小説『ソードアート・オンライン』の魅力を全巻ネタバレ紹介!

更新:2021.11.8

『ソードアート・オンライン』は2011年、2012年の「このライトノベルがすごい!」にて1位を獲得した人気ライトノベル。劇場版も制作され大ヒットを記録するなど、その人気はとどまるところを知りません。今回はその原作を、1巻から順番に紹介していきます。ネタバレを含みますので、ご注意ください。

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『ソードアート・オンライン』とは

川原礫のライトノベル「ソードアート・オンライン」シリーズは、2009年から単行本が発売され、2017年4月には、国内累計発行部数が1300万部を突破した大ヒット作品です。

2022年の近未来世界で、とある天才が「ソードアート・オンライン」(SAO)というVRMMORPG(ゲームの世界に現実のユーザーが出現し、仮想世界に入り込む形で楽しむことができるゲーム)を作りました。このゲームをプレイするために必要なのが「ナーヴギア」という、現実世界の感覚をシャットアウトして仮想世界へと感覚を移行させる機能をもつ、ハードウェアです。そんな「ナーヴギア」を装着をするだけで、仮想世界で自分の動きたいように動くことができ、ゲームのプレイヤーそれぞれが、ロールプレイングの主人公になりきることができる夢のようなゲームそれが、「ソードアート・オンライン」(SAO)なのです。

主人公のキリトが、プレイヤーの1人としてゲームを楽しんでいたなか、事件は起こります。なんとSAO開発者の手によってVRMMORPGの世界に閉じ込められ、「無事にゲームをクリアしないと現実世界に戻れない」という状況に陥ってしまいました。本作は、そんなキリトがSAOをはじめとする、VRMMORPGからの脱出を目指して奮闘する物語です。

本作の大まかなストーリーの流れは以下の通りです。

第1巻、第2巻 アインクラッド
全ての物語のはじまり、仮想世界での物語です。主人公キリトが、世界初のVRMMORPGゲーム「ソードアート・オンライン」へとログインし、逃れられなくなった世界の中で戦い抜く展開となります。SAOの中で同じくプレイヤーのアスナという少女と出会い、心を通わせていきます。

第3巻、第4巻 フェアリィ・ダンス
妖精の世界のストーリーです。新しいVRMMORPGでの物語が始まり、キリトの妹リーファとともに、SAOとはまったく異なる仮想世界「アルヴヘイム・オンライン」(ALO)の中で戦います。

第5巻、第6巻 ファントム・バレット
銃の世界「ガンゲイル・オンライン」(GGO)でのストーリー。キリトが美少女と見間違えてしまう容姿になっていて注目を集めています。銃の世界なのにキリトはなぜか剣を使い、戦いながら謎に迫っていきます。

第7巻 マザーズ・ロザリオ
アスナと、彼女の親友ユウキの友情を描いた感動の作品です。ユウキの抱える秘密や、アスナ自身の現実世界での葛藤などが主なストーリーで、最後には涙のラストシーンが待っています。

第8巻 アーリー・アンド・レイト
アインクラッド編でのでき事を振り返り、キリトとアスナの活躍を描いた番外編です。また、妖精の世界でキリトが求めていた強力な武器を得るための冒険もあります。

第9巻~第14巻 アリシゼーション
第9巻から長編のアリシゼーション編がスタート。とある事件からキリトがこれまでとは一線を画する仮想世界に迷い込み、現実世界へ帰るために新たな冒険を始めます。

第15巻~第18巻 アリシゼーション新章 アンダーワールド大戦
現実世界へと帰還するはずが、いつしか仮想世界での存亡を賭けた戦いへと巻き込まれていく物語。アリシゼーション編の完結です。

第19、20巻 ムーン・クレイドル
19、20巻では、18巻でキリトとアスナが生きていた仮想世界での物語が語られます。謎解きの要素も含まれています。

1巻:『ソードアート・オンライン』の全ての始まり、アインクラッド編

2022年に新たに発売されたVRMMORPG「ソードアート・オンライン」(SAO)を手に入れた桐ヶ谷和人。彼は「キリト」としてゲームの世界へと飛び込んでいきます。

しかしそれは、悪夢の始まりでした。開発者、茅場晶彦によって、1万人いるプレイヤーはゲームの仮想世界に閉じ込められてしまいます。仮想世界でHPが0になると、現実世界でも死亡してしまう設定となっており、デスゲームと化した世界をキリトは駆け抜けていくことになるのです。

