『天地創造デザイン部』全巻ネタバレ紹介!生きものの秘密に迫る傑作!

更新:2021.11.27

天地創造は7日間でおこなわれたといいます。その5日目に魚と鳥を、6日目に獣と家畜をつくったとされているのですが、神様はこれらを自分の手でつくったのではなく、実は下請けデザイン会社にOEM生産させていた……という奇想天外なお話が『天地創造デザイン部』です。 今回の記事では、このお話の魅力を探っていきましょう!

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『天地創造デザイン部』が面白い!全巻ネタバレ紹介!【あらすじ】

 

はじめに神様は天と地をつくり、光と闇を分け、水を分けて空をつくり、空には太陽と月と星を浮かべました。そして地には、魚や鳥や獣をつくる……予定でしたが面倒になってしまって、その作業を下請け会社に出してしまったのです。

その下請け会社が「天地創造社」。魚や鳥や獣などの生きものをつくるのは、デザイン部の仕事です。そこには6人のデザイナーとエンジニアが1人いて、クライアントである神様のふんわりとした、それでいて無茶なオーダーを実現するため、日々奮闘しています。

 

天地創造デザイン部(1) (モーニング KC)

2011年11月22日
蛇蔵 (原著), 鈴木 ツタ (原著), たら子 (著)
講談社

 

神様とデザイナーとの連絡係を担う天使が2人、たびたびデザイン部を訪れます。その1人・下田は新人天使。個性が強いデザイナーたちの突拍子もないアイデアと奇抜な造形、それを実際に試作して実現可能なデザインかを検証するエンジニアにドキドキハラハラ……。

そんななかで、試作された新たな生きものが起こす騒動にドタバタ奔走する日々を重ねて、経験を積んでいくのです。
 

クライアントである神様がデザインにOKを出すときは、天使に「天啓」を与えます。突然やってくる天啓に驚き、よろこび、そうして、1つまた1つと、下田は新たな生きものを誕生を目撃していくのでした。

 

『天地創造デザイン部』作品の魅力1:キャラクターが濃い!デザイナーと天使たち

『天地創造デザイン部』作品の魅力1:キャラクターが濃い!デザイナーと天使たち
出典:『天地創造デザイン部』1巻

 

本作は現在、存在する生きものの、そもそものデザインをするお話です。

中心となるのは、そのデザインを手掛けるデザイナーたち。このデザイナーたちが一癖ある個性派ばかりなのです。濃いキャラクターあってこその奇想天外さが、本作『天地創造デザイン部』の面白みの1つ。ここでは、この個性派たちを1人ずつご紹介していきましょう。

 

下田

下田
出典:『天地創造デザイン部』2巻

 

神様と、その下請け会社「天地創造社」の間を取り持つ存在です。神話や聖書に登場する天使とは違って背中に羽根は生えていませんし、衣服を身につけています。見かけは人間と変わるところがありませんが、衣服や持ちものに羽根をモチーフとした意匠が取り入れられていることで、天使であることがわかります。

天地創造社にわざわざ足を運んで、神様のオーダーをデザイナーに口頭で伝えたりしますが、神様とは直接会わなくても意志が伝達されてくることも。特にデザイナーが見せたデザインを神様が気に入った場合は、稲妻のようにひらめいた様子で「天啓です!」と叫ぶので、天使本人がびっくりすることもしばしば。

そんな天使の1人が、新人の下田です。背広姿の青年姿で、新人サラリーマンといった風体。神様のオーダーを伝え、神様からの「天啓」を受けてデザインにOKを出したりという仕事をしていますが、天地創造社にいる時間は長いようです。ときどき、デザイナーたちにお茶を出すという仕事などもしています。

新人らしいハツラツさと、多少の臆病さ、そして一般性を持った存在といえるでしょう。

 

上田

上田
出典:『天地創造デザイン部』1巻

 

下田の上司で、キャリアウーマン風の天使。下田と同じく、神様とデザイナーとの連絡を仕事としていて、一緒にデザイン部を訪れることが多いです。

デザイナーたちの奇抜な発想をさらりと受け容れる柔軟さがある……といえば聞こえはいいのですが、「奇抜」を「奇抜」と感じるための一般性を多少欠いている様子。

「呪い」の能力があり、デザイン部で生み出されてしまった異能の生きものを呪うことで、アクシデントを収拾したこともあります。

 

