作品です。

有給無消化賞を会社で受賞するほど勤勉な会社員・二ノ宮正太郎は、この賞を受賞したその日に妻に離婚届を突き付けられてしまいます。妻に戻ってきてもらうため、前々から妻がほしがってたオレンジ屋根の一軒家を購入し、息子2人を連れて引っ越します。

時を同じくして、不倫されたことをきっかけに旦那と別れた女性・岡島菜摘も同じオレンジ屋根の一軒家を購入していました。菜摘が娘2人を連れて引っ越した先で、正太郎一家と遭遇し、自分たちが不動産詐欺にあったことに気付いたのです。

片親同士の家族が不思議な同居生活を始めます。お互いに協力し合いながら日々は過ぎ、だんだんと正太郎と菜摘の距離も縮んでいくのでした。

著者
山花 典之
出版日

血も婚姻届けでも繋がっていない、赤の他人一家と生活するなんて、普通は考えられないでしょう。しかし、正太郎は妻が、菜摘は夫が欠けています。本作のテーマは「家族とは」といえるでしょう。

仕事に明け暮れて家族を見れていなかった正太郎は、菜摘一家と暮らすことで否応が無しに家事や家庭内の様子に目を配ることになります。自分が大切にするべきだったのは有給無消化という称号か、それとも……。

旦那の不倫以来、男はいらない、女1人で頑張ると公言していた菜摘は、当初正太郎のことも警戒していました。しかし、同居生活以来子供たちに目を配り、今の生活をうまくやっていこうと不器用ながら行動する正太郎の前向きさや誠実さを通して、菜摘自身の心も動き始めるのです。

正太郎と菜摘の仲だけでなく、息子たちと娘たちの仲が良くなっていく過程も見どころです。突然の片親生活のなか、様々な出来事を徐々に心を開き、精神的に成長していく様子は男女関係なく胸にグっとくるものがあるでしょう。

ヒューマンドラマに感動するおすすめの青年漫画5選

山岳救助の熱いヒューマンドラマが面白い!『岳』

『岳』の主人公、島崎三歩は若くして世界の名峰に登頂したことのある山岳救助ボランティアです。物語ではアメリカでの山岳救助の経験を生かし、日本の北アルプスで山岳救助ボランティアとして活躍しています。

そんな三歩の住まいは山の中。驚くことに、常にテントで生活をしているのです。仕事は山で遭難した人を救うことなのですが、時には発見した際にすでに亡くなってしまっていることもあります。

著者
石塚 真一
出版日
2005-04-26

山岳救助隊という名前だけは聞いたことがあるが、実際どれ程厳しい仕事なのか知っている人はそれ程多くないのではないでしょうか。

どんなに吹雪いていようが、そこに助けを待っている人がいれば三歩は迎えに行きます。その遭難者が生きていようが、死んでいようが、散歩は必ず家に帰してあげようと探すのです。そして助けた遭難者に「また来てね」と伝えます。

登山漫画というと、孤独との闘いとか、山に挑むといったイメージの作品が多い中、この『岳』は山で人と接する姿が描かれています。主人公の強さからは、明日を生きる勇気をもらえることでしょう。もしかしたら、登山漫画というよりはヒューマンドラマに近い作品なのかもしれません。ぜひ、三歩の生きざまをご覧ください。


石塚真一のおすすめ作品を紹介した以下の記事もおすすめです。気になる方はぜひご覧ください。

石塚真一おすすめ漫画ランキングベスト3!『岳』『BLUEGIANT』作者

石塚真一おすすめ漫画ランキングベスト3!『岳』『BLUEGIANT』作者

『岳』『BLUE GIANT』などの人気作品を執筆している漫画家の石塚真一。彼の、自分の描きたいものを描いている、ことが伝わってくる魅力的な作品に触れてみませんか?

「必ず生きて戻ります!」海に立ち向かう男を描いた名作『海猿』

海上保安官である仙崎大輔を主人公とし、人命救助のヒューマンドラマを描いた『海猿』は、実写ドラマ化に始まり映画もシリーズ作となった、とても有名な漫画です。

海上保安庁の巡視船「ながれ」に勤務している大輔は日本の海を守るため、日々厳しい訓練をしています。そんな大輔のもとに襲い掛かる数々の海上事件。自分の命を顧みず、命令違反を犯してまで救助に向かう大輔のハラハラドキドキの救助劇、そして彼の海上保安官としての成長が描かれている作品です。

著者
佐藤 秀峰
出版日

いつも限界ぎりぎりで現場に飛び込んでいく大輔にはヒヤヒヤさせられるでしょう。しかし同時に、行ったら危険だと分かっていても、そこに助けを求めている人がいるのであれば突っ込んでいってしまう大輔をついつい応援したくなってしまうのです。

本作は、生死に関しての描写がとても多いです。救助される側にもする側にも、常に死というものが付きまとっています。一歩間違えれば死んでしまうかもしれない。一瞬でも遅ければ助けられないかもしれない。そこには当然運の要素もあるのですが、死というものと向き合った瞬間の恐怖心がとても細かく描かれています。また、本作では残された家族の描写まで描かれていて、命の重さ、大切さ、そして儚さを痛感することができるでしょう。

また、女性に対して奥手な大輔とヒロインの美晴のなかなか進まない恋愛模様も作中では描かれていますので、そこにも注目して頂きたいです。命がけで海に立ち向かう男の物語、ぜひ読んでみてください。

世界を揺るがす衝撃の海洋ミステリー『沈黙の艦隊』

ある日、千葉県沖で海上自衛隊のディーゼル潜水艦「やまなみ」とロシアの原子力潜水艦が衝突をし沈没する事件が起きました。しかも、乗組員は全員安否が不明という状況。「やまなみ」の艦長は海江田という男で、「海自始まって以来の英才」と呼ばれる程の技量の持ち主で、慎重な操艦能力の持ち主でした。

そんな海江田と防衛大学時代から同期で、彼のことをよく知るディーゼル潜水艦「たつなみ」の艦長である深町は、そのニュースを聞き驚きます。よりによって海江田ほどの男がそんなミスをする訳がないと思った彼は「やまなみ」のことを徹底的に調べ上げ、とうとう事件の真相に辿り着いたのです。

著者
かわぐち かいじ
出版日
1998-03-11

なんと、事件の全てが偽装だったのです。「やまなみ」の乗組員たちは、国家からの極秘任務で事件を偽装し、日本初の原子力潜水艦「シーバット」に極秘裏に乗り移っていました。「シーバット」は核攻撃が可能な最新潜水艦で、日本が投資したもの。それをアメリカ艦隊に所属させていたのです。

海江田は「シーバット」の艦長に任命されていましたが、世界の平和を願う彼はそれを許すことができず、突如アメリカ艦隊を離脱します。そして「シーバット」改め「やまと」という名前で潜水艦を国家として独立宣言したのでした。

核爆弾を保持したことによって武力行使が可能になった新国家「やまと」。非常に恐ろしいですね。潜水艦であるため、海上ならどこにでも自由に移動が出来ますし、核を持っているため、簡単に手を出されることはありません。

世界各国で軍事力を拡大していく時代にさらに強い力を使い、それを抑止力として平和を作るという発想は一見して理にかなっているようにも思いますが、本当にそれで平和というのでしょうか。

ここまでしないと事態が好転しないというのも事実です。なにが正義でなにが悪なのか。平和とはなんなのか。とても考えさせられる作品です。海江田によって作られて国家はいわば核保有国です。果たして「やまと」はどのような結末を迎えるのか。海江田は悪なのか正義なのか。ぜひそれぞれの答えを見つけてみてください。


『沈黙の艦隊』については以下の記事で紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。

『沈黙の艦隊』で考える個と世界の付き合い方。名作漫画を全巻ネタバレ考察!

『沈黙の艦隊』で考える個と世界の付き合い方。名作漫画を全巻ネタバレ考察!

