5分でわかるマントル!地球の構造と成分、対流についてわかりやすく解説!

更新:2021.11.14

地球に住む私たちは時々空を見上げます。きれいな星を眺めて物思いに耽ることもあるでしょう。ところが、自分の体を支えてくれている足元の地面や、それよりも下にあるものにはあまり意識がおよびません。地中は一体どのようになっているのでしょうか。この記事では、そんな地球の内部にある「マントル」について、構造や成分、対流、探査方法などをわかりやすく解説していきます。あわせて地球のことをもっと深く知れる関連本もご紹介するので、チェックしてみてください。

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マントルとは何か、わかりやすく解説!

 

地球が丸いこと、そして生命が存在するのにふさわしい条件が整った奇跡の星であることは、ほとんどの人が知っていることでしょう。ただこの奇跡は、太陽や月など地球の外部による要因だけでなく、これから説明する「マントル」など内部にあるものも大きく関係しているのです。

地表から地下へ40kmほど潜ると、中性岩や玄武岩などでできた「地殻」を抜けて「マントル」にたどり着きます。厚さはそこから中心部にある「核」までの約2900km。基本的には岩石でできていて、地殻にあるものとは種類や成分が異なるため分けて考えられているのです。

ちなみに、地下40~670kmくらいまでを「上部マントル」、その先にある670~2900kmまでを「下部マントル」といいます。

これらの層は地球の歴史がつくり出したものであり、人の手が加わっていないことから、地球誕生の謎を解く大きな手掛かりとなると考えられているのです。つまり、マントルに隠された秘密がわかれば、我々人間を含む、生命の誕生についても新たな発見が得られるかもしれません。

地球のマントルの構造と成分は?

 

地球が誕生したのは、約46億年前と考えられています。しかし、その当時から海や木々が広がり、青い空が見えていたわけではありません。

誕生の経緯には諸説ありますが、小さな惑星が集まってできたという説が有力です。その際の衝突エネルギーは計り知れず、当時の地球は高熱で融けるような状態で、表面は「マグマオーシャン」というマグマの海で覆われていました。

このような状態だと、重い鉄やニッケルは沈み、反対に軽い物質は浮かぶことになるでしょう。やがて小惑星の衝突が収まり、徐々に冷やされてマグマが固まると、成分ごとに層ができるマントルへと姿を変えていきました。

「上部マントル」を構成するのは主に「かんらん石」。これはマグネシウムを多く含む鉱物です。「下部マントル」はまだ人間が到達できていない場所のため、成分の詳細はまだ明らかになっていません。

人類史上もっとも深く穴を掘れたのは、約12km。それよりも地下深い部分の成分は、火山の噴火などで噴出したマグマなどからしか、直接調べる方法はありません。

マントルは固体なのになぜ対流するのか?

 

「対流」という言葉ご存知でしょうか。液体の一部が温められると、温まった部分が膨張して軽くなり、上昇して冷たい部分と入れ替わる動きのことをいいます。

マントルの主成分は岩石なので固体のはずですが、この対流の現象が起こっていると考えられているのです。

その理由は、マントルよりも地球の内部にある「核」にあるとされています。核は4000度~7000度ほどの高温の状態で、核と接しているマントルの一部も高温に。すると上部と下部のあいだで温度差が生じ、対流が起こるのです。

このマントルの対流は、大陸移動の原因だともいわれています。はるか昔、地球の大陸はひとつでしたが、長い時間をかけて少しずつ動き、今日のように複数に分かれることになりました。

マントルの探査方法

 

専門家の間では「マントルに到達するまでの道のりは月よりも遠い」といわれることがあります。事実、人類は月には降り立ったものの、マントルに直接触れることはいまだできていません。

ではそのような触ることすらできないものを、どうやって調査しているのでしょうか。

もっとも有効だったのは、地震波を使った測定です。実際に触れなくても中身を知ることのできる技術は、たとえば「レントゲン」や「CTスキャン」など我々の身近なところにもたくさんあります。もっとアナログな方法でいえば、スイカの甘さを調べるために皮を叩いて音を出す方法なども当てはまるでしょう。

地震波を使った調査はスイカの例に似ていて、地表の近くで人工的に振動を発生させ、地下面までの到達時間や跳ね返りを細かく分析し、内部構造を明らかにしていくものです。

また一方で、直接マントルまで到達しようと採掘計画も進められています。1960年代にアメリカが「モホール計画」というプロジェクトを打ち出しましたが、技術面や金銭面から頓挫していました。しかし近年新たに「21世紀モホール計画」が立ち上がっていて、これには日本の技術も関わっているとのことです。

もし成功すれば、月面に到達した時並みの偉業となるだとうと、専門家たちに期待されています。

学問として地球の成り立ちを学ぶ

著者
吉田 晶樹
出版日
2014-09-19

地球という恵まれた星がなければ私たち人間は誕生していません。そして、マントルの対流によって地球自体が進化していなければ、生命の根本も存在しなかっただろうと考えられているのであう。

本書は、そんな地球の進化に貢献した対流と大陸移動について、わかりやすく解説したもの。内部と表層の関係についても興味深い記述があり、奥深い学問だと感じられる一冊です。

マントルなど地球のことがよくわかる図鑑

著者
出版日
2016-09-13

教育者が子どもたちに向けて「世界を知ろう」と言いますが、本書はその言葉どおり「世界を知る」ことができる図鑑です。

難しい言葉はほとんど使われていないので、子どもでもわかりやすいつくりになっています。世界観にも入り込みやすく、楽しく地球について知ることができるでしょう。

付属のDVDには各トピックスが設けられていて、「大陸移動」と「地震」のコーナーではマントルについて詳しく知ることができます。日本は火山噴火や地震も多い国なので、身近なこととして学ぶことができるでしょう。

マントルなど地球の内部のことについて学ぶと、なぜだか地球に愛着がわいてきませんか?自分の住む星のことくらいは知っておかなければという気持ちが芽生えてくるのではないでしょうか。楽しく学んで、この美しい奇跡の星を大切にしていきましょう。

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