漫画『クロスゲーム』の登場人物を徹底紹介!青葉がかわいすぎてつらい。。。

更新:2021.12.1

「週刊少年サンデー」にて連載されていた野球とラブコメを掛け合わせた作品『クロスゲーム』。作者は『タッチ』や『H2』といった野球漫画の名作を描いたあだち充です。今回は『クロスゲーム』に登場するキャラたちの魅力を紹介していきます。

ブックカルテ リンク

『クロスゲーム』登場人物の魅力を徹底紹介!アニメも人気!

『クロスゲーム』は野球を通じて少年少女の青春を描いた作品です。野球、部活、仲間、そして恋愛と青春時代の代名詞ともいえる出来事が詰め込まれています。

作者は名作野球漫画『タッチ』を生み出したあだち充。本作のように、スポーツを通じた多くの青春漫画を描いています。そのどれもが少しの甘さ、少しの切なさを感じる作風です。

さて、本作の魅力はさまざまなキャラの心境が作品を通して伝わってくる点でしょう。決して多くは語られませんが、表情や少ないながらも真っ直ぐな言葉から、ひしひしとキャラの想いが伝わるので強い共感を抱くことになります。

著者
あだち 充
出版日
2005-09-02

小学生の幼馴染が死んでしまうところから始まる本作は、死を安易に扱い過ぎていると批判されることがありますが、『クロスゲーム』の連載開始は、あだち充の実兄で漫画家のあだち勉の死の翌年のこと。本作は、仲の良かった兄の死を経験して描かれた、死を軽く扱うのではなく、むしろ真正面から見据えた作品と言えるでしょう。
 

今回はそんな『クロスゲーム』の魅力を登場人物から紹介していきましょう。

 

あだち充のおすすめ作品を集めたこちらの記事もおすすめです。

『タッチ』の作者あだち充のおすすめ作品ランキングベスト6!3位は『H2』

『タッチ』の作者あだち充のおすすめ作品ランキングベスト6!3位は『H2』

南ちゃんでお馴染み『タッチ』の作者あだち充。1位はやっぱりあの作品? 今回ランクインしたのは、どの6作品? 答えは記事の中にありますよ。それでは、あだち作品6作、お楽しみください。

 

漫画『クロスゲーム』のあらすじ

著者
あだち 充
出版日
2005-12-15

スポーツ用品店キタムラスポーツの一人息子の樹多村光、そして近所のバッティングセンターを営んでいる月島家次女の月島若葉。両家家族ぐるみの付き合いをしており、特に2人は両想いで仲良しでした。その反面、三女の青葉と光は犬猿の仲と呼べるほど顔を合わせてはいがみ合っていました。

しかし、ある日に野球に熱中している青葉のピッチングフォームを見た光は、青葉の美しいフォームに憧れて野球を始めるようになります。若葉はそんな光の努力を傍で微笑みながら見つめていました。

そんな平和な日々を過ごしていた小5の夏、若葉が事故で亡くなってしまったのでした……。

そして時は流れ、光は高校生になっていました。友人の強い勧め、そして何より若葉が最後に見たという甲子園決勝の夢を叶えるため、光の高校野球が始まります。

『クロスゲーム』の登場人物1:嘘が得意な主人公【樹多村光】

本作の主人公で、キタムラスポーツの一人息子。親しい人物からは「コウ」と呼ばれています。

幼いころからグータラで飽き性の性格ですが、その一方で意外と負けず嫌いな面も。野球を始めたきっかけも幼馴染の青葉に野球で負け、さらには青葉の美しいピッチングフォームに憧れたから。

しかし、部活に所属することはなく、独自でトレーニングを積んでいました。高校に入学してようやく部活を始めますが、その時点でもまだまだピッチャーとして未完成。

そして未完成ながらも150キロを超える球を投げ、コントロールもそこそこ。変化球も教わって1週間でものにするといったように、非常にセンスも秀でています。

ちなみに、あだち充作品の投手で、最も速い球を投げるのはコウです。

著者
あだち 充
出版日
2005-09-02

また、非常に嘘をつくことが多く、作中でもしれっと友人たちに嘘をつきます。そのため、コウの心情がうまく把握できないことがあるのです。意味のない嘘もつき、重大な嘘までつくので、若葉を除く誰もがコウの本心を見抜くことはできません。