著者
["川原 礫", "abec"]
出版日

あらすじを見るだけですと、なんだか物々しい激しい戦いのストーリーにも感じますが、それだけが魅力ではありません。

ゲームを攻略していくうえで結成された最強ギルドに「血盟騎士団」というものがあります。キリトは、その副団長であるアスナと最初はいがみ合いながらも、ともに戦っていくなかで絆を深めていきます。そして後半では惹かれ合い、システム上結婚する関係にまで至るという展開です。

この結婚をはじめとして、中盤では仮想世界で生活をしている人たちについて描かれる場面が多くあります。モンスターや人間と戦わなければHPが0になることもなく、のんびりと生活ができる。そうしていれば、たとえゲームの中でとはいえ、恋愛や結婚をするという選択肢は合点がいくでしょう。

ゲームをクリアして現実世界に戻るために、「攻略組」として命を賭して最前線で戦う場面や、カップルやおじいさんおばあさんがほのぼのとした生活をする場面もあります。読者側としても、「自分ならどうするか」という視点でも楽しめる作品となっているのです。

終盤では、キリトと、仮想世界の創造者茅場晶彦との、ゲームクリアを賭けたラストバトルが展開されます。キリトは、このゲームで出会い愛し合ったアスナや、HPが0になり現実世界でも命を落とした全てのプレイヤーの思いを背負って戦うのです。

ただ戦うだけではなく、茅場晶彦をはじめとした仮想世界を作る者と、キリトたちをはじめとした仮想世界のなかで人生を作る者たちの駆け引き。そしてこの1巻は、壮大な物語の序章に過ぎないのです。

2巻:SAOクリアへ!アインクラッド編後半

最前線に立ち、ゲームクリアを目指して日々戦い続ける攻略組のメンバーたち。彼らのように前線で戦わず、死を恐れているプレイヤーたちも、仮想世界の中でそれぞれの生活を送っていました。

小型の竜を使役できるビーストテイマーのシリカ、武器の制作や強化を担当する鍛冶屋のリズベット、謎の少女ユイとサチ。

キリトがゲームクリアをするまでの、彼女たちとの出会いと別れのエピソードが描かれています。

著者
川原 礫
出版日
2009-08-10

ビーストテイマーのシリカや鍛冶屋のリズベットと出会い、おのおのが抱えていた問題や不安をキリトが解決し、その結果それぞれから好意を寄せられます。アスナがメインヒロインなのですが、ちょっとしたハーレム状態です。

しかしただ楽しいだけの生活だけが描かれるわけではありません。ユイは実は人間ではなく人工知能で、プログラムにより消されそうになってしまいますし、プレイヤーのサチはモンスターに攻撃されてHPが0に。現実世界でも死んでしまいます。デスゲームであるSAOの過酷な一面が存在していることを思い出させる一冊です。

3巻:妖精の世界へ!フェアリィ・ダンス編前半

茅場晶彦との勝負に勝利したキリトは、生き残ったプレイヤーとともに2年ぶりに現実世界に帰還します。しかしアスナを含む一部のプレイヤーが未だに帰還していなかったことを知ったキリトは、手掛かりを頼りに新たなVRMMORPGの世界「アルヴヘイム・オンライン」(ALO)へと突入していくのです。

SAOでともに暮らした人工知能の少女ユイや、道中で出会った剣士リーファとともに、アスナがいるかもしれないという、ALOの中心にある世界樹を目指していきます。

著者
川原 礫
出版日
2009-12-10

今回の新ヒロインは、緑の剣士リーファこと桐ケ谷直葉。彼女は現実世界ではキリトの義理の妹ですが、お互いに素性を知らないままALOで出会います。

本作のキリトは、とても強いです。SAOでは、レベルを1から上げて強くなるというものでしたが、ALOではレベル制がありません。現実世界でスポーツをやっていたり、他のゲームのデータを引き継いだりすることができ、キリトはSAOのデータを持っているので強い状態からはじまります。

またSAOで出会ったユイもALOに入ってきて彼のサポートをするので、ますます強くなっていくのです。

4巻:いざアスナのいる場所へ!フェアリィ・ダンス編後半

アスナがいるかもしれないという世界樹の頂点を目指して進む、キリトとリーファ。道中で他のプレイヤーからの妨害を受けながらもなんとか凌ぎ、ついに世界樹の根元にたどり着くことができました。

