5分でわかる冥王星!惑星じゃなくなった理由、特徴、ハートの秘密などを解説

更新:2021.11.14

太陽系に存在するさまざまな星のなかで、ひときわ大きな議論を巻き起こしたのが「冥王星」です。2006年以降「惑星」ではなくなった理由や、特徴、地表の模様、衛星「カロン」などをわかりやすく解説していきます。あわせておすすめの関連本もご紹介するので、ぜひチェックしてみてください。

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冥王星は太陽系の惑星じゃない⁉その定義とは

 

2006年まで太陽系の第9惑星として教科書にも掲載されていた冥王星。「水・金・地・火・木・土・天・海・冥」という語呂合わせで暗記をした方も多いのではないでしょうか。

しかし現在は、ひとつ格を下げた「準惑星」という位置づけになっています。一体なぜでしょうか。

まず、惑星の定義から知る必要があります。太陽系に属する「惑星」という肩書きを得るための条件は主に3つ。「太陽の周囲を公転していること」「十分な重力と質量があり丸い形をしていること」「軌道の周辺に類似した大きな天体が存在しておらず圧倒的な存在感があること」です。

冥王星は3つめに関して論争が巻き起こりました。2005年に、冥王星よりも大きくて太陽に近い場所にある「エリス」という天体が軌道の近くに発見されたのです。

このことがきっかけで太陽系惑星の明確な基準を見直すことになり、エリスとともに「準惑星」に分類されることになりました。

 

冥王星の特徴は?大きさや温度、大気など

 

冥王星の大きさは長い間はっきりとしたデータとして発表されてはいませんでした。距離が遠く離れていることから、ハッブル望遠鏡での観測にも限界があり、地表からの計算も曖昧なものとなっていたのです。

その後2006年に打ち上げられたNASAの探査機「ニューホライズンズ」によって、より正確な観測データが発表されました。その後の研究もあわせ、現在は、直径が約2274kmとされています。

これは従来の予想よりも遥かに小さく、地球と比べると0.18倍で、地球の衛星である月以下。かつては地球の4倍の大きさがある海王星と同程度と推測されていたことを考えると、かなりの違いでしょう。この小ささも、惑星から外れることになる要因のひとつでした。

また大気に関しては、主に一酸化炭素や窒素、メタンで構成されています。大部分は凝固して、地表は氷で覆われており、太陽系にある星のなかでもトップレベルで「冷たい星」だといえるでしょう。

 

冥王星と地球との距離

 

冥王星と地球との距離は、約50億km。仮に両者の間に高速道路ができたとして、時速100kmで走ってみるとすると、空気抵抗などの細かい条件を無視しても到着するのは約5708年後です。

探査を任された「ニューホライズンズ」は、時速4万8000kmで宇宙空間を航行し、およそ9年半の歳月をかけて接近することに成功しました。

 

冥王星の衛星「カロン」とは

 

探査機「ニューホライズンズ」は、冥王星に接近すると同時に衛星「カロン」のデータも取ってくることに成功しました。

カロンの特徴は、巨大な谷が存在していること。その全長は約1000kmと計算されていて、日本でいえば東京大阪間を往復できるくらいの距離です。地殻が割れてできたものだと推測されています。

また他の星と比べてクレーターが少なく、地表につるりとした部分が多くみられるのも特徴だといえるでしょう。

表面には氷が存在していることがわかっているほか、かつては地中に液体の水があったのではないかと考えられています。

 

冥王星のハート型に隠された謎

 

冥王星の画像を見てみると、褐色をした地表のなかに、やや白色をしたハート型の模様が浮かび上がっています。研究者たちは、過去に大きな衝突があった証拠ではないかと考えているようです。

ちょうど赤道付近にあたり温度の変化が少なく、衝突によってできた窪みに氷河が流れ込んで氷と化し、ハート型をしたまま固まったのではないかとされてます。

ちなみに、この衝突によって衛星のカロンが誕生したのではないかといわれています。衝突が無ければ冥王星はもっと大きな星として存在し、太陽系の惑星から外れることもなかったかもしれません。

 

ひとつの宇宙を多面的に見る一冊

著者
ニール・ドグラース タイソン
出版日

 

地球からの距離が遠く離れていることから、近年まで正確なデータを得ることができていなかった冥王星。研究者たちはある種の「想像」で、太陽系惑星としてこの星に向き合ってきました。

しかし宇宙技術開発の進歩によって、その正体が徐々に明らかになっていきます。そして降格するのですが、しかし長きにわたって人類が想像してきた歴史をないがしろにしてもよいのでしょうか。

本書では、冥王星をめぐる論争と、それに付随する人間ドラマを楽しめる一冊です。文系の人でも楽しめるのが特徴。ドキュメンタリータッチで進むので、専門的な知識がなくても物語を堪能することができます。

 

冥王星から科学の進歩を考える一冊

著者
布施 哲治
出版日
2007-12-01

 

とにかくわかりやすく冥王星について知りたい人のために、子供でも読めるよう解説した一冊です。ただ本書の真骨頂はサブタイトルにあります。科学の進歩が宇宙の当たり前を変えていく、その歴史を丁寧に記しているのです。

「降格」などというと、まるで冥王星そのものが変わってしまったかのような印象を受けますが、そうではありません。今も昔も同じところを周回していて、変わったのはむしろ人間の知識なのです。

科学の進歩によって、それまで常識とされていたことがひっくり返ることは珍しくありません。勉強が単なる暗記ではなく、知らないことを知る喜びであったり、既存のものを疑う試みであったりするというワクワクをもたらすものだと、あらためて感じることができるでしょう。

 

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