雨宮まみのおすすめ本5選!「こじらせ女子」の生みの親!

更新:2021.11.13

本当の自分らしさとは……自身の経験をもとに女子の生き方を描いた作品が人気を博している雨宮まみ。「こじらせ女子」という言葉は新語流行語大賞にもノミネートされました。彼女の残した著作のなかでもとくにおすすめのものを5作ご紹介します。

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雨宮まみとは

1976年、福岡生まれの雨宮まみ。高校までは地元で過ごし、大学進学とともに上京します。バニーガール、成人誌の編集者などを経て、フリーのライターになりました。主戦場は「エロ」で、自ら「AVライター」と名乗っています。

2011年、WEBサイト上で連載していたエッセイ『女子をこじらせて』を書籍化。2013年には「こじらせ女子」という言葉が新語流行語大賞にノミネートし、一躍有名になりました。

その後は人気ライターとして活動の幅を広げていましたが、2016年に自宅での事故により亡くなります。40歳という若さでした。

「女」としてのありのままを描いた文章は、時を経ても多くの読者の共感を呼び親しまれています。

雨宮まみの代表作『女子をこじらせて』

「こじらせ女子」という言葉が流行するきっかけとなった本。暗黒のスクールライフを過ごし、バニーガールを経て、AVライターとなった作者の半生が赤裸々に綴られています。

はじめの章は、性欲と文化の両面からAVに惹かれていった経緯が書かれています。雨宮いわく、AVに感動した原因は「女子をこじらせていたから」……。

著者
雨宮 まみ
出版日
2015-04-10

「『女』であっても、私は私です。『私』には『女』は必ずついてくる。そのことをポジティブに受け入れようと思ったら、怖かったけど目の前が明るくなった。おおげさですが、希望が見えました。」(『女子をこじらせて』より引用)

女だから、という理由で正当な評価をされないことに強烈な不快感を覚え、一時はライターという仕事が嫌になったという雨宮。しかし自分が女であることを受け入れる決意をし、乗り越えていきました。

感じたことを痛烈に述べ、自分のすべてをさらけ出しているのが本書の魅力。業界内の話も興味深く読んるでしょう。女性はもちろん、男性の方が読んでも面白い内容になっています。

雨宮まみが自由に生きたい女子に贈る『女の子よ銃を取れ』

2012年から「ウェブ平凡」で連載されたものに、描き下ろしを加えたエッセイ集です。

女性にとって、外見とはいったいなんなのでしょうか。顔やスタイルに悩み、流行のファッションについていくのに必死になり、他人の目線を気にしなければ生きていけない女子の心を、やさしく解きほぐしていきます。
 

著者
雨宮 まみ
出版日
2014-05-23

雨宮まみの語る女子の「在り方」は実に爽快。「女は美しくあるべきだ」という呪いから解き放たれ、自分らしく生きることこそ魅力だといっています。美しさとは自由に生きることなのだそう。

「私は思います。日夜想像します。ひとの視線や、世間の常識や、善悪の基準すら関係のない自由な世界で、どんなものにもとらわれず、好きな装いをし、気持ち良く深い呼吸をしている自分を。そんな自分は、どんなに美しいだろうかと思います。」(『女の子よ銃を取れ』より引用)

飾らなくても、ヒールをはかなくても、自分らしく居心地のいいようにできること。劣等感に押しつぶされそうになっていた自分から卒業できることを本書は理想としています。美しさから拒まれていると感じたことのある方にぜひ読んでいただきたい一冊です。

雨宮まみの描く東京『東京を生きる』

福岡出身の雨宮が東京ですごした時間を、美しい文体で綴った私小説エッセイ。世界中の女子が憧れを抱く都市であるパリ、ニューヨーク、ロンドン、そして東京……。都市を身に纏うことでこれまでの自分とは違う者になれるという想いを抱いて、彼女は上京しました。

しかしその生活は、東京という殻の大きさに合わせて自らを削り、見えないルールから外れないように生きていくことでした。地方出身の雨宮だからこそ感じた孤独や痛みを描いています。

著者
雨宮 まみ
出版日
2015-04-22

「ほかの街では、夢を見ることができない。ほかの街では、息をすることもできない。そう思いながらも、ときどき東京にいることに息苦しさを感じて、どこかに行きたくてたまらなくなって、知らない街に行くとほっとする。矛盾している。」(『東京を生きる』より引用)

彼女の描く東京は、暴力的である一方、美しくもあります。カネと虚飾が蠢く場所で小さな能力にしがみつくことでしか生きていけず、それは薄い氷の上を歩くように感じると表現されていました。

窮屈に感じつつ、雨宮はそんな東京が好きであると語ります。日々にどこか息苦しさを感じている人にぜひ読んでほしい一冊です。

努力している人にこそ読んでほしい『まじめに生きるって損ですか?』

Webサイト「ココロニプロロ」で連載されていた「雨宮まみの“穴の底でお待ちしています”」が書籍化されたもの。読者から寄せられた愚痴や悩みに彼女が優しく応えています。

そもそも悩みというのは簡単に解決できないから悩んでいるのであって、他人が一言で「こうすればいいのに」と言えるものであれば、とっくにそうしているはずだと雨宮は語ります。本書は悩みを解決することを目指しているのではなく、愚痴を出しつくすことにとことん付き合った一冊です。
 

著者
雨宮まみ
出版日
2016-06-27

彼氏ができないのは努力が足りないからと言われるのが辛い、私はかわいいのに容姿を馬鹿にされるのが耐えられない、カーストの底辺でずっと生きてきた……寄せられる悩みは実にさまざま。

正しくあるべきという圧力に流されがちな社会において、「そのままでいいんだよ」と背中を押してくれる人は多くありません。そこで雨宮は、苦しむ彼女たちのすべてを受け入れ、「あなたのままでいてください」と優しく励ましていくのです。

同じ世界で生きている誰かが、こんなにも悩んでいることに触れることで、他人を、そして自分の理解を深めることができるのではないでしょうか。

雨宮まみのエッセイをコミック化!『ずっと独身でいるつもり?』

Webサイト上で連載していたエッセイ「ずっと独身でいるつもり?」を、おかざき真里のイラストでコミック化したもの。オムニバス形式で、女性たちの姿をとおして現代の生きづらさを表しています。

「結婚して一人前」という価値観は、多様な生き方が認められてきている現代にもまだ根強く残っています。なかでも30代に突入した女性が味わう圧力は相当なものでしょう。

今すぐ婚活するつもりはないけど、つかは結婚したい……そんな想いを胸に生きる女性たちの感情を描いています。

著者
おかざき 真里(作画)
出版日
2015-12-08

「なんかかわいそうになってねぇ。そっちは地震も多いし、そんなときに頼る人もおらんのかと思うとねぇ……」(『ずっと独身でいるつもり?』より引用) 

主人公のまみは、懸命に仕事をし、ようやく認められて、稼いだお金で好きなことをできるようになったところ、母親からこんな言葉を投げかけられます。味方でいてくれていると思っていた存在から言われた言葉にショックを受けてしまいました。

その後は、結婚できない原因を友人が勝手に解明しようとしたり、気を遣われることに嫌気がさして好きでもない男と結婚しそうになったり……。

はたして、結婚=幸せなのでしょうか。彼女が最後に選ぶ選択にもぜひご注目ください。
 

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