しかしそこで、キリトが「アスナを助けたい」と言ったために、現実世界でアスナのことも知っていたリーファは、彼が兄であることに気づいてしまいます。2人の関係は果たしてどうなるのでしょうか。

そして、プレイヤーが帰還できなくなっていたすべての元凶、ALOの開発者の須郷との決着の行方は……。

著者
川原 礫
出版日
2010-04-10

リーファである直葉は、義兄であるキリトに好意を寄せていました。しかし、キリトとアスナはゲーム内でとはいえ結婚にまで至った関係。現実世界でも恋人になることを約束しています。

それでもあきらめきれないというリーファの想いに、キリトも困惑してしまいます。一刻も早くアスナを助けたいキリトと、兄への好意を捨てきれないリーファの思いが交錯していく展開に、どんどん惹きこまれていくでしょう。

もちろん最後はメインヒロイン、アスナのためにキリトがALOの世界でも現実の世界でも奮闘し、ハッピーエンドを迎えることになっているので、ご安心ください。現実世界でのキリトとアスナが見たい方にもおすすめの一冊です。

5巻:銃の世界!ファントム・バレット編前半

SAOがクリアされてから1年。ALOでの戦いの果てにアスナを助け出したキリトに、総務省の役人を自称する菊岡誠二郎からとある依頼が届きます。

銃の世界「ガンゲイル・オンライン」(GGO)に出没したプレイヤー、死銃(デス・ガン)が原因で現実世界でも連続して変死体が出ているというのです。キリトは調査するべくGGOの世界へと入っていきます。

そこで出会った女性プレイヤー、シノンとともに、死銃の正体を突き止めることに。しかしそこには、SAOでの忌まわしき因縁が隠れていました。

著者
川原 礫
出版日
2010-08-10

今回の新ヒロインは、ライフル使いのシノンこと朝田詩乃。運がいいのか悪いのか、女性型の外見になってしまったキリトを女性だと思っていて、更衣室で男性だと分かるという最悪の展開になってしまうのです。

シノンはいわゆるクーデレヒロインという立ち位置で、キリトを憎らしく思いながらも心の中では認めていきます。それに対するキリトも飄々とした振る舞いで、憎らしくもかっこよく描かれています。
 

6巻:因縁の対決!ファントム・バレット編後半

銃の世界GGOなのに、剣を使って最強のプレイヤーを決めるトーナメント「BoB」を勝ち進んでいくキリト。その奇抜な戦闘スタイルと、美少女と見紛う容姿で注目を集めていました。

シノンとキリトが参戦する決勝戦。30人のバトルロワイヤルで戦うなか、ついに死銃(デス・ガン)がその姿を現します。果たして本当に仮想世界から現実世界の人間の命を奪うことができるのか。キリトと死銃の勝負を描いた一冊です。

著者
川原 礫
出版日
2010-12-10

死銃とは、SAO時代に殺人を犯したレッドプレイヤーの1人で、キリトの過去の因縁にも関わっています。今作はこれまでとは違い、キリトもシノンも、精神的な面で追いつめられる場面があります。そんな状況のなかでキリトがいかにしてシノンを救うのかも、見どころのひとつです。

そしてクライマックスでは、やはりキリトが胸アツのバトルをくり広げてくれます。銃を剣で弾くというブレない戦いっぷりに、ますます引き込まれていくこと間違いなしです。

7巻:感動必至!マザーズ・ロザリオ編

「死銃事件」から数週間がたった後、ALOの世界に「絶剣」という凄腕の剣士が現れたという噂が届きます。1対1の勝負相手を探していることを知ったアスナは、「絶剣」に勝負を挑みにいくのです。

激闘のすえ、「絶剣」ことユウキと仲を深めたアスナは、ユウキのギルド「スリーピング・ナイツ」に参加することになりました。他のメンバーとも打ち解けていったアスナでしたが、しだいにユウキが抱える哀しい秘密を知ることに。その時、アスナがとった行動とは……。

著者
川原 礫
出版日
2011-04-08

本作では、アスナとユウキの親友としての物語が描かれています。「絶剣」ことユウキは、その名の通り最強の剣士で、キリトでさえも負けているほどの強さを持っているのです。彼女のギルドは、「自分たちだけで階層ボスを倒したい」という目標を掲げており、その最後のメンバー集めのために1対1の勝負をしていました。

