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特集!あの人の本棚
170.

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これぞシン・ゴジラの極み! 人気特撮専門誌が満を持して熱すぎる特集 丸善・ジュンク堂の売れ筋ランキング「芸術」分野から

hontoビジネス書分析チーム
丸善とジュンク堂。このふたつは、ビジネスパーソンや各界の専門家を主な利用者とする大手書店グループです。これらの購買データを分析すれば「いま注目の本」が見つかるのではないか、という発想から生まれたこの連載。今回は、8月の「芸術」の分野に絞り、売れ筋のランキングとトレンドを読み取ってみました。
これぞシン・ゴジラの極み! 人気特撮専門誌が満を持して熱すぎる特集 丸善・ジュンク堂の売れ筋ランキング「芸術」分野から

毎月、トレンドに合わせてTOP 10が大きく変動する「芸術」分野ですが、8月は新刊が7冊ランクインしています。特に気になるのは1位の『特撮秘宝 vol.4』、そして8位の『怪奇秘宝』。なぜこの2冊が急激にランクアップしたのか、その理由を見てみましょう。

丸善・ジュンク堂「芸術」書籍 2016年8月ランキング

(2016年7月26日~2016年8月25日までのデータ)

人気特撮専門誌が満を持してシン・ゴジラを特集!

8月の芸術ジャンルの1位に輝いたのは、『特撮秘宝 vol.4』。この号は7月末に公開された映画「シン・ゴジラ」をメインに特集を組んでいます。

『特撮秘宝』は、洋泉社から発売されている特撮マニアのためのムック。300ページに迫る膨大なページ数に、シーン写真ほか、関係者のインタビュー、入念な考察、斬新な切り口の特集記事などが思いっ切り詰め込まれており、全国の特撮ファンから高い評価を得ています。

そもそも『特撮秘宝』は、町山智浩と田野辺尚人が1995年に創刊した『映画秘宝』から派生しています。『映画秘宝』は「映画を見るよりも、ライターたちのその映画についての文章のほうが面白い」と、映画マニアの人気を集めた雑誌であり、したがって『特撮秘宝』の熱量も折り紙付き。いやむしろ、特撮に焦点を絞ったことで、より熱量の高い雑誌になっているといえるでしょう。

編集者の熱さがやはり読者にも伝わるのか、2015年5月に発売されたvol.1「ウルトラマンセブン」特集を皮切りに、10月に発売されたvol.2「ガメラ」特集、2016年2月に発売されたvol.3「スペクトルマン」特集など、これまで発売した号が今でも売れ続けています。そんな『特撮秘宝』編集部が、満を持して発売したのがvol.4「シン・ゴジラ」特集号なのです。

「シン・ゴジラ」は、日本のゴジラシリーズの映画の29作目に当たる作品。総監督は「新世紀エヴァンゲリオン」の庵野秀明氏。公開からわずか4日間で71万人を動員、興行収入10億円を突破して話題になりました。公開後1ヶ月以上たった現在でも人気は衰えず、興行収入は60億円を超えています。

注目作ゆえに、さまざまな雑誌で特集が組まれていますが、『特撮秘宝 vol.4』のシン・ゴジラ特集が頭ひとつ抜け出して売れているのには、どんな理由があるのでしょうか。

特撮秘宝vol.4

『別冊映画秘宝 特撮秘宝vol.4』 洋泉社

過去のゴジラから新作の裏側まですべて見せる!

この本の「シン・ゴジラ」特集が他より優れている点は、キャスト&スタッフインタビューの豊富さと詳細さにあります。他のゴジラ関連本が、監督・特技監督をつとめた樋口真嗣氏や主演の長谷川博己氏のインタビューの取材程度にとどまっているのに対して、本誌ではキャラクターデザインの竹谷隆之氏や准監督・特技統括の尾上克郎氏、美術監督の林田裕至氏など、制作スタッフにまで入念なインタビューを行っています。また、数々の作品でメカデザインを担当している青井邦夫氏による兵器解説も見ものです。

さらに、「シン・ゴジラ」だけでなく、歴代のゴジラに関する解説や考察も網羅しています。この歴代ゴジラの解説も力を抜きません。ゴジラの子どもであるミニラの声を担当した内山みどり氏にまでインタビューを行ったり、過去の文献をたんねんに掘り起こして初代ゴジラの素材を判明(!)させるなど、昭和ゴジラ世代も飽きさせない内容となっています。

「シン・ゴジラ」からゴジラにはまったという人も、これを読めばすべてのゴジラを観てみたいと思うかもしれません。また、往年のゴジラファンも、手元に置いておきたくなる一冊になるはず。それほどこの本の編集は、熱いのです。

ミリオン出版『怖い噂』の編集長が手がけるオカルト本

そんな『特撮秘宝』と同じ出版社が出しているのが、8位にランクインした『怪奇秘宝』です。8月は暑い時期であること、日本ではお盆シーズンでもあることからオカルト系の本が売り上げを伸ばす傾向がありますが、こちらの『怪奇秘宝』もその流れに乗って、大きく売れたようです。また、出版社側としてもそれを狙って制作したというのもあるかもしれません。

この本の特徴は、世の中の〝奇談〟や〝恐怖〟……いわゆるオカルト話を紹介するフックとして、映画やノンフィクション小説を使っている点です。どんな事件なのか、内容なのか……小説や映画と合わせて見ることで、もっとリアリティを感じられる仕掛けになっているのです。

編集長はミリオン出版で『怖い噂』(旧誌名『不思議ナックルズ』)を制作していた小塩隆之氏。『怖い噂』は、怪談、都市伝説、未解決事件、UFOなどを広く紹介するスタイルで、定期誌として10年間、年4回発行されてきたMOOKです。『怪奇秘宝』は、そんな小塩氏のこれまで培ってきたノウハウを元に作られました。

怪奇秘宝

『怪奇秘宝』 洋泉社

ノンフィクションが迫れなかった真相を明かす!

記念すべき1号目となる本誌の題材は、「津山三十人殺し」「七三一部隊の真相」「ノストラダムスの予言」「女子高生水死体事件」などオカルトといえば欠かせない情報が網羅されています。オカルト好きな人から見ると既知の情報が多いのではと思われるかもしれませんが、創刊号として考えるなら〝オカルト入門としておさえておきたい情報〟が詰まっているといってもよいでしょう。写真などを多用して、ヴィジュアルと文章で読み手を引き込む手法がとられており、読み応えは十分です。

内容もただ「怖い」で終わることなく、怖い話を「研究する」という姿勢であるという点もポイントです。また、恐怖漫画家として名高い伊藤潤二氏、丸尾末広氏のインタビューも掲載されています。これが単発のムックなのか、『怖い噂』のように続くのかはわかりませんが、洋泉社の〝秘宝〟シリーズならではの熱量のある本であることは間違いないでしょう。

おわりに

さて、今月の「芸術」分野の注目本は以上です。9月以降、また新たな注目本がありましたら、ご紹介いたします。楽しみにお待ちください。

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丸善・ジュンク堂も同グループであるため、この2書店の売れ筋(ランキング)から注目の書籍を見つけることも。小説などフィクションよりもノンフィクションを好むメンバーが揃っています。

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