5分でわかるタニシの生態!飼育方法や繁殖の不思議もわかりやすく解説!

更新:2021.12.11

川や田んぼなど水辺のいたるところに現れるタニシ。生命力が強く、実は水質を改善してくれる環境に有益な一面をもっているのをご存じでしょうか。一方で、外来種によって水稲が食い荒らされる問題が深刻になっています。この記事では、彼らの生態や種類ごとの特徴、飼育方法、繁殖について解説していきます。あわせておすすめの関連本も紹介するので、ぜひチェックしてみてください。

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タニシの生態は?生息地や寿命など

腹足綱タニシ科に分類される巻貝の総称です。分布はかなり広く、南極大陸と南米を除く世界各地の大陸の淡水域に生息しており、繁殖力も高いため個体数がすぐに増えます。

すべての種の殻が右巻きなのが特徴です。オスとメスの違いは触角にあり、右の触角の先が曲がっているのがオス、両方伸びているのがメスです。

とても食いしん坊で、水中の物体の表面に付着した藻類を刈り取る、水底に沈んでいる生物の死骸を掬う、水中に漂うプランクトンをエラでこすなど、いろいろな食べ方をします。また、エラで食料をこすと同時に水をろ過するので、水質改善にも役立っています。

タニシがいるところは不衛生というイメージを抱く人もいますが、それはその場所にたくさんの餌があるからです。実際のところは、彼らを水槽などに入れておけば勝手に水を綺麗にしてくれるので、掃除などの手間を省いてくれます。

 

タニシの種類ごとに特徴を紹介

日本には以下の4種類のタニシが生息しています。

マルタニシ

北海道から沖縄にかけて生息していますが、人が持ち込んだ外来種だった可能性もあると考えられています。多少の個体差はあるものの、殻は丸く、薄くて脆いのが特徴です。6cmほどまで育つため、昔から食用としても親しまれています。

オオタニシ

北海道から九州にかけて生息しており、こちらも約7cmの大きさにまで育つためよく食べられてきました。個体によっては見分けがつきにくいものもいますが、マルタニシよりも殻が角張っていて細長いのが特徴です。

ヒメタニシ

本州から沖縄にかけて生息しています。コケを取る能力に長けているので、アクアリウム界では大変重宝される種類です。特にメダカと相性がよいそうで、大きさは3.5cmほどと小型です。

ナガタニシ

琵琶湖にのみ生息する種類です。殻が緑がかっていて、オオタニシよりも細長いのが特徴です。最大7cmほどにもなる大型のため、昭和の終わり頃までは食用として年間数トン水揚げされていました。現在は水質悪化などで個体数が減少しています。


近年、外来種のジャンボタニシによって稲を食い荒らされる被害が増えていますが、在来タニシは稲を食害することはありません。

タニシの飼育方法は?水槽や餌など

体が丈夫なため、比較的簡単に飼育することが可能です。水槽、水草、砂があれば飼いはじめることができます。

水槽のサイズは30cmほどの小さなものでかまいません。また生物が棲めないような汚水でなければ水換えも必要なく、餌も一緒に入れた水草に付着している物質を食べるので、特別な手間もかかりません。

水温は0~35度と幅広く対応できますが、日光の当たる場所や急激に温度が上下する場所に設置するのは避けたほうがよいでしょう。

また同じ水槽に魚を入れる場合は、貝を餌にする種類を入れないように注意してください。

 

タニシが増えた⁉その繁殖方法とは

タニシは雌雄異体で、交尾をすることで繁殖します。特徴的なのは、メスが卵胎生であることでしょう。卵胎生とは、卵を自分の体内で孵化させて子どもを産むことです。

稚貝の姿が確認できるのは、交尾がおこなわれてから1~2週間後です。成貝であれば捕食しない魚も稚貝だと食べる場合があるので、飼育下で繁殖を促すのであれば身を隠せる水草を多めに入れてあげましょう。

また稚貝は環境適応能力が高くないので、水質もある程度は清潔に保っておく必要があります。

繁殖に適している時期は6月から8月頃です。1度の産卵で30匹以上産み、成功すればあっという間に増えていきます。天敵のいない水槽内では、数が増えすぎて餌不足になるかもしれないので、注意が必要です。

 

外来種の問題と現状をまとめた写真絵本

著者
大木 淳一
出版日
2009-12-05

「おばけタニシ」と呼ばれるジャンボタニシは、日本だけでなく世界的に有害な外来種として有名です。本書では、農家の目線から、食用のために持ち込まれた生物が野生化し、大量発生するようになった現状と、彼らの生態をまとめています。

写真を豊富に使っているのも特徴です。おばけタニシはやわらかい水草を好むため、植えられたばかりのイネの苗を荒らしたり、ショッキングピンクの毒々しい色をした卵を産んだりと、その脅威がありありと伝わってきます。

人間の都合で持ち込まれた種が、日本の原風景を壊してしまう現状を知ることができる1冊です。

タニシの特徴を活かした物語

著者
阿部 夏丸
出版日
2004-07-29

タニシの兄弟が歩いた場所に跡がついて模様ができる、という面白い発想の絵本です。ふだんはぐねぐねと曲がりながら歩いているのですが、学芸会ですごい絵を発表しようと、まっすぐ歩く練習をします。

がんばって歩く彼らの姿がかわいらしく、おもわず応援したくなる作品です。

そのほかアメンボやザリガニ、カメ、鯉など水辺の生物も多数登場します。さて、学芸会での発表はうまくいくのでしょうか……?

読後はじっくりとタニシの様子を観察したくなってしまうかもしれません。

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