『沈黙の艦隊』はかわくじかいじの大人気架空戦記漫画です。核攻撃可能な潜水艦を主軸にしたこの物語は、エンターテインメントとして優れているだけでなく、軍事的、政治的にもリアリティのある問題提起を行っています。 それが如何なるものなのか、全巻通して考えてみたいと思います。ネタバレを含みますのでご注意ください。

宇宙を舞台にした人間ドラマ『プラテネス』

2070年代、人類による宇宙開発はどんどん進められ、人々は月面や宇宙空間で生活を営むようになっていました。そんな中、宇宙船の軌道上には大量のスペースデブリ(宇宙ゴミ)が残されるようになり、宇宙船との衝突事故が起こるなど、問題視されるようになっています。

星野八郎太、通称・ハチマキは、宇宙のスペースデブリを回収したり処理したりする仕事をしていました。ある日ハチマキは、同僚であるユーリ・ミハイロコフの過去を耳にします。彼は普段から無口でぼんやりと宇宙空間を眺めているような男でしたが、それは彼の過去に原因があるらしいとわかり……。

著者
幸村 誠
出版日

1999年から2004年までの間、青年向け漫画雑誌週刊「モーニング」に不定期で連載され、テレビアニメ化もされました。2002年には星雲賞コミック部門、2005年にはアニメ化された作品が星雲賞メディア部門を受賞するなど、読者からの人気はもちろん、専門家からの評価も高い作品になっています。

スペースデブリの処理を仕事にしているハチマキですが、仕事に対して情熱がある訳ではなく、何となく続けているような節があります。しかしその仕事の中で、同僚のユーリや、新人としてハチマチ達の所にやってきた田名部愛との出会いや交流を通し、少しずつ自分と向き合うようになっていきます。

また、ハチマキと一緒に働くユーリも、妻と同乗していた宇宙船の事故で、妻を亡くし自分だけ生き残った事しまったことで心を閉ざしていましたが、その後、デブリ処理の仕事をしていた際に遭遇した出来事をきっかけに過去と向き合い、変わっていきます。

宇宙を舞台した近未来SFではありますが、描かれているのは主人公のハチマキをはじめ、各キャラクターの成長や繋がりなどのヒューマンドラマです。なので、SFや宇宙に興味のない方でも、奥深い人間の物語として楽しむことができるでしょう。哲学的な部分もあるので、ふとした拍子に考えさせられることもあるかもしれません。隠れた名作と言われるように、何度でも読み返したくなる作品です。

2003年には、テレビアニメ化もされています。


『プラテネス』については以下の記事で紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。

『プラネテス』を真面目に語る。評価の高い名作漫画はタイトルから深かった!

『プラネテス』を真面目に語る。評価の高い名作漫画はタイトルから深かった!

物語の舞台は、宇宙開発の進んだ近未来。決して完璧ではない登場人物たちが、ある時は喜びある時は苦しみながら、必死で生きていきます。この記事では、テレビアニメ化もされ話題になった本作の魅力を紹介していきます。

数学の天才が日本の未来を変える⁉︎『アルキメデスの大戦』

昭和初期の激動の時代に、巨大戦艦をめぐる陰謀を数学の天才青年が阻止する話を描いた『アルキメデスの大戦』。

著者
三田 紀房
出版日
2016-05-06

1933年、急激な世界情勢の変化の煽りを受けていた日本も変化の兆しを見せていました。日本海軍のなかでは最新戦艦製造計画会議が行われており、巨大戦艦「大和」案と航空母艦案のふたつが上がっていました。大型戦艦を推進する派閥は安い予算に捏造し提案していた上に、これからは航空機が主流となると考えていた山本五十六は、数学に対して優れた才能を持っていた東京帝国大学の元学生・櫂直を説得し、計画阻止のために動き始めたのでした。

ストーリー自体はフィクションですが実在した人物が登場するので、リアリティがあって面白いです。もちろん日本の歴史の知識が少ない人でも楽しめます。

戦争とは違った男たちの熱い頭脳戦に、利用できるものは利用し戦略的に挑んでいく櫂直の姿は必見です。単に頭がいいだけでなく、人を惹きつける力がある櫂が海軍の中でどのような活躍を見せていくのかはぜひ読んでお確かめください。

重厚な世界観でじっくり時間をかけて読める作品を探していた方にはおすすめの作品です。


『アルキメデスの大戦』はこちらの記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

『アルキメデスの大戦』の魅力を全巻ネタバレ紹介!14巻はどうなる!?

『アルキメデスの大戦』の魅力を全巻ネタバレ紹介!14巻はどうなる!?

2015年から漫画雑誌「ヤングマガジン」で連載されている漫画『アルキメデスの大戦』は、『ドラゴン桜』『インベスターZ』などでも知られる三田紀房による架空戦記です。2019年夏には菅田将暉主演で実写映画の公開され、それに引き続き2020年夏に舞台が上演されます。 この記事では既刊14巻分の見どころを一挙にご紹介します。

働く男女が主役のおすすめ青年漫画7選

サラリーマンという枠に囚われない男を描いた作品『サラリーマン金太郎』

暴走族の元ヘッド、矢島金太郎が主人公の漫画『サラリーマン金太郎』は、実写ドラマ化もされている人気作品です。

漁師として仕事をしていた金太郎は、ある日海で漂流していた人物を助けますが、その人物はヤマト建設という建設会社の会長でした。それをきっかけに、金太郎は漁師をやめ、ヤマト建設に勤めることに。入社後の金太郎には様々な試練が待ち受けていました。

著者
本宮 ひろ志
出版日
1994-12-08

主人公の金太郎はまっすぐな男で曲がったことが大嫌い。自身に襲い掛かる様々な試練を、独自の信念に基づき型破りな方法で解決していく様はまさに痛快です。そして、暴走族だった金太郎が仕事を通していろいろな人と出会い、トラブルを解決していく姿には勇気づけられます。

決してエリートではない、泥臭くて雑草魂に溢れた金太郎がどのようにサラリーマンとして成長していくのか。全30巻とたいへん読みごたえのある作品です。仕事がツラい、辞めたい、頑張りたくない……。そんなときは『サラリーマン金太郎』を読んで、明日への糧にしてみてはいかがでしょうか。

『サラリーマン金太郎』については<『サラリーマン金太郎』5分でわかるあらすじ!元暴走族ヘッドがサラリーマンに?【結末までネタバレあり】>で紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。

2001年には、テレビアニメ化もされています。


『サラリーマン金太郎』については、以下の記事で詳しく解説しています。

『サラリーマン金太郎』5分でわかるあらすじ!元暴走族ヘッドがサラリーマンに?【結末までネタバレあり】

『サラリーマン金太郎』5分でわかるあらすじ!元暴走族ヘッドがサラリーマンに?【結末までネタバレあり】

『サラリーマン金太郎』は、暴走族の伝説のヘッドとして名を馳せた矢島金太郎が、中途入社した大手建設会社ヤマト建設で立身出世を果たす、サクセスストーリーです。 破天荒な主人公の生きざまをいきいきと描いた快作で、高橋克典 主演のドラマシリーズは最高視聴率20.9%、第4期まで続く人気となりました。その後も永井大主演でドラマ化され、パチンコやパチスロ機も登場するなど、根強い人気を誇ります。 この記事では、『サラリーマン金太郎』のあらすじはもちろん、喧嘩っ早いけど情に厚い主人公をはじめとした魅力的なキャラクターや、名言、おすすめエピソードを紹介します。 また、本作はスマホアプリでも読むことができ、なんと今だけ全9シリーズすべて1巻分が無料です!気になった方はそちらもどうぞ。

モテモテ企業戦士の出世ヒストリーが面白い!『課長島耕作』

『課長島耕作』は「島耕作」シリーズの1作目です。大手電器メーカー、初芝電器産業に勤める島耕作が主人公なのですが、1983年から1992年の連載とかなり以前の作品となっています。

著者
弘兼 憲史
出版日
2003-10-10

連載されている当時の時代背景がしっかりと描かれている本作では、その時その時の時事ネタもふんだんに取り入れているため、読んでいて社会勉強にもなります。大手企業内での派閥争いや、企業戦略に基づく経営展開など、サラリーマンが主人公ならではのストーリーは、まさに青年漫画と呼べる作品です。

冒頭は広告課で自社カレンダーの製作を担当している島係長ですが、その後日本では関西や九州、さらにアメリカやヨーロッパ・中国・インドなど様々な国を股に掛けるスーパービジネスマンとして出世していきます。

ちょっと子供には見せたくないような、青年漫画ならではの大人なストーリーも満載で、女性にモテモテな島耕作にも注目です。

『課長島耕作』のほかにも弘兼憲史のおすすめ作品を紹介した<弘兼憲史のおすすめ漫画ランキングベスト5!サラリーマン漫画の第一人者>の記事もおすすめです。気になる方はぜひご覧ください。

サラリーマンの大変さに共感できる!明日を頑張れる漫画『営業の牧田です。』

『大使閣下の料理人』『プラチナ』などで人気のかわすみひろしが描き出す、リアルでつらい、でも前向きに頑張る仕事漫画であり恋愛漫画です。

大手ビール会社に入社して5年の牧田牧夫を主人公に、営業マンの奮闘が描かれており、28歳という過渡期に立った牧田が、自分の今とこれからを見据えて、仕事や恋や人生に向き合っていくという風に物語が展開していきます。

著者
かわすみ ひろし
出版日

「知ってるか?人生には3回、自分の人生に疑問を持つ時がやってくるんだ」(『営業の牧田です。』より引用)

ソレ、今の私です。と言ってしまいたくなる、リアルな営業マンの姿が描かれています。

28歳という年齢にさしかかった牧田は、人生設計がしっかり出来ていない、女にモテないなどうだつの上がらないサラリーマン。営業先に自社のビールを売り込み、頭を下げて回り、「笑顔が笑ってない」と言われて落ち込み……とごくフツーなのです。

そんな普通のサラリーマンが、女性に好意を寄せられたり、仕事がうまくいったと思ったら体よく使われていたり、フラれたり、と日常生活の1コマを切り取ったリアリティあふれるストーリーは、大きな展開もどんでん返しもありませんが、日々、仕事に追われる人の心に刺さります。

人生に3度あるという「自分の人生に疑問をもつ時期」、牧田とともに人生を1度見つめ直してみませんか?

