漫画『走馬灯株式会社』の魅力を全巻ネタバレ紹介！面白い！無料で読める！

漫画『走馬灯株式会社』オムニバス形式！魅力とあらすじを最終回まで全巻ネタバレ紹介！【無料】

『走馬灯株式会社』は、「漫画アクション」にて不定期連載されていたサスペンス作品。『鉄民』でも知られる菅原敬太のデビュー作になります。

ふとしたことから走馬灯株式会社に迷い込んだ人間は、自分自身の人生が録画されたディスクを観ることになるのです。

人生の岐路で走馬灯株式会社に迷い込んだ……いえ、招き入れられた人々は、自分や自分にまつわる誰かの人生を振り返り、何を思うのでしょうか。

オムニバス形式で物語は進み、それぞれのエピソードに待ち受けているのはどんでん返しの衝撃の結末。どうやら美しい思い出ばかりではないようです。

走馬灯株式会社(1) (アクションコミックス)

著者

菅原 敬太

出版日

2010-01-28

【1巻ネタバレ】これが『走馬灯株式会社』！どんでん返しと恐怖の結末

まずはイントロダクションともいえる第1話をご紹介しましょう。主人公は、杉浦克己43歳。事故で7歳の娘と妻を亡くし、職も失い、失意のどん底にいました。

かつて家族で旅行に来た思い出の地をひとりで旅しているうち、走馬灯株式会社と書かれた建物に足を踏み入れます。

そこにいたのは神沼と名乗る美女。この施設の主任だそうです。

「人がこの世に生を受け　生きてきた全てをかえりみて喜び　悲しみ　犯してきた罪を再確認する場所でございます」
「こちらへ来館された方々は皆　この上無い満足感を得て帰っていかれますよ」（『走馬灯株式会社』1巻より引用）

宗教かと思いつつも、もはやすべてがどうでもいい杉浦は10分だけ立ち寄ることにしました。名前と生年月日を記し案内された部屋には、大きなテレビが1台。そこに、神沼がディスクを抱えてやってきます。

「それでは杉浦克己様　あなたの43年の人生を心行くまで存分にかえりみてください」（『走馬灯株式会社』1巻より引用）

テレビ画面を見つめると、ボンヤリと人影が映ります。よく見ると、赤ん坊に話しかけるようにこちらをのぞきこむ若い夫婦が映っています。杉浦は画面にくぎ付けになり、腰をぬかすほど驚きました。そこに映っていたのは、若き日の両親の姿だったのです。

「有り得ない……!!この映像は……生まれたての私自身の…目線じゃないか…!!」（『走馬灯株式会社1巻より引用』）

その後彼は、時間が過ぎるのも忘れて食い入るように自分の人生を観続けました。

この施設にはバスもトイレも完備され、食事もいつでも届けられます。半年ほど過ごした客もいたとのことでした。

走馬灯株式会社(1) (アクションコミックス)

著者

菅原 敬太

出版日

2010-01-28

画面の中で、彼の人生は進んでいきます。後の妻となる由美との出会い、就職、結婚……思えばこのころが1番幸せだったかもしれないなと、杉浦は目を細めます。そんな時、ひとりの女が現れるのです。

玲子というその女と杉浦は、不倫関係にありました。彼女は「妻と離婚して自分と結婚しろ」と迫り、その存在は家庭をも脅かそうとしていました。

そして場面はとある海へ。杉浦に笑顔を見せる玲子の顔が、みるみるうちに恐ろしく変貌していきます……。杉浦は、あわててリモコンの停止ボタンを押しました。

そう、この日彼は、玲子をその手にかけたのでした。

「そうだ…これは私の人生なんだ…自分に都合の悪い事だけなかった事にするなんて出来る訳ない…！！」（『走馬灯株式会社』1巻より引用）

その後の彼の人生は、娘の事故死、妻の病死と悲劇が続きます。もう見たくないと画面の電源を切ろうとしたとき、そこには今いる部屋が映りました。再び姿を見せた神沼が言うには、映像がリアルタイムに追いつき、今画面に映っているのは杉浦がそのでみている画なのだそうです。

