『スーパーヒロインボーイ』が面白い!大きなお友達の悲哀を描く

更新:2021.11.24

少女向けアニメに夢中になってしまった不良男子高校生がときめく心を止められない様子を描いた『スーパーヒロインボーイ』。この記事では物語の見どころと魅力をご紹介しております。

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『スーパーヒロインボーイ』の大きなお友達あるあるが面白い!魅力をネタバレ紹介!

不良男子高校生が、女児向け変身ヒロインアニメ「アリス少女隊☆シャイニーハート」にどハマりしていく様子を描いた『スーパーヒロインボーイ』。子供向けアニメの虜になった「大きなお友達」たちのリアルな事情が笑いを誘います。

なお著者ぱらりの都合で、物語の途中から主人公の名前が「大石わたる」から「大岩わたる」に変更されますが、物語に影響はありません。この記事では変更後の「大岩わたる」を主人公の名前とし、物語の魅力をご紹介いたします。

著者
ぱらり
出版日
2016-12-16
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『スーパーヒロインボーイ』で少年は変わる……!【あらすじ】

主人公の大岩わたるは不良の男子高校生です。喫煙、サボり、喧嘩は当たり前。教師の注意にも耳を貸さない彼はある日、たまたま踏んだリモコンが映し出したテレビアニメ「アリス少女隊☆シャイニーハート」を成り行きで視聴します。

下らない子供騙しだと侮っていたわたるでしたが、ヒロインがくりだす「シャイニーハート」の勇気と強さ、優しさはわたるの心に響き、夢中にさせていったのでした。

『スーパーヒロインボーイ』登場人物:ツンデレボーイ!【大岩わたる】

『スーパーヒロインボーイ』登場人物:ツンデレボーイ!【大岩わたる】
出典:『スーパーヒロインボーイ』1巻

本作の主人公であり、大きい友達としての苦悩を表現してくれるのが大岩わたる。もともとは不良の少年で教師も手に負えない問題児でした。

貴重な青春の日々を暴力と反抗に費やしそうになっていたある日、「アリ少」に出会うのです。素晴らしいストーリーに泣きそうになりながらも、口から出てくるのは「くっっっっそつまんなかったぜ」という言葉。

しかし目が離せない展開、彼女たちのまっすぐな生き様に感銘し、確実にわたるは沼にはまっていきます。そして登場する悪役たちのように彼も更生していくのです……。

『スーパーヒロインボーイ』登場人物:わたるの良き理解者?【内野和久】

『スーパーヒロインボーイ』登場人物:わたるの良き理解者?【内野和久】
出典:『スーパーヒロインボーイ』2巻

わたるの副担任であり、当初から彼の不良っぷりに手を焼いていたのが内野和久です。ひょんなきっかけからわたると関わるようになり、彼がアリ少好きだということに気づきます。

実は和久自身も7年前から作品を見始めている大きなお友達だったのです。そこから彼はアリ少をだしにわたるに反省文を書かせようとしたり、19歳以上でなければ入場不可のレイトショーを秘密でいっしょに見に行ったりと、どんどんわたると仲を深めていきます。

わたるが素直じゃない性格というのもありますが、お構い無しにグイグイせまる和久は「クソ眼鏡」とうざがられていますが、唯一わたるが本心を話せる貴重な相手です。

『スーパーヒロインボーイ』の見所1:奇跡の出会い

『スーパーヒロインボーイ』の見所1:奇跡の出会い
出典:『スーパーヒロインボーイ』1巻

ある朝、窓から差し込む日差しの眩しさで目を覚ましたわたるは、気だるそうにベッドから起き上がりました。その際に床に転がっていたリモコンを踏み、テレビに可憐な美少女戦士たちが映ります。彼女たちは「アリス少女隊☆シャイニーハート」、通称「アリ少」。後にわたるの荒んだ少年時代に光を与えることとなるヒロインたちです。

