漫画『デイジー・ラック』全巻の見所をネタバレ紹介!【ドラマ化】

更新:2021.12.3

30歳を迎えた幼なじみの女子4人。彼女たちが織りなすそれぞれの物語に、同世代の女性は共感すること間違いなし!2018年には実写ドラマ化も決定し、ますます注目を集めている本作の魅力をご紹介していきます。

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漫画『デイジー・ラック』全巻の見所を最終回までネタバレ紹介!ドラマ化作品が面白い!

『逃げるは恥だが役に立つ』で一躍注目を集めた漫画家、海野つなみの作品で、本作も2018年にテレビドラマ化されることが決定しています。

「30歳」という節目を迎えた4人の女性の、恋に仕事に揺れ動く心情が丁寧に描かれています。

彼女たちが抱えている悩みは、女性ならきっと誰もが共感できるもの。読者も一緒に悩んで一緒に成長し、勇気づけられる作品です。

著者
海野 つなみ
出版日
2018-02-13

漫画『デイジー・ラック』のあらすじ

漫画『デイジー・ラック』のあらすじ
出典:『デイジー・ラック』1巻

 

小学5年生で出会ってから19年、30歳を迎える4人の幼馴染たちが主人公。それぞれの物語がオムニバス形式で描かれています。

彼女たちは定期的に「ひなぎく会」といういわゆる女子会を開き、顔をあわせます。微妙な年齢に差し掛かり、さまざまな悩みを抱えながらも1歩を踏み出していく姿に勇気をもらえるでしょう。

 

漫画『デイジー・ラック』の魅力:4人それぞれの物語が沁みる

岩代えみは、4人のなかで唯一の既婚者。料理が好きで、キッチングッズが豊富にそろった彼女の家は、「ひなぎく会」メンバーのやすらぎの場になっています。

夫も優しく恵まれた暮らしをしている一方で、変わらない日常に不安を感じている自分に気が付きました。悶々と悩み、何もしていないのに疲れると感じてしまっていましたが、夫のふとした言動に救われ、「ふたり」で生活することに新たな考えを持つようになります。

山城楓は、恋人がいないまま30歳の誕生日を迎えようとしていました。これから先もひとりで生きていくことになるかもしれないと、一念発起して転職。パン職人の道を志すことを決めます。

実は彼女、これが2度目の転職で、ほかのメンバーと比べて特別好きな仕事があるわけでも家庭があるわけでもなく、「何もないまま大人になってしまった自分」に焦りを感じていました。

新しい恋もどうやら叶いそうはないですが、それでも仕事のパワーに変えて、奮闘する毎日です。
 

著者
海野 つなみ
出版日
2018-02-13

 

周防薫は、大手エステサロンの現場チーフから営業へと華麗に転身し、バリバリと働くいわゆるキャリアウーマン。30歳を目前にある大仕事を任されることになり、「これからの自分を形作る第一歩になる」と意気込んでいます。

美人で仕事もできて、ひなぎく会メンバーの憧れの的ですが、男運がないのが玉にキズ……しかし今回の大仕事をきっかけに、彼女も恋も動き出すのです。

讃岐ミチルはカバン職人。学生のころからオーダーメイドのバッグを作っていて、そのまま好きなことを仕事にしています。マンション購入を夢見つつ、仕事の依頼は減少傾向で収入はギリギリ……。悩める日々です。

4月生まれなので1番早く30歳になったものの、彼氏はおらず、結婚の予定も無し。しかし彼女が作ったあるカバンが、意外な形で恋を連れてきました。

立場も仕事も環境も違う4人。悩みもそれぞれ違いますが、言いたいことは我慢しません。嬉しいことがあれば1番に報告できる関係も素敵ですね。

 

漫画『デイジー・ラック』の魅力:アラサーならではの悩みを優しく昇華してくれる

漫画『デイジー・ラック』の魅力:アラサーならではの悩みを優しく昇華してくれる
出典:『デイジー・ラック』1巻

 

女性であれば誰もが意識するであろう「30歳」という年齢。4人のうち3人は未婚で、「もしかしたらこのまま一生ひとりかも」という考えが頭をよぎる時期でもあります。

彼女たちが考えていることや悩んでいることは、どれもリアルなもの。思わず自分の現状を重ねてしまう読者も多いのではないでしょうか。

もがきながらも前を向き、時にはひなぎく会のメンバーに助けられながら進んでいく姿に、勇気づけられる作品です。

 

漫画『デイジー・ラック』の魅力:名言多数!