横田

横田
出典:『天地創造デザイン部』3巻

天界の関連会社で、新興のベンチャー企業が地獄社です。天界とは別に独自の事業をおこなっています。神様とは別ルートで直接、天地創造社にデザインを依頼することも。

そこに所属するのが、横田です。もとは天界の天使で上田の部下でしたが、転職して地獄に入社しました。ベルトが多めのユーズド感がある衣装と眼帯、長髪に隈取り風メイクという中二病的デザインの悪魔といった風貌ですが、心配りが細やかな営業職です。

依頼内容が具体的で、ラフデザインをあらかじめ用意するなど、とても親切なクライアントとしてデザイナーたちには喜ばれています。

土屋

土屋
出典:『天地創造デザイン部』1巻

まず、天地創造社の説明から。

この会社では、神様からのオーダーをもとにデザイナーが生きものをデザインし、エンジニアがデザインをもとに生きものを試作して、現実に存在できるかを確認し、存在し得るものをクライアントである神様に提出します。採用・不採用は神様が決定。採用の場合は神様が連絡係の天使に「天啓」を与え、デザイナーに伝えます。
 

試作された動物は「下界」のガラパゴス島で、実際に生きていけるかのテストを実施。デザイン部の壁にはたくさんの扉があり、その1つを開けるとガラパゴス島の地上につながっていて、デザイナーたちはいつでも島を訪れることができるのです。ガラパゴス島には、慰安旅行に行くことも。

7日間で世界をつくった神様がまだ動物たちをつくっている途中なので、この世界には人間がいません。

単行本第1巻「案件1」でデザイナーの水島が、下田たちに「来たな天使ども」と発言しています。天地創造社のデザイナーたちは人間のような姿をしていますが、彼らは人間ではなく、また神様でも天使でもなく、かつ天界で生きるものという、正体不明の不思議な存在なのです。

その1人である、デザイン部最年長で室長の土屋。着物姿で白髪頭、眼鏡という老爺の姿をしていて、エピソードに孫が登場することもある人物です。代表作は馬。

そのデザインを自ら気に入り、好きすぎてデザインのベースを何でも馬にしてしまいがち。そのため、デザインが採用される率が低くなっています。

木村

木村
出典:『天地創造デザイン部』1巻

 

一見爽やかな好青年。しかし、生きものをデザインするときに「味」を重視し、とことん追求するさまはやや常軌を逸した感もあります。味を追求するあまり、異形の生物をつくってしまうことも。

自分以外のデザイナーがつくった生きものも味見したがるので、他のデザイナーに警戒されたり、大きな生きものに潰されて瀕死になったりひどい目にも遭うのですが、いつもにこやかです。

代表作は牛。なるほど、おいしくできています。

 

水島

水島
出典:『天地創造デザイン部』1巻

 

細身で短髪、眼鏡にスキニースタイルの、少し素っ気ない風貌のデザイナー。七分袖かつタートルネックのトップスが、スティーブ・ジョブズを思わせます。

代表作は蛇。土屋を尊敬しており、彼がデザインした馬をベースに、さらにシンプルに、さらに機能的にすることで、蛇が誕生しました。新人の頃は龍をデザインしましたが、それは彼自身にとっては「黒歴史」になっています。

 

金森

金森
出典:『天地創造デザイン部』3巻

 

長髪でおしゃれなデザイナー。性別は男性です。通称「金ちゃん」。

鳥類を主にデザインしています。とにかくうつくしいデザインを心掛けていて、エンジニアの火口に「虹色に光る羽根」を発注するほど。

鳥の卵が水島がデザインした蛇の餌になってしまうことに嘆き、蛇に卵を食われないよう新たな種類の鳥をデザインするなど、水島と丁々発止することもたびたびです。

 

冥土

冥土
出典:『天地創造デザイン部』1巻

ゴスロリ風ファッションで、少女的容貌のデザイナー。グロテスクだったり猟奇的だったりするものを「かわいい」と言い、「かわいい」デザインを心掛けています。

自身の「かわいい」を詰め込んだ結果が「毒を主食として」「子は親の糞を食べ」「爪が鋭く」「威嚇するためのデスボイス」を持った動物となりました。このように、奇抜なデザインのものを多数手掛けています。ちなみに、彼女の「かわいい」を結集した結果は「コアラ」です。

海原

海原
出典:『天地創造デザイン部』1巻

 

長髪で顎髭を蓄えた、大柄なデザイナー。身体が大きくてたくましいですが、性格はおっとり。かわいいものが大好きです。代表作はカンガルー。海洋生物も多く手掛けています。

自分がデザインした生きもののかわいさに、メロメロになってしまうこともしばしば。モフモフとつるつるを使い分けてかわいい生きものをつくりますが、疲れてくると「モフモフのイルカ」をつくったりもしてしまいます。

