初めての西尾維新!まずはこの6シリーズがおすすめ!

更新:2021.12.14

西尾維新は、独特の世界観とキャラクター達で読者を魅了させる小説家です。小説のタイトルは知っているけど読んだことない、読んでみたいけど、どの本から読んだらいいか分からない、そんな貴方におすすめしたい小説シリーズを6つ紹介します。いろいろなタイプのシリーズがあるので、ご紹介した中から気に入ったものを読んでいただけると幸いです。

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言葉遊びが天才的な作家、西尾維新

西尾維新は1981年生まれの小説家です。小説以外にも、漫画原作や脚本も手掛けています。

もともとは漫画家を目指していましたが、絵が上達せず、「活字なら印刷のよしあしに関わらない」という考えから小説家を目指すようになります。処女作である『クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言使い』で第23回メフィスト賞を受賞し、小説家デビューを果たしました。

西尾維新が描く物語の魅力は、独特の世界観でありながら、違和感なくその世界に引き寄せられるストーリー構成や言葉使い、そして一度読んだら忘れられない強烈なキャラクター達です。キャラクター達は、各々の思想や過去、経験のもと、まるで小説の中で呼吸をし、走り、叫んでいるように感じられます。西尾維新の表現力は、力強く、凄まじく、貴方も読めばきっとその魅力に引き込まれるでしょう。

西尾維新の処女作、「戯言」シリーズ

西尾維新の処女作である『クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言使い』をはじめとする全6作を中心に、外伝として「人間」シリーズ、「最強」シリーズが刊行されています。主人公の「ぼく」(本名不明)が、残虐的な殺人事件に巻き込まれたり、バトルが繰り広げられたりする小説シリーズです。「戯言」シリーズには、西尾維新の小説全てにつながるルーツがあります。

この作品は当初「萌えキャラ」と「ミステリー」の融和でしたが、シリーズを追うごとに「バトル」小説へと変貌を遂げます。物語が進むにつれ、キャラクター達の個性や萌え要素がより深く描かれ、そして激しいバトルシーンでストーリーが構成されていくのです。

 

著者
西尾 維新
出版日
2008-04-15


超個性的なキャラクターたちの中で、主人公で語り部である「ぼく」は感情が希薄で、一見普通の人と変わりません。変わったところと言えば、自分の発言を「戯言」と罵ることから「戯言使い」と呼ばれるくらい。どこにでもいそうな現代の若者かと思いきや、シリーズを読み進めていくと「ぼく」の異常体質に気づき、人となりに興味を引かれ、早く次巻を読みたいと思わせます。

もっとも知名度の高い小説、「物語」シリーズ

「物語」シリーズは、西尾維新の作品で一番知名度の高い小説でしょう。アニメ化されているのはもちろん、ドラマCD、ゲーム化、劇場版アニメも放映されています。小説を読みたいけど活字は苦手という方は、シャフト制作の傑作アニメから入ることもおすすめです。

 

著者
西尾 維新
出版日
2006-11-01


「物語」シリーズの特徴は2つあります。

ひとつ目は、主人公で高校生の阿良々木暦と、訳ありの少女達を取り巻く「怪異」と言う存在です。怪異とは現実にはありえない出来事、妖怪、霊、化け物の示し、西尾維新はこの怪異に、更にオリジナリティを加えています。

ふたつ目は会話劇です。例えば、ヒロイン・戦場ヶ原ひたぎと主人公・阿良々木暦のやりとり。「言い逃れはやめなさい。切り落とすわよ」「どの部位をですかっ!?」などクスッと笑えるがテンポが良く、時に淡々と時にハイテンションに進む会話を楽しむことが出来ます。

怪異と言う怪奇な存在と、年相応に人間関係に悩んだり恋をしたりする、バトルもあればコメディもある、西尾維新が「自信作」と言った「青春怪異小説」です。

寝ると記憶がリセットされる名探偵、「忘却探偵」シリーズ

実写ドラマ化もされた『掟上今日子の備忘録』をはじめとする、寝ると記憶がリセットされる探偵が、事件を解決していく小説シリーズです。『クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言使い』と共通点が多く、自身も「原点回帰」かもしれないと語っています。

 

