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特集!あの人の本棚
110.

佐藤すみれ   (女優・アイドル)


記憶の中にある源流 (佐藤すみれ インタビュー)

佐藤すみれ
さまざまなプロフェッショナルの考え方・作られ方を、その人の本棚、読書遍歴、本に対する考え方などから紐解いていくインタビュー。今回はアイドルグループ、SKE48の佐藤すみれさんに登場していただきました。SKE48随一の読書家の佐藤さん。そのルーツは学校の図書室にあったそうです。
記憶の中にある源流 (佐藤すみれ インタビュー)

映画単独初主演となる『燐寸少女 マッチショウジョ』では、寿命と引き換えに妄想を具現化させる「妄想燐寸」を売る謎の少女、リン役を演じたSKE48の佐藤すみれ。アイドルの活動と並行して、舞台を中心に女優業の仕事も数多くこなしている佐藤。AKB48に加入する前から舞台の経験を重ねてきた彼女のキャリアの長さ、そして現場で磨かれてきた表現力が『燐寸少女』にもしっかりと反映されている。ファンの間では読書家としても知られる佐藤だが、今回は彼女に影響を与えてきた本とともに話を聞いてみることにした。

今でもずっと好きなのは、学生の頃に出会って衝撃を受けた本が多い

―― 佐藤さんの過去のツイートやブログを辿ってみたんですけど、以前から結構マメに本を読んでますよね。

佐藤すみれ(以下、佐藤) 周りの子よりは読んでる気がしますね。私が読んだ本、全部オススメなんですけど、ちょっと内容が曖昧なのもいくつかあります(笑)。今でもずっと好きな本って、なんだかんだで学生の頃に出会って衝撃を受けた本が多いんですよね。そういう点で何回も読み返したり、強く印象に残ったりしているものを今回はピックアップしてきました。

ぼくは勉強ができない

『ぼくは勉強ができない』 山田 詠美

―― じゃあ、まずは『ぼくは勉強ができない』から。

佐藤 この本は、読んでいてちょっと恥ずかしくなるくらいの下ネタとかが入ってるんですよ。そういうところも含めて照れくさくなるところがあるんですけど、やっぱり若さならではの良さがあって。主人公の時田は成績が悪いんですけど、勉強ができないからダメだというのはおかしいみたいなことを、いろいろ言ってるんですよ。「学生の日常あるある」みたいな感じで、大人になって読むと照れくさくなるかもしれないけど、若かりし頃に読んだ私にとってはすごく衝撃的な内容でした。クラスの友達にも勧めてましたね。

―― 何歳ぐらいの頃ですか?

佐藤 中学校の時です。山田詠美さんの本は結構読んだんですけど、これが一番面白かったです。ただシンプルに面白い。そこが好きです。学生たちの話なので、登場人物を身近に感じながら読んでましたね。懐かしいなぁ。

強運の持ち主

『強運の持ち主』  瀬尾 まいこ

―― 次は『強運の持ち主』です。

佐藤 これも中学生の頃に読んだ本で、親友に勧められて知りました。学校の図書室に置いてあったんですけど、作者の瀬尾(まいこ)さん著作の中では、今でもこの本が一番好きですね。ジャンル的にはほっこり系というか、日常の中のことを描いているんですけど、ほっこりとした気持ちにさせてくれる作品です。この中だと占い師が出てくる「ニベア」っていう話が好きです。ちょっと疲れた時、落ち込んだ時、そんな時に読むと「もう少し頑張ろう!」っていうモードになります。瀬尾さんの作品はこれをきっかけに好きになって、これまでに発表された本はほとんど読んでると思いますね。有名なところでいくと『幸福な食卓』とか、あと『戸村飯店青春100連発』『卵の緒』……タイトル忘れちゃったんですけど一週間ぐらい前にも読みました。

―― 親友のおかげですね。

佐藤 そうなんです。もともと親友が読書好きで、その子に影響されて本好きになったところもあります。『強運の持ち主』は、ぜんぜんミステリーでもないですし、どんでん返しがあるわけでもなくて、いつもの日常の中に幸せを見出すような内容で。私が好きな本のジャンルって、日々過ごす中で「ああ、こういう感じも悪くないな」って思えることを綴っているものが多くて、そういうテイストに少しだけスパイスを加えたのが『強運の持ち主』です。とても優しい本なんです。

その日のまえに

『その日のまえに』 重松 清

―― 重松清さんの『その日のまえに』は?