 

火口

火口
出典:『天地創造デザイン部』1巻

 

ウェービーな長髪を後ろでまとめて、ツナギを着たエンジニア。いつも頭に乗せているゴーグルが、ものづくりの職人を感じさせます。

彼女は、デザイナーたちがデザインした生きものを実際に造形して、改善点を提案します。神様のオーダーは無茶なものが多くデザイナーを苦しめますが、同様にデザイナーのデザインも立体化するには無茶なものがあり、そういったものに苦労させられている人物です。

紹介した他にも、見分けがつかないほど同じ容貌をしている者達が所属して虫の類いをデザインする虫部、ふわっとした文言で無茶なオーダーをたくさん出してくるクライアント(依頼人)である神様が登場。

天地創造社の個性的な面々には、それぞれにファンがいるようです。生きものの意外な生態に驚きながらそのデザインを楽しみ、「推しデザイナー」を応援するというのも本作の楽しみ方の1つでしょう。

 

『天地創造デザイン部』作品の魅力2:生きもののデザインの「なぜ」が分かる

『天地創造デザイン部』作品の魅力2:生きもののデザインの「なぜ」が分かる
出典:『天地創造デザイン部』1巻

 

「かっこいいデザイン」というものがあります。しかし、どれだけかっこよくても、実際に生きていられなければ、生きもののデザインとしては成り立ちません。

生きて存在するためには、どのような姿で、どのような機能が備わっていなければならないか。『天地創造デザイン部』は、読み進めるだけでそれがわかるように描かれているのです。

また、実際に存在する生きものだけでなく、架空の生きものについても言及があります。たとえば、ペガサスやユニコーン、龍などです。それら生きものは現実の世界で生きていけるのか、生きていけないなら、それはどうしてなのか、どう改良すれば生きられるのかが、デザイナーたちによって検討されていくのは大変興味深いでしょう。

また、普段見ることができない、かなりいい加減なデザインの生きものが存在するということを知ることができるのも、本作のおもしろいところ。例を挙げますと、球体の寄せ集めに幹がついたような「ピンポンツリースポンジ」は、まるで落書きのような姿ですが、実在する海綿動物。しかも肉食です。

同様に落書きっぽいナマコは、危機に陥ると内臓を吐き出して身を守り、ホロトキシンという抗カビ作用がある物質を含んでいるという変わり種の生物。そういっためずらしいもの、変わったものも続々と登場するのです。

図鑑を見るように多種多様な生きものについて知ることができ、図鑑を見るよりも面白く読める。そして何より堅苦しくなく、気軽に楽しむことができるのです。本作は娯楽漫画の、新しい路線を開拓したといえるのではないでしょうか。

 

『天地創造デザイン部』作品の魅力3:職業漫画としての楽しみ

『天地創造デザイン部』作品の魅力3:職業漫画としての楽しみ
出典:『天地創造デザイン部』1巻

本作のもう1つの面白さは、クリエイティブ職でたびたび聞かれる「クライアントとの攻防」です。

クライアントはしばしば、「ふわっとした抽象的な言葉」でデザインを要求してきます。たとえば「かわいくてかわいくない」だとか「母性本能を刺激する」だとか。これでは、具体的にどういうものがほしいのかがまったくわかりません。

その最たるものが、単行本第2巻「案件8」に登場する、神様からオーダー「アレなんとかして」です。すでにあるデザインを指して「アレ」と言っているわけですが、「なんとかして」という、方向性も何もないオーダーにデザイナーたちは頭を抱えます。

そういった具体性が皆目ないオーダーがくるうえに、デザインして提出すれば「なんかちがうんだよね」と突き返されたり、「もっとこうしてほしかった」ということを後から言われたり、それならとそのようにデザインしてみたら「前の方がよかった」と言われてしまったり……デザイナーはクライアントに振りまわされっぱなしです。

これは作中の世界だけではなく、読者が住む現実にも実際によくあることでしょう。作中にはこのような台詞が登場します。

スムーズな連携と納品を目指して皆さんと一緒にがんばりたいと…

 それは無謀ね
(『天地創造デザイン部』第1巻から引用)

出典:『天地創造デザイン部』1巻

クライアントのおまかせが
おまかせだったことなんか
なーーーい!!!
(『天地創造デザイン部』第1巻から引用)

 

出典:『天地創造デザイン部』2巻

3日経っても返事がこない。
『なる早で』って言われたから頑張ったのに返事こない…時間……あったんだね……!!
(『天地創造デザイン部』第2巻から引用)

