童話「青い鳥」における幸せとは。解釈を考察!おすすめ絵本も

更新:2021.11.28

チルチルとミチルという兄妹が、「幸せの青い鳥」を追い求めてさまざな場所を訪れる童話「青い鳥」。タイトルを聞いたことがある方は多いと思いますが、詳しい内容をご存知でしょうか。この記事では、あらすじや、鳥が「青色」の理由、幸せの意味などを考察し、あわせておすすめの絵本も紹介していきます。

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童話「青い鳥」のあらすじを紹介。「青い鳥症候群」の意味も

 

ベルギーの詩人であり劇作家でもあるモーリス・メーテルリンクが描いた童話「青い鳥」。当初は劇として上演されていて、後に童話として世界中で読まれるようになりました。

ではあらすじを紹介していきましょう。


あるところに、貧しい木こりの家庭がありました。2人の子どもがいて、兄はチルチル、妹はミチルという名前です。

クリスマス前の夜、彼らのもとに魔法使いのおばあさんがやってきました。2人は魔法使いから「私の孫が病気で苦しんでいる。病気を治すために『幸せの青い鳥』を見つけてきてほしい」と頼まれます。

鳥かごを持って出かけたチルチルとミチル。妖精に導かれながら、さまざまな場所を訪れます。

最初に行ったのは、「思い出の国」。2人はここで、亡くなったはずのおじいさんとおばあさんに出会いました。青い鳥がこの国にいることを教えてもらい、チルチルとミチルは手に入れることに成功します。しかしその青い鳥は、「思い出の国」を出たとたんに黒い鳥へと変わってしまいました。

チルチルとミチルは次に、戦争と病気があふれる「夜の御殿」を訪れます。ここでも青い鳥を手に入れたものの、「夜の御殿」を出たとたんに今度はみな死んでしまいました。

その後「贅沢の御殿」「未来の国」などへ行きますが、どうやっても青い鳥を持ち帰ることができません。そんな時……。

「起きなさい。今日はクリスマスですよ」

お母さんの声が聞こえ、2人はベッドの上で目を覚ましました。とうとう青い鳥を捕まえることができなかった、とがっかりしていると、部屋にある鳥かごの中に青い羽根を見つけます。そしてチルチルとミチルは、本当の幸せは手の届く身近なところにあるのだということに気づいたのです。


この物語から、「青い鳥症候群」という言葉が生まれました。チルチルとミチルが青い鳥を探し続ける姿から、現実を直視せずに理想ばかりを追い求める人の様子を指します。仕事をコロコロと変える若者に使うこともあるようです。

「幸せの青い鳥」はなぜ青色なのか?モデルがいる?

 

魔法使いに頼まれたチルチルとミチルが探し求める「青い鳥」。なぜ青色なのでしょうか。

作者のメーテルリンクは、ドイツの作家ノヴァーリスの小説『青い花』に着想を得たといわれています。『青い花』は、主人公の詩人ハインリヒが、夢で見た青い花に思い焦がれ、探しながら各地を旅してさまざまな人に出会うという物語です。作中で青い花は「非現実」の象徴として描かれています。

また物語ではなく現実においても、「青いバラ」は非常に珍しいものとして扱われています。バラは古くから品種改良が盛んにおこなわれてきましたが、2000年頃までどうしても青いバラだけ生み出すことができませんでした。そのため長らく「不可能」や「ありえないもの」の象徴とされてきたのです。

現実においても創作物においても、「青」という色が希少性の高いものであることがわかるでしょう。

ちなみに、青い羽をもつ鳥は自然界に何種か存在します。日本で見られるのはカワセミ、オオルリ、ルリビタキなど。童話の「青い鳥」と絡めて、幸せの象徴と考えられることが多いようです。

童話「青い鳥」における「幸せ」とは。どのように解釈できるのか

 

「幸せの青い鳥」を探してほしいと頼まれたチルチルとミチル。さまざまな国を訪れます。彼らは各地で青い鳥を見つけるものの、国を出たとたんに鳥は姿を変えてしまい、どうしても連れて帰ることができません。

そして最終的には、2人の部屋に置いてある鳥かごのなかに青い羽を見つけるのです。

彼らは、過去に触れる「思い出の国」や、これから生まれる人たちが暮らす「未来の国」を訪れますが、そこに幸せはありません。チルチルとミチルが生きている「現実」にこそ、幸せがあるということでしょう。

また、2人が飼っていたのはハトだとされています。ハトは決して珍しい鳥ではありませんし、町中でも頻繁に見かける鳥です。そんなハトがいる鳥かごから青い羽が見つかったことから、一見すると普通の、身近なところにこそ幸せはあるのだと解釈できます。

高学年以上におすすめ!幸福について考える一冊

著者
モーリス メーテルリンク
出版日
2004-12-16

 

小学校高学年以上を対象にした児童文学です。これくらいの年齢になると、自分の身の回りにあるさまざまなものの価値を理解することができるようになってくるでしょう。そんなときにあらためて「本当の幸せとは何なのか」を考えることは、とても意義深いことではないでしょうか。

擬人化された生物も多数登場し、生と死や、人間と動物の関わりについても考えさせられます。フランスでは「人生の手引書のメルヘン」と呼ばれることもあるほど。今一度自分自身を見つめ直すために、大人の方にもおすすめです。

かわいくて読み聞かせにもぴったりの絵本「青い鳥」

著者
モーリス メーテルリンク
出版日
2007-09-01

 

人気絵本作家のいもとようこが文と絵を手掛けた作品です。

チルチルとミチルのまるで人形のようなかわいらしい姿が印象的。どのページもやわらかく丸い雰囲気に包まれていて、小さなお子さんでもすっと馴染めるのではないでしょうか。

文章も長すぎず、優しい表現を使っているので読み聞かせにもおすすめです。

いわさきちひろが名作「青い鳥」を描いた絵本

著者
["立原 えりか", "いわさき ちひろ", "Maurice Maeterlinck"]
出版日
2005-09-23

 

いわさきちひろが手掛けた、まるで水彩画のようなイラストが魅力の絵本です。

本作では、チルチルの帽子にダイヤモンドがついていて、それを回すと見えなかったものが見えるようになる、という仕様。2人は帽子のおかげで、本当の幸せがすぐそばにあると気付くことができるのです。

彼らが冒険をするのはクリスマスイブなので、クリスマスのプレゼントとしてもおすすめの一冊です。

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