『ジョジョの奇妙な冒険』好きにおすすめの漫画5選!

更新:2021.11.25

『ジョジョの奇妙な冒険』は連載開始から30年以上経った現在も、読者を惹き付けてやまない名作です。特に特殊能力の駆け引きや知能戦が魅力といえるでしょう。今回は「ジョジョ」に見劣りしない能力バトル漫画5作をご紹介していきます。

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頭脳派バトル!最強を「イメージさせる」!

主人公の白柳啓(しろやなぎあきら)は、ゲームが趣味の高校生です。非常に高い知能を持っており、勉強なども理論や効率を見出して難なくこなしてしまいます。

刺激のない日々に飽き飽きしていた彼はある日、謎の包帯男に襲われます。機転を利かせて辛くも難を逃れたものの、直後にマジシャンの格好をした女によってどこかに連れ去られてしまいました。

それが、彼が待ち望んでいた刺激的なゲーム、能力者同士による熾烈な戦いの始まりでした。

著者
出版日
2016-02-26

本作は2015年からWebコミックサイト「裏サンデー」および漫画アプリ「マンガワン」で連載されている、はらわたさいぞう原作、みやこかしわ作画の作品。元々原作者がWeb上で連載していた同作を、商業ベースでリメイクしたものとなっています。

タイトルが若干出落ち気味ですが、中身はしっかりとした能力バトル。ジャンルは分類するならデスゲームの一種で、選出された参加者が本人の同意に関わらず閉鎖空間に集められ、わけもわからぬまま戦いあうのです。

ここまでは少しありふれた設定ですが、本作では、参加者それぞれが個別に異なる特殊能力が与えられています。

なかでも最大のポイントは、主人公啓の能力でしょう。それは、対戦相手が啓の能力だと思った能力が使える、というもの。特定の定まったものではなく、変化し、しかも相手に依存してしまう力です。下手すればなんの能力も発揮できないわけですから。

そこで活きるのが、啓の高い知能です。策略を張り巡らせて、どんな相手にも有利な力を発現させていきます。一般人相手ならこうはいきませんが、何しろデスゲームという特殊環境下で、全員がなんらかの能力持ちだとわかってる状況なため、コツさえ掴めばそう難しくありません。

そうは言っても一歩間違えれば命取りになりかねないので、彼は参加者にも目星を付けて、仲間に引き入れます。それがヒロインとなるユーリこと天翔優利(あまがけゆうり)。彼女もまた参加者なので、思い込ませれば啓はその能力が使用可能になるのです。この啓の駆け引きは見応え抜群です。

それはまさしく世界を支配する力!

10年前、謎の大破壊で人類は滅亡の危機に立たされました。かろうじて復興しはじめた世界に、能力者(オーダー)と呼ばれる者たちが出現し始めます。

主人公の星宮エイジもそのひとりでした。そして彼こそが、オーダーとなって「世界支配」を願ったことで大破壊を引き起こしてしまった、張本人です。

暗い過去を背負い、不治の病になった妹の瀬奈と暮らしていたエイジのもとへ、紅鈴(くれないりん)という少女が現れたことで物語が動きはじめます。

エイジは支配の能力をもって混乱の世界を平定し、平和をもたらすべく決意を固めました。

著者
えすの サカエ
出版日
2011-12-22

本作は2011年から「月刊少年エース」で連載されていた、えすのサカエの作品。異能力サスペンスで一世を風靡した『未来日記』の作者が送る、少年向けバトルファンタジー漫画です。

作者自身は、サスペンス色の強かった前作から軌道修正をおこない、王道の少年漫画を標榜して本作をスタートさせました。実際にど派手な能力バトルモノとして成立しています。しかし、それでもどこか陰謀とサスペンス要素が拭いきれず、結果として『未来日記』テイストを感じさせる異色のバトル漫画となりました。

