椎名優がイラストを手掛けるおすすめラノベ5選!彩色がとても綺麗!

更新:2021.11.9

透明感のある色使いが美しい椎名優のイラスト。ストーリーを効果的に盛り上げ、登場人物を読者のイメージ通りに具現化するそのイラストは男女共に人気があります。今回は椎名優のイラストが存分に堪能できるライトノベル5冊を厳選し、ご紹介しましょう。

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コミックも手掛ける人気イラストレーター椎名優

椎名優はフリーランスとして活躍する人気イラストレーター。その作風は繊細かつ流麗で、色彩が特に美しいことで知られています。

活躍の場所はライトノベルや児童書の挿絵、ゲームパッケージ、キャラクターデザインなど多岐に渡っています。また、イラストだけでなく自らがストーリーを手掛けた漫画も刊行するなど、多才なことでも有名です。

小学生の頃より絵を書くことが好きで、高校時代にはイラストコンテストに投稿していたという椎名優。当初勤務していたゲーム会社では「プリクラ大作戦」というアーケードゲームのキャラクターデザインを担当します。

その後、「自分自身の絵の評価が知りたい」という理由で会社から許可を得て第5回電撃ゲームイラスト大賞に応募。見事金賞を受賞し、本格的にイラストレーターとしての道を歩み始めました。

椎名優がイラストを手がけた、本好きが贈る本好きのための物語

小説投稿サイト「小説家になろう」でweb小説として連載していたものを書籍化し、椎名優がイラストを担当したビブリアファンタジーです。

本が大好きな主人公・本須麗乃は、大学図書館への就職が決まった日に死んでしまいます。本に対する未練をたっぷりと抱えた麗乃は、書物がほとんど存在しない異世界の5歳児・マインに転生しました。

本に触れることが難しい世界は、麗乃(マイン)にとっては苦痛この上なく……。彼女は本に囲まれた生活を夢見て本を作ることを決意します。

著者
香月美夜
出版日
2015-01-25

「本好きの下剋上」シリーズはWeb小説のため、書籍版のイラストは物語の世界観が出来上がってからの後付けです。しかし色彩に定評のある椎名優のイラストは、イメージを壊さないどころか、世界観に更なる深みを加えることに成功しています。

この物語の主人公となるマインは、書籍もロクにない世界に生きています。よって「自然のもの」「素朴なもの」が多数ストーリーの糧として登場。そのような素朴で愛らしいアイテムたちが、椎名優の色彩感覚によって更にみずみずしく、温かみのある背景の一部として、物語に彩を添えているのです。

主人公の強い思い、そして努力には読み手側も一緒にワクワクドキドキさせられます。そして、本が当たり前に手に入る時代を生きている私たちがどれだけ恵まれているのか、本というものの根本とは何であるのかをふと考えさせられることでしょう。

本好きにはたまらないストーリーとなっていますので、ぜひ紙で、椎名優のイラストと共に読んでみてくださいね。

可愛い死神とリンクする4つの魂が紡ぐ物語

普通の少女のような死神が扱う、4つの死を描いた連作短編集です。物語はそれぞれ、違う人間の違った死を取り扱っていますが、4話ともリンクしています。

血液の病に侵され半年前から入院している少年がいました。ある日の夜中、その少年の前に白Tシャツにデニムスカート姿の少女が現れ、自分のことを「死神」と名乗ります。そして、少年は本当は先ほど死ぬ予定で、月ごとに集める魂の「ノルマ」のために3日ほど勝手に寿命を延長したというのです。

すでに生きることへの興味も失せていた少年が迎える死とは……?

著者
河野 裕
出版日
2012-03-31

この作品に出てくる死神は、読者が持っているであろう死神のイメージを180度覆すような容姿、そして考え方の持ち主です。着ているものはユニクロの白Tシャツとミニデニムスカート。黒を着ないのは暑いからで、ユニクロを選んだ理由は安くて丈夫だから、と説明します。

そして死神である彼女の仕事は、「ペットボトルのリサイクルのように魂のきれいなところだけを寄り集めてまた新しい魂にすること」でした。

椎名優が描く少女のイラストは、妙に納得できるような、違和感があるような、そんな曖昧な雰囲気を絶妙に描き出しています。文章を読むだけでは逆に想像しずらい、どこにでもいそうな少女の容姿をした死神。画を見てストーリーを読み進めることで、「自分の元にもいつかこんな死神が現れそう。」とも思えるリアルさがあります。

死神の物語なので、各ストーリーには必ず死が訪れます。しかし作中の死は「悲しい」や「寂しい」といった印象を読者に与えません。どれも清々しい温かい気持ちとなる最期ばかりです。

生きる事、そして自分のエンディングを考えさせられる、読みやすいながらも深い一冊です。

椎名優の漫画も見られる!悪夢から始まるホラーファンタジー

東京郊外にある高校のとあるクラスから始まる、ちょっぴり怖いホラーファンタジー小説です。

主人公は父親の死以降、悪夢に悩まされる高校2年生の岸杜直人。ある時直人のクラスで、クラス全員が同じ夢を見て、しかもその夢で「赤い目の怪物」に喰われたクラスメイトが目を覚まさなくなる、という不思議な現象が起こります。