不器用な新人営業マンがまっすぐ突き進む『宮本から君へ』

仕事にも恋にも不器用な宮本が自分の信じた道を突き進んでいく『宮本から君へ』。

新卒で文房具会社の営業として働く宮本浩は営業スマイル一つできず、学生から社会人になったことで何者にもなれなかった自分に悩む日々を送っています。不器用ながらにも仕事にも恋にも全力で、一度決めたことを最後までやり切り、数々の困難に直面しながらも宮本は答えを見つけるのでした。

著者
新井 英樹
出版日
2009-01-17

なんといってもこの作品の魅力は宮本の真っ直ぐさ。駅で大声で気になっている女性に話しかけたり、時には感情的になり相手を殴ってしまうなど自分のことしか考えられず行動を起こしてしまいますが、絶対に諦めない信念を貫く姿がかっこよく応援したくなってしまいます。

暑苦しいながらも爽やかな宮本の社会人生活を描いた前半から、物語が後半に差し掛かると鬱な展開になります。宮本が泥酔して寝ている隣で交際していた彼女がレイプされ、その女性から絶縁されてしまいます。救いようのない場面に心が苦しくなる瞬間もありますが、最後まで宮本らしさ、そして彼女を愛する心は崩れません。

どのような結末を迎えたかはぜひ漫画で確認してみてください。


『宮本から君へ』は、以下の記事で詳しく解説しています。こちらもあわせてご覧ください。

漫画『宮本から君へ』の魅力をネタバレ!中二病の青年がアツい!

漫画『宮本から君へ』の魅力をネタバレ!中二病の青年がアツい!

中二病をこじらせたまま大人になってしまったような冴えない営業マンを描いた『宮本から君へ』。読んでいると熱い正義感にむず痒くなりながらも、つい感情移入してしまう作品です。しかし熱血漫画家と思いきや、徐々に鬱展開になっていき……。 今回は、そんな泥臭いだけで終わらない、心にズシンとくる本作の魅力をご紹介します。

夢に向かって仕事に邁進する女性を描いた『働きマン』

『働きマン』は数々のヒット作品を残した安野モヨコが仕事をテーマに描いた作品です。菅野美穂主演でテレビドラマ化もされた人気作。作者の体調不良により休載していましたが、作者の意向により完結は描かれないそうです。

週刊『JIDAI』の松方弘子は、時にプライベートを犠牲にしても仕事に邁進する女性編集者。いざ仕事のスイッチが入ると「働きマン」となり食べることも恋人に会うのも忘れてしまいますが、良い雑誌を作るために、上司・部下・同僚を巻き込みながら日々進んでいくのです。松方弘子を主軸に「働く」「仕事」を問いかける作品です。

著者
安野 モヨコ
出版日
2004-11-22

「あたしは仕事したなーって思って死にたい」と語るほど仕事人間の弘子。お付き合いしている男性がいますが、お互いが仕事で忙しいためにすれ違いの日々が続きます。二人が関係性にどういう決断を下すのか弘子の仕事ぶり以外にも注目です。

松方弘子を主人公に物語は進んでいきますが、弘子に関わる人々にスポットライトが当たっておりそれぞれの仕事に対する価値観を垣間見ることができます。仕事にやる気がなさそうに見えたり、嫌な人だと感じる人にも各々が仕事に対してのこだわりやプライドを持っているのがわかります。仕事への向き合い方に触れていくうちに、自分の中での「働く」ことに対する答えが見つかるかもしれません。

仕事にも恋にも悩む『働きマン』は特に働く女性におすすめの作品です。

2006年には、テレビアニメ化もされています。

恋と仕事の間で揺れ動く『サプリ』

恋に不器用で仕事にも一直線な女性がその間で揺れ動く姿を描いた漫画『サプリ』。

著者
おかざき 真里
出版日
2004-06-30

広告代理店で働く藤井ミナミは徹夜に休日出勤と激務の中ですれ違い学生時代から7年付き合った彼氏と別れを経験し、さらに仕事に打ち込む日々を過ごします。社内では、2人の男性からアプローチされるも自身の気持ちがわからずに答えを出せず、そして2人の男性を追いかける女性の存在もいてなかなか恋は前進しません。

28歳の藤井は責任感の大きい仕事も任されるようになり、いい作品を作るために奔走しています。そんな彼女の仕事と恋の間で揺れ動く姿を描いた働く女性向けの青年漫画です。

仕事では女性ならではの苦労や、妥協したくないからこその悩みがつきません。作者・おかざき真里が広告会社で働いていた経験が多く描かれておりリアルです。

彼氏はいたものの仕事一筋だった藤井は、恋の仕方も忘れその上真面目で不器用のため新しい人が現れても気持ちを受け入れたり、積極的なアプローチをすることができません。周りの個性豊かな仕事仲間に恋愛のアドバイスをよくもらいますが、そのアドバイスが的確で思わずその言葉が刺さります。

『サプリ』が気になる方はこちらの記事もあわせてご覧ください。

おかざき真里の漫画『サプリ』が沁みる!オトナ女子を優しく癒す名言の数々

おかざき真里の漫画『サプリ』が沁みる!オトナ女子を優しく癒す名言の数々

テレビドラマ化もされた人気恋愛漫画『サプリ』。おかざき真里の実体験をもとにしたリアルなストーリーが多くの女性の共感を呼びました。言葉にできない思いを丁寧に紡いだこの作品は大人女子におすすめしたい癒しがあります。

理想の上司とお仕事コメディ『今どきの若いモンは』

『今どきの若いモン』は新人社員と課長の関係を描いたほのぼのお仕事コメディです。

ゆとり系新人社員の麦田の上司・石沢課長は「今どきの若いモンは……」が口癖。嫌味を言われるかと思いきや、いつも優しい言葉を投げかける優しい上司です。麦田はときに壁にぶち当たりながらも、周りの先輩に助けられ成長していきます。笑いあり真面目ありのお仕事青年漫画です。

著者
吉谷 光平
出版日

ゆとり系社員の麦田は、一生懸命仕事をしますがうまくいかないこともしばしば……。先輩に指導されながら、仕事とは働くとは何かを少しずつ理解し成長していきます。多くの人が経験する新入社員時代を思い出すかもしれません。

こんな上司が欲しいと思うほど若者に理解のある石沢課長。優しい言葉のかけ方にミスをした時には一緒に謝りいく、時にはセクハラをしてくる上司から助けてくれるなど責任感ある姿がかっこいいです。

1話2〜5ページ程度で短くサラッと読めるコメディなので、お仕事終わりの癒しに読むのもおすすめです。

SNSで反響がある、現代の働き方を描いた『今どきの若いモンは』を読んでみてはいかがでしょうか。

頑張る姿に励まされる!青春がテーマのおすすめ青年漫画6選

大人の心を熱く燃やす!ヒーロー見参!『ピンポン』

幼馴染のペコ(星野裕)とスマイル(月本誠)は、幼少の頃から一緒に卓球をしていました。天才肌でガンガン攻めるペコと努力家でじっくり耐えて戦うスマイルは、性格も戦術も真逆です。

ペコとスマイルは同じ高校に進学し、卓球部に入部するのですが、真面目に練習に参加するスマイルと違い、ペコはまったく練習に参加せず、賭け卓球をして遊ぶ日々を過ごしていました。そんな中、出場した大会での敗戦をきっかけに、ペコは卓球から離れてしまいます。

その後、なんとか卓球に戻ってきたペコでしたが……。

著者
松本 大洋
出版日

『ピンポン』は全5巻で展開も早くとても読みやすい作品です。しかし、これで5巻なのかと思う程に内容が詰まっており、さすがは松本大洋と唸らされるでしょう。実写映画版が大ヒットをしたので、もしかしたらそちらを知っている方は多いのかもしれませんが、むしろ実写を観た人にもぜひ読んでほしい漫画です。

卓球を通して描かれるペコとスマイルの友情が主な話なのですが、憧れていた友人を追い越してしまったスマイルの心情、いつまでもヒーローでありたいペコの心情や挫折の苦しみが本当によく伝わってきます。最終巻では二人の関係に涙してしまう人もいるかもしれません。最後まで読み終わった後、余韻に浸ってしまうことでしょう。

