元気が出る小説おすすめ6選!落ち込んでる時に前向きになれる本を紹介!

更新:2021.12.11

仕事や学校で疲れた時や、落ち込んでしまった時は、元気が出る小説を読んでみてはいかがでしょうか。この記事では、生き生きとした登場人物たちの姿を見て、前向きになれる作品を紹介していきます。読み終えた頃には、きっと笑顔になれるはず。

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主人公の成長に元気が出る!『とっぴんぱらりの風太郎』

 

物語の舞台は、忍者たちが暮らす伊賀の国。豊臣から徳川の治世に移り、日常に平穏が訪れ始めました。

そんななか忍者をしている主人公の風太郎(ふうたろう)は、訓練の最中にとんでもないミスを犯してしまい、伊賀を追い出されてしまうのです。

それからというもの、風太郎は京でニートのような生活を送ります。そこで突然現れた妙な男からひょうたんを育てるよう勧められ、彼の人生は大きく変化することになるのです。

著者
万城目 学
出版日
2016-09-02

 

2013年に刊行された万城目学の時代小説です。「直木賞」の候補にもなりました。

「ふうたろう」という名前のとおり、国を追い出されてニートのような生活を送る主人公。どうしようもない彼ですが、そこからの成長過程がすさまじく、怒涛の展開にドキドキさせられっぱなしでしょう。

また本作には、個性的なキャラクターが数多く登場します。物語はある程度史実と連動していて、ストーリーが進むにつれて再び戦乱の世に。愛すべきキャラクターたちが巻き込まれる展開に、手に汗握ること間違いなしです。

読者は、心拍数が高いままラストまで駆け抜けることになるでしょう。壮大な物語をお楽しみください。

言葉のもつ力『本日は、お日柄もよく』

 

主人公は、製菓会社に勤めるOLの二ノ宮こと葉。かねてから思いを寄せていた幼馴染の今川厚志が結婚することになり、意気消沈しています。

複雑な気持ちで式に出席しましたが、ある女性の祝辞に涙がこぼれるほど感動してしまいました。会場の空気を一変させたそのスピーチを聞いて、こと葉は弟子入りを決意。そこから「言葉」の修行を始めることになるのです。

女性の正体は、スピーチライターの久遠久美。彼女の教えを受けて、こと葉の腕もメキメキ上達します。ついには政治家のスピーチライターに抜擢されて……?

著者
原田マハ
出版日
2013-06-07

 

2010年に刊行された原田マハの作品です。2017年にはテレビドラマ化もされました。

作中ではさまざまなスピーチが話され、読んでいるだけで「言葉の力」を感じて元気をもらえるでしょう。こと葉が担当することになったのは、父親の遺志を継いで立候補を決めた、幼馴染の厚志。野党から出馬をする彼と二人三脚で仕事をし、政権交代という国の未来がかかった一大事に関わることになるのです。

プレゼンのハウツー本としても参考になる、言葉の可能性を熱く描いた一冊です。

爽やかな青春物語『一瞬の風になれ』

 

主人公の神谷新二は高校生。中学生の頃は兄に憧れてサッカーをしていましたが、才能がないことを実感し、辞めてしまいました。アルバイトに精を出す日々を送っていましたが、クラスメイトの根岸康行に誘われたことをきっかけに、陸上部に入部することにします。

新二は、中学生の頃に陸上で全国大会にも出場していた、幼馴染の一ノ瀬連にも入部を勧めますが、彼はすでに陸上を辞めていました。そこにはある事情があり……。

著者
佐藤 多佳子
出版日
2009-07-15

 

2006年に第1部が刊行された佐藤多佳子の作品です。2007年に漫画化、2008年にテレビドラマ化もされました。全3巻で、高校入学時から3年生までの成長が描かれた青春物語です。

主人公の新二、クラスメイトの根岸、幼馴染の連は、それぞれ大きな挫折を経験しています。そんな彼らが傷つきながらも苦悩を乗り越える姿が愛おしいのです。また新二は、もともと才能のある連の背中を常に追いかけている状態です。やや卑屈なところもありますが、親友でありながら最大のライバルという関係性こそが青春だといえるでしょう。

