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特集!あの人の本棚
194.

MICO   (SHE IS SUMMER)


世界観を彩る「キュートなもの」(MICO/SHE IS SUMER インタビュー)

MICO
さまざまなプロフェッショナルの考え方・作られ方を、その人の本棚、読書遍歴、本に対する考え方などから紐解いていくインタビュー。今回は、ソロプロジェクト「SHE IS SUMER」で活躍するヴォーカリスト、MICOさんの登場です。さまざまなアーティスト、クリエイターから愛される彼女の魅力を本とともに紐解いてみました。
世界観を彩る「キュートなもの」(MICO/SHE IS SUMER インタビュー)

ふぇのたす解散から9カ月が経った2016年8月、ヴォーカルのMICOのソロプロジェクト、SHE IS SUMMERの1st EP『LOVELY FRUSTRATION E.P.』が発表された。先立ってYouTubeで公開されたティーザーの映像、アーティスト写真など、サウンドとビジュアル含めて新しいMICOの世界観が明確に打ち出されたものになった。音楽、ファッション、アートのフィールドを自在に行き来する彼女にとって、今回セレクトしてもらった4冊は大切なインスピレーション源でもある。

YUKIさんの本を読むことで、誰かに相談している気持ちになれた

ROOKIE YEARBOOK ONE

『ROOKIE YEARBOOK ONE』 タヴィ・ゲヴィンソン

―― 『ROOKIE YEARBOOK ONE』は、編集長でありブロガーのタヴィ・ゲヴィンソンは今やファッション・アイコンとしても人気ですよね。

MICO もともと私はタヴィちゃんのことは知らなかったんですけど、海外の女の子がSNSで『ROOKIE YEARBOOK ONE』を紹介していて、それがきっかけです。この本に書かれてることって、私が普段やりたいと思っていることと結構似ていて、どれも面白いコンテンツになってるんですよね。SISの『LOVELY FRUSTRATION E.P.』の自分のキャラ感みたいなものを打ち出す際、かなり参考にした本です。

―― 写真やイラストだけでなく、読み物も充実してます。

MICO そうですね。コラージュも可愛いんですけど、読み物として面白かった。学校での出来事とかティーン向けのコンテンツが多くて、私もギリギリその悩みを共有できる部分がまだあるから。改めて思ったのは、人それぞれ嫌悪感を抱くポイントって違うんだなって。私がぜんぜん悩まないようなことについて「どうしたらいいのか?」って書いてあったりして、すごく面白いです。

―― 海外のティーン・カルチャーには興味があったんですか?

MICO いや、洋楽も全然聴いてこなかったし、あんまり海外に意識を向けたことがない人生だったんです。でも私、自分を変えたいタイミングの時は今までの自分だったら絶対にしなかったようなことをする――っていうのが人生のテーマなので。去年、バンド(ふぇのたす)を解散した後、一度もしてないことをやろうと思って海外旅行に行ったんですね。ロンドンに行ったんですけど、現地の人たちのことをすごく身近に感じてしまって。同じ人間だし、言葉が違うだけで何も違わないなと思ったんです。

その時、ペティート・メラーっていうアーティストのライブを観に行ったんです。フランスの女の子なんですけど、ロンドンでもよくライブをしていて、そしたら会場で知らない日本人の女の子に「もしかして日本人の方ですか?」って言われて。その子は留学で滞在していて、ロンドンの有名なファッションの専門学校に通っている年下の女の子だったんですけど、学校とかで同じ趣味で話せる子が全然いないから嬉しいって話しかけてきてくれて。そこからメル友みたいな感じでやり取りが始まって、日本でスナチャ(スナップチャット)が流行る前に「ロンドンで今こういうの流行ってるよ」っていう情報を教えてもらったりして、そのやり取りが今もすごく楽しいんです。

―― 前に別のインタビューで話してくれましたよね。「選択肢があったら、敢えて自分がやらないようなものを選ぶ」と。

MICO とある人に「海外で一週間以上同じ場所に滞在すると価値観が変わるよ」って言われて、じゃあそうしようと思って2週間ロンドンにいたんですよ。ロンドンのあちこちに行くんじゃなくて、同じところに何度も通ったりしているうちに、人の生活が見えてくるんですね。「このおじさん、何曜日のシフトに入ってるのかな」とか(笑)。そういう意味でも自分の価値観がちょっと変わりましたね。