佐藤 重松さんの本もいろいろ読みました。『その日のまえに』の「その日」って死んでしまう日のことなんですけど、死ぬ日の前に何をするかって話で、結構重いです。重いけど、また頑張ろうと思えます。自分が死ぬ時はどんな風になるのかなとか考えますね。でも、重松さんの本って青春小説も多いんですよ。学校の話とか部活の話とか、いじめを題材に扱っていたり、リアルな話が多いですね。

―― 重松さんはどこで知ったの?

佐藤 これも図書室です。学生の時はほとんど学校の図書室か市の図書館で本に触れてました。買ったりもしてたけど、基本は借りてましたね。で、好きなのだけ買うみたいな。一時期は自分の部屋を図書室みたいにしたくて買いまくっていた時期もあったんですけど、キリがなくなってきて(笑)。ジャンルも幅広くて、ミステリーも結構好きなんですよ。乙一さん、東野圭吾さん、湊かなえさんとか。特に湊さんの作品はドラマ化されることが多いから、最近読むことが多いかもしれないです。

九つの、物語

『九つの、物語』 橋本 紡

葉桜

『葉桜』 橋本 紡

―― 次は橋本紡さんで、二冊ありますね。

佐藤 橋本紡さんも、瀬尾まいこさんとか重松清さんと同じように、日常系でいい話を書くんですよね。『九つの、物語』っていうのは、死んじゃったお兄ちゃんが部屋にいるところから始まる話です。1ページ目から、あれ兄ちゃんがいる、みたいなところから始まるんですよ。最初、表紙の絵柄のイメージもあってライトノベルかなって思ったんですけど、実は普通の小説で。たまたま偶然なんですけど、この作品も『葉桜』も、お兄ちゃんが出てくる話なんです。

『葉桜』は書道の話で、私は字を書くのも好きなのですごく共感して読みました。書道に没頭してる登場人物が好きなんですけど、その子が上手く書けなくて何度も何度も書いたりする様子とかが書いてあるんです。私も書展の選手になりたくて、ずっと家で練習してたことがあったので、そういう部分で共感できることがあって面白いなって思った本ですね。

燐寸少女

『燐寸少女』 鈴木 小波

―― 最後に、今回映画単独初主演となる『燐寸少女』にも触れておきましょう。原作はマンガなんですよね。

佐藤 もともとゴシック系のお洋服とか好きなので、こういう絵のタッチはすごく可愛いなって思いました。

―― 主人公のリンが使う「妄想燐寸」、実際にあったら確かに使ってみたいけど使うと寿命が減ってしまうという、なかなかダークな世界観ですよね。

佐藤 自分が「妄想燐寸」を使うならどうするかなっていうのは私も考えましたよ。でも、ほとんどのケースで副作用があるわけだから、結果的にはいらないってなりますよね。今回、台本をいただいた時から感じてましたけど、撮影中もリンのセリフが結構グサグサ刺さっていて。いろんなことを考えさせられました。自分はないものねだりなんだなとか。自分で言いながら自分に返ってくるんですよ。例えば、「あなたは、他人の心の裏側をご存知でしたか」っていうセリフがあるんですけど、“人の心の裏側、確かにいつも考えていたりするなぁ”とか思ったり……。考え始めると、どんどん重たいものになるという。

―― ファンタジーな作品だけど、とてもリアルだと。

佐藤 そうですね。こうなりたい、ああなりたいっていう願望が強い人にお勧めしたい作品です。いろいろ感じられると思うので。

図書室で司書のおばちゃんと話したり、友達と話したりするのが楽しかった

―― ちょっと話を戻しますが、図書室にはほぼ毎日通ってたんですか?

佐藤 はい。毎日いましたよ。住んでました(笑)。放課後に必ず行って。私、部活に入ってなかったので、部活の時間を図書室で費やしてたんです。て、部活の子たちが帰る時間と同じ時間に帰ってました。だから、その間ずっと図書室で本を読んで、司書のおばあちゃんと新刊の話をしたり、友達と話したりするのが楽しかったです。青春!

