『泣いた赤おに』は道徳の教科書にも!あらすじや教訓、浦沢直樹の絵本も紹介

更新:2021.12.8

児童文学作家である浜田廣介の代表作『泣いた赤おに』。小学校の教科書にも採用され、世代を超えて愛される物語となりました。この記事ではあらすじを説明したうえで、本作から学べる教訓や、青鬼が犠牲になる以外の方法はなかったのか考察。また話題になった浦沢直樹がイラストを手掛ける絵本なども紹介していきます。

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『泣いた赤おに』のあらすじを紹介

 

1933年、雑誌「カシコイ小学二年生」で連載が始まった『泣いた赤おに』。当時は『おにのさうだん』というタイトルでした。後に道徳の教科書に採用され、作者の浜田廣介の代表作となっています。

浜田は「日本のアンデルセン」と称されるほど、数多くの作品を生み出している児童文学作家で、純朴で温かい物語は「ひろすけ童話」と呼ばれ親しまれているほど。

では『泣いた赤おに』のあらすじを紹介しましょう。


とある山に、人間と友達になりたいと願っている赤鬼が暮らしていました。「心優しい鬼の家です。どなたでも遊びに来てください。お茶もお菓子もあります。」と書いた立て札を家の前に掲げていましたが、誰ひとりとして立ち寄ってはくれません。

赤鬼は信用してもらえないことを悲しみ、立て札を外してしまいました。ひとりで落ち込んでいると、そこに友達の青鬼がやってきて、ある提案をします。

それは「青鬼が人間の村へ行って大暴れし、そこに赤鬼がやってきて青鬼をこらしめる。そうすれば人間たちは赤鬼が優しい鬼で、自分たちに害を加えないことを理解してくれるはずだ」というものでした。

作戦は無事に成功し、それ以降、赤鬼の家には人間たちが遊びにくるようになります。赤鬼は楽しい日々を過ごすことができました。

しかし、あの日以来1度も青鬼の姿を見ていません。気になった赤鬼が青鬼の家を訪ねてみますが、家の扉は締め切られ、誰かがいるような気配もないのです。扉の脇の張り紙には、「赤鬼くん、このまま僕と友達でいると、君も悪い鬼だと思われてしまう。僕は旅に出る。君のことは忘れない、いつまでも友達です」と書いてありました。

赤鬼は何度もその手紙を読み、涙を流したそうです。

 

『泣いた赤おに』は道徳の教科書にも!物語から学べることとは

 

道徳の教科書にも採用された『泣いた赤おに』。赤鬼と青鬼のやりとりを中心に、さまざまなことを考えさせてくれる内容になっています。

まず「鬼」というと一般的には怖いイメージがありますが、本作に登場する赤鬼は心優しいキャラクターとして描かれています。日々人間と友達になりたいと考えていたことから、もしかすると鬼の友達も少なかったのかもしれません。

そんな彼に唯一手を差し伸べてくれたのが、青鬼でした。赤鬼の願いを叶えるために、自ら悪役となることを選択したのです。しかしその結果、青鬼は赤鬼のもとから去ることになります。

赤鬼は、人間という友達を手に入れることはできましたが、その一方で青鬼という友達は失ってしまいました。

物語の最後に赤鬼が涙を流すシーンがありますが、その涙の意味を考えてみると、「友達や友情とは何なのか」「青鬼の自己犠牲にも見える行動は本当の優しさといえるのか」、など考えるきっかけになるでしょう。

 

『泣いた赤おに』から学べる教訓は?

 

人間から恐れられていた赤鬼ですが、それでも彼には青鬼という友達がいました。同様に青鬼にとっても、赤鬼がいたからこそ孤独にならずに暮らしていたはずです。

その後赤鬼は人間とも友達になりますが、これは彼ひとりでは成し遂げることはできないことでした。長年の夢だった人間と友達になり、幸せな日々を送りますが、青鬼との別れを経験して初めて、青鬼が自分にとって大切な存在だったと認識するのです。姿を消した青鬼は、今後ずっとひとりぼっちで生きていくのでしょうか。

私たち人間も、普段当たり前に存在するものに対し、感謝の気持ちを抱くことや大切にしようと思うことは、少ないはずです。ないものねだりをしている時はなおさら。『泣いた赤おに』の物語からは、身近にある人や物を大事にすることの大切さを学ぶことができるでしょう。

 

『泣いた赤おに』で、青鬼が犠牲になる以外に方法はなかったのか考察

 

物語のなかで、赤鬼と青鬼は今生の別れを迎えることとなりました。では、彼らが離れ離れにならずにすむ方法はなかったのでしょうか。

考察1:赤鬼は立て札を掲げた後、別の行動をとるべきだった

物語の冒頭で、赤鬼は人間を家に招くために立て札を掲げます。しかし人間たちは訝しみ、誰も家に立ち寄ろうとはしません。赤鬼はその事実がわかると、人間と交流することは不可能だと諦めて、立札を取り除いてしまうのです。その後、何か別の行動をとることなく、ふさぎ込んでしまいます。

青鬼の力を借りて人助けをする「演出」をしましたが、もし人間を助けることで信頼してもらう方法をとるのであれば、本当に困っている人間を自ら助けに行くこともできたはず。待っているだけでなく、自分から歩み寄ることをくり返していれば、青鬼の助けを借りなくても人間と友達になることができ、結果として青鬼が犠牲になることもなかったでしょう。

考察2:青鬼との作戦を素直に告白するべきだった

もしも赤鬼が、「青鬼が村で暴れたことは、人間と友達になりたかったがゆえの作戦だった」と正直に告白をしていたら状況は変わっていたかもしれません。

事実を知って怒る人間もいるかと思いますが、信頼関係が築かれた後であれば、理解を示してくれる人もいるでしょう。そうすれば青鬼は姿を消す必要はなく、さらには人間と友達になることができたかもしれないのです。

 

浦沢直樹がイラストを手掛けた話題の絵本

著者
浜田 廣介
出版日
2011-11-30

 

『20世紀少年』や『YAWARA!』、『PLUTO』など数々の人気作を生み出してきた漫画家の浦沢直樹。本書は、浜田廣介の『泣いた赤おに』の物語に、浦沢が40点以上の挿絵を書き下ろした絵本になります。2011年には本書をもとにした映画が公開され、話題となりました。

登場人物たちの喜怒哀楽の表情や、ユーモラスな動き、美しい風景など、見どころがたくさん。文章と相まって臨場感を増していきます。

子どもはもちろん、『泣いた赤おに』のエピソードを知っている人や大人でも満足できる一冊です。

 

『泣いた赤おに』の原文が載った絵本

著者
浜田 広介
出版日

 

原文の『泣いた赤おに』を改変、省略することなく全文が掲載されている絵本。素朴な表現や言い回しが耳に心地よく、読み聞かせにもおすすめです。

梶山俊夫の迫力と哀愁をともなったイラストが物語を盛り上げ、初出は1992年ですが鮮やかな色使いはまったく古さを感じさせません。

『泣いた赤おに』の最初に手に取る一冊におすすめです。

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