こういった台詞に、クライアントのオーダーでものをつくる仕事をしている人は、特にはげしく共感できるのではないでしょうか。デザイナーたちが無茶振りに知恵を持ち寄って、なんとかオーダーをこなそうと奮闘する姿には、思わず声援を送ってしまうでしょう。

働くって、ものをつくるって、つらいけど面白い!そんな風に思えるエピソードがたくさん連ねられている『天地創造デザイン部』は、上司や取引先の理不尽な注文にも負けずにがんばる人たちの、癒やしや慰め、応援歌となる作品なのです。

『天地創造デザイン部』1巻の見所をネタバレ紹介!

 

生きものの姿の「なぜ?」がわかる本作ですが、知れば知るほど「なぜ?」が増えていきます。そして、最終的にやっぱり「なぜ?」に行き着いてしまうこともあるのです。

天地創造社のデザイナーの1人・冥土のデザインは、まさに「なぜ」と問いたいものばかり。彼女が思う「かわいい」は、一般の人が思う「かわいい」とはずいぶん異なります。このために、彼女がデザインした生きものたちは、どれも怖い特徴を持っています。

それらが明らかになるエピソードが、本巻には多めに収録されているのです。

 

天地創造デザイン部(1) (モーニング KC)

2011年11月22日
蛇蔵 (原著), 鈴木 ツタ (原著), たら子 (著)
講談社

 

その1つが、「かわいくてかわいくないもの」という神様からオーダーに添ってつくった生きものです。まず冥土は、「かわいい要素」をたくさん用意しました。それが次のようなものです。

 

  • 水場が好きな細長い寄生生物である 
     
  • 動物の脳を乗っ取ることができる
     
  • 乗っ取られた宿主は寄生生物の住処(水場)まで自力で歩かされて水死する
     
  • 宿主の死体は寄生生物の子供の食料になる
     

 

 

出典:『天地創造デザイン部』1巻

 

冥土曰く、「やっぱりかわいい要素ばっかり入れちゃダメかなぁ……」。そう、彼女にとっては、これらはすべて「かわいい要素」なのです。

虫部の協力もあり、このデザインは「ハリガネムシ」として実現・採用されました。また、先の項で紹介しました「コアラ」も、外見以外は彼女的にはかわいい要素だったようです。

このように、他者とは異なる「かわいい」の認識と奇抜な発想で、意外な生態の生きものが生み出されて、それが実在していることが第1巻ではわかります。冥土作の生きものの不思議さや怖さがじわじわとおもしろい、第1巻です。

 

『天地創造デザイン部』2巻の見所をネタバレ紹介!

 

本巻では、日々多忙を極めるデザイナーたちが、ガラパゴス島へ慰安旅行に出掛けるエピソードが登場。神様から3日間のガラパゴス島旅行をプレゼントされたものの、デザイナーたちは休暇明けには現在抱えている案件を提出しなければなりません。つまり、慰安旅行中も仕事はしなければならないのです。

そんな仕事半分休暇半分の旅行中には殺人(っぽい)事件が起きて、ちょっとミステリー仕立てのストーリー展開に……という慰安旅行編のエピソードが、本巻の楽しい見所となっています。単行本では、初の2話連続シリーズです。

 

著者
["蛇蔵", "鈴木 ツタ", "たら子"]
出版日

 

案件を抱えたままながら、早速ガラパゴスに向かったデザイン部一行。まずは温泉を掘り当て、宿を建て、宿には集中して仕事をするための離れまでつくってしまいます。とりあえず温泉につかり、食事をして、ようやくなごみはじめたところに、下田が奇妙な貼り紙を見つけて持ってくるのでした。

ダれもへやから出テはいけない
(『天地創造デザイン部』2巻から引用)

 

1文字ずつ切り貼りした文字で、そう書かれた紙に不気味さを感じるものの、酒が進み、場が盛り上がっていることもあり、誰も外には出ないだろうと一旦は緊張も解かれます。

出典:『天地創造デザイン部』2巻

しかし、その2時間後、木村の姿が見当たらなくなっていました。彼は海に行くと言い残して出掛けたらしいのですが、海には冥土がつくった危険なサメが放流されていると言います。惨事が起きかねません。 
 

そんな第1の事件が起き、ここで冥土特製のサメの高性能さが両刃の剣として登場するのです。サメは少しの光でも見える目を持ち、獲物の音に2km先からでも気付く耳があるという、どんな獲物も逃さない能力の持ち主。

