長ーく楽しめる!シリーズ化されているおすすめ小説

長ーく楽しめる!シリーズ化されているおすすめ小説

更新:2021.12.21

Thinking Dogsのメンバーとして活躍中のわちゅ〜さんによる連載書評コラム。今回は松岡圭祐『探偵の探偵』、東野圭吾『探偵ガリレオ』、京極夏彦『姑獲鳥の夏』、貴志祐介『硝子のハンマー』を取り上げます。

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どうも、わちゅ〜さんです。

シリーズ物の小説っていいわよね。
登場人物を覚える手間は省けるし(ものぐさ)、なんてったって長ーく楽しめるんですもの!

ノンシリーズの場合、どんなに好きな世界観であっても読み終えてしまえばそれっきり。
「もっと読みたかったぁ!」と嘆いたって、続編が出ない限りは叶わぬ夢……。
けどシリーズ物なら心配無用!
続きがあるって幸せなことじゃありませんか!
……あ、ちなみに「シリーズ物だっていつかは終わるよ」なーんていう野暮な発言はお控えください。ソレ、ワタシ、キズツクヨ。

ってことで今回は、私の好きなシリーズの一作目をズバババッと紹介していきまーす!

「探偵の探偵」

著者
松岡 圭祐
出版日
2014-11-14
"対探偵課"に所属する探偵・紗崎玲奈(ささきれな)が活躍するシリーズ第一弾!
「対探偵課ってなんぞや!?」って感じよね。
この対探偵課とは、ある調査会社に設けられた部署の一つ。
暗躍する悪徳探偵の撃退を目的とした、いわば探偵を追うための部署。
そこに所属するのが紗崎玲奈。タイトルの通り、まさに『探偵の探偵』なのです!

今作の特色は、探偵本来の姿が描かれているところ。
"探偵"と聞くと「犯人はこの中にいる!」というベタベタなものを想像しがちよね(私もその一人)。
けど、よくよく考えてみると現実にそんな人はいないわけで。
今作は、そんな凝り固まったイメージを払拭するかの如く、探偵業務の実態が克明に描かれているのです。
日常生活ではなかなか知ることのできない情報に、ワクワクが止まりませんぞ!

才色兼備にして文武両道の主人公・紗崎玲奈。
彼女はなぜ探偵の探偵になろうと思ったのか。
悪徳探偵と繰り広げるドキドキの頭脳戦!
見どころ満載の今作、ぜひ一読あれ!

「探偵ガリレオ」

著者
東野 圭吾
出版日
2002-02-10
すべてはここから始まった!
大人気作『ガリレオシリーズ』の第一弾でございます。
天才物理学者・湯川学が、数々の難事件を解決していく連作ミステリー。
福山雅治さん主演のテレビドラマ『ガリレオ』でも有名でございますわね!
……あ、ちなみにドラマ版・湯川教授の口癖「実に面白い」は、原作では一切出てこないんです。へぇー!

今シリーズの特徴は、事件のトリックがかなり凝っていること。
凝っているというか、まるで超常現象のようなトリックが頻出します。
古くから、推理小説では「あまり一般的でない科学技術を駆使したトリックは使用しない」という暗黙の了解が存在します。
が! 今シリーズはそれを意図的に破っているのです! ほほぉー!
そのため、どの事件も摩訶不思議なトリックだらけ。
しかも見事なことに、すべて理論的に実現可能なものしか使われていないのです。こりゃ驚き!

まだ読んだことない方は勿論のこと、ドラマ版なら観たって方もぜひこの機会に読んでみてはいかがでしょうか。
今作を皮切りに、読み応えバツグンのガリレオワールドが繰り広げられていきます。
今シリーズの中でも特におすすめは『容疑者Xの献身』。以前の記事でも紹介しましたが、これ本っ当に面白いんです。泣けます。読んで損なしです。
その前にまず! この『探偵ガリレオ』を読み、ガリレオシリーズの世界観を余すことなくご堪能くださいまし!

「姑獲鳥の夏」

著者
京極 夏彦
出版日
1998-09-14
熱烈ファンの多い『百鬼夜行シリーズ』(またの名を京極堂シリーズ)の第一弾!
以前、私の記事にてシリーズ三作目『狂骨の夢』を紹介しました。
改めてご説明させて頂きますと、今シリーズの作品は通常の文庫版で1000ページを超えるものが多く、かなーり分厚いことでも有名。
その厚さゆえ“レンガ本”や“サイコロ本”との呼び名すら存在するほど。
手に取っただけで「これいつ読み終わるかなぁ……」と精神的プレッシャーをガンガン与えてきます。ガタガタブルブル。

既に10作品以上刊行されている今シリーズは、第二次世界大戦後まもない東京を舞台とした推理小説。
個性豊かな(というか豊かすぎる)登場人物たちがとても魅力的で、一度読んだら忘れられないほどの曲者揃い。
作品ごとに主人公が入れ替わる中、今作の主人公となるのが小説家・関口巽(せきぐちたつみ)。
彼は最近、ある奇怪な噂を耳にします。
それは、“東京・雑司ヶ谷(ぞうしがや)の医院に20か月もの間子供を身籠っている娘がいる”というもの。
気になって気になって仕方がなかった彼は、古くからの友人らを巻き込み調査に乗り出します。
すると、事態は予想外の展開を迎え……。

「硝子のハンマー」

著者
貴志 祐介
出版日
『防犯探偵・榎本シリーズ』第一弾!
2012年には『鍵のかかった部屋』としてテレビドラマ化もされた人気シリーズでございます。
著者・貴志祐介さんの作品はホラー系が多い中、今作はとっても正統派な本格ミステリー!
著者の大ファンである私としては、そういった意味でも印象に残っている作品です。

今シリーズの主人公は、防犯ショップの店長・榎本径(えのもとけい)。
防犯に関して並々ならぬ知識を持っている彼は、防犯コンサルタントとしての仕事をしつつ、本職はなんと泥棒。
そんな彼の元へと相談にやってきたのが、今シリーズもう一人のメインキャラ・青砥純子(あおとじゅんこ)。
『レスキュー法律事務所』に務める彼女は、どこか天然の気がある美人弁護士。
完全密室で起きた殺人事件を解明するため、2人は様々な可能性を検証していきます。果たして、事件はどんな結末を迎えるのか……!

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