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特集!あの人の本棚
109.

松岡広大   (俳優)


よりリアルに、人間らしく(松岡広大 インタビュー)

松岡広大
さまざまなプロフェッショナルの考え方・作られ方を、その人の本棚、読書遍歴、本に対する考え方などから紐解いていくインタビュー。今回は俳優の松岡広大さんに登場して頂きました。
よりリアルに、人間らしく(松岡広大 インタビュー)

2016年夏にはライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」の再演が決まった俳優・松岡広大。主人公うずまきナルト役を演じる松岡にとって、この役との出会いは役者人生のターニングポイントの一つでもあった。マンガのキャラクターをいかに実在しているように見せるか? その難しい課題を昨年の初演で見事にクリアしてみせた彼だが、「活字に触れることは役者にとっても、生きていく上でも、すごく大事だと思って本を読んでいます」と語るように、その表現力を形成するインプットの一つとして本は欠かせないそう。というわけで、今回は彼の好きな本とともにインタビューを行った。

少女少女七竈と七人の可愛そうな大人

『少女少女七竈と七人の可愛そうな大人』 桜庭一樹

―― まずは桜庭一樹さんの『少女少女七竈と七人の可愛そうな大人』です。

松岡広大(以下、松岡) この作品は内容というよりも言葉自体を楽しんで読んでいたところはあります。表現の仕方とか。

―― どのへんが引っかかったんですか?

松岡 相手のことを何度も呼んだりするんです。七竈と、すごく美少年の雪風という人が出てくるのですが、お互いの名前を何回も何回も言うんです。それが鉤括弧で表現されているんですけど、そういった表現に触れたことがなかったので、衝撃に近い感覚を味わいました。内容を理解しようと努力したんですけど、今の僕の頭じゃ完璧には理解できなくて(笑)。でも、一見難しいと思える本でも、この作品のおかげで楽しみ方のコツを覚えました

天神

『天神』 小森陽一

―― 次は小森陽一さんの『天神』です。

松岡 この本は一日で読み終えてしまったくらい、すごく面白かったです。坂上陸と高岡速っていう二人の登場人物を中心に描いた航空自衛隊の話です。パイロットになるには訓練とか過酷なんですけど、一方は成績優秀のエリート・タイプで、もう一方は目立たないけど実は才能があるタイプ……そんな対照的な二人を描いていて。リアルで人間らしいというか、自分の頭の中で想像しやすかった作品でした。

―― 頭の中で情景を思い浮かべてる。

松岡 はい。景色、音、匂い。格納庫だからガソリンの匂いとかするんだろうなとか、結構深いところまで想像しています(笑)。一ページ一ページそうやって想像して読むと、どんどん頭の中で変わっていくので、ページをめくるのが楽しくなるんです。

夏と花火と私の死体

『夏と花火と私の死体』 乙一

―― 続いて、乙一さんの『夏と花火と私の死体』。

松岡 死体目線でお話が進んでいくところが斬新だったんですけど、乙一さんが17歳の頃に書いた作品だと知って、すごいなって思いました。死体の目線で物事が語られていき、そのまま最後まで完結していくのが面白かったです。

―― これもイメージしやすかったですか?

松岡 そうですね。乙一さんの作品って生々しい感じなので、そういうのもあってイメージしやすかったです。それにしても、17歳でここまでのクオリティのものが書けて、こんなに多彩な言葉が使えると言うことに驚きました。

ドラゴン桜公式副読本 16歳の教科書~なぜ学び、なにを学ぶのか~

『ドラゴン桜公式副読本 16歳の教科書~なぜ学び、なにを学ぶのか~』 モーニング編集部

―― 『16歳の教科書』は、これまで挙げてくれたものと比べて異色のセレクトですね。

松岡 この本は特定の作者ではなく、国語、数学、英語、理科、社会、心理のそれぞれの専門家の方が書いた本で、僕が勉強を好きになった原点の本です。数学って将来何に使うんだとか、実用的じゃないとかって言われがちですけど、思春期の頃の僕もまさに同じようなことを思っていて。でも、論理的な思考を養うためだよとか、そういう風に説明されると、自然と納得ができるんです。数学に限らず、そういうことが書かれている一冊なんですけど、当時の僕が抵抗なく受け入れることができた本です。

―― この本は何歳くらいの時に読んだんですか?

