『東京シャッターガール』が無料!東京を再発見する旅の魅力を3巻までご紹介

更新:2021.11.11

写真部に所属する歩が、カメラを片手に東京という街をねり歩く本作。メジャーな観光地だけでなく、ニッチな場所へもスポットをあてています。スマホのアプリで無料で読むことができますよ。

ブックカルテ リンク

映画化原作漫画『東京シャッターガール』が無料!知るほどに深い東京の魅力をJKと発見!

高校で写真部に所属している主人公の夢路歩(ゆめじあゆみ)。本作は、彼女が東京の街にくり出して風景や人々をカメラにおさめていく物語となっています。2018年2月3日には石川、金沢を舞台に『金沢シャッターガール』として映画化もされた漫画です。

歩が巡るのは、スカイツリーや築地市場などの名所はもちろん、ニッチなところまでさまざま。冒頭ではカメラをはじめてまだ3ヶ月の初心者ですが、徐々に腕をあげていきます。

ある日彼女は、このまま写真を撮り続けてどうすればよいのかと悩みます。そんななかで写真甲子園に初出場することが決まり、あらためてカメラと向き合うようになり、写真部員や家族、カメラ仲間たちとも関係を築きながら成長していくのです。

また、彼女が被写体としている東京の街について詳しい解説がついているのも本作の魅力。さらに撮影機器であるカメラ自体についても掘り下げられています。
 

この記事では、そんな見どころたくさんの本作の魅力を、各巻のエピソードをピックアップしながらご紹介していきます。
 

著者
桐木 憲一
出版日
2012-01-18

時期を狙って行くのがオススメ!「浅草羽子板市」【『東京シャッターガール』1巻】

時期を狙って行くのがオススメ!「浅草羽子板市」【『東京シャッターガール』1巻】
出典:『東京シャッターガール』1巻

江戸時代から続く浅草の羽子板市を訪れた歩。浅草寺の境内では、12月17日〜19日までの3日間、冬の風物詩である羽子板市が開催されます。

たくさんの種類の羽子板が売られていて、職人さんが直接販売しているところも。昔から続く伝統行事なだけあって、技術や風習が代々受け継がれていることがうかがえます。

歩は作中、ひとつの羽子板に目を留めます。「藤娘」という恋に悩む娘を描いた図柄が描かれているのですが、この羽子板は店主の孫が作ったものでした。

高校生なので、「恋に悩む娘」というものに惹かれたのかもしれませんし、同年代の人が作った作品に何かを感じとったのかもしれません。この時の彼女のように、ピンと来る一期一会的な出会いを楽しめるのも市のいいところなのでしょう。

また浅草という土地の下町っぽさを感じられる描写も魅力です。店員や客同士の密なやりとりは、顔見知りにしろそうでないにしろ、人と人との距離の近さが分かるのです。
 

観光地のイメージが強く、いまや外国の方も多く訪れる浅草ですが、年末年始は昔ながらの雰囲気が感じられるイベントもあるため、情緒を感じたい方はその時期を狙っていくのもよいかもしれません。

幻の洞窟?「弁天洞窟」【『東京シャッターガール』1巻】

「京王よみうりランド駅」で降りる人の大半の目的地はよみうりランドかもしれませんが、歩は東京新百景のひとつ「弁天洞窟」へ向かいます。

「弁天洞窟」とは、横穴式古墳を元に作られた弁財天を祀るための洞窟で、薄暗く少々狭いその中には23体の仏像があります。長さは65mほどとそこまでありませんが、見た人を驚かせるような浮き彫り細工も施されているのです。

受付で借りたロウソクの炎を頼りに、暗い洞窟を進んでいくのは、なかなか勇気のいる行動でもありますが、懐中電灯などを使わないところに趣を感じ、より神秘的な印象を受けます。

歩は出口までくると、暗い洞窟内を振り返りました。
 

「不思議と懐かしい感じもしたな」(『東京シャッターガール』1巻より引用)

洞窟の中を胎内に見立てて、中を巡ることを「胎内めぐり」と言うそうですが、薄暗い洞窟内をゆっくり進む感覚にどこか心地よさを感じたのかもしれません。

現在「弁天洞窟」は閉鎖されてしまっているため、実際に読者が洞窟内を見ることは叶いませんが、本作で描かれているその雰囲気に、かつての東京の名所を思い起こして見るのも楽しそうですね。
 

新旧の融合!「天祖神社」【『東京シャッターガール』2巻】

 

「とうきょうスカイツリー駅」で降りた歩が、雨宿りのために向かったのは江東天祖神社。新たな東京のシンボルとなったスカイツリーを、すっぽりカメラに収めることができる撮影スポットのひとつです。古い社殿と新しいスカイツリーのコントラストが見られる場所でもあります。

周辺は都心で緑が少ない場所ではありますが、江東天祖神社は緑に囲まれていて、小ぶりながら神秘的で迫力のある神社です。

 

