雨隠ギドのおすすめ漫画5選!『甘々と稲妻』からBL、百合まで

更新:2021.11.27

2016年にアニメ化もした代表作『甘々と稲妻』をはじめ、日常系からBL、百合まで幅広いジャンルを手掛けています。ふんわりとした絵柄と、じんわりあったかくなるストーリーが心に癒しを与えてくれる、雨隠ギドのおすすめ漫画をランキングでご紹介します。

ブックカルテ リンク

多彩なジャンルを手掛ける多才な漫画家・雨隠ギド

「2014年このマンガがすごい!オトコ編」で第8位にランクインした人気作『甘々と稲妻』は、不器用ながらも一生懸命に料理をする父と娘の姿にほのぼのとする一作です。 そんな心温まる日常系漫画を代表とする著者は、実はBLや百合といった、幅広いジャンルを手掛けています。

雨隠ギドの作品の持つ世界観は、やわらかい線とタッチで描かれる、陽だまりのような優しい雰囲気のものから、胸に刺さるシリアスな雰囲気のものまでと多彩です。 しかし、どの作品にも共通し、読後に「幸福感」を感じることができます。 

今回は、読者の心をぬくぬくと温めてくれるような、幸せに満ちた雨隠ギドの代表作をランキング形式でご紹介します。

5位:身体から始まる不器用な初恋ストーリー『青年発火点』

草食系な見ための学は、高校に通いながら、実はエロ雑誌でライターのアルバイトをしています。ある日、同級生にカツアゲされていたところを、下級生の山隈に助けられました。 正義感が強く、腕っぷしも強い山隈は意外にもうぶな性格で、恋愛ごとに疎く、学の書いたエッチな記事にも過剰に反応してしまいます。 

うぶな山隈に免疫を付けさせようと、世話を焼こうとする学。AV鑑賞からはじまった二人でしたが、だんだんとエスカレートしてく行動、縮まりすぎた距離間に、次第に理性を抑えられなくなった山隈は、学を押し倒してしまい……!?

著者
雨隠 ギド
出版日
2014-06-30

同性同士の性行為への後ろめたさと、相手に対する好意が絶妙に織り交ざる、学と山隈の危うい関係性にどんどん引き込まれていきます。秘密の関係を保持していられず、突然の別れがやってくる衝撃の展開にも目が離せません。結末まで一気読みしてしまうことでしょう。

男子高校生の初々しさが垣間見えるエッチシーンは、見どころの一つ。拙いながらも、気持ちよさを感じ合いながら行為に耽るシーンは、思わず「萌える!」と叫びたくなるほど、悶絶必至です。更に、雨隠ワールド全開の、胸キュンなモノローグが要所要所に散らばっていて、終始トキメキが止まりません。 

快楽と楽しさという衝動から始まった関係性に、恋愛感情が複雑に絡み合っていく、思春期の瑞々しいやり取りが凝縮された一冊です。

4位:BL×ミステリー!難解な恋のロジックを解き明かす『密室の密かな星』

主人公は、幼少期に誘拐事件に巻き込まれたことをきっかけに探偵になった鵜飼。ある日、鵜飼の探偵事務所の隣に、新しい探偵事務所が開業します。お隣さんの正体は、何と高校時代の同級生、近道でした。

高校時代、仲の良かった近道との再会を喜ばしく思ったのも束の間。同業者がお隣だと商売がやり難いことこの上なく、鵜飼は近道に引っ越すように抗議します。しかし、近道は軽く受け流してしまうどころか、さり気なく鵜飼の事務所に居座り始める始末。

本作は、「探偵」二人が登場するお話なので、物語にはいくつかの謎が散りばめられています。鵜飼が暗闇が苦手なことや、鵜飼が部屋に蛍光の星型シールを貼っていること、近道が高校時代鵜飼を避けていたことなど……。様々な謎のピースの欠片が、読み進めていくごとに埋まっていきます。

著者
雨隠 ギド
出版日
2012-10-30

この本を、ただのBL作品と評してはいけません。ストーリーテラー雨隠ギドならではの、仕掛けがたっぷり詰まった一冊です。ストーリーの中の謎が徐々に紐解かれていく様が、とても繊細に描かれています。また、ツンデレな鵜飼と、飄々とした性格の近道という二人の魅力も相まって、より一層物語に引き込まれるでしょう。

普段は、明るく前向きな性格の鵜飼。しかし、幼少期の出来事のせいでトラウマを抱えてしまっているという、脆い一面が垣間見える瞬間がたまりません。対して、近道は鵜飼への思いを胸の奥に仕舞い込んで、何でもない風な態度で彼に接します。物語が進むにつれて、近道から鵜飼への、深い愛情が見えていく様子は必見です。

丁寧に伏線を張ったストーリーの結末を、是非その目で確かめてみてください。

3位:珠玉の物語が詰まった、雨隠ギド初の百合短編集『終電にはかえします』

学校のミスコン優勝を狙える程の美少女・あさきは、通学電車の中で盗撮されそうになったところを、プリン頭でヤンキーのような見た目の後輩・ツネに助けてもらいます。外見のせいもあってか、クラスで浮いているツネ。そんなツネが、自分にだけ懐いている状況に気分を良くするあさきです。

