チャップリンについて知っておくべき10個の事実。喜劇王を知る本も紹介

更新:2021.11.7

チョビ髭にステッキ姿で、白黒の画面を所狭しと駆け回るチャップリン。誰もがそんなシーンを一度は見たことがあるかと思いますが、彼はいったいどんな人物だったのでしょうか?今回はそんな喜劇王チャップリンについて紹介したいと思います。

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伝説の映画スター、チャップリンとは

チャールズ・スペンサー・チャップリンは、アメリカで活躍し、絶大な人気を得た俳優であり映画監督です。

1889年イギリスのケニントン地区にて、舞台歌手の両親のもとに生まれた彼の生涯は、7歳の頃の母の精神病による一家離散という過酷な状況から始まります。

どん底の生活を余儀なくされた彼は、いくつもの孤児院を渡り歩きながら、床屋や新聞の売り子、時にはコソ泥といったような事で生活を立てていきますが、将来は必ず両親のような舞台の仕事に携わりたいという夢を抱いて、そんな過酷な毎日の傍らにも俳優斡旋所へ通い続けました。

そして、チャップリンの俳優としての能力の高さに目を付けたマック・セネット(映画プロデューサー)により、1914年『成功争ひ』で映画デビューを飾ります。

その後、彼のトレードマークである山高帽に小さい上着、チョビ髭にステッキという格好を確立させた喜劇映画『ヴェニスの子供自動車競走』がヒットすると、瞬く間に彼の噂は広まり、カナダを足掛かりに映画の殿堂であるハリウッドへと活躍の場を広げていきました。

そうして彼はその後も映画の記録的大ヒットを連発し、時には映画監督を務めるなど、生涯を通じて映画に携わり「喜劇王」として今もなお語り継がれています。

チャップリンについて知っておくべき10個の事実

1:5歳の時から歌を大勢の前で歌うなど、パフォーマンスをしていた

舞台歌手であった母の声が急に出なくなってしまった事をきっかけとして、彼が初めてステージの上で歌ったのは何と5歳の時でした。

2:チャップリンのモノマネの大会に出場したが優勝しなかった

アメリカで絶大な人気を誇り、その歩き方や独特なしぐさのマネを競うモノマネ大会が各地で行われていた当時、彼は誰にもばれぬよう出場してみたのですが、なんと決勝前の予選の段階で落選してしまいました。ちなみに出場した理由は「チャップリンの正しい歩き方を指導したかった。」だそうです。

3:タイム誌に載った初めての俳優だった

1923年3月3日。世界初の週刊ニュース雑誌『タイム』が創刊されました。創刊号の特集記事としてチャップリン監督作品『偽牧師』についてのレビューが掲載されたことにより、彼はタイム誌に載った初めての俳優として今も語り継がれています。

4:優れた音楽家であり作曲家でもあった

チャップリンは映画界で成功する前は、歌手であった父や母のような音楽に携わる仕事がしたいと考えていて、毎日何時間もチェロやヴァイオリンを練習していました。映画『モダン・タイムス』のラストシーンで流れる「スマイル」という彼の書いた楽曲は、今も様々な音楽家がカバーしていて有名です。

5:アメリカ大統領よりもお金持ちになった

映画スターとして爆発的な人気を誇ったチャップリンの総資産は5000万ドルともいわれていて、当時のアメリカ大統領ウォーレン・ハーディングよりお金持ちになったとして、今もなお語られるアメリカンドリームの象徴ともいえる人物として憧れの的になりました。

6:トーキー映画への出演を拒否した

フイルム技術の革新により、トーキー映画(音声ありの映画)が時代の主流となっていく中、彼は頑なにサイレント映画へのこだわりを捨てず、トーキー映画が全映画のシェアの90パーセントを占める中発表されたサイレント映画『街の灯』は、なんとトーキー映画の3倍もの興行収入を得るほどに支持されました。

7:アメリカ市民になれなかった

チャップリンは、一度は取得したアメリカ国籍を剥奪されたうえ、アメリカを追放されました。理由として最も有力なのが、文明や権力者を笑いものにするような彼の社会風刺が問題になったと言われています。

8:4人の妻と11人の子供がいた

チャップリンは16~25歳の若い女性と4度に渡って結婚し、11人の子供を授かっています。恋愛に関しては情熱的なチャップリンでしたが、彼の人生のすべては芸に捧げられていて、どれだけ結婚してもすぐに家族生活がダメになってしまいました。

9:ディズニーの名が広まるのに一役かっている

世界的に有名なキャラクターであるミッキーマウスですが、実はその動きはチャップリンがモデルとなっています。若きウォルト・ディズニーは作品のなかなかアイディアが浮かばず、気晴らしにチャップリンの扮装をした自分を撮影して遊んでいた際に、その動きを見てミッキーマウスを思いつきました。

10:目が青かった

チャップリンの時代はモノクロの写真が主流であり、誰もがその黒い瞳を想像しますが、実は濃い黒の中にほのかに青の混ざったダークブルーという瞳の色であったことが晩年の写真により、世界中で知られることになりました。

目を背けてしまうほどの苦難なスタート

世界中に笑いを巻き起こし、今もなおスクリーンの伝説として語り継がれているチャールズ・チャップリン。

そんな彼の決して安泰でなく、常に試練の連続であった生涯を、スクリーンのスターとしてではなく「チャールズ・チャップリン」という人間として冷静に、そして客観的に書き綴っているのが本書です。

