樋口美沙緒のおすすめBL小説ランキングベスト5!

更新:2021.11.12

どんどんページをめくりたくなってしまうような、巧みなストーリー展開で読者を楽しませてくれる作家、樋口美沙緒。ここでは、そんな樋口の甘酸っぱくも切ないおすすめBL小説をご紹介していきます。

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人気BL作家・樋口美沙緒とは

愛媛県出身の樋口美沙緒は、広島での生活を経て沖縄へと移り住み、長閑な環境の中、子供時代を過ごしたのだそうです。幼い頃から読書が好きだったらしく、12歳で初めて小説を執筆したのだとか。

2009年に、『愚か者の最後の恋人』で本格的な小説家デビューを飾ると、その後ヒット作『愛の巣へ落ちろ!』で、一躍人気作家へと躍り出ました。独自に構築されたファンタジーな世界観が魅力ですが、現代を舞台とした作品でも高い評価を受けています。

5位:それぞれの葛藤が切ない胸に沁みる物語

一人暮らしで予備校に通う多田望は、幼馴染の俊一に想いを寄せています。ですが、俊一が男性を恋愛対象として見ることはないとわかっているため、その想いを必死に押し殺してきました。

寂しさから、他の男性の誘いを受けては酷い目に遭わされる望。俊一は、たびたびそんな危うい状況に陥る望を、放っておくことができません。相手に対して、まったく怒りを覚えない様子の望に苛立ちながらも、優しく慰め、時にはキスをするのでした。

著者
樋口 美沙緒
出版日
2010-12-17

なんとも切ないストーリー展開に、胸が締め付けられる物語です。

俊一を想い続けながらも別の男性を受け入れ、より孤独感を募らせていく望の姿に、歯痒さを感じる方も多いことでしょう。一方の俊一は、誰よりも望を大事に想いながらも、その感情が友情以外のものだとは、どうしても認めることができません。そんな登場人物それぞれの不器用さが、繊細な文体で描き出されており、思わず感情移入してしまいます。

望と家族との、すれ違いを続ける関係についても綴られており、様々な出来事を通して、徐々に成長していく様子に胸が熱くなる作品になっています。心の葛藤に焦点の当てられた、素晴らしい物語です。普段BL小説を読まない方も挑戦してみてはいかがでしょう。

4位:ファンタジーで彩られた樋口美沙緒のデビュー作

本作の舞台、フェーラ国では、貴族は皆たくさんの愛人を抱えて暮らしています。それゆえに愛人が子を身籠もることも多く、相続争いを防ぐため、後継ぎとなるのは正妻の子のみと決められているのです。庶子(本妻以外から生まれた子)は「愛の迷い子」として、異性との結婚を禁じられ、庶子同士の同性婚のみが許されていました。

そんな「愛の迷い子」であるフレイに仕えるのが、主人公のキユナです。黒髪で黄色い肌をもつ東洋系のキユナは、とても真面目な性格。婚約者がいるにも関わらず、節操なく遊んでばかりのフレイにいつも嫌悪感を抱いています。ところが、フレイに結婚の説得をするために使用するはずだった「惚れ薬」を、誤ってキユナが飲んでしまい、あろうことかフレイに恋をしてしまうのです。

著者
樋口 美沙緒
出版日
2009-01-20

こちらは、樋口美沙緒のデビュー作です。しっかりと創り上げられたファンタジーな世界観が広がっており、卓越した文章力も相まって、違和感なく楽しめる作品になっています。

「惚れ薬」によってもたらされた、キユナの初めての恋は、一癖も二癖もあるフレイに振り回されっぱなし。絶妙な心理描写によって、切なさがひしひしと伝わってくるため、読んでいて胸が苦しくなってきてしまいます。

次々に現れる登場人物たちのキャラクターも、皆個性的で印象深く、ストーリーもとてもよく練られています。謎解き要素も交えながら、物語はシリアスな展開を見せてくるため、ハラハラドキドキしながら最後まで楽しめるのではないでしょうか。

3位:極上のラブストーリーが楽しめる一冊

主人公の鳥野比呂は10歳の冬、祖母に決して入ってはいけないと言われていた山に入り、遭難してしまいます。父親が助けに来ますが、激しい雪の中で身動きが取れなくなってしまいました。そんな比呂の前に、山を収める九尾の狼が現れたのです。その狗神は父親の魂を抜き、「お前の命は助けるが、20歳になったら迎えに行く」と告げました。