さらに彼女は「特典ディスク」だと言ってさらに1枚のディスクを渡して立ち去りました。

再生すると、そこには視界いっぱいに広がる海と、杉浦自身が映し出されています。彼は、これは玲子の記憶を映したディスクだとすぐに察知しました。

そして鬼のような形相をした自分が映り、玲子は崖の下へ転落、映像は真っ暗になります。真っ青な顔で、ふらふらと立ち去ろうとした杉浦。ふと画面に目をやると、そこには驚くべきものが映っていました。

玲子まだ生きていたのです。

映像はまだまだ続きます。娘や妻など、杉浦と関わる人物に接触していく玲子。彼が自分の犯した罪を心から悔やんでいるころ、玲子の映像もリアルタイムに追いついたようです。画面に映っていたのは……。

まさに本作の説明書ともいえる第1話は、サスペンス的要素を含むどんでん返しの結末でした。この話が好きな人は、きっとどハマりできるはずです。

収録されているのは必ずしも怖い結末ばかりではなく、心温まるものもあるので、ぜひいろんな人の人生を覗いてみてください。

【2巻ネタバレ】後のキーマン登場！世界から自分の存在が消える……!?

2巻には、ある意味で本作のキーマンともいえる男が登場します。喜島茂輝、22歳。今日もママから好きなだけお小遣いをもらい、街へ出るのです。

しかし彼は、陰で「ナルシストおデブちゃん」と呼ばれ金づるにされているとも知らず、周りの人と接する時は常に上から目線で自慢ばかり。

そんな自分の無様な人生を突き付けられた喜島は、逆ギレしてディスクを破壊してしまいました。

その瞬間、彼の存在は誰の記憶からも消えてしまいます。喜島は、22年の人生を自ら葬り去ってしまったのです……。

走馬灯株式会社（２） (アクションコミックス)

著者

菅原 敬太

出版日

2010-07-28

ディスクを破壊した喜島を、神沼が静かに追い詰めるシーンが本巻の見どころだといえるでしょう。彼の人生は、自業自得とはいえ真正面から見つめられるようなものではなく……壊してしまいたい気持ちは分からなくもありません。大なり小なり、人間は自分に都合のよいことしか記憶していないものだということも感じられますね。

そして彼は誰からも忘れられ、どこに帰ることもできず途方に暮れるのです。

フィクションながら、もしかしたら現実に起こるんじゃないかと思わせるリアリティのある展開も、本作特有の怖さではないでしょうか。

この喜島、後に再度登場し、物語をかきまわしていきます。彼のほかにも、自身のディスクを失った人間がいるとかいないとか……。

【3巻ネタバレ】涙なしでは読めない……ホームレス老人と少女の約束

ロリータファッションに身をつつむ、妹尾舞、20歳。ある事件に巻き込まれて困っていたところを、ホームレスのロクさんに助けられました。2人は友達になり、舞は優しいロクさんに亡き父親を重ねていきます。

ある日ロクさんは、舞に走馬灯株式会社の存在を教え、その後姿を消してしまいます。その後の彼女が知ることになるのは、2人を繋ぐ数奇な運命。ロクさんはあることの償いとして、舞に贈り物を残していました。

いつかロクさんが戻ってきた時にすぐに自分を見つけることができるよう、舞は自身の夢を叶えるためにまい進するのです。

走馬灯株式会社(3) (アクションコミックス)

著者

菅原 敬太

出版日

「心に筋金入ってりゃどんな状況でも大概は乗り切れるもんさ!!」（『走馬灯株式会社』3巻より引用）

作中でも屈指の名言といえるロクさんのこの言葉。気弱で泣いてばかりいた舞が、ロクさんと出会ってある事件の真実を知り、芯から強くなっていく姿が美しいです。

涙無しには読めない物語ですが、やはり『走馬灯株式会社』ならではのどんでん返しもあり、1話で2度3度楽しめるでしょう。
 

【4巻ネタバレ】本作ナンバーワンホラー！二笑村の風習

『走馬灯株式会社』のなかでも1、2を争うホラー展開されるのが、4巻です。

多岐川隼人は、恋人の理央、親友のジローとともに、卒業旅行と称して二笑村温泉というところへやってきました。

しかし村人たちの様子が明らかにおかしく、彼自身も以前ここに来たことがあるような妙な胸騒ぎが消えません。そしてその夜、事件が起こりました……。

息も絶え絶えになった隼人が逃げ込んだのが、走馬灯株式会社です。そこで彼は、自分が二笑村の生まれであるという驚きの事実と、この村に古くから伝わる慣習の存在を知ります。