「まじでキメェな」と言いながらわたるはなんとなくそのアニメを見続けます。主人公の「シャイニーハート」が敵の一撃を受け止め、反撃の「シャイニーパンチ」を炸裂させた時、わたるの心は大きく高鳴りました。

「つ… 強えぇ…⁉」(『スーパーヒロインボーイ』1巻から引用)

しかし、アニメの主人公が強いのなんて当たり前。この子供だましを一瞬でも真面目に見ていた自分の気持ちを疑いますが、シャイニィハートが敵に向けて言った挑発を真に受け、「そこまで言うなら、見届けてやろうじゃねーか」とテレビの真ん前に座り直します。

この日シャイニーハートと戦っていたモンスターの正体は、とある少女に大切にされていた人形です。モンスターを元の姿に戻した彼女は持ち主の少女との再会を果たさせ、物語を感動の結末へと導いたのでした。

わたるは目に涙を浮かべながら夢中で見守ります。歯を食いしばり、震えながら画面を見つめる彼がシャイニーハートに心を揺さぶられたのは一目瞭然。しかし彼は認めません、認めたら負けなのです。「くっそつまんなかったぜ‼」「まじでつまんなかったぜ‼」と、脂汗をかきながら自分に言い聞かせたのでした。

わたるはこの時、すでに自分がアリ少たちに夢中になっていることに気づいていません。さらにプライドが邪魔し、真面目に視聴してしまったことすら素直に認められません。不良な自分と正義のヒロインたちは対極の存在だと思っているのでしょう。

そんな彼が四六時中アリ少のことを考え、それに気づいてはショックをうけるのをくり返す様子は笑いどころです。いっそ認めてしまえば楽になれるのに、禁断症状に抗うようにして周囲に当たる彼はだんだんと可愛く見えてきます。

わたるがアリ少ファンである自分に胸を張れる日はくるのでしょうか、今後の展開とともに見守ってあげましょう。 

『スーパーヒロインボーイ』の見所2:作品ツンデレが止まらない。名言多し

『スーパーヒロインボーイ』の見所2:作品ツンデレが止まらない。名言多し
出典:『スーパーヒロインボーイ』1巻

毎週の放送はもちろん再放送までかかさず視聴し、フィギュアの発売や劇場版の情報も敏感にキャッチするようになったわたる。自分がアリ少ファンになったことを認めたのかと思いきや、「可愛い!」や「かっこいい!」と思うたびに「ダサい」や「キモい」といった否定的な感想を口にしてしまうというツンデレな状態に落ち着きました。

そんなツンデレな彼も、感極まって素直さを表に出す瞬間があります。たとえばアリ少のアニメの再放送の日、彼は喧嘩を中断して駆け足で自宅に帰ります。「2度見ることで冷静に、くだらないということを再確認する」のだと彼はいいますが……。

まずヒロインたちの制服姿にときめき、次に私服姿にときめき、さらに変身後には言葉にならない感情を溢れさせました。

「変身後の姿なんて… 
ヤバいくらいなんかもうアレだぜ!!!」(『スーパーヒロインボーイ』1巻から引用)

ときめく心をまったく抑えられません。「くだらねえ!!」と叫びながらベッドを殴りますが、それもただやり場のない愛をぶつけているだけです。 そして同じ日、アリ少の7周年記念の特別付録付きのキャンディが発売されていることを知ります。わたるの足はあたりまえのようにコンビニへと運ばれました。

しかしそのコンビニで事件が!なんとわたるは万引きの現場に立ち会ってしまうのです!しかも男はあろうことか、最後の一つだったアリ少のキャンディを持ち去ったのでした。

こんな面倒ごとは御免なはずなのに、わたるの体は自然と万引き犯を追いかけます。「あんなオモチャどうだっていいはずなのに……!」とこのごにおよんでまだ自分が持つアリ少への愛を認めていませんが、それでも彼の足は止まらないのでした。

「アリス少女隊☆シャイニーハートOP(オープニング曲)の
脳内リピートが止まらねぇ…!!!」(『スーパーヒロインボーイ』1巻から引用)

