漫画『鋼の錬金術師』ヒューズの魅力をネタバレありで徹底紹介!マスタング大佐との友情

更新:2021.11.17

漫画『鋼の錬金術師』に登場するマース・ヒューズ中佐。早々に退場してしまうにも関わらず、そのキャラクター性によっていまだに人気が高い彼の魅力を徹底紹介していきます。ネタバレを含みますので、未読の方はご注意ください。

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ヒューズとは

著者
荒川 弘
出版日

マース・ヒューズ中佐は、軍事国家アメストリスの軍部に所属する人物。本作の人気キャラクターであるロイ・マスタング大佐の親友です。(マスタング大佐については<漫画『鋼の錬金術師』ロイ・マスタング大佐の魅力を徹底紹介!>で詳しく紹介しています。)

頭の回転が非常に速いデスクワーク派ですが、投げナイフを武器に前線でも戦える屈強な軍人でもあります。

アニメ版では声優の藤原啓治が声を担当し、実写映画版では俳優の佐藤隆太が演じることになりました。いずれも実力と実績のある役者が演じますが、実は全27巻あるコミックスの4巻で死亡してしまうのです。

あまりに早い退場っぷりですが、それにも関わらず彼の人気は根強く、キャラクターの人気投票でも10位以内にランクインしていました。

この記事では、そんな彼の魅力を徹底紹介していきます。


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家族愛がすごい

家族愛がすごい
出典:『鋼の錬金術師』4巻

ヒューズ中佐の人柄を語るうえで外せないのが、家族に対する異常なまでの溺愛っぷりでしょう。特に娘のエリシアのことは、たとえ軍の専用回線で通話中ところかまわず自慢しまくります。相手の都合など知ったことではない様子で、とにかく自慢が止まりません。

と、これだけを聞くとただのはた迷惑な子煩悩親父という印象なのですが、そんなヒューズ中佐は、意外にも周りの人から慕われていました。

というのも、彼の気遣いや世話焼きな性格は、家族だけではなく周囲の人々に対しても表れており、主人公のエルリック兄弟もその思いやりに救われた部分があったのです。

こうした人柄の良さが、彼の人気を確固たるものとしている要因なのでしょう。

マスタング大佐との友情がアツい!【ネタバレ注意】

マスタング大佐との友情がアツい!
出典:『鋼の錬金術師』4巻

先述したとおり、階級こそ違うものの、ヒューズ中佐とマスタング大佐は親友です。実際に作中でも、立場の違いを感じさせないフランクな口調で会話をしている場面が多々見受けられました。

というのも、彼らは士官学校の同級生。過去にイシュヴァール殲滅戦を戦い抜いた戦友でもあるのです。そして、イシュヴァールの戦場で見た軍部の腐敗を正すために地位を手に入れようと考えたマスタング大佐を支えるため、ヒューズ中佐は彼の野望に協力することを決めたのでした。

もはや単なる「友人」という言葉では足りない絆で結ばれているため、ヒューズ中佐が亡くなったことによるマスタング大佐への影響は図り知れず、後に彼を殺した犯人である後にヒューズ中佐殺害の犯人である「ホムンクルス」のエンヴィーと対峙した際には、憎しみを抑えられない様子でした。

ちなみに、作中でマスタング大佐が他人の死に涙を流したのは、ヒューズ中佐に対してのみ。上官と部下に留まらない2人の関係は、心が滾る熱いものを感じさせられるでしょう。

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ヒューズの魅力をネタバレ紹介!名言も多い重要人物だった!

ヒューズの魅力をネタバレ紹介!名言も多い重要人物だった!
出典:『鋼の錬金術師』4巻

退場が早かったこともあり、登場回数はさほど多くないヒューズ中佐ですが、作中では他のキャラクターたちの心に刺さる名言を残しています。今回は3つご紹介しましょう。

1つ目は、主人公のエドワードが「傷の男」スカーとの交戦によって機械鎧の腕を破壊され、修理のために故郷のリゼンブールに出向く際、見送りにきたヒューズ中佐が伝えたひと言。

「あっはっは!憎まれっ子世にはばかるってな!おめーもロイの野郎も長生きすんぜ!」
(『鋼の錬金術師』2巻から引用)

他愛の無いやりとりのなかで出た言葉ですが、エドワードに対し、しっかりと年長者として労いの言葉をかけているあたりが彼らしいです。

こうした発言のひとつひとつが、エルリック兄弟をはじめ、多くの人たちから人望を集める要因だといえるでしょう。もっとも、皮肉にもこの後ヒューズ中佐自身が帰らぬ人となってしまったことを考えると、彼はいい人すぎたということなのでしょうか。

2つ目は、修理したはずのエドワードの腕がまた壊されたことを知って、修理に駆け付けたウィンリィが、エルリック兄弟が危険な目に合っているわけを話してくれないことへの寂しさをヒューズ中佐に吐露した時のひと言です。

