『パープル式部』面白い!最終回までネタバレ解説!おでんで笑えるギャグ漫画

更新:2021.11.19

『パープル式部』は、「ミラクルジャンプ」や「週刊ヤングジャンプ」で連載されていた、フォビドゥン澁川(しぶかわ)の作品です。古風な口調と、特徴的すぎる外見の結婚コンサルタントを中心にして、婚活女子の悲喜交々(ひきこもごも)や個性的なキャラのかけ合いによるパロディ、また不条理ギャグが展開されます。 本作はスマホの漫画アプリでも無料で読むことができます。サクッと読んでみたい方は、下のボタンから読むこともできますよ。

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『パープル式部』が面白い!魅力を最終回までネタバレ紹介!【あらすじ】

物語の舞台は、流行っているのかいないのか、街のどこにあるのかもよくわからない「ライト源氏結婚相談所」です。

所員は平安貴族風のパープル式部と、式部に洗脳されてしまった助手の藤原彰子(ふじわらあきこ)の2人。おもに相談所を訪れるのは、常識人すぎて2人に翻弄されてしまう、青木夏海(あおきなつみ)だけです。

著者
フォビドゥン澁川
出版日
2014-12-19

本作は、主人公のパープル式部が、夏美の婚活を建前に、毎回はちゃめちゃな展開をくり返すショートギャグ漫画です。

アクの強い作画と、クセの強い古風な言い回しが特徴的で、『パープル式部読切集 花の巻』掲載後に、不定期連載を経て連載化されました。

とにかくキャラのインパクトが凄まじく、作中のコマを切り取った画像なども人気です。作者のフォビドゥン澁川もそのことは周知らしく、Twitter上でよくパープル式部のパロディを公開しています。

連載終了時には、ワンピースの某1シーンを再現した「愛してくれて……ありがとう」や、サックス演奏するファンのコスプレをもとにして、パープル式部を描くことも。

また、人気スマホゲーム「Fate/Grand Order」に、パープル式部の元ネタである「紫式部」が実装されたとき、FGOに準拠したパープル式部を投稿して話題となりました。

作者・フォビドゥン澁川とは

フォビドゥン澁川(しぶかわ)は、北海道出身・在住している日本の漫画家です。

2011年、『こんかつ』が第119回MANGAグランプリGAG部門で、準グランプリを受賞。同年に『アンウェルカム』が「ミラクルジャンプ」に掲載され、商業誌デビューしました。

その後は『こんかつ』を土台とした、読み切り版『パープル式部』を不定期連載(後に正式に連載)。2019年現在は、「週刊ヤングジャンプ」誌上で『スナックバス江』を連載しています。

 


『スナックバス江』については<『スナックバス江』がヤバくて面白い!4巻までの独特な魅力をまとめてみた>で紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。

著者
フォビドゥン澁川
出版日
2018-02-19

代表作は、今回ご紹介する『パープル式部』です。 作画崩壊スレスレの絵柄で、歴史・時事・サブカルなどのパロディや、下ネタ・ダジャレ・世界観無視のメタ発言・不条理ギャグを得意としています。 

作者のノリがよく、ネット上の流行にも敏感なことでも知られていて、いろいろな意味で軽快なネタに定評があります。

また、前述したワンピースやFGO以外にも、鉄血のガンダムに登場するカルタ・イシューが、一部で「ギャラル式部」と呼ばれており、作者本人がネタに乗っかり、パープル式部版のパロディを披露して、ファンをざわつかせたことも。

『パープル式部』の魅力:ぶっ飛んだ面白さ!

『パープル式部』の魅力:ぶっ飛んだ面白さ!
出典:『パープル式部』2巻

強烈なキャラが魅力の本作ですが、彼らがくり広げる「不条理な展開」も魅力のひとつ。結婚相談所が舞台なので、婚活の話題が多めですが、必ず脱線してそれどころではなくなります。

たとえば、捨て犬が出てくる話。普通なら感動的な流れになるところですが、本作では弱肉強食を説いたうえで、式部や彰子より「捨て犬のほうが強い」というトンデモが起こります。見開きで、式部が犬にある凄いことをされてしまうのも必見です。

また食の好みに関して、結論では「個人の嗜好を尊重する」としながらも、おでんをおかずにご飯を食べる彰子を見て、式部が発狂します。拳銃で脅したり自殺を計ったりと、滅茶苦茶な展開。

このように、起承転結のすべてにおいて突拍子(とっぴょうし)がなく、ぶっ飛んでいるのが面白い作品です。

『パープル式部』の魅力:式部も含め、キャラがヤバい!