著者
西尾 維新
出版日
2014-10-15


主人公・掟上今日子は、25歳、白髪でメガネをかけた美女、寝ると記憶がリセットされるため、1日で事件を解決する「最速の名探偵」「忘却探偵」と呼ばれている探偵です。記憶は24時間ではなく、眠ることでリセットされるため、事件解決するまで数日徹夜することも厭いません。依頼された仕事の内容や、自分に必要な情報は、マジックペンで自身の腕や足に書いて記録しています。

記憶をリセットされる原因は何だったのか、記憶のない彼女がなぜ探偵をしているのか、彼女を突き動かす者は何者なのか、謎が多くワクワクする、そんな小説です。

掟上今日子も魅力的ですが、彼女に好意を寄せる免罪体質の隠舘厄介も魅力的で、どうしようもないふたりの関係も気になり、まだまだ先を読みたくなります。

異常な世界、「世界」シリーズ

『きみとぼくの壊れた世界』をはじめとする、学園×殺人事件のミステリー小説です。「戯言」シリーズや「忘却」シリーズと比べるとミステリー感が少なく、キャラクターの内面が他のシリーズに比べ、多く描かれています。

 

著者
西尾 維新
出版日
2003-11-08


西尾維新が描くキャラクターはどれも個性豊かですが、度が過ぎる愛で一線踏み越えそうな兄弟、人間恐怖症で保健室に引きこもる少女、非日常を求める少年、学ランを着る少女等、このシリーズは個性の豊かさがずば抜けています。前述した通り、ミステリー要素が少ない分、主人公を取り巻くキャラクターの異常性が「世界を壊していく」様がいっそ清々しいです。しかし、文章に重さはなく、淡々と読めます。

西尾作品を読むに当たり、この本から始めるにはちょっと勇気がいるかもしれません。しかし逆を言えば、この作品でガッツリ西尾維新の世界観を掴めるでしょう。

真っ赤な髪の魔法少女、「りすか」シリーズ

魔法を使える少女・水倉りすかと、心に茨を持った少年・供犠創貴のファンタジック・アドベンチャー小説です。タイトルだけ見ると子供向け?と思うかもしれませんが、そんなことはありません。しっかり大人も楽しめる小説です。

 

著者
西尾 維新
出版日
2004-07-17


主人公はふたり共小学生、という西尾維新としては異色の小説ですが、「戯言」シリーズや「物語」シリーズのようなアクションバトルシーンも多く描かれています。そして小学生にしては大人びているようで、しかしやはりその心は幼い、水倉りすかと供犠創貴のやりとりも見どころです。小学生の頃こんな経験していないのに、なぜか感情移入出来てしまう、本当に魔法にかけられたような感覚を覚えます。

りすかの真っ赤な髪が描かれている表紙にも興味を引かれます。まだ完結していないものの、2016年現在発刊されているのは3巻と少なめなので、とりあえず一気に読みたい方におすすめしたい小説です。

西尾維新の「伝説」シリーズ

2012年10月25日午前7時32分。「大いなる悲鳴」と称される謎の災害によって、人類の3分の1が死滅してしまいました。

それから半年後の2013年5月27日。何事にも心が動かない人間であることに苦悩して、飢皿木診療所を訪れた空々空は、ここでの問診から素質を見出されて、「人類を滅ぼそうとする悪しき地球と闘うヒーローになってほしい」と言われ、「地球撲滅軍」なる組織に勧誘されるのでした……。

 

著者
西尾 維新
出版日
2012-04-26


やや残虐性はありますが、おもしろいアイデアがとても巧みに昇華されている作品です。

最初は置いてけぼり感強めに進行していきますが、途中からは気にならなくなり、急激にハマっていきます。点と点が繋がっていく感覚に近いのですが、そこがさすがです。

アイデアを的確に巧みに使い、証拠や伏線をばらまきつつ、最後にしっかり回収するという展開は見事のひとことにつきます。

ひとが大量に死ぬ凄惨な物語ながら、爽快感と疾走感があり、誰も報われていないし、まったく感動もしないのに、なぜか読後感は悪くないという不思議な作品です。ただ、主人公の考えていることはよくわかりません。

そんな不思議さを味わいたい方はぜひどうぞ!

展開も登場人物の名前も奇天烈作品が多い西尾維新。その世界に慣れてしまうと、逃れられなくなります。長いシリーズものが多いのですが、読みやすい作品ばかりですので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。

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