2014年には、テレビアニメ化もされています。

青年漫画でありながら男子中学生のバイブル!『行け!稲中卓球部』

『行け!稲中卓球部』の舞台は、稲豊(いなほう)市立稲豊中学校。そこの卓球部は部員が6人、過去には大会優勝の実績もありましたが、校内での評判はもっぱら最悪です。

馬鹿で下品な主人公の前野、あしたのジョーが大好きな井沢、ムッツリスケベの田中を軸に、あらゆる破天荒な事件を巻き起こし、卓球部部長や副部長、顧問を困らせる渾身のギャグマンガです。

著者
古谷 実
出版日
2011-04-12

これぞ男子中学生!と褒め称えたくなるほどのおバカな毎日は、時に下ネタ、時には顔芸、さらには無駄なハイテンションとまさに笑いのオンパレードです。

イラストが少し独特ですが、この画風で変顔を描かれたら、もう笑いが止まりません。シュールな表情から、ハイテンションな表情まで、本当にたくさんの表情を使い分ける作家なので、読んでいてまったく飽きることがないです。また、全13巻なのですが、展開が早いためすぐに読めてしまいます。そして何回でも読み返して楽しめる作品です。

しかし電車やバス等で移動中に読むのは避けた方がいいかもしれません。きっと電車の中で笑ってしまうでしょう。いや、もしかしたら読んでいなくても思い出し笑いをしてしまうかもしれません。

おバカな中学生時代を過ごしたことがある人なら、きっと彼らの気持ちが分かるはず。前に読んだことがある方も、まだ読んだことがない方も、ぜひ手に取って読んでみてください。

古谷実のおすすめ作品を集めた<古谷実のおすすめ漫画ランキングベスト6!ギャグの中にある深いテーマを読む>の記事もおすすめです。『行け!稲中卓球部』は何位にランクインしているのでしょうか。

書道がこんなにアツいのか!?文系青春漫画!『はねとめっ』

廃部の危機に瀕していた鈴里高校書道部。部員にのぞきというレッテルを貼られそうになり、脅されて入部した縁と、その縁に怪我をさせてしまった責任から入部することになった結希を迎え、なんとか廃部の危機を脱します。

著者
河合 克敏
出版日
2007-05-02

帰国子女で習字の授業も受けたことがなかったにも関わらず、達筆な縁と彼に対抗意識を燃やす悪筆の結希の関係が爽やかに描かれています。この2人が入部したことで鈴里高校書道部は、活気づき、全員一丸となって「書の甲子園」を目指すのです。また、実際の書を募集し、作品として掲載するという新しい手法が用いられており、書道に親しむことができ、作品たちに圧倒されますよ。

高校生という年代の微妙な心を繊細に描いている甘酸っぱさが絶妙に描かれています。負けずぎらいな結希の存在でスポコンのように熱い勝負がくり広げられます。書道に対する熱いひたむきさ、心の底で密かにくすぶる情熱、人によって違う情熱の抱き方がリアルに描かれていて引き込まれます。

それまでにかけた努力ではなく、作品という形でしか評価されないという厳しい世界で、決して手を抜かず、自分たちを表現していく姿は、誰しも共感できるようなアツい青春があります。よい作品を生み出すために悩み、あらゆる葛藤を乗り越えた縁たちの最後の作品は必見です。

目指せ東大!受験勉強も、これを読めば面白くなる『ドラゴン桜』

暴走族から一転して弁護士になるという、異例の肩書を持つ桜木建二が主人公の『ドラゴン桜』。舞台は、経営破綻の危機に瀕している私立龍山高等学校です。そんな高校の経営を回復させるため、「5年後には東大合格者を100人出す進学校」を目指すことになった桜木は、教科ごとに個性豊かな指導のスペシャリストを集めた特別進学クラスを設立します。

著者
三田 紀房
出版日
2003-10-22

『ドラゴン桜』は大学合格を目指す受験漫画なのですが、主人公である桜木は教師ではありません。ここがこの漫画のおもしろいところで、教師と生徒などといった漫画はたくさんありますが、学校経営の再建に来た弁護士が受験に合格するための環境を用意するといったストーリーなのです。

桜木は特別進学クラスを設立して、そこに生徒を合格させるための教師を集めるのですが、この教師達がなんとも個性的で斬新。こんな勉強法があるのか、これで成績があがるのか、とまさに目から鱗の情報が満載の漫画になっています。

学校というより予備校のようなイメージの特別進学クラスは、見事東大に合格することができるのか。ぜひ本作を読んでお確かめください。勉強だけでなく、人生の楽しみ方のようなものも感じることができる青春漫画ですよ。

『ドラゴン桜』については<『ドラゴン桜』あらすじ、勉強法をまとめてみた。名言にも学びがある【無料】>の記事で紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。

世界一のプレイヤーを目指してひたむきに努力『BLUE GIANT』

仙台を舞台に少年が一人でジャズプレイヤーを目指す『BLUE GIANT』。

バスケ少年の宮本大は中学卒業記念に友人からジャズ喫茶に誘われ、初めて聞いたジャズに心を奪われます。世界一のジャズプレイヤーになるために晴れの日も雨の日もひたすらに練習を続け少しずつ実力をつけていくのでした。ジャズプレイヤーへの道は決して容易なものではなく……。高校卒業までは仙台を舞台に、卒業後は東京を舞台に物語が進んでいきます。

著者
石塚 真一
出版日
2013-11-29

音楽漫画の中でも演奏表現が優れていると多くの評判の声が上がっています。漫画なのでもちろん音は聞こえてきませんが、本当に聴こえてきそうなのが本作のすごいところ。演奏シーンの迫力が満載で、大が毎回の演奏で全身全霊をかけているのが伝わってきます。

楽譜を読めない、ジャズの用語を知らないままひたすらにサックスの練習をする一直線なところがありますが、ひたむきに努力する姿は熱く応援したくなります。周りの人も一生懸命に弾き続ける大を見て、次のステップを踏むきっかけを与えたりヒントを与えたり人のやさしさを感じることができる作品です。

実在するジャズの音楽を使用しているため、ジャズが好きな人ももちろん楽しめますが、今までジャズに触れたことがない人もこの作品をきっかけにハマる人が多いそうです。

ぜひ漫画を読んで音を感じて見てください。本作はドイツでの活動を描いた『BLUE GIANT SUPREME』とジャズの本場・アメリカに挑んだ『BLUE GIANT EXPLORER』の続編もでています。


『BLUE GIANT』をもっと詳しく知りたい方は以下の記事もあわせてご覧ください。

「ブルージャイアント」の素晴らしさを伝えたい!続編5巻までネタバレ紹介!

「ブルージャイアント」の素晴らしさを伝えたい!続編5巻までネタバレ紹介!

小学館ビックコミックで連載されていた『BLUE GIANT』。その卓越した描写とリアルさで、他の音楽漫画とは一線を画す漫画として知られています。『BLUE GIANT』の代名詞でもある、「音が聞こえる漫画」の魅力をお伝えします。

男子バレエの王道ストーリー『ダンス・ダンス・ダンスール』

数々の少女漫画の名作を残してきたジョージ朝倉が描く男子バレエ漫画『ダンス・ダンス・ダンスール』。

村尾潤平は幼い頃にバレエに魅了されるも、父親の死をきっかけにバレエを諦め格闘技を習い始めます。転校生の五代都と母千鶴にバレエの素質を見抜かれたことをきっかけにバレエに青春をかける生活が始まったのでした。最初は「男の子らしさ」を気にして素直になれずにいましたが、徐々にバレエが自分の胸を踊らせるものだと気づき真剣に向き合っていくようになるのでした。

著者
ジョージ朝倉
出版日
2016-02-12

プロを目指すなら10歳までと言われるバレエを14歳からはじめ周りとの差ができている中で、天性の才能と情熱で周りを圧倒していく潤平。若き才能がどこまで成長していくの期待が高まりますね。

潤平と都、流鶯の3人がそれぞれ友情・恋・ライバルでそれぞれで程よく作用していていい関係性を築いています。特に潤平と流鶯はバレエにおいてそれぞれがいい影響を与えています。バレエの経験が浅い潤平にとっては流鶯が目標となり、流鶯にとって踊らされているものであったバレエを潤平が一生懸命打ち込んでいる姿を見て楽しんで踊れるようになりといいライバル関係が構築されるのでした。

ジョージ朝倉の繊細な絵のタッチとバレエの表現がマッチしていて美しいのも魅力の一つ。数々の壁に突き当たりながらも一つ一つ乗り越え成長していく少年少女の姿はそれだけで尊いものですが、絵のおかげでよりキラキラ光り輝いて見えます。