しょこれみかんぬ

中川翔子×蜷川実花写真集 『しょこれみかんぬ』

―― 次は中川翔子さんの『しょこれみかんぬ』です。

MICO 写真集です。私のサブカルとの出会いはしょこたんからでした。

―― そうなんですね。

MICO しょこたん(中川翔子)を好きになってアニメの文化を知って……その出会いがなかったら自分はもうちょっと違うことをしていたかもしれないなぁと思います。確かこの本を買ったのは中学生の頃だったと思うんですけど、ずっと大切に持っている本です。中学生の時はとにかく可愛いものに夢中で、この本に載ってるようなピンク色の世界観とか大好きで。私、筆箱が曜日ごとに違ったんですよ。筆箱を5個持っていて、毎日変えるんです。月曜日はこれ、火曜日はこれ、みたいな感じで。まあ、ちょっと浮いてましたね(笑)。あいつはヤバイぞ、みたいな感じになってたと思う(笑)。そんな時代にこの本と出会ったんです。ページをめくる度に「幸せ……」みたいな感じでした。色合いもそうだけど、小物もすごく可愛いから、1ページだけでも延々と見てられる。

―― しょこたんがブログの女王として注目を集めてた頃でもありますね。

MICO そうでした。ヤプログの頃ですね。

―― しょこたんのどこに魅了されたんですか?

MICO しょこたんって戦隊ものとかアニメとかがすごく好きで、そういうのをブログに載せてたりしたんですよ。でも私、そういうのには全然興味がなかったから、とっかかりは絶対にそこじゃないんですよね。まず、顔がめちゃくちゃ好きで、着ているものも好きでした。それから音楽。しょこたんの歌のCDを聴いてたんですけど、それで初めてアニソンを聴いたんです。しょこたんが昔のアニソンを歌っていて、そこで知ったアニソンが自分の中では後々すごく大事になってきて。そもそも音楽を深く聴くタイプじゃなかった中学生の私が、皆が知らない昔のアニソンを可愛いと思って興味を持ったのって、しょこたんがきっかけだったんです。

―― 今のMICOさんのルーツになってるんですね。

MICO さっきから「しょこたん」って呼び捨てで言ってますけど、「さん」付けで呼ぶと同じフィールドに乗っている人を演じてるみたいであまり気が進まないんです(笑)。私の中でしょこたんはしょこたんだから、「しょこたんさん」じゃないなぁと。この本は本当に昔から何回も見てます。

fairground -ガーリーバイブル in LONDON-

『fairground -ガーリーバイブル in LONDON-』 小薮 奈央

―― わかりました。次は『fairground-ガーリーバイブルin LONDON-』です。

MICO これはさっき話に出たペティート・メラーのスタイリングをしているスタイリストさんの本です。小藪奈央さんというロンドン在住の日本人の方で、ペティートとはずっと仕事をしてますね。私、ペティート・メラーは音楽も大好きですけど、ミュージック・ビデオとかヴィジュアル面もすごく好きなんです。だから、そのスタイリングを日本人がしているっていうのがすごく嬉しくて。この本は奈央さんのオススメのロンドンのお店とかヴィンテージショップとか紹介されていて、あとはロンドンの女の子も載ってます。おしゃれなファッショニスタたちのインスタグラムの画像もまとめられていて、そういう情報は普通のガイドブックには絶対載っていないから、ロンドンに行くと決めた時にこれを買って、いろんなお店に行きました。

―― 行く前にイメージを膨らませることができたと思うんですけど、実際に現地を訪れてみてどうでしたか?

MICO 想像以上の世界が広がっていました。お店の人と話すのもすごく楽しかったです。英語は話せないんですけど、でもなんとなく会話できるんですよね。ロンドンの人たちは優しいから、日本人に分かりやすい英語で話してくれるんです。私は古着屋さんに行くのがすごく好きなんですけど、日本で売られてる古着ってロンドンのカーセールとかで買い付けられてるものも多いので、その買い付けルートみたいなのをちょっと垣間見られたのも楽しかったです。100円とかで、すごく可愛い服が売っていたりするんですよね。

―― 小藪さんがペティート・メラーのスタイリングを担当しているのを知ったのは、ペティートを好きになってからですか?

