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特集!あの人の本棚
167.

hontoビジネス書分析チーム   (本と電子書籍のハイブリッド書店)


JR九州の躍進の物語が、なぜこんなにも売れ行きを伸ばしているのか。

hontoビジネス書分析チーム
丸善とジュンク堂は、ビジネスパーソンや各界の専門家を主な利用者とする大手書店グループです。その購買データを分析すれば、ビジネスパーソンにとって「いま注目の本」が見つかるのではないか、というこの連載。今回は、8月の「企業研究」分野に絞り、売れ筋のランキングとトレンドを読み解いてみました。
JR九州の躍進の物語が、なぜこんなにも売れ行きを伸ばしているのか。

企業研究分野の本は、その業界の動向を知るために役立つことはもちろん、異なる業界の事例を自分の業界にあてはめるためにも参考になります。そのため、社会人は常にアンテナを張っているべき分野だといえますし、また、就職活動をする大学生・大学院生にとっても注目の分野でしょう。

8月のランキングから注目した一冊は、『鉄客商売 JR九州大躍進の極意』。2016年の5月に発売された本ですが、毎月じわじわと売れ行きをのばし、発売後3ヶ月たった8月に、ついにジャンルで1位になりました。なぜこの本が、長く、そして多くの人に売れているのか。その魅力を探ってみました。

鉄客商売 JR九州大躍進の極意

『鉄客商売 JR九州大躍進の極意』 唐池 恒二

丸善・ジュンク堂「企業研究」書籍 2016年8月ランキング

(2016年7月26日~2016年8月25日までのデータ)

本書はどうも“ビジネス書”の域に収まらない

著者・唐池恒二氏は、JR九州の代表取締役会長職を務める方です。「経営方針はトップが自らの言葉で語る」というJR九州のコンセプト通り、本書は、リーダーである唐池氏本人が執筆しています。唐池氏の文章は読みすすめやすく、仕事とは、経営とは、サービスとは、という難しくなりがちなテーマをコミカルなタッチで描いています。

文章から読み取れる唐池氏の陽気で親しみやすい人間性には、ビジネス書でありながら、癒しを感じることさえありました。軽妙な語り口で、感動や涙だけでなく笑いも提供してくれる本書。ビジネス書というだけでなく、小説や自己啓発本に通ずる魅力もあるように感じられます。

JR九州というエンターテイメント

内容にもまた、惹き込まれます。JR九州と唐池氏が逆境から立ち上がって企業を成功に導いていく様は、まさに痛快なエンターテイメントです。

たとえば、2016年に熊本と大分を相次いで襲った大地震。その大地震で運行を取りやめていた九州新幹線を、わずか13日で全線運転を再開させることに唐池氏は成功します。その後も、「あそBOY」「ゆふいんの森」「ななつ星」「指宿のたまて箱」などの数々の素晴らしいネーミングの人気観光列車を産み出していきました。

これらの実績から唐池氏は “ネーミングの神様”とも呼ばれているのですが、そのネーミングの要諦も本書では記されています。たとえば「ネーミングは、徹底的に勉強し、とことん考え抜いてはじめてできるもの」という一文に現れるように、コンセプトとネーミングが一致するまでひたすら考え抜いたことから、上記のネーミングが思い浮かんだそうです。

このように、立ちはだかる数々の苦難と、そこで打ち出す具体的な打ち手、その後の成功が描かれる本書は、まるで良質な経済小説のようです。しかしこれは現実世界のできごと。実際の変化と、その過程における唐池氏の考えが描かれている本書は、読みやすいだけでなく、たしかに良質なビジネス書でもありました。

人を元気にすると自分も元気になる

本書は構成も工夫されており章ごとに「私がこのころ学んだこと」がまとめられているのですが、それがとてもよいスパイスとなっています。ここから、唐池氏の人柄がよく伝わる文言をいくつか紹介してみましょう。

  • 2メートル以内で語り合うと互いに心が通じるようになる
  • 「気」のエネルギーは、感動というエネルギーに変化する
  • 日々の誠実で熱心な練習は、本番で大きな成果をあげる
  • デザインと物語は、いい仕事にはかかせない

このように、唐池氏が「独自の言葉」で語っていることが、本書のなによりに魅力なのでしょう。語っている内容や考え、行った施策のなかには、あるいは他のビジネス書でも書かれているようなことはあります。しかしそれらが、唐池氏の実践を通して、そして唐池氏の独自の言葉を通して語られることで、血の通った、説得力のある言葉になっているのです。

書いた本人でさえところどころ笑ってしまうという本書は、その独自の言葉ゆえに、じわじわと売れる人気の本になっているのでしょう。

鉄客商売 JR九州大躍進の極意

『鉄客商売 JR九州大躍進の極意』 唐池 恒二

さて、今月の「企業研究」分野の注目本は以上です。9月以降、また新たな注目本がありましたら、ご紹介いたします。楽しみにお待ち下さい。

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丸善・ジュンク堂も同グループであるため、この2書店の売れ筋(ランキング)から注目の書籍を見つけることも。小説などフィクションよりもノンフィクションを好むメンバーが揃っています。

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