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特集!あの人の本棚
22.

三谷宏治   ( K.I.T.虎ノ門大学院 教授)


壁を本棚で埋め尽くして、家を図書室にする

三谷宏治
さまざまなプロフェッショナルの本棚を見せていただき、その人の読書遍歴、本に対する考え方などをうかがうインタビュー。今回のゲストは、昨年出版された『経営戦略全史』が「ビジネス書大賞2014」で大賞を受賞した、三谷宏治さんです。ご自宅のリビングに足を踏み入れると、そこには巨大なマンガの本棚がありました。さらに、書斎はもちろん、階段上の踊り場、トイレの中にまで本棚が! 本好きにとっては夢のような三谷邸の内部、大公開です。
壁を本棚で埋め尽くして、家を図書室にする

ハンモックに揺られながら、マンガ読み放題のリビング

―― こちらがリビングですね。一面にマンガの本棚が!

――どの棚もマンガがぎゅうぎゅうにつまっていますが、新しいシリーズが増えることもあるんですか?

三谷宏治(以下、三谷) ありますよ。『寄生獣』の岩明均さんが連載している『ヒストリエ』はまだ続いていますし、最近では『信長協奏曲』も買い始めました。これは、現代の高校生が戦国時代にタイプスリップして信長に成り代わるという話で、もともとSFが好きなので読んでいます。競技かるたを題材にした『ちはやふる』も現在進行形で買い続けているマンガです。主要な登場人物の男の子が私と同じ福井育ちなんですよ。

ヒストリエ

信長協奏曲

ちはやふる

――『蒼天航路』や『海皇紀』など、巻数が多くて重厚なマンガも揃っていますね。お子さんも、これらのマンガを読むんですか?

海皇紀

三谷 うちは娘が3人いるのですが、けっこうはまって読んでましたね。次女は高3の受験勉強中に『海皇紀』を読み始めちゃって、「1日3巻まで」など我慢しながら読んでいたようです(笑)。

――この宙に浮いているのは、おもしろい棚ですね。

三谷 ハードカバーの本の表紙を挟むことで、本自体が棚になるんです。あと、この柱はハンモックの支柱としても使えるんですよ。

――ハンモックに揺られながら漫画を読むなんて、最高ですね……!

三谷 たまに近所の子どもが遊びに来て、読んでいたりもしますよ。春にやるお花見パーティでは、誰とも喋らないでここでマンガを読んでいた人もいました(笑)。

――こちらは2階ですが、トイレの中にも本棚が。

三谷 そうですね。CDプレイヤーもあるので、音楽を聞きながら本が読めるようになっています。トイレの周りも本棚をどんどん増築していて、トイレのドアが開けづらくなってきているのが難点です(笑)。

三谷 このへんは、日本の作家が書いたSFの棚ですね。竹宮惠子さんのマンガや、神林長平さんの『戦闘妖精・雪風』など。

三谷 こっちは、日本ファンタジーノベル大賞の受賞作などが入った棚です。

――これはポスターですか?

三谷 いえ、本なんですよ。フランスで買った絵本で、タイトルが『私の最も大きな最初の本』という意味なんですよね。当時ゼロ歳だった長女のために買ったのですが、フランス語は覚えませんでしたね(笑)。

1週間で30冊以上の本を読破していた小学校時代

――では、いよいよ三谷さんの書斎の本棚を見せていただきましょう。

三谷 左手の本棚の向かって右手にビジネス系の本が入っています。

三谷 でも、私にとって一番発想のネタになっている好きな本というのは、ビジネス書よりも科学本かもしれません。

三谷 この本なんか、典型ですね。“IT MUST BE BEAUTIFUL(美しくなければならない)”。

三谷 現代文明に影響をもたらしたさまざまな物理方程式をとりあげて、その由来や美しさの秘密などについて書いてあります。自然というのは物理法則に従っていて、その物理法則は方程式で表すことができる。神様がつくったこの世界を記述する方法は、数式しかないんです。その数式は、必ず美しくなければいけない。ごちゃごちゃした数式が出てきたら、それは正しい解ではないんです。

――下には建築系の本がありますね。

三谷 宮大工の本もたくさんあります。宮大工というのは、古くからある神社仏閣の建築や補修に携わるわけですよね。彼らは伝統を守っているのと同時に、まったく新しいことに挑戦している。神社仏閣は一つとして同じものがなく、材も大きく貴重なので、失敗したら取り返しがつかないからです。小川三夫棟梁の鵤(いかるが)工舎などでは、そのための人材育成なんかも、すごく考えられているんですよね。自分で考え、自分で決断できる人を育てる。それが、自分がやっていたコンサルティングにも通じるなと思って、よく読んでいました。もともと神社仏閣が好きだというのもありますけどね(笑)。

――ところどころ、本を面陳(表紙を見せて陳列すること)されてるんですね。

三谷 特に好きな本や、いいなと思う本は面陳(めんちん)にしています。スペースがなくなってきたら、しまわなきゃいけなくなるんですけど、まだちょっと残ってますね。面陳できなくなったときが、本棚増築のタイミングです(笑)。