走馬灯株式会社(4) (アクションコミックス)

著者

菅原 敬太

出版日

2011-07-28

この慣習を遂行するために無人たちは異常と化し、隼人の命を狙っていました。しかし本作の真の恐ろしさは、これだけではありません。

彼が旅行で二笑村温泉に来たのは決して偶然ではなく、一緒に計画した理央やジローも村人側の人間だったのです……。

過激な描写は一切無いにも関わらず、背筋がすーっと寒くなるような恐怖に、読みながらつい後ろを振り返ってしまうかも。「異常」をごく自然に受け入れ、笑いながら残酷な言葉を言い放つ村人たちのちぐはぐさが、なんともいえない気味の悪さを醸し出しています。

【5巻ネタバレ】物語が大きく動き始める！澄川探偵事務所、登場！

5巻からは、クライマックスにかけてのカギとなる存在である「澄川探偵事務所」が現れます。さらに、「走馬灯株式会社を探してほしい」と依頼してくる、小汚くやせ細った男も登場。2巻で自分の人生を台無しにした、あの喜島茂輝です。

姿かたちは変わりましたがその傲慢ぶりは健在で、消してしまった自身の人生を取り戻すために、走馬灯株式会社を探していました。

ある日、澄川探偵事務所の所員を務めている理乃のアパートの隣に、走馬灯株式会社が現れます。調査のために乗り込もうとするのですが、そこで忘れていた記憶が蘇りました。

彼女は幼いころ、走馬灯株式会社を訪れたことがあったのです。そこで、ある事件が起こりました……。

走馬灯株式会社(5) (アクションコミックス)

著者

菅原 敬太

出版日

2012-01-28

走馬灯株式会社の秘密にじりじりと近づく気配を感じさせながらも、これまで通りオムニバス形式で物語は進んでいきます。

5巻の最後には、夫婦強盗が登場。2人はボニーアンドクライドばりに強盗を続けるのですが、心の底から悪人でないことがわかります。

自身の母親を見よう見まねしながら迎える緊迫の出産シーンでは、思わず涙があふれてしまうかもしれません。あえて結末は描かれていませんが、どうか心を入れ替えて幸せな家庭を築いてくれているといいなと感じてしまいます。

……と読者がしんみりしたところで、最後のページに謎の人影が。「株主たち」と描かれる彼らは一体なんなのでしょうか。次巻以降は、ひとコマも見逃せない展開が続きます。
 

【6巻ネタバレ】時空を超えた約束……楓おばさんの真実

5巻での潜入以降、理乃は走馬灯株式会社の社員となっていました。そこへ訪れたのは、20数年前に自殺したはずの彼女の叔母でした。

狂気じみた行動をくり返していた叔母に隠されていた真実を、理乃は20年ごしに知ることになります。

社員として接する理乃がまさか自分の姪だとは考えもしない叔母は、1本のカセットテープを彼女に託してきました。

このテープをある人に届けることを使命として、理乃は走馬灯株式会社で生きていくことを心に決めるのです。
 

走馬灯株式会社(6) (アクションコミックス)

著者

菅原 敬太

出版日

2012-07-12

神出鬼没の走馬灯株式会社でしたが、まさか時空を超えてくるとは。物語も中盤を過ぎ、エピソードを重ねていくにつれ、人物設定や結末も少しずつ複雑になってきます。

また、当初はひとつのエピソードが1話もしくは1話で完結していましたが、3話以上またぐことも増え、物語の展開を推理していく面白さも出てきます。

伏線を拾い集めつつ、オチに近づくにつれ徐々に恐怖が増していく感覚は本作独特のもの。ゆっくりじっくり読み進めていってください。

【7巻ネタバレ】信じられない再会……走馬灯株式会社にあの人が⁉

走馬灯株式会社に迷い込んだ漫画家・風間の記録により、探偵の澄川は、走馬灯株式会社の外観や館主である神沼の顔を初めて目にしました。

しかしなんと、神沼の顔は、澄川の死んだはずの恋人・遥そっくりだったのです……。

彼は思わず頭を抱え、その場にへたりこんでしまいました。

走馬灯株式会社(7) (アクションコミックス)