『ダンス・ダンス・ダンスール』に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

『ダンス・ダンス・ダンスール』が熱すぎる。12巻までの見所をネタバレ紹介

『ダンス・ダンス・ダンスール』が熱すぎる。12巻までの見所をネタバレ紹介

バレエといえば女性が躍るもの、というイメージをお持ちの方も多いと思いますが、この作品は「少年たちのバレエ物語」です。主人公とライバルたちの成長の過程は、まさに青春スポ根モノ。手に汗握る展開で、とにかく熱くなる!そんな本作の魅力をお伝えします。

笑ってストレス発散!おすすめのコメディ青年漫画5選

モテるのにうれしくないのは、●●がやわらかいから『やわらかい課長起田総司』

不条理なギャグを中心とした作風で人気のカレー沢薫がweb上にて連載していた、ドタバタエロギャグ漫画が『やわらかい。課長 起田総司』です。

同期のうちトップで課長に就任した起田総司を主人公に物語は展開しますが、イケメンでデキる男な起田は、実は初期EDだった! という冒頭から衝撃の展開がくり広げられています。

起田は10年付き合った彼女にフラれたショックからEDになってしまうのですが、課長になった瞬間から多くの女性に言い寄られるように……果たして、起田のEDは回復するのでしょうか?

著者
カレー沢 薫
出版日

やわらかい、ってタイトルを見た時には、性格とか物腰のことだと思ったんです、最初。物腰やわらかな課長と部下のハートウォーミングな物語だと思っていました。

しかし、まったく違っていました。やわらかいのは起田課長の男性器だったのです! なんて斬新すぎて詐欺かと思うタイトリング、すばらしいですね。

タイトルがタイトルだけに、全編に渡って下ネタ全開です。起つの起たないの、男性器や女性器やおっぱいやのオンパレードで、読む人を選ぶ内容かも知れませんが、実はただのギャグエロ漫画ではなく、随所に男女の本音が垣間見え、ある意味では男女の感情の機微を学ぶ、恋愛指南書と言っても過言ではないかもしれません。

さらに、人語を話す飼い猫・炎皇斗(カオス)との掛け合いも見どころ。実は1番まともなのかもしれないカオスの名言にも注目です。

イケメンなのにED、女性が言い寄ってくるけどED、真面目な顔をしていてもED、と高スペックゆえにEDであることがジワジワと笑いを誘う1冊。

もはや恋愛漫画と言っては疑問符が付くほど秀逸なギャグ漫画ですが、騙されたと思って、ぜひ読んでみてください。

愛すべきバカがクズになるためのお話『フリンジマン』

大の大人が「おっぱい」について語り明かしたり、愛人をつくるために議論したり、さらに不倫を実現するために「愛人同盟」を結成するなど、愛すべきバカな大人がたくさん出てくるのが『FRINGE-MAN フリンジマン』です。

冴えない男たちが、麻雀をしながら愛人のつくり方について真剣な議論をしているところから物語は展開していきます。

主人公である田斉(たさい)の「愛人をつくって不倫したい」という願望でしかない要望を叶えるため、同盟メンバーが立ち向かって行くという、さながらスパイ映画のようでいて、ギャグや小ネタが満載、さらにちょっぴりエッチというストーリー展開が見事です。

著者
青木 U平
出版日
2013-12-06

「どうやったら愛人をつくることができるのか」を主眼に進むストーリー展開、「愛人同盟」なる同盟を組織し、本気で愛人を作ることを考える登場人物たち、通称「愛人教授(ラマン・プロフェッサー)」である井伏の登場と、おもしろ要素がてんこ盛りです。

愛人ができちゃったら、ただのクズじゃん、という読者のつっこみは総スルー。井伏教授が語る「愛人になりそうな女の見つけ方」も、やたら神妙な顔つき、大げさな解説やリアクションがついていることで説得力が増しています。

でも言ってることは不倫相手候補との接近方法、家への上がり方、前彼が登場した時・嫁への対処法など、ゲスいことばっかりなんです。まだ不倫もしてないのに(同盟の1人は未婚なのに)「不倫した時にはどうすればよいか」のハウツーがレクチャーされています。

目指すところはダメ人間どころか、紛れもなく人間のクズなんですが、なぜか田斉たちを応援したくなるから不思議です。

ヒリヒリするような不倫の後ろ暗さを一切感じさせない、ある種の爽やかさを感じさせる本作。気軽な気持ちで手に取ってみてください。


 『フリンジマン』については以下の記事で紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。

『フリンジマン』に学ぶ愛人の作り方!?ヤンマガのご乱心漫画をネタバレ!

『フリンジマン』に学ぶ愛人の作り方!?ヤンマガのご乱心漫画をネタバレ!

「愛人を作りたい!」という男性の、不倫をテーマにしたコメディ漫画として一部で話題騒然となった、『フリンジマン』。2017年10月には、テレビ東京系でドラマ化されることになりました。いい意味でばかばかしく、そして侮れない注目の一冊です。

極道から専業主夫に異色の転身『極主夫道』

玉木宏主演のテレビドラマでも話題になった『極主夫道』。

「不死身の龍」の異名で恐れられた最凶のヤクザが次に選んだ道は専業主夫でした。愛する家族を守るために、家事を極ます。やること全て主夫に関することですが見た目はヤクザのままなので時には問題に巻き込まれることも…。斬新な任侠コメディです。

著者
おおのこうすけ
出版日
2018-08-09

至って真面目に主夫の仕事をする姿がシュールで面白いですが、完璧に家事をこなす姿に最高です。主夫道を極られるのも、ヤクザ時代に培った仁義を通して一つのことを極た名残なんでしょうか。時折語る名言や豆知識もおもしろいだけでなく、ハッとさせられることがあります。

元最凶の極道でも妻の美久には逆らえません。龍がすぐにおかしなことをすると美久は殴りにかかったり、子どもと話しているところを見つかった時には即座に土下座したりと美久の尻に敷かれているようです。

家事が壊滅的にできない美久の代わりに家事を完璧にこなしたり、誕生日には彼女が好きなものを買ってきたりと、表情では見せないですが美久のことを愛していることが伝わってきて二人の関係性が愛おしく見えます。


『極主夫道』については、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

『極主夫道』をネタバレ紹介!ピュア&強面なギャグ漫画が面白すぎる!【実写ドラマ化】

『極主夫道』をネタバレ紹介!ピュア&強面なギャグ漫画が面白すぎる!【実写ドラマ化】

警察にもヤクザにも名の知れた伝説のヤクザ「不死身の龍」。生きる伝説でもあったものの、突如裏の世界から消えた彼。なんと彼は現在……妻のためにキュートなエプロンをつけて可愛いキャラ弁を作り、あらゆる家事をこなす主夫となっていた!? ヤクザを辞め、主夫としての道を極める龍の姿を描いた『極主夫道』。怖い見た目と言葉づかいとは裏腹に、手際よく料理をこなしたり、ご近所付き合いもしっかりこなしたりする姿にシュールな魅力がある本作をご紹介!スマホの漫画アプリから無料で読むこともできるので、そちらからこの独特な雰囲気を覗いてみてはいかがでしょうか?

嫌なことを忘れるための美食探究『忘却のサチコ』

婚約者に逃げられた女性が傷ついた心を癒すために、美味しいものを求めて全国を飛び回る姿を描いた『忘却のサチコ』。

編集者で働くサチコは結婚式の最中に婚約者に逃げられてしまいます。周りからは「鉄の女」と呼ばれるほど普段は感情を表に見せないサチコですが、さすがにこの事件にはショックを受けたのでした。たまたま入った街の定食屋で食べたサバの味噌煮に感動し、婚約者を忘れるための美食探訪の始まりです。

著者
阿部 潤
出版日
2014-12-26

東京のご飯だけではなく、取材で訪れる全国の名物が数多く登場します。どれも今目の前にあるように感じるくらいリアルで食欲をそそられます。名物を知ることができるから旅行にいきたくなります。

サチコは美味しいものを最高な状態で食べるために、学生の部活に混ざって走ったり、徹夜で担当作家の原稿を正座で待ったりと空腹になるための努力を惜しみません。

真面目に美食探究を極める彼女に脱帽ですが食べた時に見せる表情が最高で、普段サチコが表情を見せないこともあり食事中の豊かな表情がよりかわいいです。こちらはぜひ漫画を読んで確認してみてください。サチコが食に思いを馳せている時の妄想が想像力豊かで面白いです。

旅行もなかなか行けない中で、『忘却のサチコ』を読んでサチコと一緒に全国の美味しいものを食べた気持ちになってみるのはいかがでしょうか。


『忘却のサチコ』は、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

『忘却のサチコ』の見所を全巻ネタバレ紹介!実際に行きたい実在店も紹介!

