三雲岳斗のおすすめ作品5選!ラノベも本格ミステリーも、一気に楽しむ!

更新:2021.12.14

メディアミックスするほどのヒット作を多く抱える三雲岳斗。ライトノベルの作家と思ってしまいがちですが、本格ミステリー方面でも期待されているのです。そんな三雲岳斗の作品のおすすめを5作ご紹介します。

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ラノベも本格ミステリーも手がける、三雲岳斗とは?

三雲岳斗は1970年に大分県で生まれ、上智大学外国語学部英語学科を卒業します。

卒業後は輸入商社に勤務していましたが、1998年『コールド・ゲヘナ』で電撃ゲーム小説大賞銀賞を受賞してデビューしました。

有沢まみず、築地俊彦、古橋秀之、有川浩といった作家の方々と親しいようです。

ライトノベルが中心ですが、SFやミステリーも執筆しており、短編「二つの鍵」は日本推理作家協会賞短編部門の候補にもなるほど、本格ミステリーとして評価されました。

波乱のハイスクールパンク『アスラクライン』

高校入学をきっかけに、兄が暮らしていた鳴桜邸でのひとり暮らしをはじめた夏目智春には、守護霊を名乗る幼なじみ・水無神操緒が取り憑いていました。

そんなふたりの前に、黒スーツ姿の黒崎朱浬が兄から託された銀色のトランク「イクストラクタ」を届けにきます。さらには、そのトランクを狙う巫女装束の嵩月奏が現れます。「イクストラクタ」を手にしたことで智春の運命は大きく動き出すことになり……。

著者
三雲 岳斗
出版日


設定が斬新でキャラクターが生き生きとしていて魅力的です。各巻のカバーイラストを見てもわかるとおり、描かれる女性たちはとても可愛らしいのです。

物語特有の単語がぽんぽん出てきますが、こういう世界観なんだと理解しておけば、ややこしいわけではありません。すぐにテンポのよさとおもしろさに夢中になってしまいますから、読み終わるころには自然に理解できていることでしょう。

学園ものに特殊な世界観をはめ込んではいるものの、そこにあるのは誰もが経験する高校時代の縮図です。青春小説を読むような気持ちで、まずは1ページ開いてみませんか?

学園アクションファンタジー『ストライク・ザ・ブラッド』

12体の眷獣(けんじゅう)を従えて厄災を撒き散らすとされる、伝説上の世界最強の吸血鬼「第四真祖」が日本に現れます。政府は吸血鬼を監視し、抹殺するための「剣巫」見習いとして、姫柊雪菜を選定したのでした。

彼女は対真祖最強の霊槍を持ち、魔族特区である「絃神島」へと向かいます。監視対象は、その島の高校に通う暁古城という人物で……。

著者
三雲 岳斗
出版日
2011-05-10


監視する者と監視対象者が交流を深めていく中で事件に巻き込まれ、敵と戦うという展開。ひとりの男性主人公を女性たちが取り巻くハーレム要素を持ちながら、バトルシーンも楽しめるという2度おいしい作品です。

ヒロインがまだすべての力が使いこなせないというところからはじまる点も、魅力的かもしれません。ふたりの関係が少しずつ変化していく過程が本作の肝でもあるので、可能であれば、シリーズまとめ読みをしたい作品です。

三雲岳斗のラノベが、深い『ダンタリアンの書架』

所領の半分を1冊の本と引き換えにしたほどビブリオフィリア(愛書家)の祖父。彼から屋敷と蔵書のすべてを引き継いだヒューイは、遺品整理に訪れた屋敷の地下で本を読む少女・ダリアンと出会います。彼女は禁断の幻書を納める「ダンダリアンの書架」への入口であり、悪魔の叡智への扉でもありました……。

著者
三雲 岳斗
出版日
2008-11-01


ドラマティックな予感がする、2度の大戦の間のイギリスが舞台です。本と砂糖をまぶした揚げパンが大好きで、口が悪くてわがままなのに人見知りなダリアンは可愛らしくて魅力的です。

幻書を巡る短編連作形式なので読みやすくはありますが、人間の暗部も描かれるためちょっとダークな気分になってしまうかもしれません。

ライトノベルでありながら、描写が巧みで深みもある作品。軽く見てはいけません。おすすめです。

三雲岳斗の日本SF新人賞受賞作!『M.G.H.―楽園の鏡像』

日本所有の宇宙ステーション『白鳳』が舞台です。物語は、無重力空間なのに、数十メートルの高さから墜落したような死体が漂っているところからはじまります。

宇宙スーツはなにかにぶつかったように陥没し、血液の球体が散らばっていました。その無残な光景を最初に発見したのは、偽装結婚の新婚旅行で白鵬見学に来ていた研究者・鷲見崎凌と森鷹舞衣でした。彼らは、真相解明へと乗り出していき……。

著者
三雲 岳斗
出版日


SFとミステリーの融合作品です。描写的にはさほど遠い未来ではない未来が設定されていますが、真空空間に浮かぶ宇宙ステーションの様子はかなりきちんと書かれていて、SFだ!と実感させられます。ただ全体的には、ミステリーの要素の方が強い作品です。

虚無的な凌と、押しかけ女房のような舞衣の人物描写や、やりとりがおもしろいので、SF慣れしていない読者の方でもスムーズに読み進められると思います。

ライトノベルとはまた違った三雲岳斗の魅力をぜひ堪能してみてください。

三雲岳斗のデビュー作『コールド・ゲヘナ』

物語の舞台である砂漠の惑星ゲヘナは、魔物や天候を操る龍族が君臨しています。人類がそれらに勝つ可能性があるものは、遺伝子書き換え手術「リライティング」を受けたDJ(ディドリードライブ乗り)が操る人型兵器「デッドリードライブ」だけでした。

著者
三雲 岳斗
出版日


凄腕なのに怠け者のDJバーナード・シーカー、通称なまくらバーンは、謎の少女を助けたことから、戦いに巻き込まれていくのですが……。

怠け者がちょっとしたきっかけで巻き込まれ、戦いの渦中に突っ込んでいくというライトノベルの展開としては割に定番な設定ですが、翼を持つ龍族が支配する特殊な惑星という世界観、登場人物たちが抱える謎、敵対する教団の秘密などが巧みに描かれており、読者を飽きさせません。

主人公の相棒である赤毛の喋る猫・メルが、レーダーよりも高性能な索敵をしたり、だんだんお金に関してうるさくなっていったりと、良い味を出していて、猫好きにもたまらない作品でしょう。この猫の正体にもびっくりするかも……?

デビュー作ということで読み切りとして書かれているはずなのに、続きが気になって仕方がない設定。シリーズ一気読みをおすすめします!

ライトノベルのイメージが強い三雲岳斗ですが、本格的なSFやミステリーにも挑戦し、違う顔を見せています。二通りの三雲作品を交互に読んでみたら楽しいかもしれませんね。

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