それから10年。比呂が20歳の誕生日を迎えたその日に、一緒に暮らす祖母が倒れてしまいます。雪のため、なかなか到着しない救急車を待ちながら、いてもたってもいられない比呂は、必死に狗神に祈るのですが、約束通り比呂を迎えに来た狗神によって無理やり連れ去られてしまい……。

著者
樋口美沙緒
出版日
2012-01-27

序盤、時代と共に忘れ去られ、人間に裏切られたと感じている傷ついた狗神と、祖母の容態が気になって一刻も早く帰りたい比呂の関係は、まったく上手くいきません。いったいこの先どうなってしまうのかと、ついやきもきしてしまうのではないでしょうか。

それでも、お互いの誤解が徐々に解けていき、関係が変化して行く中盤以降の展開は必見。祖母の心に残る言葉も頻繁に登場し、意固地になっていた2人の心に変化を生じさせます。

畳み掛けるように様々な出来事が起こりますが、大変読みやすく綴られているため、混乱せずに最後まで楽しむことができるでしょう。胸をキュンとさせてくれるシーンが満載の、素敵な物語になっています。

2位:斬新な設定が興味をそそる樋口美沙緒の大人気シリーズ

「ムシ」シリーズ第1弾となるのは、シジミチョウ科の青木翼とタランチュラの七雲澄也による、なんとも感動的でドラマチックな物語、『愛の巣へ落ちろ!』。

食物連鎖において、か弱き存在であるロウクラス種の翼は、ハイクラス種の澄也を偶然テレビで見かけ、強い憧れを抱いていました。自分とは階級が違うと分かっていながらも、高ぶる気持ちを抑えられず、奨学制度を使って澄也の通う星北学園への入学を決意します。

ところが、ハイクラス種ばかりが揃う学園で、翼を受け入れてくれるものは少なく、しかも憧れの澄也との初対面では、「シジミチョウは嫌いだ」と言われてしまう始末。あげく澄也の張った蜘蛛の巣に絡め取られ、無理矢理身体を奪われてしまい……。

著者
樋口 美沙緒
出版日
2010-04-20

こちらは樋口美沙緒の大人気「ムシ」シリーズです。舞台は、絶滅の危機に瀕した人類が、生き残るために生命力の強い節足動物と融合した世界。斬新な設定と、甘く切ない学園ラブストーリーがとても魅力的な作品となっています。

シリーズ通して、登場人物それぞれのキャラクターが、虫の生態を上手く取り入れて描かれているのが特徴で、確固とした世界観が広がっているため、すんなりと物語に入り込むことができます。

昆虫と融合しているとはいえ、姿は美しい人間で、甘く濃密な描写にはその都度ドキドキさせられてしまいます。虫の意外な特性を知ることもでき、興味深く読んでいくことができるでしょう。

1位:愛の深さが胸を打つ感動シリーズ作品

日本で父親の顔を知らずに育った12歳の中原礼は、母親が亡くなってしまい、イギリスにある父親の実家、グラームズ家に引き取られることになります。

しかし、貴族の血を重んじるグラームズ家の面々は、混血である礼を嫌うばかり。義兄であるエドワードだけが、礼に優しく接してくれたのでした。エドワードを慕う礼でしたが、礼がパブリックスクールへと入学すると、その態度が一変します。礼に冷たく当たるようになり、学園の誰とも口を聞くなと命令するのです。

著者
樋口 美沙緒
出版日
2015-10-27

こちらのシリーズは、英国のエリート校であるパブリックスクールを舞台とした、異国情緒溢れる愛の物語です。お互いを想いながらも、貴族社会に翻弄される少年2人の姿が、切なさいっぱいに描かれているため、たびたび涙腺を刺激されてしまいます。

閉鎖感漂う、パブリックスクールでの寮生活からスタートするこのシリーズですが、物語が進むにつれて主人公たちはどんどん成長していきます。愛について考え、悩み、葛藤しながらも前に進んでいく様子から目が離せなくなってしまうでしょう。

身分の差、同性愛、血の繋がり、これらのあまりにも大きな障害に対して、2人はどのような行動を見せるのか……。とても深いテーマを扱い、胸を打つ壮大な物語に仕上がっていますから、ぜひシリーズ通して読んでみていただきたいと思います。

樋口美沙緒のおすすめBL小説をご紹介しました。切なさの中にも、胸が高鳴る甘いシチュエーションが用意された、魅力的な作品ばかりです。世界観にどっぷりと浸りたいというときには、ぜひ手にとってみてくださいね。

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