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特集!あの人の本棚
108.

望月 新   (建築家)


環境や自然に馴染むアプローチの原点 (望月新インタビュー後編)

望月 新
さまざまなプロフェッショナルの考え方・作られ方を、その人の本棚、読書遍歴、本に対する考え方などから紐解いていくインタビュー。今回は、建築家の望月新さんに登場いただきました。個人住宅を中心に活躍、「望月建築アトリエ」を主宰する望月新さん。インタビュー後編です。
環境や自然に馴染むアプローチの原点 (望月新インタビュー後編)

安心できる、居心地がいい、落ち着いた溜まりのある空間などはいつも考えるようにしています

個人住宅を中心に活躍、「望月建築アトリエ」を主宰する建築家の望月新さんのインタビュー後編をお届けします。

建築をめざして

『建築をめざして』 ル・コルビュジエ

―― いわゆる巨匠建築家の中で、たとえばル・コルビュジエなんかは一般の人も名前は知っていますよね。彼が手掛けた建物もなんとなく浮かんでくる。彼の本で読むべきものというと何になりますか。

望月 『建築をめざして』でしょうか。この本に対して私がコメントできるような立場の人間ではないのですが。彼は近代建築の5原則――ピロティ、屋上庭園、横長の窓、自由な平面、自由なファサードっていう5原則を、要するに今までの建築が近代建築に向かってく大原則を作った人なんですね。これはそんな近代建築の成り立ちを作った人が書いた最初の本です。「住宅は住むための機械である」という有名な言葉があるんですけど、それがこれに書いてある。だから建築をやる人は、読んでおく必要のある本ではないでしょうか。コルビジェの日本のお弟子さんだと東京都庁を設計した丹下健三さんや、上野の東京文化会館を設計した前川國男さんなど、戦後の日本を代表する建築家達なんですね。

未完の建築家 フランク・ロイド・ライト

『未完の建築家 フランク・ロイド・ライト』 エイダ・ルイーズ・ハクスタブル

―― フランク・ロイド・ライトは日本でも帝国ホテルの設計を手掛けたことで有名です。

望月 子供の頃、父の仕事の関係でアメリカに1年間だけいたんですが、その時にペンシルベニア州にある傑作「落水邸」(カウフマン邸)とかも見に行ったみたいなんですよね。全然覚えていないのですが(笑)。でも、未だにライトの作品集は時々見ています。特に彼の手掛けた住宅のデザインは、今の住宅のスタイルの原型の一つになっています。このライトの伝記も面白いですよ。設計とは違って、なかなか破天荒な人生で。離婚、不倫、破産や火事などプライベートはかなり壮絶な人生です。あと、彼は幼少期に両親が買ってくれた積み木(フレーベルの積み木)をやったことが建築に進む原点になったとも。それで僕も子供に積み木を与えようかなと思ったりしましたが(笑)。

ルイス・カーンの全住宅:1940‐1974

『ルイス・カーンの全住宅:1940‐1974』 斎藤 裕

望月 アメリカの建築家では前出のルイス・カーンも大好きな建築家です。大学の卒業旅行として一人でアメリカを周った時に、フィラデルフィアまで彼の建築を見に行きました。光の使い方とかが宗教的で素晴らしいんです。

―― 望月さんの思われるカーンの一番の魅力って何でしょう。

望月 うーん……一言で、素敵(笑)。かっこいいというのとは違うんだけど、趣があるというか……とにかく素敵なんです。空間が神秘的な雰囲気を醸し出していて。ソーク研究所やキンベル美術館なども有名ですね。

建築を愛する人の十二章

『建築を愛する人の十二章』 香山壽夫

―― この本は?

望月 香山壽夫さんは日本を代表する建築家の一人で、ルイス・カーンのお弟子さんだった人です。もともとは放送大学での講義用のテキストとして書かれた『建築を愛する人の十二章』は、建築の専門書ではなく、一般の人も分かりやすく、建築を見る楽しさやその魅力について書かれていて、非常に読みやすいと思います。カーンやライトのことや、屋根や壁など建築を構成する物を歴史なども踏まえ解説されています。

―― 望月さんが建築家として活動する中で、さまざまな建築家の本からどんな部分に影響を受けたりしているのかにも興味があります。

望月 じゃあ、この自宅の話をしましょう。この家を建てるにあたって一番に考えたのが、環境や自然になじむということ。フランク・ロイド・ライトの「有機的建築」という理念があるのですが、そのような建築の考えに共感を持っています。その景色に昔からあるような自然な感じになるのでようか。また、僕自身は日本の文化や歴史、風土にあった建築も大切だと常に考えているので、夏は日を遮り、冬には日が入ってくるような庇があるとか、そういう部分も意識しました。あとは、家に帰ってきてまずホッとできることは一番大切。安心できる、居心地がいい、落ち着いた溜まりのある空間などはいつも考えるようにしています。

―― ご家族を持たれて変わった部分というのはありますか?

望月 そうですね。子育てとか料理とか、自分でしてみないと本当のところはわからない。そういった面で、住宅の設計はわりと難しいんですよ。

Photographs by Motoki Adachi

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建築家の一覧 インタビューの一覧

プロフィール

望月 新
望月 新
建築家

1973年、東京都生まれ。97年に東京工芸大学建築学科を卒業、同年シグマシステム建築事務所入所。99年にAPD建築事務所に入所、01年に父の事務所である望月大介建築アトリエに参加する。08円に独立、東京・新宿に望月建築アトリエを設立、代表を務める。一級建築士、東京建築士会会員。
http://www.klasic.jp/person/architect/20

ライターについて

Writer 11
山下紫陽

ライター・編集者。ジャンルはデザイン、アート、音楽など。幼少時から翻訳小説と洋楽にどっぷり浸かったためか地に足が着かないまま大人に。ここ10年は寒い・暗い・汚い系のミステリー/ハードボイルドばかり。好きな主人公はやっぱりフロスト警部

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望月 新
建築家

1973年、東京都生まれ。97年に東京工芸大学建築学科を卒業、同年シグマシステム建築事務所入所。99年にAPD建築事務所に入所、01年に父の事務所である望月大介建築アトリエに参加する。08円に独立、東京・新宿に望月建築アトリエを設立、代表を務める。一級建築士、東京建築士会会員。
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望月 新 さんの本棚

建築について詳しくない人でも楽しめる、建築にまつわる本

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望月 新
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