しかしユウキは重大な病気を背負っており、猶予が残されていない状態だったのです。さらにアスナにも、母親から有名学校への転入話を半ば強引に進められていました。

そんな時、ユウキがアスナへかけた言葉がこちら。

 

 

「アスナ。ぶつからなきゃ伝わらないことだってあるよ。たとえば、自分がどれくらい真剣なのか、とかね」(『ソードアート・オンライン<7>マザーズ・ロザリオ』より引用)

この言葉に勇気づけられたアスナは、母親へ自分の気持ちを伝え、転入をなかったことにしてもらえるようになります。新たな親友に勇気づけられたアスナが、親へ自分の気持ちを伝える場面が印象的です。

しかしその直後、ユウキの病気が悪化し、死の淵に立たされてしまうのです。最期を見届けるために、アスナやキリトをはじめとしたプレイヤーたちが集結。ユウキを見守る場面は屈指の感動シーンになっており、涙なしには読めません。

 

 

8巻:過去と現在の物語アーリー・アンド・レイト

ゲームにはじめて参加した時のキリトのストーリー「はじまりの日」、SAOの中盤で起こった「圏内事件」、そしてファントム・バレット編とマザーズ・ロザリオ編の間の物語「キャリバー」を収録した外伝版です。

著者
川原 礫
出版日
2011-08-10

今回はSAOでの事件を振り返る過去編と、最強の武器を手に入れるための冒険を収録した番外編となっています。

「はじまりの日」は、SAO開始直後のキリトが、SAOの実験段階であったβテスト時の経験を生かして進んでいくストーリーです。しかし、ある1人のプレイヤーとの出会いにより、結末は大きく歪んでいくことになります。デスゲームとなった仮想世界で生き残るための、人間の本性が見え隠れするような物語になっています。

「圏内事件」では、ダメージが発生せず安全圏であるはずの場所でプレイヤーが死亡するという事件が発生。キリトとアスナがコンビを組んで、事件解決に乗り出します。この時点ではまだ恋人同士ではないですが、アスナが時折見せる恋する乙女の姿が可愛いですよ。

 

 

「キャリバー」では、最強の剣といわれる「エクスキャリバー」を手に入れるために、キリトと仲間たちが奮闘します。手に入れるまでのバトルが多数あり、7巻でのキリトの活躍がより深く理解できるようにになっています。

本編をより楽しむために読んでおいて損のない一冊です。

 

 

9巻:最長編のストーリーアリシゼーション編開幕

2026年6月、キリトは以前GGOの調査を依頼してきた菊岡の紹介で、「次世代フルダイブマシン実験機」のテストダイバーのアルバイトをしていました。そんななか、「死銃事件」の実行犯の1人に襲撃され、劇薬を注射されて昏睡状態になってしまいます。

キリトが目を覚ますと、そこは今までの仮想世界よりもはるかにリアリティのある「アンダーワールド」(UW)でした。そこで親しくなった少年、ユージオとともに、世界の中心を目指していきます。

著者
川原 礫
出版日
2012-02-10

UWという仮想世界は、現実世界とほぼ変わらない風景がくり広げられ、これまでとは一線を画しています。しかし唯一SAOやALOと共通しているのは、システムを活用した剣技「ソードスキル」があるということです。

本作はキリトが事件に巻き込まれ、いきなり別世界に放り込まれるというスタートの切り方。これまで強かった彼が仲間との出会いなどによって1から少しずつ確実に強くなっていく姿が描かれています。

10巻:アリシゼーション・ランニング

キリトとユージオは、途方もない大きさの杉の木「ギガスシダー」を倒すことに成功し、おのおのの目的を持って央都「セントラル・カセドラル」へと向かいます。しかし央都へ入るためには四帝国統一神前大会で優勝しないといけず、そのため2人は北セントリア帝立修剣学院で剣の修行をしていました。

キリトとユージオはそれぞれの専属の先輩との稽古に励み、学院の頂点、上級修剣士を目指していきます。央都と学院での生活を綴ったストーリーです。

著者
川原 礫
出版日
2012-07-10

本編では、キリトとユージオが北セントリア帝立修剣学院へ入るまでの道のりと、学院に入ってからの生活が描かれています。

これまでは何かしらのアドバンテージを持っての仮想世界に入ってきたキリト。このシリーズでは1から徐々に力をつけていきますが、培ってきたソードスキルの力を生かして「アインクラッド流」として振るう場面もあります。また彼持ち前の飄々とした性格も変わりません。

