5分でわかるツクツクボウシ!鳴き声にはパターンがある?時期や生態を紹介!

更新:2021.12.11

セミの鳴き声は夏の風物詩といってもよいでしょう。なかでもツクツクボウシの声を聞くと、夏の終わりを告げているようで少し切なくなってしまう人もいるのではないでしょうか。近年は数が増え、日本全国で見つけることができるので、夏休みの自由研究として観察するのもよいでしょう。今回は、そんな彼らの生態や活発な時期、鳴き声のパターンなどをわかりやすく解説していきます。あわせてセミのことがよくわかるおすすめの関連本も紹介するので、ぜひチェックしてみてください。

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ツクツクボウシの生態は?生息地や体の特徴など

カメムシ目ヨコバイ亜目のセミ科に分類されるセミです。森林や山地、平地など、基本的には日本全国のどこでも見ることができます。寒さに弱いため、以前は北日本では極地的にしか生息していませんでしたが、生態学的に優位なアブラゼミの数が減ったことや、気候の変動などで近年では数を増やしています。

また八丈島には、セミがツクツクボウシの一種しか存在していません。他の種と共存している地域では鳴き声が聞こえる「時期」が決まっていますが、八丈島ではひと夏をとおして聞くことができます。

体長は、他の種と比べてやや小さめです。成虫になっても平均で3cmほどで、大きいものでも4cmを超えることはほとんどありません。体色は褐色ベースに、緑色が混ざっています。頭部と前胸部周辺の緑色が目立つのと、後胸部にアルファベットの「w」の形をした模様があるのが特徴です。ぬけがらを集める調査キットなども発売されており、夏休みの自由研究のテーマにしてもよさそうです。

よく似た外見のセミにヒグラシがいますが、ツクツクボウシの方が頭部の横幅があり、「腹弁」という音を出す器官も発達しているので見分けることができるでしょう。

 

ツクツクボウシを見れる時期 寿命はどれくらい?

ツクツクボウシの鳴き声を聞くと、少し切ない気持ちになる方もいるのではないでしょうか。なぜなら、彼らの声が夏の終わりを感じさせるからです。

例外である八丈島を除いて、ツクツクボウシが活発に鳴くのは7月下旬から9月下旬頃までです。ただいわゆる真夏である8月中は他の種の鳴き声にかき消されてしまいがちなので、他の種が終息した8月の終わり頃から存在感を増してきます。そのため夏の終わりを告げる印象が強いのでしょう。

またツクツクボウシの特徴として、寿命が極端に短いことが挙げられます。他のセミは幼虫として2~7年ほどを地中で過ごし、成虫になってからは地上でひと夏を過ごします。しかしツクツクボウシは1年で成虫になるため、夏に産卵された卵が孵化して幼虫になると、次の夏にはもう地上に出てしまうのです。

今年の夏に鳴いているツクツクボウシは、去年の夏に生まれた個体だということです。これを知ったうえで彼らの声を聞くと、より切なくなるのではないでしょうか。

 

ツクツクボウシの鳴き声にはパターンがある!イントロ~サビ~エンディング

ツクツクボウシの鳴き声にはパターンがあります。ちょうどイントロ、サビ、エンディングと分けられるので、くわしく説明していきましょう。

まずはイントロにあたる部分です。「ジー」という低い音から入り、まるでウォーミングアップをしているような唸りから始まります。

「ジー」がしばらく続くと、「ジワジワジワジワ」と盛り上がりを予感させるメロディーラインになります。そして、だんだんボリュームが大きくなり、「オーシ」と鳴いた後に「ツクツクボーシ、ツクツクボーシ」とサビに突入するのです。テンポを速めながら14、5回くり返されます。

その後はエンディングです。「フィーヨ、フィーヨ、フィーヨ」とくり返しながら徐々に音量を絞り、フェードアウトしていきます。

まさにセミ界の一流アーティスト。生ライブだと思って耳を傾けてみるとよいでしょう。

 

ツクツクボウシの生態を知るのにおすすめの3冊

 

ツクツクボウシなどセミの生態がよくわかる写真集

著者
筒井 学
出版日
2012-07-11

写真と文章で、セミたちの儚い命と力強い生きざまを捉えた写真絵本です。

作者は昆虫館の施設長を務めた経験があるほか、昆虫写真家としても活動している人物です。躍動感溢れる写真が秀逸で、なかなか目にすることのできない羽化したばかりの姿や、透きとおるような羽の美しさが読者を魅了します。小さなお子さんも虜になってしまうでしょう。

また、添えてある文章にも、作者の情熱が込められています。生態を追いつつ、命をまっとうする力強さを感じることができる作品です。

 

感涙必至 セミのこどもに焦点を当てた絵本

著者
ふくざわゆみこ
出版日
2011-06-05

セミといわれて多くの人が思い浮かべるのは、成虫の姿ではないでしょうか。「短命」というイメージがついたのも、成虫の生きる期間の印象が強いからに違いありません。

本書の特徴は、成虫のセミではなく、土の中で過ごしている「セミのこ」に焦点を当てている点です。同じく土の中で過ごしているモグラを登場させ、物語のなかで生態を理解できるようになっています。

親友として楽しく暮らしていた2匹ですが、「セミのこ」はいつかは大人になり、そうすると彼らは一緒に過ごすことはできません。種を超えた彼らが協力しあって生活をし、最後は大きな決断をする姿に、感動する大人の読者も続出しています。

イラストもほんわかとしていてあたたかく、読み聞かせにもぴったりの1冊です。

 

ツクツクボウシの鳴き声も聞ける!セミを網羅した図鑑

著者
["林 正美", "税所 康正"]
出版日
2015-04-09

日本産のセミ36種をすべて収録した図鑑です。分類や生態、形態だけにとどまらず、音声の帯域特性や鳴き声なども網羅しています。特に鳴き声の音声学的分析は、ひとつの学問のジャンルといってよいでしょう。本書があれば、セミについてわからないことはないといっても過言ではありません。

ツクツクボウシを含め、全36種の鳴き声を収録したCD付きです。生態や特徴を理解したうえで聞いてみると、新たな発見があるのではないでしょうか。

 

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