『忘却のサチコ』の見所を全巻ネタバレ紹介!実際に行きたい実在店も紹介!

本作はアラサーの敏腕編集者・サチコが、傷心を癒やすべく美食の道に邁進するコメディタッチのグルメ漫画。彼女が忘我の境地に至る数々の料理は、本当に美味しそうだと評判です。 先行する実写のスペシャルドラマに続いて、連続ドラマの放送も決まった本作の見所と、モデルとなったお店を厳選してご紹介しましょう。

古代ギリシャから東京にタイムスリップ⁉︎『オリンピア・キュクロス』

『テルマエ・ロマエ』の著者・ヤマザキマリが描く、タイムスリップコメディ。

著者
ヤマザキ マリ
出版日

紀元前400年頃の古代ギリシャで、壺絵師見習いをしているデメトリオスは驚異的な身体能力を持ちながらも争い事が嫌いな穏やかな性格で村人からからかわれていました。

ある時隣町との領土争いを競技大会で決着をつけることになりデメトリオスはその選手に選出されますが、あまりの嫌さに壺の中に引きこもってしまいます。悶々としているときに壺に雷が落ち、気づいたらオリンピックが開催される1964年の東京にタイムスリップしたのでした。東京で連れて行かれた運動会の基にした競技会を提案し、村に勝利をもたらしたのです。

コメディのため笑える要素がたくさんありながら古代ギリシャと現代のオリンピックやさまざまな文化の比較が描かれており、楽しみながら文化の違いを学ぶことができます。

デメトリオスは何度もタイムスリップしますが、その中で多くの人と出会い触れ合っていく中で成長していく姿も必見です。

壮大なストリーに圧巻される!SF・ファタジーのおすすめ青年漫画8選

まるで大人の昔話!各地を旅する蟲師の物語『蟲師』

「下等で奇怪 見慣れた動植物とはまるで違うとおぼしきモノ達 それら異形の一群をヒトは古くから畏れを含み いつしか総じて『蟲』と呼んだ」(『蟲師』より引用)

蟲(むし)とは、動物でも植物でもない下等な生物。その蟲と人間をつなぐ人こそ、主人公である蟲師のギンコ。ギンコは各地を巡りながら、蟲に取りつかれて苦しむ人々を救っていきます。そして住民を助けると、また次の土地へ。全国各地を巡りながら、ギンコはあらゆる人々・蟲に出会っていきます。

著者
漆原 友紀
出版日
2000-11-20

雰囲気がどこか神秘的で、蟲にとりつかれた人々の背景や心情が丁寧に描かれているため、昔話のようなしんみりとしたおもしろさがあります。

心がほっこりするような話から、悲しくてむごい話までバリュエーションに富んだストーリーになっています。基本的に1話完結のため気軽に読むことが出来ますし、ストーリーは難しい設定などはなく、読みやすいものが多いです。

他の作品にはない、神秘的で不思議な雰囲気を味わいたい方には『蟲師』がおすすめです。

2005年には、テレビアニメ化もされています。

海外でも大人気!SFアクション漫画『AKIRA』

海外にまでその名を轟かせた超人気作品『AKIRA』は1982年から1990年まで連載された、全6巻からなる近未来SF漫画です。当時では近未来設定でしたが、2017年現在となっては、もう近未来とは呼べない時代になってしまいました。ですが、なんとすごいことに1巻の冒頭で2020年東京オリンピックを言い当てているのです。

著者
大友 克洋
出版日
1984-09-14

『AKIRA』の舞台は2019年、翌年に東京オリンピック開催を控えた日本の新都市「ネオ東京」です。主人公の金田は自称「健康優良不良少年」。彼は暴走族のリーダーとして自分専用に改造したバイクで、日々暴走行為に明け暮れていました。ある日いつものようにバイクで暴走していた金田とその仲間たちですが、金田の幼馴染であり仲間の鉄雄が転倒して事故にあってしまいます。

病院へ搬送された鉄雄でしたが、退院してきた彼はなんと超能力が使えるようになり、別人のように変わってしまったのでした。そこから、超能力研究所、反政府ゲリラなどが関わってきて、金田の運命の歯車が回り始めるのです。

「古い」や「新しい」なんて概念がまったく当てはまらない本作は、その圧倒的な画力と壮大な世界観で連載当時から多くの人に愛されてきました。

超能力という圧倒的な力に飲み込まれてしまう鉄雄と、大切な友人を助けたい金田の素晴らしいストーリー。そこに迫力満点の画力が加わり、読んだ人に衝撃を与えてくれます。青年漫画が好きな人ならぜひ一度は読んでほしい作品です。


『AKIRA』については、以下の記事で紹介しています。

漫画『AKIRA』面白さを全巻の名言から考察!あらすじも【ネタバレ注意】

漫画『AKIRA』面白さを全巻の名言から考察!あらすじも【ネタバレ注意】

舞台は第三次世界大戦後の日本の新首都「ネオ東京」。世界を揺るがす謎の存在「アキラ」をめぐる争いに巻き込まれた少年たちの運命を描くSF超大作です。2021年にハリウッド映画が公開予定でしたが、なんと発表2ヶ月後に無期限延期とアナウンスされました。 本記事では、全6巻の各巻のあらすじ・名言を紹介しながら、日本の漫画史に燦然と輝く名作の魅力を、たっぷりお伝えします!ネタバレも含まれますので、苦手な方はご注意ください。

人を喰らう「喰種」。複雑な正義を描いた名作青年漫画『東京喰種』

人の姿をしながら、人間を喰らう「喰種(グール)」が存在する世界が舞台。平凡な大学生・金木研(通称:カネキ)は、カフェに通うおとなしい女性リゼに好意を寄せていました。カネキは少しずつリゼと距離を縮めていきますが、なんとリゼは「喰種」だったのです!

カネキはリゼに襲われ瀕死の状態になりますが、リゼの臓器を移植したことで一命をとりとめます。ただカネキは「半喰種」に生まれ変わってしまいました……。突如喰種として生きることになったカネキは、苦悩や葛藤に満ちた日々を送っていくのでした。

人間と喰種、喰種同士のバトルだけでなく、喰種として生きるカネキの複雑な心情を見事に描いた名作青年漫画です。

著者
石田 スイ
出版日

喰種として生きることになったカネキが抱える苦悩や葛藤が丁寧に生々しく描かれています。仲間の喰種を守るために強くなる決心をしますが、「生きるためには喰わなければならない」と思い、心優しいカネキが少しずつ壊れていきます。

カネキが壊れる様子は怖くて不気味ですが、喰種としての苦しみも、人としての苦しみも背負ったカネキのつらさがひしひしと伝わってきて、切ない気持ちになります。

「俺たちは失いながら、生きるしかないんだ」(『東京喰種』より引用)

喰種の悲痛な言葉は、人間として生きる私たちの心に刺さります。

ラストの場面は、続編である『東京喰種トーキョーグール:re』が読みたくなるような終わり方。人間の弱さを生々しく描いたような漫画が好きな方には、きっとはまると思います。

2014年には、テレビアニメ第1期が、翌年に「東京喰種トーキョーグール√A」として第2期、そして2018年に「東京喰種トーキョーグール:re」として第3期が放送されています。第2期は、原作者である石田スイがストーリーを担当しているので、気になった方はぜひご覧ください。


『東京喰種トーキョーグール:re』が気になるという方には、以下の記事がおすすめです。

漫画『東京喰種:re』最終回まであらすじを全巻ネタバレ紹介!

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人間を食料とする喰種(グール)と人間との戦いや葛藤、さまざまな謎を描いてきた『東京喰種』。物語は新編である『東京喰種:re』にまで続き、喰種に潜む巨大な謎が明かされました。アニメは4期まで放映され、実写映画化も2度された人気作品です。 ここでは喰種を巡るさまざまな謎の解説や考察したあとに、最終回までの見所についてご紹介します。ネタバレを含みますので、気になる方はスマホアプリでストーリーをチェックしてからご覧ください。

世界を壊すお姫様と騎士!?異色のファンタジー漫画『惑星のさみだれ』

自分の内に引きこもり冷めた態度をとる主人公・雨宮夕日。ある朝、彼が目覚めると部屋に自らを騎士と名乗る喋るトカゲが現れました。謎のトカゲは夕日は世界の危機を救い姫を守る騎士として選ばれたと説明しますが、それに対して夕日は冷めた反応であしらいます。しかし、黒幕である悪の魔法使いが送った敵・泥人形に襲われたところを守るべき姫である・朝日奈さみだれに救われてますが……。

著者
水上 悟志
出版日
2006-01-27

ヒロインであり守るべき姫であるはずの朝日奈さみだれという少女と騎士である主人公。それだけなら王道の展開といえるのですが本作の特異さは、姫が地球を守りたい理由が「自らの手で世界を壊したい」という驚きの思想です。

「今からあたしが地球をぶっ壊します」(『惑星のさみだれ』より引用)

ヒロインは姫であり同時に魔王でもある、そしてその姫の気概に心酔し忠誠を誓う主人公という異色作です。しかし、色物感が漂う設定とは裏腹にストーリーはシリアスで、地球を襲う泥人形とのバトルは大迫力で必見!10巻完結とおさまりのよい作品なので、長編や未完結の作品に手を出しにくいという方でもおすすめの作品です。


『惑星のさみだれ』作者・水上悟志の作品を紹介した以下の記事もおすすめです。

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SFからファンタジーまで、幅広いジャンルで読者を楽しませてくれる漫画家水上悟志。彼の魅力が詰まったおすすめ漫画ランキングベスト5をご紹介します!