今回の新ヒロインは、先輩キャラのソルティリーナです。キリトが学院に入った際に傍付きとして彼を選びました。いわゆる年上枠にご注目ください。

11巻:後輩の登場!アリシゼーション・ターニング

北セントリア帝立修剣学院に入学してから2年が過ぎ、上級修剣士となったキリトとユージオ。人類最強の称号「整合騎士」となり、おのおのの目的を果たすために修練に励んでいました。

2人には傍付きの後輩、ロニエとティーゼが付き、4人は充実した日々を送ります。

しかしロニエとティーゼに、学院序列1位と2位の下劣な貴族から悪意が向けられ、罠に嵌められてしまうことに。そして2人を助けようとするユージオの目には、奇怪な文字が浮かびます……。
 

著者
川原 礫
出版日
2012-12-08

新しく登場した後輩キャラのロニエとティーゼですが、今までの主要なヒロインの例に漏れず、それぞれ付き従うキリトとユージオに好意を寄せています。

今回の敵は、学院の序列1位と2位の貴族たち。そして彼女らに向けられる悪意を断ち切ろうとするユージオの右目には「SYSTEM ALERT」の文字が浮かびます。これは、他の人に危害を加えられないというUWの掟を破ろうとする際に起きる現象です。

しかしこれを破って攻撃を仕掛けてしまうユージオと、キリトのが助けにくる場面は見どころです。長いアリシゼーション編でも重要な意味を持つ11巻。魅力がたくさん詰まっています。

12巻:整合騎士との戦いの始まり、アリシゼーション・ライジング

他の人間へ危害を加えるという罪を犯したキリトとユージオは、ユージオの幼馴染で、かつて同じく禁忌を犯したアリスと出会います。しかし、以前の面影はどこにもなく、告げられた名前は「整合騎士アリス・シンセシス・サーティ」というものでした。

最高司祭アドミニストレータが住む100層の建物「セントラル・カセドラル」へと幽閉されたキリトとユージオは、牢屋を抜け出して最上階へと向かいます。その道中、人類最強の騎士団、整合騎士団との勝負が勃発するのです。

著者
川原 礫
出版日
2013-04-10

キリトの目的は、現実世界へ戻るために最高司祭に出会うこと。ユージオの目的は、幼い時に禁忌を犯して連れ去られたアリスを連れ戻すことでした。2人は思わぬ形でその目的に近づいたというわけです。

とはいえ、2人は犯罪者。脱出しても、外には強力な整合騎士がいます。しかしここから、アドミニストレータに拮抗する力を持つ、賢者カーディナルの助力を得ての大逆転劇が始まるのです。

今作では最も重要なカギを持つアリスが、敵である整合騎士として登場します。しかも凄まじい強さで、キリトもユージオも、その力の前に圧倒されてしまうのです。キリトとアリスとの激突のなかで、予想だにしなかったでき事が起こり、2人は80階の高さから外へ吹き飛んでしまいます。

先が気になる展開で12巻は幕を閉じます。

13巻:アリスと共闘!アリシゼーション・ディバイディング

セントラル・カセドラルの外へと出てしまったキリトとアリスは、壁をよじ登って中へ戻ることに。その際、意図的に存在していた闇のモンスターの襲撃により、アリスは最高司祭への反逆を決意します。そしてユージオと同じく、右目に「SYSTEM ALERT」の文字が浮かび上がるのです。

一方、キリトと離れ離れになったユージオは、1人で上を目指すことを決意します。そこには、最古にして最強の整合騎士、ベルクーリ・シンセシス・ワンがいました。そして戦いの結末は意外な方向へ……。