MICO そうですね。アーティスト友達のSakuちゃんに教えてもらったんです。ロンドンにはSakuちゃんと一緒に行ったんですよ。ロンドンに行く前、この本の存在をSakuちゃんに教えてもらって、自分でも買いました。

―― 小藪さんとお会いしたりとかは?

MICO してないです。会いたいですし、いつか一緒に仕事をするのが夢ですね。この本に出てくる奈央さんのベッドカバーが私のベッドカバーと一緒のものだったりして、それだけでめっちゃテンション上がりました。

―― それは偶然?

MICO たまたまです。ベッドに寝転がって読んでたんですよ。そしたら、「あれ!? 私が寝転がってるのと同じ柄のものが出てきた!」って(笑)。

―― (笑)。何か通じ合うものがあるかもしれない。

MICO 恐れ多いですけど、好きなものが似てるのかなと思いました。私の着ている服ってあんまり「何っぽい」っていうのがなくて。街中を歩いていてなんとなく自分が可愛いって思った服を買っているからだと思うんです。ファッション誌を見てもあまり載ってないし……。形は違えど、それこそ中学生の時は『しょこれみかんぬ』を見て、当時は今よりお金もないから、しょこたんが着てる服は買えないんですけど、自分で紙にリストを書いて手に入れたような気持ちになったり。そういう感じで自分ならではの楽しみ方をしてるんですよね。その発想って、『ROOKIE YEARBOOK ONE』にも載ってたから、「あ、私以外にも同じようなことを考える人がいるんだ」って嬉しくなりました。

GIRLY★WAVE

『Girly WAVE/YUKI』 佐々木美夏

―― 最後はYUKIさんの『GIRLY★WAVE』です。

MICO YUKIさんの単行本、GIRLY★シリーズは全部持っていて、今日は『GIRLY★WAVE』を持ってきました。生い立ちを語っている号もあれば、雑誌の連載をまとめてるような号もあるんですけど、この号はJUDY AND MARYが解散する直前からソロになるまでが描かれてるんです。私は去年、バンド(ふぇのたす)が活動停止していた期間に、解散するかどうかもハッキリ決まってなかったし、1カ月間ぐらい一人で家にいて、その時にこの本を読んでました。当時は自分のバンドが解散するってことを他人の出来事みたいに眺めていたところがあって。JUDY AND MARYはまた別の理由で解散してるんですけど、私たちの場合は終わらせたくて終わったわけじゃなくて、これ以上は私たちのバンドじゃなくなるっていうことで終わった。で、そのことについて誰にも相談できなかったんです。そんな時、この本が相談相手になってくれたんですよね。「バンドが解散する」って過程を読むことで、誰かに相談している気持ちになれた。

―― 自分がボンヤリと思っていることを明確にするために本を読む、っていう人もいますからね。

MICO 人に悩みを相談する時って、その人の体験談を聞きたいことが多いんですよね。別にその話が私に当てはまらなかったとしても、そういう話を聞くだけでも全然違う。でも、自分の周りにバンドの解散を経験したことのある友達が、あまりいなかったんですよね。だからこれをずっと読んでました。

―― YUKIさんと自分を重ね合わせたり。

MICO 幼少期から JUDY AND MARYに加入するまでのお話が載ってる号もあって、それもすごく面白かったんですけど、YUKIさんはちっちゃい頃からスターの素質があるタイプだったと思うので、私とは全然違うなぁと思います。学校でも人気があって……みたいな。私は浮きまくってたから(笑)。だから、どっちが多いんだろうなと思いました。

学校で誰からも好かれるスター気質の人、それとも少し変わっていて苛められたりとかしてた人、スターになる人っていうのはどちらが多いんだろうって。あと、JUDY AND MARYが活躍していた頃って、私の中では本当に夢のような音楽業界っていう感じなんです。今は違うかもしれないけど、そういう気持ちに自分もなりたいなって時にGIRLY★シリーズを読み返したりします。今いるここが東京の中心になった気持ちになれるっていうか。