しかし、そんなコウでも唯一感情を露わにしたのが、若葉の葬式が終わった翌日。実感が湧かなかったのか、受け入れられなかったのか、若葉が亡くなったと知っても、葬式でもコウは涙を流すことはありませんでした。

決して冷たい人間というわけではなく、若葉を亡くしたことを処理しきれなかったのでしょう。そんなコウが同級生の赤石が若葉が亡くなって涙を流しているのを見て、ようやく涙を流します。この涙だけは決して嘘ではなく、コウのむき出しの感情が描かれました。

『クロスゲーム』の登場人物2:160キロを投げられる男がタイプ【月島青葉】

本作のヒロインで月島家4姉妹の三女。

非常に可愛いらしい女の子でモテるのですが、本人にその自覚はなく男勝りな性格をしています。次女の若葉が大好きで、いつも若葉にくっついていこうしますが、若葉の隣にはいつもコウがいたため、コウに対する態度は常にケンカ腰。

野球がとても好きで、小学生の頃から野球をしており中高と野球部に所属しています。ポジションはピッチャーで、コウのお手本となったほどの美しいフォームの持ち主です。「野球の才能」に関しては男を含めて作中トップクラス。

そして、好きな男のタイプも「160キロのストレートを投げられる男」というように、すべて野球中心の生活をおくっています。

著者
あだち 充
出版日
2010-04-16

このように、中身は男と思われる人物ですが、ずっと気丈に振る舞っていただけなのです。コウと同様に感情を表現することが下手で、その感情を引き出してやれるのが若葉とコウだけ。

常に前だけをみて、涙をこらえてきた青葉が最終巻でコウの前で涙を流すシーンはまさに必見です。その涙をみて、青葉がどれだけ感情をため込んできたのかが伺えます。

素直になれない女の子で、最後の最後まで素直になりきれませんが、コウが特別な存在であるからこそそんな態度を取り続けるのです。多くの読者がそんな青葉の姿に心を打たれることでしょう。

ラストシーンはあだち充作品の中でも間違いなくベスト3に入る名ラストシーン。本作は17巻かけて、青葉というヒロインの壮大なツンデレを描いた作品ということもできるのです。

『クロスゲーム』の登場人物3:コウの運命の人【月島若葉】

本作のもう一人のヒロインで、月島家次女。コウと同じ日、同じ病院で産まれ、その日からずっと同じ時を歩んでいました。

とても明るく聡明で、そのうえ可愛くて、まさに男子が憧れる女の子。そのため多くの人物に好意を寄せられていましたが、本人はコウ一筋でした。

しかし、不幸なことに小学5年生の時に河川事故で命を落とします。その前日に、彼女がコウたちが甲子園にいく夢をみたという話が、コウの野球に対する本気の思いを引き出しました。

著者
あだち 充
出版日
2005-09-02

出番の少ない人物ですが、存在感は抜群です。コウや家族はもちろんのこと、多くの人物に愛されていました。そして、亡くなった後でもずっと愛されています。

そんな彼女の口癖だったのが「コウならできる!」。決してコウに対する無茶ぶりやわがままではありません。コウをもっとも理解し、もっとも期待を寄せているからこそ告げるのです。

そして、コウも若葉の期待に応え続けてきました。まさに2人は「比翼連理」といった言葉がぴったり。互いを好きあう運命だったとしか考えられないほどお似合いな人物です。

このようにいい所ばかりの若葉ですが、一つだけ青葉を苦しめ続ける言葉を残してしまいます。

「奪っちゃダメだからね」(『クロスゲーム』1巻より引用)

