『あちらこちらぼくら』はBL…?無料で読める日常漫画の魅力ネタバレ紹介!

更新:2021.11.11

BLのようでそうでない、たなと渾身の日常漫画『あちらこちらぼくら』の魅力をご紹介します!スマホの漫画アプリで無料で読むことができるので、気になった方はチェックしてみてください。

ブックカルテ リンク

たなと作『あちらこちらぼくら』が無料!腐的にジャンル分けに困るおすすめ作品をネタバレ紹介!

『あちらこちらぼくら』は、BL作家として活動しているたなとが描く、男子高校生の日常生活です。

読んでみるとBLなのかなと思いきや、あまり恋愛要素は入っていなかったり、でもやっぱり友情というには少し行き過ぎていたり、どっちなの!と妙なドキドキを感じられる作品です。

ぐいぐい距離を縮めてくる真嶋に対し、当初は戸惑っていた園木が徐々に心を開いていったり、自分のことを真嶋に話せるようになったりする姿は、つい応援したくなる可愛さがあります。

真嶋はただ仲良くしたいだけなのか、そこに恋愛感情はあるのか、また彼に対しての園木の反応にはどういった意味が込められているのか……BLっぽいけどそうとも言い切れない雰囲気なのです。

この記事では、BL好きな方もそうでない方も楽しめる本作の魅力をお伝えしていきます。ネタバレも含みますのでご注意ください。

著者
たなと
出版日
2015-10-07

『あちらこちらぼくら』はBLではない……?【あらすじ】

『あちらこちらぼくら』はBLではない……?【あらすじ】
出典:『あちらこちらぼくら』1巻

ヤンキーでクラスでも目立つタイプの真嶋と、地味めなボウズで天文部の園木は高校生。真嶋は同じクラスになった園木に興味を持ち、仲良くなろうと奮闘します。

しかし、真嶋が園木に初めて声をかけた時に無視をされたり、真嶋のメール攻撃に園木が疲れてしまったり……果たして園木は真嶋に心を開いてくれるのでしょうか。

真嶋の周りに集まるヤンキーな友達と、園木の周りの真面目な天文部の仲間たちのなにげない日常会話も必見です!

『あちらこちらぼくら』の面白さをネタバレ紹介!でもやっぱBL?期待してしまう距離感

 

本作の魅力は、なんといっても真嶋と園木の近すぎる距離感です。

2年生になったクラス発表の日、天文部のキョーコさんと話していた真嶋は、彼女と同じ部活の園木という生徒が真嶋と同じクラスになったと教えてもらいます。

キョーコさんに「いいやつだからいじんないであげてね」と言われ、真嶋は顔も知らない園木に興味を持ちました。

その日の放課後、たまたま園木を見つけた真嶋は彼のあとをつけることに!

CDショップに入った園木を、店の外で待つ真嶋。この時点でもう恋の予感が漂うのですが、本人はそんなつもりはなく、ただ声をかけてみたかっただけのようです。

それからというもの、真嶋は園木を見つけるたびになんとなく声をかけるようになりました。園木は彼の勢いに押され、ついつい自身の「どこも見ないで歩く癖の話」や「坊主だから野球部と間違えられる話」などをしてしまい、はからずも真嶋にどんどん興味をもたせてしまいます。

しかし園木自身は真嶋のことを、誰にでも気軽に声をかける「そういうヤツ」だと認識していました。

ある日、連絡先を交換したふたり。それからというもの、まるで恋する乙女のように、真嶋は毎日園木にメールを送るのです。

3連休中に園木が携帯を1度も触らなかったときには、生きているのかと心配してメールや着信をくり返します。やっと電話に出た園木が「風邪をひいていた」と言い訳をすると、なんの疑いもなく心配し、その優しさは本当に友情なの?と読者は疑ってしまうのです。

さらに、一緒にカフェに行ってケーキを食べさせ合うシーンがあり、これは見かけた女子からも「デートしていた」と言われるほど。

また勉強をしている園木の坊主頭を触ろうとするシーンは、まるで時が止まったようで、このままキスをしてしまうのではないかとついドキドキしてしまう距離感です!

 

『あちらこちらぼくら』の面白さをネタバレ紹介!学生時代特有の表現がうまい!

真嶋のようなヤンキー男子も、園木のような地味め男子も、どこにでも存在するような高校生として描かれています。

真嶋の友達もやはりやんちゃで目立つタイプが多く、学年集会で体育館に集まるときには入口に輪になって座り込んだり、学校帰りにマックに寄るときにはどんどん誘う人が増えたりと、高校生活を謳歌している様子がうかがえます。

一方の園木は、教室でひとりで眠っていたり、学校帰りもひとりでCDショップに寄ったり、教室で誰かに話しかけられると異様に疲れてしまったりと、数少ない友達とクラスが離れてしまい悲惨な状況です。

「所詮住んでる世界が違うっていうか。
関わりたくないっていうか……関わる由も無し……」(『あちらこちらぼくら』1巻より引用)

これは、真嶋に絡まれるようになった園木が、彼のことを見た目で判断し、おそらく自分は一時的にいじられているだけだろうと思っているときの様子。これまで派手な友達と関わってこなかった園木は、自分と真嶋のことを勝手に「あちら側」と「こちら側」に分類してしまっているんですね。

思春期特有の自意識に、共感してしまう読者も多いのではないでしょうか。

一方でヤンキーたちは、真嶋が最近仲良くしている園木に対して興味津々。坊主頭を触ったら気持ちよさそう、というなんてことのない理由なのですが、まさかそんな話をされているとは思わない園木は、ヤンキーたちにじろじろと見られ、悪口を言われているのではと頭を抱えてしまうのです。

それぞれの登場人物の特徴を見事にとらえた学生生活ならではのシーンが、読者に懐かしさと共感を与えます。
 

基本的にほのぼの『あちらこちらぼくら』の面白さをネタバレ紹介!ほのぼの&スローな話好きにおすすめ!

BLのようでそうでないこの作品は、基本的には男子高校生の日常を中心に描き、ほのぼのとしたものとなっています。

河原で一緒にアイスを食べたり、来年に控えた受験の話をしたり、女子とマックに行ったり……何気ない日常であっても大人になって振り返ると青春の1ページとして彼らの中に強く残っているのだろうなと想像できます。

高校2年生の彼らは残りの期間をどう過ごすのか、地味な園木は真嶋と関わることでどう変化していくのか、そして迎えた高校2年生最後の日、ちょっぴり切ない会話をする2人の姿に、共感したり感慨深くなったりしてしまいます。今後の展開も見守っていきたいですね。

どの話も何度も読み返したくなるような、温かい日常の物語です。

著者
たなと
出版日
2015-10-07

ほのぼのとした男子高校生の日常漫画『あちらこちらぼくら』。真嶋と園木の絶妙な距離感をBL的視点で見るのか、それとも友情として見るのかはあなたしだいです!

  • twitter
  • facebook
  • line
  • hatena
もっと見る もっと見る