著者
桐木 憲一
出版日
2012-12-27

23区はどこも発展していて、人と建物が多く緑が少ないイメージがありますが、駅から少し離れればまだまだ自然が溢れているということを実感させてくれます。そのような景色と近代的なスカイツリーを1度に見ることができるのが、東京の新しい魅力なのかもしれません。

歩自身、そのミスマッチさを面白く感じて江東天祖神社を訪れます。

しかし道中で知り合った老人が、スカイツリーの撮影を辞めると言うのです。それを聞いた歩は、自分は何をテーマに撮影しているのか考えてしまいました。

そして、見慣れた東京の街や変わっていく東京の街、自分のすぐそばにある街を被写体にしていこうとあらためて思うのです。

新しくできたものも、時間が経てば「いつもの」ものに変わっていく、そんな想いを感じられます。

この話に出てくる江東天祖神社とは別に、スカイツリーの近くには押上天祖神社もあるので、実際に足を運んで2つの違いを比べてみるのも楽しいかもしれません。
 

関西出張!手塚治虫の軌跡を辿る「宝塚街映」【『東京シャッターガール』2巻】

関西出張!手塚治虫の軌跡を辿る「宝塚街映」【『東京シャッターガール』2巻】
出典:『東京シャッターガール』2巻

宝塚に合宿に来た歩は「手塚治虫のたからづかワンダーマップ」を片手に、ゆかりの地を巡ります。

「瓢箪池」や「猫神社」などの名所はもちろん、宝塚市についても詳しい説明がされているため、読者も土地の特徴を知ってから手塚治虫について知ることができます。

東京とはまた違う空気を感じることができるのが今回の特徴。歩く街並みや風景からは、のどかな雰囲気を感じとることができます。写真をテーマにした作品なだけあり、背景描写が緻密で、見るだけで空気の違いが分かりますよ。

歩は、何でもかんでもシャッターを押すことはしません。確かなシャッターチャンスを狙って、その一瞬にレンズを向けます。彼女もきっとレンズ越しに、東京との違いを感じていたはずです。

またこの話では、途中からある生き物が白い影として描写されます。さてそれは何でしょうか。ぜひ注目してみてください。

北の大地へ「撮影最終日」【『東京シャッターガール』3巻】

歩は、写真甲子園の会場となる北海道にやって来ました。

怪我やチームメイトとの連携不足など、さまざまな問題がありましたが、なんとか最終日。最後のステージは北海道東川町の市街地です。

著者
桐木 憲一
出版日
2014-11-29

雪国らしい二重玄関や縦向き信号機などの風景はもちろん、お世話になったホームステイ先の家族も被写体にして、小高い丘で撮影をおこないます。

東京のように高い建物がなく道路が広い様子や、少し歩けば見晴らしのよい場所に行ける自然豊かな描写が、広い北海道の魅力を最大限に演出しています。大きな空の下でのびのびと暮らす人々の姿は、雄大さをすら感じるでしょう。

ここでは、ある撮影テクニックが披露されます。カメラに備わっている機能や設定とはまた別の、身の回りにあるものを使って工夫するという発想です。これまで大会のリーダーとして気を張っていた歩ですが、この時は楽しそうな表情を見せていました。

ちなみに、写真甲子園の最終日のテーマは「感動」。朝5時から被写体を探し続けた歩は、レンズ越しに見つめたホストファミリーの姿に涙を流します。

怪我で思うように写真が取れなかった日々への思いなのか、幸せそうな彼らの姿に込み上げてきたのかは定かではありませんが、彼女の撮った写真は、非常に温かみのあるものに仕上がりました。歩にとっては「写真を撮れること」が「感動」へと繋がったのかもしれませんね。
 

急勾配な坂も多い!「武蔵野台地の坂」【『東京シャッターガール』3巻】

お世話になった北海道のホストファミリーに、お礼の写真を贈ろうと考えた歩。馴染みのある面影橋に撮影にやってきました。

江戸時代からあるというこの土地は、13度という急勾配があり、坂の多い場所です。

「ここからの羨望が子供の頃から好きなんです」(『東京シャッターガール』3巻より引用)

写真甲子園では結局思うような結果を残せなかったので、自分を見直すきっかけを探しに馴染みの場所に来たのではないでしょうか。

坂の種類は非常に多く、「胸突坂」「小布施坂」「富士見坂」などがあり、それぞれに異なっているのが魅力的。住宅地に一歩入れば意外と坂道が多い、東京という場所をよく表しています。

また、区境となる坂があるのも特徴です。歩が好きな13度の急勾配を誇る墨田区の富士見坂の隣には、文京区の日無坂があります。

隣どうしなのに坂の成り立ちが違うのも面白く、貴重な坂スポットだといえますね。

著者
桐木 憲一
出版日
2014-11-29

その土地の説明や歴史なども多く載っているため、散歩のお供にぴったり。またこれからカメラを始めてみたい方にも、初心者の歩と一緒に撮影の腕をみがけるはずです。

  • twitter
  • facebook
  • line
  • hatena
もっと見る もっと見る