喜劇王チャールズ・チャップリン誕生の瞬間や、彼の思いや考え、そして試練の日々を、青春時代を過ごした当時のロンドンの街並みとともに書いているこの本は、どこか純粋で美しく、とても心に響く内容になっています。

著者
チャップリン
出版日
1981-04-28

ロンドンで舞台歌手の両親の間に生を受けたチャップリンは、決して裕福ではないですが、歌と笑いの絶えない家族に生まれ何不自由ない生活を過ごしていました。

しかし、その後様々な困難に見舞われて両親と離れ離れになり、彼の人生は明日の食べ物の心配をするほどの苦悩の時期に突入します。そんなどん底の少年時代の中、彼を支えたのは別れた両親が働いていた舞台の世界でした。

スポットライトを浴び、歌っておどけて、人を笑わせて喜ばせる演劇に支えられたチャップリンは、演劇に夢中になっていきます。

初めて人生で夢中になれるものを見つけ、彼の人生が動き出す瞬間は緊張とワクワクの連続で、「夢」見つけた瞬間の期待と興奮を思い出したい人に、ぜひ読んでほしい一冊です。

チャップリンを最も知ることが出来る一冊

映画界において様々な功績を残したことで知られるチャップリンですが、いち個人としてのその人柄や、人物像はどんなものだったのでしょうか?

「チャップリンのNGフイルムをすべて見たことのある世界でたった三人のうちの一人」と公言するほどにチャップリンを愛してやまない著者が、没後40年の企画として、彼の映画やその生涯について紹介しているのが本書です。

著者
大野裕之 著
出版日
2017-04-21

この本の最大の特徴は、なんといっても著者がチャップリンの自宅の倉庫へ行ったり、チャップリンと共に過ごした知人たちへインタビューをしたりなど、様々な方法でかき集めたその資料の多さです。

この本に掲載されている未公開写真は実に100点を超え、まさに研究の頂点というにふさわしい内容が詰め込まれています。

そして、チャップリンの作品の特徴である社会風刺的な側面から、様々な社会問題を多角的に読み解いているその内容は、映画ファンのための本というだけに限らず、ドキュメンタリーとしての面白さも感じることが出来て、読み物としての評価も高くおすすめの一冊です。

信念と信念のぶつかり合い!

本書のタイトルを見て、どのような内容を思い浮かべるでしょうか?

方やを笑わせて世界中に愛された男であり、方や独裁者として世界中に憎まれた男の両者ですが、実は奇しくもこの両名はわずか4日違いで生まれ、まったく別の方向から同じ時代を生きた二人なのです。

この本は、誰よりも「笑い」を大切にしたチャップリンと、誰よりも「イメージ」を大切にしたヒトラー、それぞれの生涯を時代背景とともに追っていき、やがて交錯する信念のぶつかり合いを忠実に描いています。

著者
大野 裕之
出版日
2015-06-26

当時の世界情勢としてナチスドイツの権力はとても大きく、アメリカやヨーロッパではドイツを苦境から救った力強い指導者として評する声が多くありました。ヒトラーの独裁政治を批判するということはそれだけでもとても異端であり、興行面で考えても発表の差し止めや様々な妨害を受けることが簡単に予想できた時代です。

そんな独裁者の時代にもチャップリンはひるむことなく自らの思想を信じ、ナチスドイツを小ばかにしたような演劇やポスターを次々に制作し、ついに映画『独裁者』において、ヒトラーに真っ向から対決を挑むような演説シーンをラストの6分間に挿入する決意をします。

二人の天才による、静かで、そして何よりも熱く交錯した「戦い」を、当事者の証言や新しく判明した事実を織り交ぜながら書かれている一冊です。手に汗握る臨場感にあふれ、アクション映画のような緊張の連続で、まるで当時のヨーロッパにタイムスリップしたかのように引き込まれてしまいます。

誰よりもチャップリンを愛したからこその一冊

優れた映画作家であり、俳優でもあったチャップリン。スクリーンのスターとしての彼の作品とエピソードを淀川長治が紹介しているのが本作です。

映画本に限らず、芸術に関する本はいつも難しくなりがちですが、この本はとても読みやすく書かれており、あくまで一般人が映画を楽しめるようにと書かれたその内容なので、どなたでも気軽に読み進めることが出来ます。

著者
淀川 長治
出版日

日曜洋画劇場の締めの挨拶の「サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ。」というフレーズが有名で、生涯を通して33000本もの映画を見たというほどに映画好きとして知られている淀川長治ですが、「チャップリンの作品によって映画の面白さに目覚めた」と公言するほどにチャップリン好きの人物です。

そんな彼がチャップリンの代表作である『黄金狂時代』や『街の灯』などの名作の全貌を、愛情いっぱいに紹介するこの本は、ファンはもちろん、チャップリン映画をまだ見たことのない人がこれから見るにあたってのパンフレットのように読むことが出来ます。

そして、体調が優れず、全ての仕事を休み静養している中、この仕事だけはとチャップリンへの愛情を綴った巻頭の淀川長治のインタビューは、彼の人生において最後の仕事となりました。

今回、チャップリンの生涯とともに、その作品について詳しく知ることの出来る4冊の本を紹介させていただきました。困難な人生を乗り越え、喜劇王とまで呼ばれるほどの映画スターとなった彼の人生は、実にたくさんの事を教えてくれます。そんなチャップリンの生き方を本を通じて知り、自らの生き方の参考にしていただければ幸いに思います。

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