田中圭一のおすすめ漫画4選!「このマンガがゲスい」3年連続第1位

更新:2021.11.7

田中圭一は、サラリーマンとの兼業漫画家です。主に手塚治虫タッチで描かれる下ネタ満載のギャグ漫画は、一度読めば虜になること間違いなしの面白さを誇っています。

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田中圭一とは

田中圭一は1962年生まれ、サラリーマンと漫画家という二足の草鞋を履いていて、漫画家や映画原作者の養成塾である「小池一夫劇画村塾」の卒業生でもあります。

1984年に『ミスターカワード』で漫画家としてデビューし、1986年に発表した『ドクター秩父山』はアニメ化を果たすなど早くから人気を得ましたが、大学卒業後は玩具メーカーに入社。その後も職を変えてはいるものの、漫画家でありサラリーマンでもあるというスタンスは崩していません。

「小池一夫劇画村塾」の生徒だったことからも想像できるように、デビュー当初は劇画調で下ネタを多用したギャグ漫画を描いていたのですが、その後は手塚治虫の絵柄で下ネタ率高めのギャグ漫画を描くという現在のスタイルを確立し、それが田中の代名詞になりました。

また手塚治虫だけではなく、松本零士や藤子不二雄といった、往年の大御所漫画家の絵柄を織り交ぜた作品も多く、その模倣のレベルの高さには舌を巻くばかりです。

京都精華大学マンガ学科の教授を務めているほか、コミックマーケットにて同人誌の販売も行うなど、精力的に活動をしています。

最高にゲスい田中圭一のギャグ漫画『Gのサムライ』

絶海の孤島に流されてしまった侍と公家。彼らは2人とも童貞でした。

童貞のままこんなところで野垂れ死んでたまるか!という精神で、ヤシの実の断面を女性器に見立てたり、女性型の人形で脱童貞を試みたり……2人の死力を尽くした脱童貞の日々が始まりました。

著者
田中圭一
出版日
2016-04-15

ヤシの実で自慰行為を始めたり、エイの生殖器は人間の女性器に似ているらしいと脱童貞を狙ったり……とにもかくにも童貞が性欲に忠実に奮闘し、そして失敗していく様子を描いた、超絶お下劣ギャグ漫画です。

恐らく男性はバカ受けすること間違いなしでしょう。しょうもない下ネタで盛り上がっていた、思春期のあの頃を思い返しながら読むことをおすすめします。女性は逆に、「男ってバカね」程度の軽い気持ちで読んでください。

劇画調のタッチでお下劣なギャグを炸裂させる、田中圭一の傑作です。

漫画家好きは必読の1冊『田中圭一の「ペンと箸」』

手塚治虫やかわぐちかいじなど、大御所漫画家のご子息に田中がインタビューを行い、家族の生活や仕事ぶりを、その漫画家の筆致で描いた作品です。

彼らの思い出のご飯が紹介されているのも、本作の大きなポイントとなっています。

著者
["田中 圭一", "GMOクリエーターズネットワーク"]
出版日
2017-01-12

ネットサイト「ぐるなび」にて連載されていた本作は、掲載元が食事を取り扱うサイトなこともあり、登場する漫画家の好きだった食事を題材にしたグルメ漫画の側面もあります。

毎回1人、著名な漫画家のご子息にインタビューを行い、制作秘話や家族間でのエピソードなどを聞いて漫画にするという企画で、なかなか知ることができない大御所の素顔を垣間見ることができる作品となっています。

画風はインタビューを行った漫画家のもので描くという徹底っぷりで、逆に田中が絵柄を真似できない漫画家はインタビューの対象から外しているほど。それでも23人ものご子息にインタビューを敢行しているわけですから、彼の凄さがうかがえます。

内容もお得意のお下劣下ネタギャグ漫画ではなく、家族間の絆を描いたようなヒューマンドラマが多いのが特徴で、ギャグ漫画とのギャップに驚くこと間違いなしです。

驚異の手塚治虫お下劣パロディー『神罰―田中圭一最低漫画全集』

手塚治虫本人が描いたのかと思わせるようなタッチで、下ネタ成分多めのギャグ作品を多数収録した短編集です。まさに「神罰」がくだりそうな非常にお下劣な漫画となっています。

著者
田中 圭一
出版日
2002-08-01

表紙の手塚治虫の絵柄の他にも、藤子不二雄や永井豪のような大御所漫画家たちの絵柄をマネして描かれた、下ネタパロディー漫画集です。

「訴えます!!」や「ライオンキングは許せても、田中圭一は許せません!!」と言った帯文を寄せている手塚るみ子は、手塚治虫の実の娘。このようにネタに走った帯文を寄稿していることからも、田中との関係の良さがうかがえます。

前半はほとんどが手塚治虫パロディのギャグ漫画で、中盤以降に永井豪など他の漫画家のパロディが増えてきます。どれもこれも非常にクオリティの高い絵柄の模倣でありながら、やっていることはどうしようもない下ネタ多めのギャグという、ギャップが癖になる1冊です。

加筆修正や新規収録作品を含む『田中圭一最低漫画全集 神罰1.1』も発売しているので、より田中圭一ワールドを楽しみたい人は「神罰1.1」と通常の「神罰」でどう違うのか、比べてみるのも面白いでしょう。

様々な体験談を載せた田中圭一のコミックエッセイ『うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち』

サラリーマンと漫画家の二足の草鞋を履いている田中圭一ですが、若いころはサラリーマンの仕事がうまくいかず、自分で自分を責め過ぎてしまい、うつ病にかかっていました。

本作は、そんな田中自身のことや、様々なうつ病であった著名人に取材を敢行し、彼らがどうやってうつ病から抜け出したのかを描いたコミックエッセイです。

著者
田中 圭一
出版日
2017-01-19

「今もトンネルの中で苦しむ人たちを救わずにはいられない」という言葉が1話に出てきます。この言葉通り本作は、うつ病の症状の描写よりも、いかにしてうつ病から回復していったかの方に重点が置かれています。

大槻ケンヂや内田樹、宮内悠介といった著名人たちのうつヌケ体験を描いていて、読んでいて非常に明るくなることができる作品です。

いつもの田中作品にみられる下ネタやギャグの要素は皆無といっても過言ではなく、作者のことを知っている人からすると、驚きに満ち溢れた1冊にもなっています。

いかがだったでしょうか。ただ何も考えず笑いたい時に、ここまでおすすめ出来る作者はほかにはいませんし、いい話を読みたい時にもおすすできる、そんなお得で下品な漫画家、それが田中圭一です。みなさんも迷った時、悩んだ時、ひとまず息ヌキに彼の作品を手に取ってみてはいかがでしょうか。

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