コウの話を青葉としていた時に、なかば冗談でのように、けれども顔は真剣に告げました。この言葉が青葉がコウに強い態度をとり続ける原因となるのです。

『クロスゲーム』の登場人物4:月島家長女【月島一葉】

月島家の長女で、亡き母の代わりに妹たちの面倒をみています。しっかり者でおしとやかな性格をしており、さらには料理も上手。そのため、実家が営む喫茶店「クローバー」のほとんどを彼女が切り盛りしています。

妹たちの良き理解者であり、時には甘やかし、時には叱咤しと母としても姉としても妹たちに寄り添うのです。

後述の東雄平の兄・純平から一目ぼれされ、猛烈なアタックを受けます。はっきりとした答えは示さないものの満更ではないよう。純平に対してだけはやや小悪魔的な女性になります。

著者
あだち 充
出版日
2007-06-18

そんな一葉の印象的な言葉がこちら。

「別れたら忘れるの。好きになったこと以外は――ね。」(『クロスゲーム』8巻より引用)

こちらはコウに純平を好きかと聞かれた後に、さらに昔好きだった人について尋ねられた際の答えです。コウに向けていったということから、一葉もコウを理解していることがうかがえます。

若葉との思い出は思い出のまま大切にしておき、いつまでも縛られずに先に進みなさい、と一葉は言外に伝えたのです。はたして、高校生になってもいまだ若葉のことを整理できていないコウは、この言葉を受けて何を感じたのでしょうか。

『クロスゲーム』の登場人物5:賢い末っ子【月島紅葉】

著者
あだち 充
出版日
2006-06-16

月島家4姉妹の末っ子。母と姉を亡くすというツライ経験がありながらも、元気に明るく育ちます。姉たちにとても懐いているのと同じくらいにコウとも兄妹のような関係を築いています。

容姿が生前の若葉に非常に似ており、たまにコウがその姿を若葉と重ねているよう。さらには若葉と同じく水泳が得意で、異性にモテるといったようにさまざまな面で若葉と被ります。ただし、男子をキープするといった感じで、ややませた性格であるといったように異なる面も。

しかし幼いながらも、姉妹やコウの機微に敏感でそれぞれに向ける想いに気付いているのです。末っ子ですが、捻くれたコウと姉の行く末を影ながら見守っています。

一葉のように聡明で、若葉のように芯が強く、青葉のようにわんぱく。まさに月島家の末っ子というべき人物です。

『クロスゲーム』の登場人物6:若葉の生まれ変わり⁉【滝川あかね】

キタムラスポーツの隣で経営を始めた「そば滝川」一人娘。

「幽霊でも年をとるのか」といわれるほどに若葉と瓜ふたつの容姿をした女の子で、若葉を知る登場人物の全員が驚くほどにそっくりです。若葉が成長したらこのようになると想像できます。

コウや青葉が通っている星秀学園とは違う女子高に通っており、成績優秀、他校の男子からの人気も高いといったように容姿以外も若葉を彷彿とさせます。

著者
あだち 充
出版日
2008-02-01

しかし、活発だった若葉とは対照的で、病弱のためインドア派。美術部に所属しており、その腕前は青葉をモデルとした「全国高校野球選手権大会ポスター用原画コンクール」でグランプリを受賞するほどの腕前です。

コウとはご近所付き合いをきっかけに、青葉とはクローバーでのアルバイトをきっかけに距離を縮めます。病弱なので活発な女の子に憧れており、自身の理想である青葉を妹のように思っているようです。

若葉とそっくりな女の子ですが、誕生日も血液型も趣味も違う。そんな女の子の登場はコウにどのような影響を与えるのでしょうか。

『クロスゲーム』の登場人物7:一途な男【赤石修】

コウと若葉と小学校からの同級生で2人の幼馴染といえる男の子。基本的にぶっきらぼうであまり表情を変えないポーカーフェイスですが、その実繊細な性格をしています。

野球はリトルリーグに所属していましたが、暴力事件を起こしたことでチームを去ります。しかし、若葉からコウと、そして赤石が甲子園に出場した夢をみたと聞かされ、さらにはその夢で赤石が捕手だったことから捕手として中学から野球を再開しました。