著者
川原 礫
出版日
2013-08-10

今回は、絶対的な力を持っており、ユージオにとっても特別な存在だったアリスが味方になります。絶望的な状態から一転させる流れは心躍るものがあります。

一方のユージオは、整合騎士のなかでも最古かつ最強の存在と戦うことに。機転をきかせて、相打ちにもつれ込もうとします。

そこで第3者の介入があり、なんとこんどはユージオが敵側になってしまうのです。果たして勝負の行方はどうなるのでしょうか……。

14巻:最高司祭とのバトル!アリシゼーション・ユナイティング

最上階へとたどり着いたキリトとアリス、ユージオの最終決戦が始まります。

相手は人界最高の術の使い手、アドミニストレータ。さらに彼女が操る、全身剣でできたゴーレムとの戦いに、キリト達3人は押されていきます。親友のため、愛する者のために戦う彼らに勝ち目はあるのでしょうか。9巻から続く長い物語が完結します。

著者
川原 礫
出版日
2014-04-10

今まで揺らぐことなくキリトのそばに居続けたユージオが、まさかの敵となるという衝撃のラストから続く第14巻です。シリーズ上最も長いストーリーを締めくくる巻となります。

ハッピーエンドで終わってくれるのかと思いきや、アドミニストレータを倒すためにユージオの命が失われてしまいます。敵を倒すという目的は果たすものの、その代償があまりにも大きかったために、キリトは心に大きな闇を抱えることに。

そしてその結果が、今後のさらなる展開へと繋がっていきます。この伏線はどのように回収されていくのでしょうか。

 

15巻:世界の存亡を賭ける戦い!アリシゼーション編後半

最高司祭アドミニストレータとの激闘によって、相棒のユージオと自身の心を失ってしまったキリト。整合騎士の1人アリスとともに村のはずれで暮らしていました。

そんな時現実世界では、UWが存在する海に浮かぶ施設「オーシャンタートル」が襲撃されます。そして襲撃者のリーダーが「闇の皇帝ベクタ」としてUWへ侵入。戦いの火蓋が切って落とされます。

著者
川原礫
出版日
2014-08-09

現実世界へと帰還することを目的としていたキリトは、戦いの中で相棒と心を失ってしまい、いつしかUWの存亡を賭けた戦いへと巻き込まれていきます。

かつては敵だったキリトとアリスが1つ屋根の下で共同生活をするという、前半では考えられなかった展開です。

今作ではバトルシーンよりも、戦いの後の生活の様子や、暗黒海軍との戦いの準備の様子が描かれています。

16巻:アスナ参戦!アリシゼーション・エクスプローディング

暗黒海軍の総勢力5万に対し、キリトらの戦力はわずか3千です。圧倒的に不利な状況ですが、キリトを助けようとアスナがUWに現れます。

一方の暗黒海軍は、闇の皇帝ベクタことガブリエル・ミラーの企てにより、アリスを捕らえようとする動きだします。

著者
["川原礫", "abec"]
出版日

今までキリトとぶつかり合ってきた整合騎士たちが、今度はアリスを守るために立ち上がり、闇の軍勢との戦争をするという展開になっています。

本作の魅力はなんといっても、戦い続ける騎士やキリトらを守備する人々のバトルシーンです。またアリスとアスナがキリトを巡って睨み合ったり、ソルティリーナやロニエも参戦したりという場面もあります。

敵側の暗黒軍も、手段を選ばないベクタの非道な戦略に戸惑い、しかし絶対的な力の前に逆らうことのできない苦悩が描かれています。
 

17巻:現実世界の仲間たちが集う!アリシゼーション・アウェイクニング

猛烈な反撃に苦戦した暗黒海軍は、現実世界で兵を徴集し、暗黒海軍として投入するという卑劣な作戦を決行し、これまで以上の不利な状況になってしまいます。

しかしそこに、2人のプレイヤーが舞い降ります。1人はキリトの妹、リーファ。もう1人は狙撃手、シノン。アカウントの力により体制を立て直しつつ、キリトの心に呼びかける仲間たち。果たしてキリトにその声は届くのでしょうか。

著者
["川原礫", "abec"]
出版日

今作はキリトの仲間たちがUWに入ってくるところからスタートします。

しかし敵も相当の強さです。シノンとの戦いでベクタは倒されましたが、その後、ベクタの時よりも圧倒的な力をもったGGOのアカウント「サトライザー」として再び参戦します。その部下のヴァサゴも、SAOのプレイヤーとして参戦したりと、大きく巻をまたいだ展開も見どころです。

 

果たしてキリトは心を取り戻すことができるのでしょうか。

 

