コミュニケーション能力を一気に上げる本

コミュニケーション能力を一気に上げる本

更新:2021.12.2

「コミュニケーション能力」という言葉が「コミュ力」と略されて普遍的に使われるようになってから、ずいぶん時間が経ったように感じます。 また、「コミュ障」という言葉が作られたことで元来の「コミュニケーション能力」の意味合いが変わってきてしまったのかもしれません。 ●他人との雑談力 ●初対面での打ち解ける速度 なんかをコミュニケーション能力として受け止めている方も多いと思います。では本来の「コミュニケーション能力」とはどういう意味合いなのでしょうか。 少なくとも僕は学生時代と社会に出てからの「コミュニケーション能力」はずいぶんと異なるものだと感じて生きてきました。 今回はそんな人間関係において、重要なファクターを握る能力の本質をついた2冊をご紹介します。

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お父さんがキモい理由を説明するね―父と娘がガチでトークしました

著者
中山 順司
出版日
2014-04-16

40代の著者が13歳の娘さんと思い切りトークした本です。父と娘の対話から母や祖父も巻き込んでいき、言葉を丁寧に重ねていきます。シンプルに読めてライトなパッケージなのですが、コミュニケーションの本質が山盛りに詰め込まれています。

「価値観も使う言葉も異なる二人がキッチリとルールを決めて話す」という高尚さが会話の次元を高いところまで引き上げていきます。「適当な言い回しで逃げず、第三者が読んでもらっても理解できる言葉で思考内容を言語化すること」というルールのもと、家族が語り合います。

この「第三者にも分かるように」という掟を用いて対話できるかできないかで、トークの深みは変わってくるなぁとあらためて痛感しました。身内同士はいくらでもお互いに無言で過ごせてしまいます。ですが、対面での会話以上に優れたコミュニケーションはありません。

家族だけではなく、同僚、先輩後輩、友人、恋人でも同じことなのかもしれません。本書の家族は14〜15のテーマを語り合いますが、読み終えた後に同じテーマで誰かとガッチリ喋りたくなりました。

仕事で必要な「本当のコミュニケーション能力」はどう身につければいいのか?

著者
安達 裕哉
出版日
2017-08-24

150万人の琴線に触れた人気サイト「Books&Apps」の運営者が8000人以上のビジネスパーソンからのノウハウをまとめた1冊です。

「著者が実際に経験し、見聞きしたエピソードをもとにした」という点はまさしく一線を画しています。偉人の言葉や心理学的なアプローチではなくて、「普通の会社で働く普通に苦労している人たちによる工夫」がまとめられています。この観点から「コミュニケーション能力」を理路整然にまとめた書物を他に読んだことがありません。

コミュニケーションの核となる「伝わる」という技術を理解していないと様々な致命的な場面が訪れます。社会では「こう言ったのに!」では通じないシーンが多いです。「言った」では不完全なのです。歌も絵も小説も「伝わなきゃ不完全」という点では同じです。

本書は下記の言葉で締めくくられています。

「コミュニケーション能力」とは、うまく話す能力でもなければ、相手に気に入られるテクニックでもありません。それは、「相手のことをひたすら深く知ろうとする」姿勢のことを指しているのです。

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  • 本と音楽

    バンドマンやソロ・アーティスト、民族楽器奏者や音楽雑誌編集者など音楽に関連するひとびとが、本好きのコンシェルジュとして、おすすめの本を紹介します。小説に漫画、写真集にビジネス書、自然科学書やスピリチュアル本も。幅広い本と出会えます。インタビューも。

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