陸上自体の描写も疾走感があり、一気読み必至。青春の甘酸っぱさとほろ苦さを感じて、大人の読者も一緒に泣いて一緒に笑い、元気をもらえる作品です。

「おかえり」と言ってもらえる幸せ『ウェルカム・ホーム!』

専業主夫の渡辺毅と、キャリアウーマンでバツ2の児島律子という、正反対の2人を主人公にした2編が収録されています。

毅は、自身の父親が経営していたレストランを潰してしまい、さらには妻から離婚通告。現在はシングルファザーをしている友人宅に居候をしています。

一方の律子は、娘の聖奈が結婚することになって数年ぶりに再会することに。聖奈は2人目の夫の連れ子で血の繋がりはありませんが、律子は彼女のことを心から愛していました。

著者
鷺沢 萠
出版日
2006-08-29

 

2004年に刊行された鷺沢萠の作品です。長らく絶版になっていましたが、2017年に復刊されました。

2つの物語で描かれる家族は、どちらも「普通」の形ではありません。2人の主人公はどちらも「普通」の形の家族を作りあげることに失敗しています。

でも、だからこそ、本当のあたたかさを感じることができたのでしょう。血の繋がりや役所の届け出などよりも強い信頼関係に、胸が熱くなります。誰かに必要とされること、「おかえり」と言ってくれる人がいる幸せを知り、元気をもらえる作品です。

家族の絆『フライ,ダディ,フライ』

 

主人公は典型的なサラリーマンの鈴木一。妻と高校生の娘とともに、平穏で幸せな日々を送っていました。しかし、そんな日々が一変。友人とカラオケに行った娘が、他校の生徒に絡まれて大怪我をしてしまったのです。

犯人は、ボクシングの高校生チャンピオン、石原勇輔。たびたび問題を起こしていましたが、父親が政治家のため不問にされている不良です。

一は復讐をしようと石原の通う高校へと乗り込みますが、高校を間違えてしまったあげく、パク・スンシンという在日朝鮮人の高校生にコテンパンにされてしまいました……。

著者
金城 一紀
出版日
2009-04-25

 

2003年に刊行された金城一紀の作品です。2005年に映画化、漫画化されました。

乗り込んできた一を一蹴したパク・スンシンは、喧嘩の達人。韓国軍の特殊部隊に所属していた叔父の影響を受けています。そして落ち込む一から事情を聞き、彼を鍛えるために夏休みを費やしてくれることになりました。

愛する娘のために、平凡なサラリーマンが奮闘する物語。娘が傷ついているにも関わらず、権力を前にどうすることもできませんでしたが、体も心も鍛えることで強くなっていきます。物語が進むにつれて、自然と読者も励まされ、元気をもらえるでしょう。スピード感のある展開も楽しめる、爽やかな勧善懲悪物語です。

豪快なおばあちゃんの姿に元気が出る『佐賀のがばいばあちゃん』

 

主人公の昭広は、8歳の少年。母親と2人で暮らしていますが、仕事で忙しいため、佐賀に住むおばあちゃんのもとで生活することになりました。

時は戦後の動乱期。おばあちゃんの家はとても貧乏ですが、持ち前の明るさと破天荒すぎるほどの逞しさで、いつも笑いがあふれています。

著者
島田 洋七
出版日

 

1987年に刊行された島田洋七の作品です。映画化、テレビドラマ化、漫画化、舞台化などさまざまなジャンルに展開されました。主人公の昭広という名前は、島田の本名。作者自身の少年時代をモデルにした自伝なのです。

その日のおかずに困り、新しい服も買うことができないというギリギリの生活。悲観になってもよさそうですが、おばあちゃんは知恵と工夫を凝らして日々楽しく生きています。昭広も最初は驚くものの、中学を卒業するまでの8年間すくすくと育ちました。

タイトルにある「がばい」とは、佐賀弁で「非常に、とても」という意味。おばあちゃんの印象の強烈さを表現しているといえるでしょう。その豪快さと楽天家っぷりに元気が出るとともに、どんな状況でも明るく生き抜く姿にほろりと泣ける作品です。

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