18巻:最終決戦!アリシゼーション・ラスティング

圧倒的な暗黒軍の前にためす術がなくなってしまった人界軍。そして敵の魔の手がキリトに襲い掛かろうとします。

その時、キリトの心の中に懐かしい相棒の声が響きます。そしてキリトは、支えてくれた仲間の力で復活し、己のために集まってくれた仲間たちと、この世界に生きるすべてを救うために、因縁の相手との勝負へ向かうのです。

圧倒的スケールのアリシゼーション編が、ここに完結します。

著者
["川原礫", "abec"]
出版日

タイトルにもある通り、この巻がアリシゼーション編のラストとなります。最後は待ちに待ったキリトの大復活からスタート。

ラストにふさわしく、これまでのキャラが総出演します。亡くなったユージオはもちろんのこと、アスナがユウキから受け取ったソードスキルを使ったり、茅場晶彦のコピーが機械に乗り移って登場したりと、全部が見どころです。

アリシゼーション編には、出会いと別れ、冒険と戦い、面白い場面も涙する場面も全てが凝縮されています。今までのSAOシリーズの物語が仮想世界で花開くその時を、じっくりと確認してみてください。

ラストバトルも熱いものになっていますが、敵を倒して終わり、という典型的な流れではないところも注目です。次回作では、現実に戻れなくなっている間のキリトとアスナの物語が描かれています。ぜひまとめて読んでみてください。

19巻:戦いの後の物語ムーン・クレイドル

UWでの大戦後、人界と暗黒界は1つになり、交流を始めていました。しかし、そんななかで突然殺人事件が発生します。解決のため、UWに残ったキリトとアスナは、暗黒界総司令イスカーンの元へと向かうのです。

その夜、イスカーンの娘、リーゼッタが拉致され、解放の条件にキリトの公開処刑が提示されます。キリトとともにいたロニエの活躍でリーゼッタは救出されましたが、果たして敵の正体とは何なのでしょうか。そして、その目的は……。

著者
["川原 礫", "abec"]
出版日

アンダーワールドでは「力の掟」という法則のために殺人を犯すことができないというシステムが存在していますが、そんな中で殺人事件が発生。一体犯人は誰なのかという謎解きの物語が展開されています。

本作の魅力は、キリトの自由奔放な過ごし方。前作までがバトルの連続でしたが、平和なシーンが多く、キリトとアスナの日常が微笑ましいです。

また、キリトに付き従っている後輩のロニエも、今作では活躍します。アスナがいるので、キリトに対して積極的に好意を出しはしませんが、それでも彼のことを想っている節があり、もどかしい気持ちにさせてくれるでしょう。

19巻ではまだ事件は解決はされておらず、今後も新しい巻が発売されることになっています。キリトとアスナが現実世界に戻るまで、どのように生活していくのか気になりますね。

20巻:明かされる真相 ムーン・クレイドル後半

アンダーワールドで起こった、起こるはずのない殺人事件。その謎を解くために立ち上がったキリトとアスナ、キリトの後輩ロニエ、彼女と同じ初等錬士のティーゼでしたが、真犯人の毒牙が彼らに迫ろうとしていて……。

著者
["川原 礫", "abec"]
出版日

前巻で発生した、平和なはずのアンダーワールドでの殺人事件。本巻は、その真相が明かされる謎解き巻となります。犯人が明かされることはもちろん、そもそも殺人事件が起こらないようにシステムされている世界でどうして事件が起きたのかなど、作りこまれた設定に、思わず引き込まれてしまうでしょう。

また本巻では、キリトの付き人であるロニエと、彼女と同じノーランガルス帝立修剣学院の初等錬士であるティーゼが活躍する巻でもあります。特にティーゼが想いを寄せていた相手であり、今は亡きユージオに対する想いを描いた場面はとても切なく、ぐっと胸に迫るものもあります。

他にも、キリトとアスナの甘々な生活など、ストーリーの他にも随所に見どころのある内容です。

いかがでしたでしょうか。作者の川原礫はもちろんのこと、abecの挿絵も素晴らしいものになっています。2017年の2月に劇場版も公開されており、その勢いが留まるところを知らない「ソードアート・オンライン」シリーズ。まだライトノベルを読んだことがない方にもぜひ読んでいただきたい作品です。またアニメで見たことがある方も、原作を読むとより細かいところまで理解できるようになっています。ライトノベル界を代表する作品としてふさわしいものですので、ぜひ1巻から読んでみてください。

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