休日に遊びに出かけたりと一緒に過ごすうちに、二人の仲は一層親密になっていきます。しかし、どんどんと季節は過ぎ、先輩のあさきの卒業が間近に迫ります。そんな中、あさきの些細な言動で、二人は気まずい関係に陥りそうになり……。焦ったあさきは、ツネが愛しいという気持ちを、思い切って告白しました。その告白に、ツネが思わず大粒の涙を零す姿に、ぎゅっと胸が締め付けられます。

表題作「終電にはかえします」をはじめ、全6篇の短編漫画が詰まった、雨隠ギド初のガールズラブ短編集です。

著者
雨隠 ギド
出版日
2013-11-30

友達以上の特別な気持ちを抱いてしまう、女の子同士の甘酸っぱい恋愛模様に何度もキュンキュンしてしまう短編集です。正反対の見た目なのに惹かれ合ってしまう年の差の不器用な恋や、仲の良い友情関係の一方通行の三角関係、幽霊と少女の秘密のやり取りなど。どのお話もしっかりとしたテーマ性があり、短いページ数ながら、胸に響きます。

雨隠ギドの描く少女たちは、表情豊かで可愛らしいキャラクターばかりです。細く繊細な線なのにしっかりとしたタッチは、「百合」というジャンルを手掛けるのに最適。想い合う少女たちの、恋する横顔に目が離せません。

2位:素直になれない不器用な関係に萌える!『悪人を泣かせる方法』

主人公の譲は中学時代、怪我を負ってぼろぼろだった高校生、鷹尾に一目惚れをしてしまいます。

実は、鷹尾の性格には難があり、またお金が大好きなど、一癖も二癖もある曲者でした。しかし、恋に落ちた譲は彼との距離を縮めたいと思い、強引に家庭教師になってもらいます。ただ、その日常もバイト代が続かず、ほどなくして疎遠になってしまいました。

数年後、大金持ちになった譲は、鷹尾と再会を果たします。譲は、稼いだ60億円を好きに使っていいと口実を付け、鷹尾に迫りますが……!?

著者
雨隠 ギド
出版日
2011-11-25

執着心が強く一途過ぎる攻め・譲の、ちょっと行き過ぎた愛情がたまりません。一目惚れの相手の鷹尾が、どれだけ癖の強い人間でも、好きになった相手の側にいたいという真っ直ぐな気持ちは、キュンと来るものがあります。対して、受けの鷹尾はワケ有りの事情を抱えており、性格や金好きなところもその「ワケ」がわかった時、読者はグッと彼の魅力に引き込まれます。

お互い、トラウマや事情を抱えながらも惹かれ合っていく過程には、もどかしさと切なさが詰まっています。シリアスなテーマながら、雨隠ギド特有のほのぼのとしたコミカルな演出もあるので、重たくなり過ぎず、キュンキュンしながら読めるでしょう。

前作『恋まで百輪』のスピンオフ作品になるので、こちらと合わせて読むと人間関係の深みが増し、一層楽しめること間違いありません。

1位:真似したくなるレシピがいっぱい!雨隠ギドの代表作『甘々と稲妻』

妻を亡くし、失意に暮れる犬塚親子。高校教師の犬塚公平は、ほとんど家事もしたことがなく、料理なんてもってのほか。ご飯もコンビニ弁当ばかりの日々を送っていました。

そんなある日、愛娘のつむぎと花見に出かけた犬塚は、教え子の飯田小鳥とバッタリ出会います。彼女に手作りのお弁当をおすそ分けしてもらい、手作り料理の美味しさ、大切さに目覚めるます。小さな愛娘つむぎのために、美味しいご飯を作らなければと、気付くのでした。 

犬塚親子を中心に、つむぎの通う星山幼稚園のクラスメートたち、犬塚の教え子飯田小鳥、小鳥の友人小鹿しのぶ、犬塚の友人八木祐介など、個性的なキャラクターが織り成す、愛情いっぱいの日常系ハートフルストーリーです。

著者
雨隠 ギド
出版日
2013-09-06

雨隠ギドの代表作とも言える作品で、今まで出版されたコミックスの中では最長の長編漫画です。ふんわりとした優しい絵柄にピッタリの、愛しさと切なさが詰まっています。

第1巻では、土鍋で炊いたご飯が登場。ご飯を炊いただけというシンプルなものでも、半年前に妻が亡くしてからコンビニ弁当ばかりだった犬塚親子にとっては、手作りの味わいがじんわりと胸を満たす、絶品の料理でした。

この漫画のポイントは「料理ができない人たちが、料理にチャレンジする」ということ。グルメ漫画では珍しいこの題材には、思わず真似したくなる簡単レシピが盛りだくさんです。

また、娘のつむぎが一生懸命に料理のアシスタントをしてくれる姿が可愛いらしく、思わず笑顔になってしまいます。 一生懸命作った手料理を、笑顔で頬張る犬塚親子に癒される、そんな愛しいお話です。

『甘々と稲妻』については<漫画『甘々と稲妻』の見所を最新10巻まで全巻ネタバレ紹介!>で紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。

いかがでしたでしょうか?雨隠ギドの手掛ける作品では、日常、BL、百合、幅広いジャンルをまるっと楽しめます。あたたかで優しく癒される作品を、是非一度読んでみてください。

  • twitter
  • facebook
  • line
  • hatena
もっと見る もっと見る