発砲許可をもつ「トリガー」が悪を裁く!『トリガー』

板倉俊之はお笑いコンビ「インパルス」でボケを担当しているお笑い芸人です。本作は初めて手掛けた小説であり、初めてコミカライズされた作品となりました。

著者
板倉 俊之
出版日
2011-12-27

問題を解決できない議院内閣制を廃止させた日本国民は、西暦2028年に国王制を導入。国として新たに歩み始めます。初代国王となった坂本は私欲に走り、国は荒廃。坂本を処刑し、新国王となった冴木は、日本から犯罪をなくそうと「射殺許可法」を制定します。

射殺許可法とは、悪と認定したものを即時に死刑にできる権利を持つ執行人「トリガー」を、各都道府県に1人配置する、という法律。日本各地でトリガーとなった者が、支給品である専用の拳銃、ベレッタを手に、法の網をかいくぐる悪を裁いていきます。

法律で裁けない悪を裁くという、ダークヒーロー的な物語である本作。トリガーを引く悪の処刑人たちは、人を殺すということに葛藤し、苦悩することもあるため、どこか心に重さが残ります。

基本的には勧善懲悪であるため、無力感ややるせなさを感じずに済むのが本作の大きな特徴。現実にトリガーを引くことは難しいですが、嫌な気持ちを吹き飛ばし、すっきりした気持ちにしてくれますよ。


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お笑い芸人のインパルス板倉の原作小説をコミカライズしたハードアクション漫画『トリガー』。ハードボイルドな世界観の中で善悪とは何かを問いかけてくる力強い作品です。 今回はそんな本作の魅力をご紹介!ネタバレをありなのでご注意を。

高校生が運命を変えるために奔走する『orange』

『orange』の舞台は長野県松本市。主人公は高校2年生になった高宮菜穂。彼女は突然、一通の手紙を受け取ります。差出人は26歳の自分。手紙には、26歳の菜穂が後悔しているということ。16歳の菜穂に行動してほしいことが記載されていました。半信半疑だった菜穂ですが、そこへ東京からの転校生、成瀬翔がやってきます。彼の転校は、手紙に記載されていたことでした。

著者
高野 苺
出版日

手紙の通り、翔に恋をし、翔が17歳で死んでしまうという現実を肌で感じた菜穂は、須和弘人、萩田朔、村坂あずさ、茅野貴子らと協力し、翔の未来を変えるために奔走することになります。

時間を越えて手紙が届くという、SF要素のある青春恋愛漫画である本作。菜穂と翔の恋模様もさることながら、翔を救うために協力する5人の友情も見どころのひとつ。強い絆に思いがけず涙腺を刺激されます。

翔のもつ事情も根が深いものですが、個人的に推しておきたいのが弘人の存在。10年後の未来には自分の恋が成就していることを知った弘人が下す決断に、誰かこの子を幸せにしてやってくれ、と叫ぶこと間違いなし。変えられた未来に立つ6人は、何を想うのか。どこか切なさの残る最後に、胸が苦しくなる恋愛漫画です。

2016年には、テレビアニメ化もされています。


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2015年に土屋太鳳主演で映画化された、高野苺の人気漫画『orange』。高校2年生の菜穂に届いた「未来の自分からの手紙」から始まる、甘酸っぱく切ない、号泣必至の青春漫画の魅力をご紹介。

古代史SFミステリーの傑作!骨太作品を読みたいならコレ『暗黒神話』

日本の古代神話「ヤマトタケル伝説」を軸としたSF漫画の『暗黒神話』は、主人公の男子中学生である山門武が自身の定められた運命に翻弄されていく物語です。ある日、幼少時に父を亡くした武のもとに、父の死の真相を知っているという謎の人物が現れます。その人物に連れられて、父が亡くなった場所に向かうと、そこでタケミナカタの神と呼ばれる怪物に遭遇するのです。そこから武の数奇な運命の歯車が動き始めます。

著者
諸星 大二郎
出版日
1996-11-01

主人公の武は、実はヤマトタケルが転生した姿であり、作中では日本にある各遺跡を旅して巡ります。神話や遺跡などが好きな方には堪らない作品でしょう。独特の世界観で、縄文文化や出雲神話など、さらにはインド哲学や古代史にまつわる様々な謎をうまく融合させ、それらがまるでパズルのように組み合わさっていくのです。

イラストや設定の細部にまでこだわっているため、どんどんとその世界観に引き込まれていってしまいます。ストーリー自体が緻密な計算から作られていて、読み終えた後に得られる、最後にパズルのピースが全て揃ったときのような爽快感は、まさに歴史ミステリー漫画の傑作です。

「友情・努力・勝利」といった少年ジャンプの理念と真逆をいく青年漫画の『暗黒神話』。もしかしたら好き嫌いの分かれる作品かもしれませんが、全1巻のみで完結なので、ぜひ皆様も読んでみてください。今まで出会えなかった世界観にきっと出会えることでしょう。


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多くの著名漫画家やアーティストにも影響を与え、奇才と評される漫画家、諸星大二郎。SFもの、伝奇もので数多くのヒット作を生み出しました。彼の描く不気味で不思議な世界を存分に堪能できる作品を、ランキング形式で5作品ご紹介します。

人類とゾンビの仁義なきデスマッチ!グロくて面白い『アポカリプスの砦』

『アポカリプスの砦』の主人公、前田義明は、殺人罪で青少年矯正施設松嵐学園に入所しています。しかし、義明は殺人をした覚えはなく、冤罪であるものの、義明の言葉は誰にも聞き届けられずにいました。

著者
イナベ カズ
出版日
2012-03-02

施設内は暴力が横行しており、混沌とした空気が漂っています。温和な性格の義明はターゲットにされ、理不尽な暴行にさらされていました。そんな中、学園の外では警官が検挙した犯人にかまれて死亡。犯人逮捕に協力した人々までもが突如ゾンビになってしまうという異常事態が発生していました。

日本中がパニックに陥る中、学園にゾンビの魔の手が迫り、義明たちも知恵と若さと力を武器に、ゾンビと戦っていくことに。同室である4号室の吉岡正文、岩倉剛、山野井満とともに、生きるためにゾンビを打ち倒していきます。

基本的にはゾンビとの戦いと、4号室メンバーの交流や過去が中心。さらにはなぜゾンビが発生するに至ったかなど、物語全体の謎も徐々に明らかになっていきます。少年たちのゾンビへの扱いの容赦のなさに、拍手喝采を送りたくなる、ハイテンポなゾンビバスター物語に、釘付けです。

教養を深める。歴史・世界が舞台のおすすめ青年漫画6選

タイムスリップした先は、医学が発展していない幕末!『JIN-仁-』

東都大学附属病院で脳外科医として働いている南方仁のもとに、ある夜急患の患者が運ばれてきました。南方は患者の脳にできている奇形腫を取り除くことに成功しましたが、すると今度は南方が頭痛と空耳に悩まされてしまいます。

突然治療室からその患者が逃げだし、南方は彼の後を追いますが階段でバランスを崩し転倒。そのまま意識を失ってしまうのですが、目が覚めたら幕末の時代にタイムスリップしてしまっていたのです。

著者
["村上 もとか", "酒井 シヅ", "富田 泰彦", "大庭 邦彦"]
出版日

現代に帰る術が分からない南方は、この時代で医師として生きていくことになるのですが、自分が命を救うことによって、未来を変えてしまうのではないかと迷います。しかし、それでも目の前に苦しんでいる人がいるのに黙ってみていることが出来ない南方は現代医学の知識を駆使し、多くの患者を救っていくのです。

坂本龍馬や勝海舟など、有名な江戸の人物などももちろん登場します。普通の医療漫画と違い、時代劇としても楽しめるところが本作のおもしろいところ。命、時代、運命と向き合う『JIN-仁-』。おすすめの医療もの青年漫画です。