漫画『デイジー・ラック』の魅力:名言多数!
出典:『デイジー・ラック』1巻

 

本作にはモノローグも多用され、彼女たちの抱えている想いがよくわかるようになっています。たとえば唯一の既婚者であるえみは、恵まれた生活をしつつも、トキメキのない同じ日々が続くことに不安を覚えていました。

幸せとはなんなのか考え涙がこぼれそうになりますが、夫のふとした言動で笑ってしまうほど心が軽くなるのです。

「そっか……転機って 具体的になにかが変わることだけじゃなくって 本質的には心の変化をいうんだわ」(『デイジー・ラック』1巻より引用)

気持ちに余裕ができると、他愛のない日常のなかにも、トキメキや幸せがあふれていることに気づくのです。

カバン職人という好きなことを仕事にできたミチル。ただ収入が不安定なため、ふと弱気になってしまう時があります。

「これが二十歳くらいなら…いや24くらいまでだったらもっと身軽だったのに もしかしてこれが転機ってやつだろうか?」
「ダンナでもいればなー そしたら生活の不安を感じずに好きな仕事ができるのになぁ…」(『デイジー・ラック』1巻より引用)

これは、まさに「30歳」になった彼女の本音を見事に表しているといえるでしょう。仕事が嫌なわけでもない、今すぐ結婚したいわけでもない、それでもなんとなく不安になり、このままでいいのかわからなくなってしまう複雑な心が描かれています。

そして、1巻のラストに綴られているモノローグは、揺れ動きながらもたくましく生きる彼女たちを表した、力強いものでした。

「わたしたちはあのころからなにも変わってない ずるさもわがままも純粋さも
大人になるって子供じゃなくなることじゃない 大人の“女の子”になるんだ
日々の中 幸運と不運にもまれながらときめきを探して そうしてみつけたら 大事にして生きるんだ」(『デイジー・ラック』1巻より引用)

悩んでも迷っても最後は必ず前を向くのが、本作の魅力だといえるでしょう。

 

「30歳」それぞれの物語が動き出す!【『デイジー・ラック』1巻ネタバレ注意】

 

パン職人を志し、一念発起して転職した楓。大好きなパンと優しい仲間に囲まれて、見習いとして奮闘していました。

ある日働いているパン屋に、数年間ヨーロッパに留学していた安芸という男性が戻ってきました。パン作りに真剣に向き合う姿を見るうちに、しだいに恋心を抱くようになるのですが、どうやら彼には忘れられない人がいるようです。

楓自身も、せっかく新しい職場にやってきたのに気まずい雰囲気にはしたくなく、気持ちを伝える勇気はありません。

「恋も仕事も失って平気っていえる年齢じゃないしね」(『デイジー・ラック』1巻より引用)

薫がポロっとこぼした言葉に、おおいに共感する楓。何気ない会話のなかにあるリアリティが光ります。

 

著者
海野 つなみ
出版日
2018-02-13

 

一方の薫にも、新しい出会いがありました。ライバル会社に勤めていてコンペで競合していた大和という男性に、ふとしたきっかけでときめいてしまっている自身の心に気づいたのです。

「ときめきを見つけたらとりあえず動け!失敗だと思ったらまたすぐに動け!」(『デイジー・ラック』1巻より引用)

この強い気持ちで、これまで多くの仕事を成功させてきた楓。恋愛は散々でしたが、今回の恋はどうなるのでしょうか。

 

「30歳」の悩みがリアル!それぞれの結末とは?【『デイジー・ラック』2巻(最終回)ネタバレ注意】

 

仕事が低迷中のミチル。しかしピンチの時こそチャンスだと自らに言い聞かせ、知り合いの革具屋で手習いをはじめました。

そんな時、「ひなぎく会」でマンションを買うことが決まったとえみが報告してきます。ただ彼女は購入になんとなく迷いがある様子。他のメンバーも、引っ掛かることがあるのであれば、やめたほうがいいと助言するのです。

その後ミチルは、薫の弟で幼い時から親しくしていた貴大に、欠点を探すということは気に入っていないということなのだと話しました。

「逆にさ いくら欠点挙げても『でも』『でも』って食い下がる場合はさ なんだかんだ言って気に入ってるんだよね」(『デイジー・ラック』2巻より引用)

何かに迷っている読者には、ぐっとくる言葉なのではないでしょうか。彼女の言葉に「すごくよくわかる」と妙に納得する貴大ですが……ここからドキドキの意外な方向に話が展開していきます。

 

著者
海野 つなみ
出版日
2018-02-13

パン職人に転職した楓は、まだ見習い期間中。気になっている安芸が落ち込んでいることがわかっても、何もすることができず、恋も前途多難です。

それでも「ひなぎく会」で幼馴染たちとおしゃべりをすることは、沈んでいた気持ちをいつのまにか浮上させてくれるもの。飲んで食べて、喋って笑った帰り道、ひとりで夜空を眺めながら、なぜだか泣きそうになっている自分に気づきました。

「悲しいんじゃない 胸がいっぱいになったのだ 大丈夫 大丈夫 がんばれわたし」(『デイジー・ラック』2巻より引用)

おまじないのように、自分に言い聞かせる楓。どうにもならないことがあることに気づいた、大人の切ないシーンです。

最終回では、そんな楓の恋愛に一区切りがつく様子が描かれます。涙目の彼女のモノローグで物語は結末へと閉じていきます。
 

年齢を重ねるにつれ、1歩踏み出すことに臆病になり、安定した日常を変えることが怖くなります。もし傷ついてしまったら簡単には立ち上がれないかもしれません。それでも、悩んで苦しみながらも励ましあう4人の姿を見て、きっと勇気をもらえるでしょう。

タイトルでもある『デイジー・ラック』、つまり「幸運にも見つけられたときめきの花」について、彼女たちはそれをどんなものとしてこれから人生を歩んでいくのでしょうか?感動の最終回はぜひご自身でご覧いただければと思います。

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