著者

菅原 敬太

出版日

2012-11-28

ここまで本作を読んできた人であれば、この展開をもしかしたらと予想していたかもしれません。この後どうなるの⁉と気になるところですが、本巻では一旦この件は保留されます。

もう、7巻以降は一気読みするしかないですね。

ところで澄川は、冴えない普通のおじさんといった風貌なのですが、元所員の理乃といい遥といい、美女に囲まれていますね。誠実で、他人を放っておけない人柄が魅力的なのでしょうか。

【8巻ネタバレ】人は自分に都合のよいことしか見ない……カルト教祖の大ピンチ

本作はジャンルとしてはミステリーなので、緊迫した展開や予想だにしない結末が見どころなのですが、8巻にはふっと笑ってしまうお話も。

カルト教祖の木奈城正児は、自身を全知全能の神と名乗り、インチキ宗教で大金持ちになっていました。そして大金を手にした彼は脱走をはかり、走馬灯株式会社に辿り着くのです。

走馬灯株式会社(8) (アクションコミックス)

著者

菅原 敬太

出版日

2013-05-28

しかし、彼を心配した信者たちがあとをつけてきてしまいました。彼らは画面に映し出されるどんなに情けないシーンでも心の底からありがたがり、木奈城が神であると再確認していくのです。

この信仰心が、最後に大変な悲劇を巻き起こしてしまうのですが……。

「こいつらみんな…自分に都合のよい所しか見てないんだね……」（『走馬灯株式会社』8巻より引用）

本作のなかでは少し異色のお話ですが、しっかりとしたオチはさすがの面白さ。木奈城の心の声が切ないけれど、これが真理なのかもしれません。

【9巻ネタバレ】いよいよ潜入！館主・神沼の正体が明かされる!?

ついに澄川と喜島の目の前に、走馬灯株式会社が現れました。そして喜島は、信じられない暴挙に出るのです。

澄川のもとには、桂木と名乗る男がやってきます。彼は作中で2度目の登場となるのですが、その言動や行動は見るからに怪しく、まるですべてを見透かしているようで……。

走馬灯株式会社(9) (アクションコミックス)

著者

菅原 敬太

出版日

2013-12-27

彼の存在が本作の結末にどのように絡んでくるのかはまだ明らかになりません。ここから、壮大なラストに向けて大きな謎解きが始まります。

喜島の自分勝手っぷりは9巻でも健在。成長する兆しは一切無く、きっと最後までこの調子なのでしょう。

さて、本巻のラストのページを見た瞬間にきっとすぐ10巻を開きたくなってしまうと思うので、ぜひお手元に用意して読み進めてくださいね。
 

【10巻ネタバレ】最終回！走馬灯株式会社の秘密と全貌……衝撃の結末！

いよいよすべてが明らかになる最終巻。桂木の思惑により、澄川は窮地に立たされます。そこへ助けにやってきたのが、かつての所員だった理乃でした。

なんとかピンチをくぐり抜け、安全な部屋にたどり着いた2人のもとに、館主である神沼がやってきます。そして驚くべき事実を告げました。

「株主の楽しみは…『赤の他人がとんでもない状況に陥って行く姿を鑑賞する事』…それしかございませんから……」（『走馬灯株式会社』10巻より引用）

澄川や理乃を陥れようとしていた黒幕は、あるひとりの「株主」でした。これまでこの施設へ迷い込んだ人々の人生の結末は、すべて株主たちの娯楽でしかなかったのかもしれません。株主になるには、とある悲しい条件があるのですが……。

走馬灯株式会社(10) (アクションコミックス)

著者

菅原 敬太

出版日

2014-06-27

ここから怒涛のエンディングへ物語が進んでいきます。記憶を操り、ディスクを書きかえたり破損したりすることも可能なこの会社で、澄川が選んだ道とは……。

結末は、どこか悲しくもありながら大切の人の幸せを思う強さが描かれています。最後まで読んだ読者の頭に浮かぶのは……。

もし生まれてからの人生をすべて記録しているディスクがあったら……あなたは観てみたいですか？

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