松岡 13歳です。勉強への接し方もガラッと変わりました。算数から数学に変わって、「そもそも何で変わるんだ? 中学校で何を学ぶんだ?」ってモヤモヤし始めて(笑)、勉強しなさいって言われる理由がわからなかったんです。そんな時にこの本に出会いました。

―― じゃあ、松岡さんの人生の中でも大きな意味を持つ一冊と言えますね。

松岡 はい。自分の価値観を語る上で外せない本で、中学生や高校生の方に読んでほしいです。13歳当時の僕は、この本を読んで自分だけ何だか得した気分になって、他の友達には本のことを教えたくなかったくらいなので(笑)。

NARUTO-ナルト-

『NARUTO-ナルト-』 岸本斉史

―― 「NARUTO-ナルト-」も松岡さんの人生を語る上で欠かせない本ですよね。

松岡 はい。ただ、『NARUTO-ナルト-』の舞台に出させていただくまでは、ちゃんと触れてこなかったんです。周りの同級生はみんな面白いと言っていたんですけど。でも、舞台のお仕事が決まって読んでみたら、テーマが少年誌っぽくないし面白いぞということで、一気に最終巻まで買って読みました。

―― 舞台の上でナルトを演じるにあたって、何か気をつけたことはありますか?

松岡 注意したところは、僕の実年齢が18歳なので、それよりも幼く見せないといけないし、だけど男らしいところもしっかりある……そのギャップをちゃんと際立つようにしないといけないという部分です。2.5次元のお芝居を演じる上ですごく大切にしているのは、キャラクターが生身の人間だったらどうするか、っていうのをまず考えているので、普段の自分と少し重ねながら、マンガを読んで研究していきました。

あとは、稽古場から失敗を恐れないでやる、ということです。ナルトというキャラクターは、どんなに大きなケガしても、へこたれないで最後までやり遂げる男なので、それは自分も見習わないといけないなと思って、普段から大切にしていました。

―― 昨年の初演では、海外でも公演を行ったんですよね。

松岡 海外のお客さんは、キャラクターが登場したら毎回拍手してくれるんです。拍手して、歓声をあげて、キャラクターへの愛がすごく伝わる。日本とはまた違う熱気を感じました。日本のお客さんは笑えるシーンやシリアスなシーン、すべての場面を真剣に観てくださる感じで、自分の中で意味を消化している感じがします。海外はもっとダイレクトというか、マカオ、マレーシア、シンガポールは反応が凄かったです。

―― そして今回、待望の再演となるわけですが、また新しいナルト像が見られそうですね。

松岡 愛着はもちろんあるのですが、ナルトという役をまた演じるにあたって、慣れてはいけないなと思うんです。だから、また第一巻から読み返しつつ、自分の経験も踏まえて、さらに成長したナルトをお見せできればと思います。より人間らしく、リアルに演じるのが理想です。

世界から猫が消えたなら

『世界から猫が消えたなら』 川村元気

―― 小説、マンガ含めて、松岡さんにとって読書は大切なインプットになってると思うんですが、役者の仲間同士でおすすめの本とか教えあったりすることはあるんですか?

松岡 結構あります。台詞の掛け合いが面白いとか、表現が面白いとか、そういう部分で情報交換します。僕が最近おすすめした作品だと、川村元気さんの『世界から猫が消えたなら』。読みやすい文体なんですけど、読後に「自分だったらどうするんだろう?」っていう余韻がすごくあって。想像力を掻き立てられるから読んでみてって友達には言いました。

―― 想像力を鍛える。

松岡 そうですね。そういう意味だとマンガより小説の方が、鍛えられます。活字だけで構築されたものですし、捉え方も十人十色なので。その人の個性に委ねられることが多いですし、マンガと小説では得るものは少し変わってくると思います。

Photographs by Motoki Adachi
Hair and Make-up by Ayaka Kanno (ENISH)

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プロフィール

松岡広大
松岡広大
俳優

1997年8月9日生まれ。東京都出身。
2009年より俳優・モデルとして活動をスタート。ミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズンなどへの出演を経て、昨年、ライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト」の主人公うずまきナルト役に抜擢された。その後、資生堂「シーブリーズ」新CMにも起用され話題を集める。2016年、ライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」の再演が決定。7月30日(土)~8月7日(日):大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ、 8月13日(土)~28日(日):AiiA 2.5 Theater Tokyo。詳細はホームページでチェック。
http://www.naruto-stage.jp/

ライターについて

Writer 5
ホンシェルジュ編集部・芸術/芸能班

音楽、映画、アイドル、その他の芸術/芸能に詳しいライターによる班。もちろん皆が本好きだが、そのレベルや守備範囲はさまざま。日本のエンタテイメントのトップランナーを通じて、本/読書の楽しみへの入り口をつくりたい。あるいは本/読書という切り口を通じて、トップランナーの新たな一面を引きだしたい。

プロフィール

松岡広大
俳優

1997年8月9日生まれ。東京都出身。
2009年より俳優・モデルとして活動をスタート。ミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズンなどへの出演を経て、昨年、ライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト」の主人公うずまきナルト役に抜擢された。その後、資生堂「シーブリーズ」新CMにも起用され話題を集める。2016年、ライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」の再演が決定。7月30日(土)~8月7日(日):大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ、 8月13日(土)~28日(日):AiiA 2.5 Theater Tokyo。詳細はホームページでチェック。
http://www.naruto-stage.jp/

松岡広大 さんの本棚

よりリアルに、人間らしく (俳優・松岡広大の大切な本)

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松岡広大
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