どうしようもなくファンです。まるで少女隊の一員になったかのような彼は見事万引き犯を取り押さえ、品物も取り返し、ついでに買って帰ったのでした。

夢中なことに関しては語る口が止まらなくなってしまう、そんな経験がある人は少なくないはず。いくら褒めても褒め足りず、作品への愛の言葉はあふれ出ます。しかし、普段はダサいやキモいなどの否定しか口にしない彼が不意に口にする肯定の言葉には、この上ないほどの本気の愛がこもっているのかもしれません。

『スーパーヒロインボーイ』の見所3:名作は人と人とを繋ぐ

『スーパーヒロインボーイ』の見所3:名作は人と人とを繋ぐ
出典:『スーパーヒロインボーイ』2巻

危ない不良というイメージのせいでこれまで友達らしい友達はおらず、自分から積極的に誰かと関わろうともしてこなかったわたるですが、アリ少を好きになったおかげで彼の交友関係は広がります。

彼が最も深く関わることとなるのは、なんと学校の副担任の内海。彼は7年前、つまり発表された当初からアリ少のファンだったのです。今までの不良生徒とひ弱な教師というパワーバランスはひっくり返され、弱みを握られたわたるは内海によく絡まれるようになってしまいました。

アリ少への愛を爆発させる内海の姿は、普段のおよび腰な様子からは想像できないほど変態的なインパクトを持っています。目の奥をハートにさせながらヨダレを垂らして息を乱す、教師にしておくのが心配になるような彼の本性は必見です。

他にも、会えば喧嘩になるような険悪な人物とも、同じ学校の女子生徒ともアリ少を通して繋がるわたる。特に望んだわけでもなかった友達の輪が勝手に広がっていくことに最初は戸惑いますが、きっと彼をただの不良少年から一歩成長させるために欠かせない要素となるでしょう。

幼稚園児を励ます、わたる渾身の必殺技【最新刊2巻ネタバレ注意】

アリ少のフィギュアを買っていたところでたまたま内海と出くわしたわたるは、しばらく歩いていたところで、かつての喧嘩仲間中条に出会います。見たこともないような満面の笑みを見せる中条は、愛してやまない妹の「あまね」をつれて歩いていたのでした。

アリ少のファンであることを知られるわけにいかないわたるは、内海と連携してその場を切りぬけようとします。持っていたフィギュアを見られてしまった時も「男でアリ少を好きだなんてキモいし、ダサいし……」と断腸の思いで大好きなアリ少を否定しました。

しかし、その言葉に傷ついたあまねはその場から忽然と姿を消し、行方不明になってしまうのです。

著者
ぱらり
出版日
2017-08-09

名前の響きと可愛らしい見た目から勘違いしていましたが、あまねは男の子だったのです。そしてアリ少が好きなあまねは、わたるの言葉に傷ついて逃げ出してしまったのでした。ようやく彼を見つけ出したわたるでしたが、自分の言葉で幼い子供を傷つけてしまったことに責任を感じます。

意を決して「俺も好きなんだ!アリ少!」と打ち明けてみますが、あまねは「うそだ!」といって泣きやみません。すっかり自分を警戒してしまった幼児の頑固ぶりに苦戦を強いられたわたるは、すぐそばで「わんだーちぇんじっ!」と、アリ少ごっこを楽しむ女の子たちを見て、覚悟を決めたように立ち上がったのでした。

小さな子供と不良というアンバランスな組み合わせが、ほのぼのとしたエピソードを生み出しています。あまねを励まし、無事兄のもとえ送り届けるためにわたるがとった決死の行動、完璧な「ソレ」は爆笑必至です。

ここでしか見られないわたるの姿が収められた2巻を、ぜひ手に取ってみてください。


わたるのように、自分でもまさかと思うような作品にハマってしまったことのある方にとっては、あるあるネタの詰まった笑える物語となっています。ぜひこの機会に、マンガトリガーを通してご覧になってみてはいかがでしょうか?

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