「はれぶた」シリーズおすすめ5選!色褪せない名作児童書の魅力とは

更新:2021.11.19

1980年に刊行されて以来、世代を超えて子どもたちに大人気の名作児童書「はれぶた」シリーズ。味のある絵と、心から笑えるストーリー展開が魅力です。この記事では、シリーズのなかでも特におすすめの作品をご紹介します。

ブックカルテ リンク

「はれぶた」シリーズとは。作者の矢玉四郎と主な登場人物を紹介

 

矢玉四郎が文と絵を手掛ける児童書「はれぶた」シリーズ。1980年に1冊目の『はれときどきぶた』が刊行されました。

矢玉は1944年生まれ。千葉大学の工学部を卒業した後はサラリーマンとして働いていましたが、漫画家として独立。その後児童文学に転向しています。

彼が生み出す物語は、荒唐無稽でハチャメチャなものばかり。大笑いして読める話がたくさんあり、その自由な世界観が子ども心を掴んで離さないのです。本を読むのが苦手な子どもでも、「はれぶた」シリーズなら好きだという子が多いのも頷けます。

主人公は、畠山則安。どこにでもいる普通の小学3年生で、クラスメイトからは「十円安(じゅうえんやす)」と呼ばれています。お父さん、お母さん、妹の玉ちゃんの4人暮らしです。

そのほか、物語のキーとなる「日記」を則安につけることをすすめた担任の和子先生、いつも竹刀を振り回している体育の元井先生、突拍子もない行動をとるクラスメイトなど、個性的なキャラクターがたくさん登場。味のある絵とあいまって、子どもが夢中になれる世界観を作りだしています。

「はれぶた」シリーズ『はれときどきぶた』のあらすじと魅力を紹介

 

毎日日記をつけている則安。しかし、ある日お母さんがこっそり自分の日記を読んでいることに気づいてしまいました。

怒った則安は、お母さんを驚かせてやろうと決め、「色鉛筆の天ぷらを食べた」「トイレに大蛇が出た」などでたらめを書くのです。すると、でたらめだったはずのことが次々と現実に。ある日「はれときどきぶた」と書いてみたら、空に大量のぶたが現れて……。

著者
矢玉 四郎
出版日
1980-09-05

 

1980年に刊行された「はれぶた」シリーズの1作目です。則安が書いた日記を中心に物語が進んでいきます。

色鉛筆の天ぷらをおいしそうに食べるお父さんに、お腹が痛くなると消しゴムをすすめるお母さん……日記に書いたあり得ない出来事が、次の日に現実になってしまう展開は、小さな子どもでも楽しめるでしょう。「くるぞくるぞ」という期待を裏切りません。

あとがきには、「電球を発明した人だって、はじめて飛行機をとばした人だって、ヨットで太平洋をわたった人だって、みんなはじめは『ばかなことをいって』と笑われたんだ」という作者の言葉が。子どもの自由な発想や素直な感情を大切にしたいと思わせてくれる一冊です。

「はれぶた」シリーズ『あしたぶたの日ぶたじかん』のあらすじと魅力を紹介

 

学校で新聞について習った則安は、「壁新聞」を作ってみようと思い立ちました。「ほんと新聞」というタイトルをつけ、家の近くの掲示板に貼り出します。しかしその内容は、いくら本当のことでも他の人のプライバシーを侵害してしまうものでした。

怒ってしまう人が出てきたので、今度は「うそ新聞」を作ることに。ところが新聞に書いたうそが次々と本当になっていき……。

著者
矢玉 四郎
出版日
1985-07-29

 

1985年に刊行された「はれぶた」シリーズの2作目です。

「うそ新聞」の次は、「うそほんと新聞」「ぶた新聞」と続きます。読者の予想の斜め上をいく展開が魅力の「はれぶた」シリーズですが、今回は則安の妄想がさらにエスカレート。物語が進むにつれて、彼の住む世界がどんどんハチャメチャになっていくのです。

頭にお花が咲いたり、お腹に穴があいたドーナツ人間が出てきたり、空がぶたに埋め尽くされたり……その展開は子ども心を掴むだけでなく、一緒に読んでいる大人も感心してしまうほど。最初から最後まで、ワクワクして読める一冊です。

「はれぶた」シリーズ『ぼくときどきぶた』のあらすじと魅力を紹介

 

則安は、友だちと3人で紙芝居の発表することになりました。「ぶたのくに」というお話です。しかし発表の当日、紙芝居から「まおう」が飛び出してきて、みんなをぶたに変えてしまいます。

事件を聞いてやってきた警察もぶたなら、動物園の動物もみんなぶたの顔。自動車や大仏までもが、ぶたになってしまいました。

著者
矢玉 四郎
出版日
1987-09-26

 

1987年に刊行された「はれぶた」シリーズの3作目です。

みんながぶたになってしまうというシュールな展開。しかし、子どもたちを置いて真っ先に逃げ出してしまう先生がいたり、最初はパニックになっていた町の人がだんだん「ぶたのままでも悪くないな」と考え始めたりと、考えさせられる内容も。則安たちは諦めずに「まおう」を退治しようと奮闘します。

最後は一件落着。読後は、もし自分だったらどんな紙芝居を作るのか考えてみても面白いでしょう。

「はれぶた」シリーズ『ヒッコスでひっこす』のあらすじと魅力を紹介

 

ある日のこと、畠山家に、アナホリ会社の社長がやってきました。なんと家の下に爆弾が埋まっているので、家ごと引っ越すこすようにと言うのです。

社長が持ってきたのは、引っ越しロボット「ヒッコス」。希望の場所を書いたカードを差し込めば、どこへでも一瞬で家ごと引っ越しができる優れものです。この「ヒッコス」を利用して、一家は引っ越しすることになったのですが……。

著者
矢玉 四郎
出版日
1996-01-17

 

1996年に刊行された「はれぶた」シリーズの6作目です。

本作で注目したいのは、畠山家のお父さんとお母さん。木の上や川の上、はてはスーパーの中など、いろんなところへ引っ越します。いざ住んでみるとハプニングばかりが起こるのですが、なんともお気楽なお父さんとお母さんは、何が起きても焦ったりしません。どんなことでも楽しんで乗り越えてしまう、畠山家のポジティブパワーに脱帽です。

この展開を1番心配しているのは、主人公の則安。読者も彼と同じように、ハラハラしながら読み進めることができるでしょう。

「はれぶた」シリーズ『はれたまたまこぶた』のあらすじと魅力を紹介

 

今回の主役は、則安の妹の玉ちゃん。お風呂場や新聞受け、公園の砂場などで、玉ちゃんがひたすらこぶたを見つけていくお話です。

「おふろぶた」や「すなぶた」など、日常のいたるところでこぶたを見つける玉ちゃん。すぐに仲良くなります。

著者
矢玉 四郎
出版日
2013-07-11

 

2013年に刊行された「はれぶた」シリーズの10作目です。

次々とこぶたを見つけていく玉ちゃんの飄々とした表情を楽しめる作品。卵を割ったらたくさんこぶたが出てくるシーンなどは、びっくりすること間違いなし。小さな子どもにもわかりやすい展開です。

則安と同じように、彼女もまた不思議な力をもっているのを知ると、古くからの読者は嬉しい気持ちにもなるでしょう。文章のリズムもよいので、声に出して読み聞かせをするのもおすすめです。

  • twitter
  • facebook
  • line
  • hatena
もっと見る もっと見る