今は仲間がどんどん増えていけばいいなと思ってます

―― 今回セレクトしてもらった4冊は、MICOさんにとってどれも本当に大事なものばかりですね。

MICO 大事ですね。とにかく私は可愛いものが好きなんだな、って思います。小説とかあまり読まないし、「これを好きって言ったらカッコいいかな」みたいなものを言えないから、ちょっとコンプレックスもあるんですけど、まあいっかと思って。

―― でも「可愛い」をMICOさん流に掘り下げていってるから、それはすごく素敵なことだと思います。

MICO 掘り下げていってるかな。

―― 結果的に広く掘り下げていっている感じがします。ギークなところもあるし、ロリータなところもあって、ガーリーなところもある。絶妙なバランス感だなと。

MICO 確かにそうなんですよね。たぶん、曖昧なところを好きになることが多い気がしていて。例えば、私が今着てるこういう格好って、「夜遊びしてる女の子」ってイメージないじゃないですか。でも私は夜遊びするのが好きだし、アニメも見るけど海外のガールズ・カルチャーみたいなものも好きだし、全部そうなんですよ。

―― 今はSHE IS SUMMERで自分の好きなことを存分にやれている感じですか?

MICO SHE IS SUMMERは極端な話、私でしかないなと思います。ただ、皆が私のことを見て表現してくれている、っていう部分もすごく多いんですけどね。だから、まずは人と関わるのが第一で、いろんな人と一緒に何かを作っていくのが好きなんです。皆が思う「私」をそれぞれ表現してくれるので、私自身もそれに影響を受けて「自分」が出来上がっていく。本当はまだまだやりたいことがいっぱいあるんですけど、今すぐにはできないことも多いじゃないですか。だから今は、将来的にこういうことをやりたいんだなってイメージを分かりやすくアピールできるように頑張ってます。それを誰かが見て、「じゃあ、俺はこういうことがやれるよ。私はこういうことが手伝えるよ」っていう仲間がどんどん増えていけばいいなと思ってますね。

―― MICOさんの周りに自然と人が集まってくるような。

MICO 自分だけで情報収集をするよりも、誰かが考えてるものを聞いたり見たりした時のほうが、いろいろイメージが広がるので楽しいんですよね。自分の考えだけだと、逆に胡散臭くなってしまう(笑)。

―― MICOさんを見た時に「何かを引き出したい」と思わせる、そういうポテンシャルがあるんでしょうね。

MICO そうなれるように頑張りたいです。

―― で、いつかは小藪さんに出会って。

MICO 一緒にお仕事したいですね!

Photographs by Motoki Adachi

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プロフィール

MICO
MICO
SHE IS SUMMER

ヴォーカリスト。1992年9月3日生まれ。2015年、エレクトロポップユニット「ふぇのたす」のヴォーカル、“みこ”としてメジャーデビュー。同年9月にふぇのたすを解散。以降、MICO名義でfeat.参加するなど活動を行う。2016年4月1日、自身のソロプロジェクト「SHE IS SUMMER」を始動させる。8月3日、1st EP『LOVELY FRUSTRATION E.P.』をリリースした。
http://she-is-summer.com/

ライターについて

Writer 5
ホンシェルジュ編集部・芸術/芸能班

音楽、映画、アイドル、その他の芸術/芸能に詳しいライターによる班。もちろん皆が本好きだが、そのレベルや守備範囲はさまざま。日本のエンタテイメントのトップランナーを通じて、本/読書の楽しみへの入り口をつくりたい。あるいは本/読書という切り口を通じて、トップランナーの新たな一面を引きだしたい。

プロフィール

MICO
SHE IS SUMMER

ヴォーカリスト。1992年9月3日生まれ。2015年、エレクトロポップユニット「ふぇのたす」のヴォーカル、“みこ”としてメジャーデビュー。同年9月にふぇのたすを解散。以降、MICO名義でfeat.参加するなど活動を行う。2016年4月1日、自身のソロプロジェクト「SHE IS SUMMER」を始動させる。8月3日、1st EP『LOVELY FRUSTRATION E.P.』をリリースした。
http://she-is-summer.com/

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