冥土はさらに、どんな生物も出しているという微弱な電気を感じることができる器官、「ロレンチーニ瓶」をサメに与えるのです。サメが天性のハンターであることが、よくわかる場面でしょう。

このように高性能なサメはすぐに木村を発見しますが、それは捕食のためでもあり……と大騒動が展開されるのが、エピソード前半の第2巻「案件12」です。

続く「案件13」では、何者かに襲われた(かもしれない)水島が赤い液体にまみれて倒れていた事件(ぽいもの)の犯人を、「食い倒れ探偵」を名乗る木村が探すという、コメディタッチのミステリーが展開されます。

もちろん前半と同様、エピソード後半でも日常では見られない生きものの生態が事件に絡んできて、知る楽しさとストーリーの面白さ、またデザイナーたちの個性の親しみやすさとも相まって、さらに『天地創造デザイン部』という作品を好きになってしまうでしょう。

『天地創造デザイン部』3巻の見所をネタバレ紹介!

 

本巻からは、天界(神様)以外のクライアントが現れます。それは地獄社というベンチャー企業で、天界の関連会社です。

第2巻の最終盤で、天使の上田は神様に「地獄行き」を命ぜられ、堕天させられてしまいます。それは別の生物の特性が混じり合ってできてしまった「無限増殖パンダ」のせいでした。

 

著者
["蛇蔵", "鈴木 ツタ", "たら子"]
出版日

 

「無限増殖パンダ」とは、毛などの細かいパーツから全身が再生するという異能力を備えたパンダです。ヒトデを参考につくった生物と混じったために、このような能力を持った謎生物になってしまいました。抜け毛からも再生するので、どんどん増えてしまいます。

増殖を止めるために上田は呪いを発動、それが神様の怒りを買ってしまったものと誰もが思っていたのですが、「堕天」とは実は「出張」のことだったのです。

「地獄」は天界の関連会社。地獄社の企画担当者が「無限増殖パンダ」を気に入り、「すぐに資料がほしい」と神様に申し出たのでした。それでただちに、上田は地獄へと派遣されたというわけです。

 

出典:『天地創造デザイン部』1巻

 

地獄社の企画担当者というのが、かつて上田の部下だった横田です。地獄へ転職し、現在は地獄社で「闇と炎のテーマパーク」を担当しています。

そこで使うゾンビの原案として「無限増殖パンダ」の案がほしいと言うのでした。それだけでなく、彼は「闇と炎のテーマパーク」のマスコットキャラクターのデザインも頼みたいと、デザイン部にやってくるのです。

  • デザイン画持参 
     
  • 体長15メートルくらい 
     
  • 用途(マスコットキャラクターとして使用)が明らか 
     

これらが最初に明瞭に提示されたことで、天地創造社のデザイナー一同は感動を覚えます。神様というクライアントからのオーダーはいつもふんわりで曖昧。これほど具体的にオーダーされたことなど、なかったのです。

そうした経緯を経て、デザイナーたちは2チームに分かれて「地獄のマスコット」である3つ首の生きものをデザインしますが、地獄社との縁はこれきりではありません。

 

出典:『天地創造デザイン部』3巻

 

本巻の終盤になると、デザイン部が地獄社の連絡用使い魔のデザインを担当することになるのですが、神様のなぞなぞのようなオーダーに疲れ切っていた海原は、この仕事をすることで逆に癒やされてしまいます。

地獄の仕事は、横田が親切なうえにオーダーも具体的、スケジュールも良心的で、スランプに陥っていた海原がものづくりの楽しさを思い出すほど、やりやすい仕事だったのでした。

地獄の仕事が天国のようで、地獄は天界よりもホワイト企業という逆説的なギャグになるわけですが、デザイナーたちが快く仕事をするさまは、読者にとっても気分がいいもの。今後も天地創造社と地獄社の取引は続いていきそうですから、この読後感のいいエピソードが、これからも楽しめそうです。

神様からのオーダーは実在の生きものばかりですが、地獄社のオーダーは地獄に住む生きもの、つまり架空の生物が主になっています。読者が住む世界の生きものも、空想世界の生きものも、そのデザインと生態を詳しく知ることが今後もできるでしょう。次の巻が待ち遠しいですね。

 

知っている生きものの意外と知らない部分、知らない生きものの驚くような生態、空想の生きものは実現可能なのか……漫画を楽しむだけで、生きものについての知識がどんどんついていく『天地創造デザイン部』。世界の生きもののすべてを解き明かすまで、長く楽しめそうですよ!

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