主人公エイジの能力は「拘束する支配者(バインドドミネーター)」。彼が歩いた場所が彼の領土となり、その領土内に存在するあらゆる物体や法則に命じて、支配下に置いてしまいます。命令する必要があるのが欠点ですが、きわめて強力な力です。10年前の大破壊は、この能力が範囲無制限に暴走してしまった結果でした。

オーダーは自然に目覚めるものではなく、DAISY(デイジー)という謎の少女によって生み出されます。神出鬼没のデイジーは、人の「願い」を核にして能力を授けるのです。

見どころは、なんといってもオーダー同士のぶつかり合い。能力発動中に現れる「化身」のビジュアルは迫力満点です。エイジの力は圧倒的ですが、意識外だったり予想外の攻撃は防ぐことができません。「ジョジョ」のスタンドバトルに通じる要素です。

エイジを狙って次々に現れるオーダーたち。彼らの目論見とは?そしてオーダーを生み出すデイジーとは何者なのか……?果たしてエイジは、大事な妹のために平和な世界を取り戻せるのでしょうか。

退廃した世界のお気楽ほのぼのダークファンタジー!

雨の降る街、「ホール」。そこは魔法使いの使う黒いケムリによって囲まれた世界です。そこに住む普通の人々は、時折外側の世界から訪れる魔法使いの実験台にされていました。

そんな魔法使いを狩って回るのが、主人公のカイマンです。彼はとある魔法使いに記憶と素顔を奪われ、トカゲ頭となってしまいました。カイマンは自分を取り戻す手がかりを探すため、魔法使いと敵対しているのです。

一方、魔法使いの世界では魔法使い狩りが問題視されていて、巨大組織のボスである煙(えん)が打倒魔法使い狩りに動きはじめます。こうして2つの視点を行きつ戻りつしながら、物語の謎は深まっていきます……。

著者
林田 球
出版日

本作は2000年から「月刊IKKI」、「ヒバナ」で連載されていた林田球の作品。エロもグロもスプラッターもあるダークファンタジーですが、妙に緩い空気の漂う不思議な世界観をしています。

主人公のカイマンは魔法使いの被害者で、復讐者です。ところが記憶がないせいか、魔法使いに執着する割りにはドライ。リアル調のトカゲ顔が恐ろしくもありますが、慣れてくると愛嬌が感じられます。

変なキャラはカイマンだけではありません。本編は暗くて退廃的な画風で描かれるのですが、登場するキャラが敵味方問わず明るく、抜けているのです。人間を実験台にする、本来ならおぞましく感じるはずの魔法使いですら、どうも憎めません。

かつて魔法使いに襲われた影響か、カイマンには魔法が効かず、不死身に近い再生能力を持っています。さらに彼の口の中には、正体不明の謎の男(の頭部)がいるのです。カイマンは突出した戦闘能力と、口の中の男の判別によって、目的の魔法使いを探していきます。

魔法使いとひと言で言っても、普通我々が思い描くものとは趣が違います。彼らは万能ではありませんし、基本的に呪文を使うこともありません。ケムリと呼ばれる黒煙状の物質を精製し、それを媒介にして能力を行使する、人間によく似た別人種といえるでしょう。彼らには彼らの理屈と信条があって、それがまた物語に謎と深みを与えています。

ホールに住み魔法使いを探すカイマンサイドと、魔法使いの世界に住みカイマンに迫る煙サイド。魔法使い狩りを軸に両者の行動が交錯し、魔法と魔法使い、そしてホールの成り立ちについて描かれていきます。

『ドロヘドロ』については<『ドロヘドロ』最終回までの5つの魅力ネタバレ考察!秀逸な世界観にハマる!>の記事で詳しく魅力を紹介しています。

こんな漫画、誰もが知っているのに見たことない!