――こちらの棚は、SF棚ですか? ハヤカワ文庫がたくさん並んでいます。

三谷 はい。書斎右側の本棚は真ん中から上が全部海外のSFですね。右手の下には、歴史小説などもあります。

三谷 そして、本棚と本棚の間に板をかけて、そこも本棚にしています。ここは、新書やブルーバックスなんかを置いてます。

三谷 うちの本棚はぜんぶ奥行きが浅いんです。そのほうが、本が見やすいし、取り出しやすいから。家中に本棚があると、家全体が家族の共有の図書室になりますよね。そういう意味では、まだKindleなどの電子書籍よりも、紙の本のほうが価値があると思っています。たとえば、さらに技術が発達して、買った電子書籍が壁一面の液晶ディスプレイに表示できて、ピッとジャンルを指定したらそれがぶわーって表示されたりするようになったらまた別ですけど、今はそこまでできませんからね。

――まさにSFの世界ですね(笑)。三谷さんは、もともと本をよく読まれる方だったんですか?

三谷 そうですね。私は小学校に入学してすぐ、骨の病気で40日間入院したんです。そのときに、小学校の先生が本を全部で100冊も差し入れしてくれて、ベッドの上でひたすら読書してすごしました。本を読むことの楽しさに目覚めたのは、そのときです。その先生は、小学校に通っている間もときどき私を家に招いて、自分の本を貸してくれたんですよ。

――いい先生に恵まれて、本をたくさん読める環境がつくられていたんですね。

三谷 親の影響も大きかったと思います。父が本好きで、小2か小3のクリスマスに、プレゼントで本を姉と私に100冊くれたんですよね。起きたら枕元に大きな箱がどーんとあって、本がぎっしり詰まっていました。それは、近所の本屋さんが選んでくれたらしく、なぜか『ああ無情』と『レ・ミゼラブル』が入っているというチョイスで(笑)。

――かぶっていますね(笑)。

三谷 一応翻訳が違って、児童向けのものと、そうじゃないものの2冊でしたね。読み比べて、ストーリーや厳しいことの表現が違うなあ、なんて思っていました。あと、日本童話全集や世界童話全集なんかも読みましたね。風邪をひいて寝込んでいるときなどに、他にまだ読んでいない本がないからしょうがなくそれを手にとるんです。で、読んでみると「椋鳩十(むくはとじゅう)の童話って意外といいなあ」と感動したりして。気がついたらいろいろな本を読んでいました。

――まさに読書家の子ども時代ですね。

三谷 1週間で30冊以上読んでいたこともありました。朝、図書室に行って2冊借りて、午前中の授業中に机の下でそれを読んで、昼休みにまた借りて午後の授業中読んで、帰りにまた借りる。こうすると、1日5〜6冊読めるんです。10年くらい前にそのときの担任の先生とお話したら、授業中に読んでいたのはバレていましたね(笑)。図書室の本も、図書館の本も読み尽くして、いつも購入希望のリクエストカードを書いているような子ども時代でした。

(次回へ続く)

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プロフィール

三谷宏治
三谷宏治
K.I.T.虎ノ門大学院 教授

みたに・こうじ/1964年、大阪生まれ、福井育ち。東京大学理学部物理学科卒業。INSEAD MBA修了。1987年、BCG入社、1996年から2006年までアクセンチュアに勤務。戦略グループの統括を務める。現在、K.I.T.(金沢工業大学)虎ノ門大学院教授。早稲田大学ビジネススクール、グロービス経営大学院大学客員教授。社会人教育のほか、大学・高校・中学・小学校での子ども・保護者・教員向け教育を中心に活動中。『一瞬で大切なことを伝える技術』『ビジネスモデル全史』など著書多数。『経営戦略全史』は「ビジネス書大賞2014」で大賞を、「ダイヤモンドHBR読者が選ぶベスト経営書2013」で第1位を受賞した。
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お知らせ:『ビジネスモデル全史』がダイヤモンドHBRベスト経営書2014 第1位に選ばれました。投票いただいたみなさん、ありがとうございました。まだお読みになっていないみなさん、記念の黒オビとともに、全国書店でお待ちしています-。

ライターについて

Writer 1
崎谷実穂

さきや・みほ/求人広告、記事広告のライターを経て、現在ビジネス系のインタビューライター。ブックライターでもある。cakes、日経ビジネスオンラインなどで連載担当中。

プロフィール

三谷宏治
K.I.T.虎ノ門大学院 教授

みたに・こうじ/1964年、大阪生まれ、福井育ち。東京大学理学部物理学科卒業。INSEAD MBA修了。1987年、BCG入社、1996年から2006年までアクセンチュアに勤務。戦略グループの統括を務める。現在、K.I.T.(金沢工業大学)虎ノ門大学院教授。早稲田大学ビジネススクール、グロービス経営大学院大学客員教授。社会人教育のほか、大学・高校・中学・小学校での子ども・保護者・教員向け教育を中心に活動中。『一瞬で大切なことを伝える技術』『ビジネスモデル全史』など著書多数。『経営戦略全史』は「ビジネス書大賞2014」で大賞を、「ダイヤモンドHBR読者が選ぶベスト経営書2013」で第1位を受賞した。
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