「しょーがねえよなあ 男ってのは言葉よりも行動で示す生き物だから。苦しい事はなるべくなら自分以外の人に背負わせたくない。心配もかけたくない。だから言わない。それでもあの兄弟が弱音を吐いたら、そん時はきっちり受け止めてやる。それでいいんじゃないか?」
(『鋼の錬金術師』4巻から引用)

寂しさと不安に駆られ、思い悩む少女の心にしっかりと適切なアドバイスを送ります。本当に心が男前なキャラクターだと感じさせられ、人気の理由も頷けます。

3つ目は、過去の回想からのひと言。イシュヴァールの殲滅戦が終結し、国の頂点に立とうというマスタング大佐の野望を聞いた時のことです。

「面白そうじゃねぇか。一口乗ってやるよ。おまえの青臭い理想が神をも恐れぬあのキング・ブラッドレイが作り上げた国をどう変えるか見てみたい。」
(『鋼の錬金術師』15巻から引用)

ひとりの力では国のトップになることはできない、と語ったマスタング大佐に応えるように口にしたこのセリフは、まさしく2人で頂点に立とうという気概に溢れたいい啖呵だといえます。

彼のこの言葉があったからこそ、マスタング大佐は上り詰めようとし続けることができたのかもしれません。

ヒューズって軍の中ではどれくらい有能だったの?【ネタバレ注意】

ヒューズって軍の中ではどれくらい有能だったの?
出典:『鋼の錬金術師』3巻

人間的な魅力に溢れていることが分かるヒューズ中佐ですが、実際に兵士としてはどの程度の能力を有していたのでしょうか。

まず、彼は過去にイシュヴァール殲滅戦に参加しており、マスタング大佐とともに生き残っています。敵も味方も多大なる被害が出た激戦地から生きて帰ってきたことから、単に事務仕事しかできないわけでは無いことが分かりますね。

ちなみに事務方面ですが、彼の職場は軍法会議所で、過去にあった事件に関する軍の刑事記録などを管理する業務をおこなっているようです。中佐という階級もさることながら、業務内容自体も重要度の高いものなため、かなりの権限を与えられていた人物だったことがうかがえます。

そんなヒューズの有能さをもっとも表している場面は、皮肉にも彼の死の原因となってしまったエピソードです。持ち前の頭の回転の速さで、軍部の秘密に気付いてしまったヒューズは、ホムンクルスに襲撃されることになってしまいます。

その際にも、ホムンクルスのラストからナイフの腕を褒められたり、エンヴィーからは頭の回転の速さを皮肉交じりに賞賛されたりと、能力の高さを評価されていました。有能な人物だったことが分かりますね。

家族を思い続けての最後。ヒューズは何に気づいた?【ネタバレ注意】

家族を思い続けての最後。ヒューズは何に気づいた?
出典:『鋼の錬金術師』4巻

実に魅力に溢れた人物であるヒューズ中佐は、残念ながら4巻の第15話で、ホムンクルスのエンヴィーによって殺害されてしまいます。最後まで家族を想いながら無念の死を遂げるシーンは、涙無しでは読めません……。

では、なぜヒューズは殺されなくてはならなかったのでしょうか。まず彼は、ホムンクルスから襲撃を受けた際に、エルリック兄弟から賢者の石の錬成陣にまつわる話を聞いて、調査をしているところでした。

その過程で、リオールの暴動やイシュヴァールの内乱、世界各地の戦場の位置から何かに気付き、「軍がやべぇ」という言葉を残しています。

このことから、ヒューズは国で起きている戦争と賢者の石の錬成の関連しに気づいたのだた考えられ、その秘密に軍も関与していることを察知してしまったがために殺されてしまったのでしょう。

ちなみにヒューズに関する小ネタのひとつとして、コミックスの背表紙があります。本作の背表紙は本編のキャラクターたちがコメディ調に描かれるというちょっとしたお楽しみがあるのですが、ヒューズは最終巻まで背表紙に描かれたことがありません。

この件についてはファンの間でさまざまな議論を巻き起こしたようですが、荒川によるとたまたま最終章まで生き残った人だけが描かれることになったようで、早々に退場したヒューズが描かれなかったのは偶然の産物だったようです。

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荒川弘にストーリーを変えさせようとするほどの人物!?

著者
荒川 弘
出版日
2003-01-22

読者を魅了してやまないヒューズ中佐ですが、なんと作者の荒川弘自身も、彼の死によってストーリーの展開を左右させられたというエピソードがあります。

ヒューズが殺された際、完全に心がマスタング大佐側に寄っていた荒川は、殺害犯のエンヴィーをどうやって殺そうかとすでに考えていたようです。

しかしいざネームを書きはじめると、他のキャラクターたちによってなかなかエンヴィーを殺す方向にストーリーを展開できないことに気づき、押し留まったということでした。

ヒューズ中佐という人物が、作者までをも感情移入させる、魅力に溢れた存在であるといえますね。

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いかがでしたでしょうか。活躍する期間は短いながらも、その魅力はトップランクなキャラクターといえるヒューズ中佐。ご紹介しきれていない魅力がまだまだあるので、ぜひ実際に作品を読んで触れてみてくださいね。

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