上記から想像できるように、若葉のことがとても好きで、若葉の前ではそのポーカーフェイスも赤く染まってしまいます。しかし、若葉がコウを好きだと誰よりも知っていたので、彼女の幸せを願っていたのです。

著者
あだち 充
出版日
2009-07-17

そして、そのポーカーフェイスが再びあかねの登場で崩れます。

「人を好きになるのは勝手だよな。」(『クロスゲーム』15巻より引用)

あまりにも若葉に似すぎていたので、赤石はあかねに惹かれていきます。しかし、赤石は若葉と同じくらいコウの幸せも考えており、あかねとコウを結び付けようとするのです。

強面の顔に似合わずとても一途な男で、男性は赤石の男気に惚れるのではないでしょうか。また、女性も赤石の一途さに好意を抱くでしょう。

『クロスゲーム』の登場人物8:10年に1人の天才バッター【東雄平】

エースのコウとともに4番として星秀学園を支えます。その実力は天才といえるほどで、長打率は8割、足も速い、守備も上手いと非の打ちどころがありません。

それは類稀なる努力の結果ではあるものの、野球に対しては自信過剰といえるほどの自信家で、能天気なコウに呆れられるほど。そのうえ、野球が下手な人物の名前は覚えないというように、すべての判断基準が野球となっており、甲子園出場に執念を燃やしています。

これはかつて自身の不注意で兄・純平の野球人生を奪ったことが影響しているのです。甲子園出場が目前だった兄に対する罪滅ぼしのように野球に人生を捧げています。

著者
あだち 充
出版日
2009-11-18

そんな野球マシーンのような東ですが、コウや赤石とともに野球をすることで、やや態度が軟化しチームメイトに対する思いやりを持つようになります。

しかし、東は星秀で野球をしていることにひとつだけ後悔があったのです。

「このチームに残って 後悔したのはたったひとつ――あいつと勝負できないことだ。」(『クロスゲーム』16巻より引用)

成長を続けるコウをみて、コウの前にバッターとして立ち向かいたいという思いを秘めていました。これをみるに、純平に対する罪滅ぼしだけでなく、東も野球が好きだということがわかります。

漫画『クロスゲーム』はあだち充作品屈指の最終回!【ネタバレ注意】

星秀学園対竜旺学院高校、甲子園への切符を賭けた戦いは一進一退の攻防を繰り広げます。9回では決着はつかず、延長12回表。コウが自らのバットでホームランを叩き込み、甲子園へと王手をかけました。

対する竜旺も執念をみせ、なんとか東と同じ実力を持つ三島へと打順を繋げます。

12回投げ続けてもいまだ衰えないコウの球速は信じられないものとなっていました。スピードガンが示すのは158キロの数字。三島はついに追い込まれます。

そして、次に投げられたコウの球はスピードガンが計測できないほどの速さで……。

著者
あだち 充
出版日
2010-04-16

コウは試合の前に青葉に3つの嘘という名の約束をつげていました。

「甲子園に行く!160キロ出す!――そして、月島青葉が一番好きだ――」(『クロスゲーム』17巻より引用)

はたした、コウがついた嘘は真実となるのか。それはご自身の目で確認してみてください。ここでは若葉が亡くなって以来泣くことのなかった青葉が涙をみせたということだけを伝えておきましょう。彼女が流した涙は悲しみか嬉しさか……。

そして、最後はコウと青葉、2人が手を繋いでいるシーンで本作は終わりを迎えます。きれいな終わり方ではあるものの、2人のその後や野球人生の行く末といった続きが気になる締め方をしているのです。

コウや青葉の無限の未来が幸せに満ち溢れていることを願います。

さて、あだち充の名作野球漫画『クロスゲーム』の魅力は伝わったでしょうか。心動く物語となっているので、ぜひとも読んでください。

  • twitter
  • facebook
  • line
  • hatena
もっと見る もっと見る