『パープル式部』の魅力:式部も含め、キャラがヤバい!
出典:『パープル式部』1巻

本作の一番の魅力は、キャラが濃すぎるレギュラー登場人物にあるといえます。一度見てしまうと、忘れないどころか、勢いあまって悪夢に出てくるのでは?と危惧するほど、強烈な個性の持ち主ばかり。

まずは、主人公のパープル式部。名前の元ネタは紫式部ですが、平安貴族風の髪型とメイク、そして古風な言葉遣い以外に共通点はありません。

自称・カリスマ結婚コンサルタントですが、作中で手腕を発揮することはなく、自身は5回も離婚している始末です。神出鬼没で、人体を超越した行動もしばしば。なぜか、神具と称した「電動マッサージ器」を持ち歩いています。

そして、式部の結婚相談所に訪れる青木夏海。お人好しの常識人なので、奇人・変人しか出てこない本編では、毎回騒動に巻き込まれます。もう1人の主人公ながら、消極的なせいで若干キャラが薄いです。

また式部の助手にして、騒動を広げたり無理矢理オチをつけたりする、便利要員の藤原彰子。式部とともに、いつも「珍妙な異名」で紹介されるので、そこにも注目してみてください。

最後に、ある意味では「本作で一番の問題児」の清リトル納言。式部から「メチャ醜(シコ)ボディ」と呼ばれる見た目で、Say Show Now Go On(=セイショウナウゴーオン)の効果音で登場するのが、お約束です。

『パープル式部』の魅力:名言がヤバい!

『パープル式部』の魅力:名言がヤバい!
出典:『パープル式部読切集 花の巻』

フォビドゥン澁川の、独特なセンスからくり出されるセリフも見所のひとつ。一部のコマは非常に汎用性が高く、ネット上で笑いを交えた「煽り画像」としても使われています。ここでは、とくに印象的な名言を3つ紹介します。

「ほほほほ!
 ジョークまでブスね〜!」
(『パープル式部』1巻より引用)

 

 

清リトル納言と互いにどちらがブスか言い合っているシーンでの一言。パンチの効いた嫌味としてご紹介しましたが、それ以上に注目してほしいのはその後の煽り行動。どちらのほうがブスかを将棋の勝敗で決めることになった彼女たち。式部は早々にコマの「歩」を「ブ」、「と」を上下逆にして「ス」と読ませて煽り、さらに盤面のコマを「ブス」と読めるように配置しました。二重三重に凝った罵倒です。

「耐え難し…」
(『パープル式部』2巻より引用)

前述したおでんの回で、発狂した式部が拳銃を咥えて自殺を計るシーン。シンプルな言葉の強さと、インパクトしかない絵面で、煽り画像としても人気です。

「ハーブか何かやつておられる?」
(『バーチャル式部』より引用)

「となりのヤングジャンプ」で連載された、スピンオフ(2019年9月現在、閲覧不可)に登場しました。ドット絵で描かれた式部のセリフですが、ふだんは奇行をくり返すだけに、「お前が言うな」と思わずツッコミたくなる名言です。本作の不条理を代表するフレーズでしょう。

 

 

『パープル式部』最終回はどうなる?ラスボスとの対決の結末は?

青木夏海、29歳。まもなく独身のまま30歳を迎える彼女を利用して、人類滅亡を目論む(もくろむ)悪魔メフィストが、真の闇「和泉スタイルクラブ」を復活させようとしていました。

彰子の父で刑事でもある、m.c.藤原ロングウェイから窮地を知らされた式部は、菊理媛神(ククリヒメノミコト)から授けられた、聖なる電マで最後の戦いに挑み……!

著者
フォビドゥン澁川
出版日
2015-08-19

突然のシリアス(?)なバトル展開に、読者はただただ困惑するばかり……。

平安期の文化人として、紫式部や清少納言と同じく有名な、和泉式部が出てきたと思ったら、なぜか「アラサー独身女性の化身」だったという展開。しかも世界を滅ぼそうとするなど、もう滅茶苦茶です。

果たして式部は、スタイルクラブを止めることができるのでしょうか?また夏美の婚活の行方とは?脱力必死の結末は、ぜひ実際にご覧ください。ちなみに最後まで平常運転です。

本作はここで完結しますが、最新作『スナックバス江』がほぼ同じノリなので、ハマってしまった方は、ぜひそちらも読んでみてください。

徹頭徹尾、インパクトの塊のような凄い熱量の作品です。読み始めるとクセになる、フォビドゥン澁川ワールドをどうぞお楽しみください。

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