眠ったままのクラスメイトを助けるため、幼馴染の久世綾乃と「夢」について調べ始める直人。すると、直人の夢にだけ特別な扉があることに気づきました。

著者
三上 延
出版日
2008-01-10

物語は主人公、そしてそのクラスメートたちの悪夢が現実に浸食してくるホラーストーリーです。そのため、表紙絵のような愛らしいイラストだけでなく、口の中から人の指が這い出てくるシーンなどの少々生々しい挿絵なども挟まれています。
 

本書は「ビブリア古書堂」シリーズで有名も作者・三上延が書いたから、という理由で手にされることが多い作品です。しかし「ビブリア古書堂」シリーズとは全く趣が異なる、濃いホラー要素が含まれていますので、苦手な方は注意してください。

一方、椎名優のイラストに着目した場合には特におすすめしたい作品となります。冒頭ではさっそく数ページの漫画を挿入されています。漫画の内容はストーリー導入部分のダイジェスト版となりますので、それのみではおそらく意味がわかりませんが、不思議と本文を読む前からストーリーにグッと引き込まれてしまうでしょう。

コミックも刊行しているイラストレーターの椎名優だからこそ、実現できたポイントを突いた漫画となっています。しかもカラー仕様のため、色づかいも思う存分堪能することができますよ。

ちょっと怖いイラストが堪能できる、椎名優ファンにおすすめの一冊です。

椎名優の色彩感覚を堪能!五感でつながる青春ストーリー

不思議な能力を持つ高校生男女を描いた王道青春ラブストーリーです。

内気で他人とコミュニケーションをとることを苦手とする主人公・水上瞬。彼は小学生の頃からまったく知らないはずの「まゆこ」という少女の五感を感じ取り、共有するようになっていました。視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚そしてまゆこの感情までもを体感しながらも、実在の有無さえ分からない日々を送っていました。

しかし高校生となった瞬は、修学旅行先で見かけた少女をまゆこだと確信します。数少ない友人に協力してもらい何とか接触を図りますが……。

著者
志茂文彦
出版日
2014-07-30

とても内気でコミュニケーションをとることが苦手な主人公・瞬と繭子。内向的な2人が一歩ずつ歩み寄っていくという、懐かしいような、もどかしいようなストーリーとなっています。そこに華を添えているのが椎名優の見事な色彩のカラー画、そして繊細な挿絵です。

この物語にキーワードとして登場する紫陽花。多数のイラストを手掛けている中でも色彩感覚に定評のある椎名優が描くのにベストマッチした作品と言えるでしょう。

また、著者の志茂文彦が紡ぐストーリーも椎名優のイラストに負けないくらい繊細で、多感な高校生の心情を十二分に表現しています。そして瞬や繭子だけでなく、脇を固める友人たちの人物設定、感情の描き方も絶妙です。

ライトノベルとして発売されながらも文学色の強い、読書好きにピッタリな読み応えのある一冊です。

竜騎士が台頭する世界の学園ファンタジー

機械文明が滅び、人間が竜と共に時代を歩むようになった世界を舞台とする学園ファンタジー小説です。

主人公のジャン・アバディーンは、王位を継承するはずだった優秀な双子の兄と父、そしてアバディーン王国を、襲撃してきた機械の竜に滅ぼされてしまいます。部隊を指揮した「黒の鉄姫」への復讐を誓いつつも、その復讐方法がわからず孤児院で悶々とする日々を送っていました。

そんなある日、ジャンは金髪の少女・ティアナから、名門の騎士学院に偽装入学させると言われますが……。

著者
三上 延
出版日
2009-08-10

「最初に書き始めた時から、椎名さんの絵だったらと思っていたのでとても嬉しいです」(『偽りのドラグーン 』あとがきより引用)

と作者・ 三上延が書いている通り、ストーリーと椎名優のイラストがとても自然にマッチしている作品です。ホラーファンタジー小説である『 モーフィアスの教室』と同じ作者の作品となりますが、本作は城や、凛とした美しい男女のイラストが多数登場しており、男性はもちろん女性にも好まれる作品となっています。
 

少し出来の悪い主人公が、出来の良い兄や父の復讐のために、兄に成り代わって学園生活を送るという清王道ストーリーですが、その王道たる展開がとても心地よく読みやすいでしょう。またイラストを見ただけで重要なネタバレとなるような美少年・クリスの入浴シーンや、ティアナが衝撃の一言をジャンに告げるラストシーンなど、小気味よい小さな出来事の積み重ねが効いています。

ラストシーンが気になり、つい次巻を手に入れたくなる一冊です。

カラーイラストに特に定評のある椎名優がイラストを手掛けるライトノベル小説を5冊ご紹介しました。どれも色彩豊かで愛らしい少女が表紙絵となっていますが、その挿絵では各作品ごとに生々しいホラー特有のイラストが楽しめたり、王道の愛らしいイラストが楽しめたりと様々です。ぜひ小説のストーリーだけでなくそのイラストにも着目して本を選んでみてください。普段と違う読書が楽しめますよ。

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