―― 当時も芸能のお仕事はしてたんですよね。

佐藤 そうですね。でも、中学校時代はそんなに芸能活動してなかったんですよ。中3からはAKB48に入ったんですけど、それまではずっと図書室にいて本を読んで、しっかり勉強もしてました。まあ、暗い女の子だったんです(笑)。ただ、読書を好きになったことで国語の成績が上がりましたし、中学時代は勉強のできる活字少女でしたね。小学生の時はぜんぜん本を読んでなかったんですよ。マンガも小説も何にも読まなかったです。でも、なぜか中学校の時からハマりましたね。

―― 物書きになりたいっていう夢とかはなかったんですか?

佐藤 一時期はあったんですけど、私には無理でした(笑)。

―― 本をたくさん読んでいることで、お芝居の仕事にもいい影響が出るのかなと思うのですが。

佐藤 それはありますね。作品に対する理解度も深まりましたし、すごく感情豊かになった気がします。最近はお仕事が忙しくて、小説というよりはマンガを読むことが多いんですけど。

―― 大人になってからだとゆっくりした時間もなかなかできないですからね。そう考えると、多感な中学時代の読書体験って大きいですよね。

佐藤 はい。学生の時の記憶ってずっと残ってますよね。そこがやっぱり自分のルーツというか。ほんとにそう思います。そこが軸になって、成長していくって感じです。

Photographs by Motoki Adachi

映画『燐寸少女 マッチショウジョ』
5月28日(土)より、シネ・リーブル池袋/ユナイテッド・シネマ豊洲ほかに­て全国ロードショー

↓佐藤すみれさんの記事詳細は、雑誌『honcierge(ホンシェルジュ)』でご覧いただけます。燐寸少女と佐藤さんとの世界観を、原作漫画家・鈴木小波先生が描きおろしたコラボ・ビジュアルは、必見です。

Honcierge manga idol cover1
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プロフィール

佐藤すみれ
佐藤すみれ
女優・アイドル

1993年11月20日生まれ。埼玉県出身。2004年、ミュージカル『ココスマイル』初出演。2009年、AKB48正規メンバーへ昇格。2014年、SKE48へ移籍。2015年「第7回AKB48選抜総選挙」では49位となり、フューチャーガールズのセンターに選ばれる。映画『ウルトラマンサーガ』、ミュージカル『ピーターパン』、映画『放課後ロスト』、朗読劇『しっぽのなかまたち4』などに出演。2016年6月には舞台「ダンガンロンパ THE STAGE ~希望の学園と絶望の高校生~」に朝日奈葵役で出演予定。
http://www.horipro.co.jp/satosumire/

❋佐藤すみれさんの記事詳細は、雑誌『honcierge(ホンシェルジュ)』でご覧いただけます。燐寸少女と佐藤さんとの世界観を、原作漫画家・鈴木小波先生が描きおろしたコラボ・ビジュアルは、必見。

ライターについて

Writer 5
ホンシェルジュ編集部・芸術/芸能班

音楽、映画、アイドル、その他の芸術/芸能に詳しいライターによる班。もちろん皆が本好きだが、そのレベルや守備範囲はさまざま。日本のエンタテイメントのトップランナーを通じて、本/読書の楽しみへの入り口をつくりたい。あるいは本/読書という切り口を通じて、トップランナーの新たな一面を引きだしたい。

プロフィール

佐藤すみれ
女優・アイドル

1993年11月20日生まれ。埼玉県出身。2004年、ミュージカル『ココスマイル』初出演。2009年、AKB48正規メンバーへ昇格。2014年、SKE48へ移籍。2015年「第7回AKB48選抜総選挙」では49位となり、フューチャーガールズのセンターに選ばれる。映画『ウルトラマンサーガ』、ミュージカル『ピーターパン』、映画『放課後ロスト』、朗読劇『しっぽのなかまたち4』などに出演。2016年6月には舞台「ダンガンロンパ THE STAGE ~希望の学園と絶望の高校生~」に朝日奈葵役で出演予定。
http://www.horipro.co.jp/satosumire/

❋佐藤すみれさんの記事詳細は、雑誌『honcierge(ホンシェルジュ)』でご覧いただけます。燐寸少女と佐藤さんとの世界観を、原作漫画家・鈴木小波先生が描きおろしたコラボ・ビジュアルは、必見。

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