主人公の国分寺イクオは、祖父から古書店を譲り受けたことを除けば、ごくごく平凡な高校生でした。ところがある日、彼は黒いマントの奇妙な男に付け狙われます。イクオを捕らえたその男は、「魅宝(たから)」なるものを探していました。

窮地に立たされたイクオを救ったのは、なんとセーラー服の少女。日本刀を携えた八坂七星(やさかななせ)は、自分は魅宝の守護者だとイクオに告げます。

そこから始まる「能力者(カテゴライズド)」との戦いの日々。自身も「刀鍛冶(ソードスミス」の能力者である七星は、古書店に隠された魅宝を守るため、イクオと同居を始めるのでした。

著者
ドリヤス工場
出版日
2012-07-27

本作は2011年から「月刊ComicREX」で連載されていたドリヤス工場の作品。

巻き込まれ型の主人公で、可愛い(?)少女がパートナーとなって、次々と現れる刺客を能力バトルで倒していく……と設定は実にありがちなものです。能力名はすべて「格好良さげな単語+カタカナのルビ」となっており、これらだけ見るとティーンエイジャー向けのラノベのようでもありますね。

しかし、彼らの異彩を放つ見た目が、そんなありがち作品とは一線を画しています。本作は誰がどう見ても、妖怪漫画の巨匠、故・水木しげるのタッチ。ドリヤス工場は、水木しげるの筆真似をさせれば天下一として知られる作家なのです。昭和の香り漂う水木しげる「風」の人目を引くそのビジュアルが、ありがちな設定を異次元の味わいへと変化させています。

触れた金属を操る「刀鍛冶(ソードスミス)」に、戦士の霊を召喚する「戦乙女(ワルキューレ)」、コウモリに変身できる「半吸血鬼(バンパイアハーフ)」……散々どこかで目にしたこれらの能力が、水木しげるキャラによって使われると、シリアスな場面なのになんとも言えない面白さに早変わりしていくのです。

やがて主人公のイクオ自身も、相手の能力を1度だけコピーできる「1度だけ複製(コピーアットワンス)」に目覚めることになります。そこからは意外と切れ者のイクオが、知略戦を展開していくのですが……

視覚情報で得られる印象は本当に大事なんだなと心の底から思い知らされます。ぜひ一読して体験してみてください。

元祖能力バトル!異能忍者大戦絵巻

時は江戸、徳川の御代に2つの忍びの里がありました。長きにわたって対立する甲賀と伊賀です。両家はいがみ合っていましが、次代を背負う跡取りたちだけは別でした。甲賀と伊賀それぞれの頭領の孫、甲賀弦之介と朧は、将来を誓う仲だったのです。

ところが、徳川のお家問題が勃発。2派に別れた後継派閥は、甲賀者と伊賀者による代理戦争によって勝利した方が世継ぎとなる取り決めがされました。愛し合う2人の運命やいかに……。

著者
せがわ まさき
出版日
2003-05-02

本作は2003年から「ヤングマガジンアッパーズ」で連載されていた山田風太郎原作、せがわまさき作画の作品。2005年にはアニメ化もされました。

主人公の設定はまるで、かの悲劇の名作『ロミオとジュリエット』ですが、瞳術、幻術、かまいたち、そして変身など、忍法乱れ飛ぶ痛快アクション巨編となっています。ベースになっているのは山田風太郎の時代小説、『甲賀忍法帖』です。エピソードの補完や改変、出来事が前後することはありますが、基本的には原作どおりです。

驚くべきことに、原作の『甲賀忍法帖』が発表されたのは1958年のこと。およそ60年前に書かれた小説が、ほとんどそのまま漫画化されたということです。今でこそ「ジョジョ」を筆頭とする異能バトルは珍しくありませんが、それが半世紀以上も前のことなら話は別でしょう。言ってしまえば本作は、異能バトル漫画の原点なのです。

忍者の対決は10人対10人と、見ようによっては「ジャンプ」お約束の武道会形式。何から何まで、山田風太郎の先見の明には舌を巻かされます。原作小説に忠実でありつつ、原作よりもダイナミックに表現された異能忍者バトルをご堪能あれ。

いかがでしたか?不思議で奇妙な物語の数々、未読の方もそうでない方も、ぜひとも冒険心に導かれるままページをめくってみてください。

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