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卓越した心理描写で描く人間ドラマが評判を呼び、大ヒットとなった『JIN―仁』。2期にわたって放映された人気ドラマの原作者として、村上もとかの名を知った人も多いのではないでしょうか。しかし、魅力あふれる彼の作品は、まだまだ他にもあるんです。

戦国時代の真実を浮かび上がらせる合戦絵巻『センゴク』

本作の舞台は戦国時代、かつて斎藤道三が治めた美濃国稲葉山城。稲葉山城の戦いで、尾張の織田信長に捕らえられた美濃の豪族、仙石秀久は織田家の家臣として迎えられることになります。体格に恵まれ、武働きは得意なものの頭は弱い秀久は、多くの武将と関わりながら武将として大きく成長していきます。

著者
宮下 英樹
出版日
2004-11-05

史実の仙石秀久は、織田信長の命で羽柴秀吉に仕え、秀吉古参の家臣として活躍します。秀吉の死後は徳川家に味方し、徳川秀忠を助けて上田城へ出陣。家康からは信頼され、旧領である信濃小諸藩を治める初代藩主となりました。

秀久の成長を描きながらも、物語の中心は合戦。戦場での日本刀や弓の効力、騎馬武者は本当に強いのかといった、戦国時代の疑問や明らかになった真実が、積極的に作品に詰め込まれています。また、女性の立ち位置や役割についても細かく描かれており、よりリアルな戦国時代が浮かび上がってくるのも魅力です。

男たちの生きざまや、女たちの潔さがカッコよく、ひたすらに眩しく映る本作は、大長編ということもありしっかりと歴史が踏襲されています。勉強と言いながら読んでみると、戦国時代の物語から抜け出せなくなってしまうかもしれません。

世界を股に掛ける異色の探偵物語『MASTERキートン』

元サバイバル教官という経歴を持つ主人公の平賀=キートン・太一は、現在は考古学者として大学で教鞭を執りながら保険調査員として生計を立てています。

保険調査員としても働くキートンですが、本当は考古学の研究を一番にやりたいと考えていて、その研究資金の調達のために彼は仕事をしているのです。しかし、そんなキートンのもとに訪れる仕事は、彼の過去の経験からどれも危険なものばかり。持ち前の頭脳とサバイバル能力で、数々の危険を回避していきます。

著者
浦沢 直樹 勝鹿 北星 長崎 尚志
出版日
2011-08-30

数々の名作を世に生み出している作家、浦沢直樹の漫画『MASTERキートン』は、基本的に1話完結で、古代文明や考古学など様々なテーマについて描かれています。

登場人物はどれも個性的でキャラクターがしっかりと描かれているところも、この漫画の素晴らしいところです。ライバル探偵も出てきて、彼が一層主人公であるキートンの魅力を引き出してくれます。

雑学や教養も豊富で、読んでいて「なるほど」と思える場面も多々ありますので、本当に最後まで飽きずに読み進めていくことができるのです。全18巻と読みごたえ抜群の『MASTERキートン』。ぜひ手に取ってみてください。浦沢直樹の作品を読んだことがある方なら間違いなくハマる青年漫画です。


『20世紀少年』でも知られる浦沢直樹のおすすめ作品を紹介した以下の記事もおすすめです。

浦沢直樹の本当に面白い名作漫画ランキングベスト5!

浦沢直樹の本当に面白い名作漫画ランキングベスト5!

ヒット作を産み出し続ける漫画界の奇才・浦沢直樹。その作品のほとんどが映画化やアニメ化などメディアミックスされています。そんな浦沢作品の中でも特におすすめしたい漫画を5つ紹介していきます。

激動の古代ギリシアを生き抜いた秘書官『ヒストリエ 』

アレキサンドロス大王に仕えた書記官・エウメネスの生涯を描いた『ヒストリエ』。

カルディアの顔役のヒエロニュモス家の次男として何不自由なく育ったエウメネスでしたが出生に秘密があり、ある出来事ををきっかけに元の身分の奴隷に戻ってしまいます。何かの因果ですぐに奴隷の身分から解放されたエウメネスは、幾多の困難に遭遇しながらも自身の知識とさまざまな人々との出会いで歴史に名を残す英雄となっていくのです。

著者
岩明 均
出版日
2004-10-22

エウメネスは実在した人物ですが、半生は謎に包まれている部分も多く史実が物語が入り混じって構成されいます。そのため物語は壮大かつ迫力のある作品となっています。前知識なしでももちろん楽しめますが、歴史を学ぶとより楽しめることができるのであわせて歴史の勉強をはじめてるのもおすすめです。

エウメネスは子どもの時から冷静な性格で、何不自由ない生活から奴隷になり周りの態度が一変した時でも少しだけ落ち込んだもののすぐに事態を受け止め生活していく強さがあります。幼い時から奴隷にも平等に接し、たくさんの書物で培った知識で仲間を救っていく慈悲深い性格を持つ魅力の深い人物であります。

『ヒストリエ』を読んで慌ただしい日常から離れ壮大な歴史に思いを馳せてみるのはいかがでしょうか。


『ヒストリエ』に関しては、以下の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

漫画『ヒストリエ』10巻までの魅力を徹底考察!【ネタバレ注意】

漫画『ヒストリエ』10巻までの魅力を徹底考察!【ネタバレ注意】

『寄生獣』の作者、岩明均が連載している漫画『ヒストリエ』。かつて存在していたことはわかっているものの、半生が謎に包まれているエウメネスを主人公に、フィリッポス2世、アレクサンドロス大王が築きあげたマケドニア王国の黄金期を描く物語です。

出世と物欲の間で揺れ動く武将物語『へうげもの』

織田信長や豊臣秀吉に仕えた武将・古田織部が出世と物欲の間で揺れ動く姿を描いた物語。

本作の主人公・古田織部は織田信長や豊臣秀吉に仕えた戦国武将。武将として出世をしたい気持ちはあるものの、茶器や建築といった芸術・文化に心を奪われた数寄者。出世して天下をとるか、数寄者として極めるか二つの選択肢の中で揺れ動きながら激動の戦国時代を生き抜いた男の物語です。

戦いにスポットライトを当てた歴史ものの作品はたくさんありますが、芸術や文化にも着目して描かれた漫画作品は少ないものです。その一つが『へうげもの』です。

織部は大名が所有する数々の名器に主からの命令を忘れ目を奪われるてしまうことも多々あります。数寄に対しての情熱や知識に圧倒されつつ、思わず笑ってしまう作品です。

ギャグ漫画で、登場する茶器や焼き物に対してわかりやすい説明もあるので、歴史ものに苦手意識がある方でも読みやすくなっています。

織田信長や豊臣秀吉に仕えていたこともあり、戦いや安土桃山時代の動きについてもしっかりと描かれているので歴史好きにもおすすめで、数寄について興味が湧くきっかけとなる作品かもしれません。

世界最古の長編物語を漫画で学ぶ『あさきゆめみし』

『源氏物語』を漫画化した『あさきゆめみし』。

著者
大和 和紀
出版日
2008-04-25

源氏の君は美しく権力も持ち合わせていましたが、幼い時に母である桐壺の更衣をなくしています。亡き母の面影を探して多くの恋愛を重ねた光源氏を主人公に恋愛や政治、権力争いと豪華絢爛な貴族社会を描いています。

源氏物語を知らない人にも読んでもらいやすいように一部オリジナルストーリーが織り交ぜられていますが、ほとんとが源氏物語を忠実に漫画で再現しています。

古文で書かれている作品に苦手意識がある方でも、本作では麗しい世界観で描かれており読みやすく物語の中に引き込まれるでしょう。

一夫多妻制が許されていた時代とはいえ、源氏の君の恋愛体質、モテっぷりは浮世離れしたものがあります。また恋愛の喜びだけでなく、悲哀そして女性たちの嫉妬などしっかりと情緒を描いており読み応えがあります。

名作と名高い本作。『あさきゆめみし』で日本の歴史に触れてみるのはいかがでしょうか。


『あさきゆめみし』に関してはこちらの記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

漫画『あさきゆめみし』の見所を13巻まで全巻ネタバレ紹介!

漫画『あさきゆめみし』の見所を13巻まで全巻ネタバレ紹介!

平安時代の貴公子、光源氏が理想の愛を求めてさまよう『あさきゆめみし』。原作は誰もが1度は聞いたことのあるあの有名な『源氏物語』です。古典では読むのが難しいかもしれませんが、漫画となった本作はよりわかりやすく、面白くなっています。人生の悲喜こもごもが詰まった平安恋愛絵巻の魅力をご紹介しましょう。

いかがでしたでしょうか。どれも名作ばかりなので、手元に置いておけば何度でも楽しく読み返すことができる青年漫画です。この中から一つでも皆様の心に残る作品が見つかれば嬉しいです。

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