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特集!あの人の本棚
261.

Thinking Dogs   (バンド)


「もどかしさ」を言葉で表現するのは難しい(Thinking Dogs インタビュー)

Thinking Dogs
ホンシェルジュ「本と音楽」連載陣の一人、わちゅ〜が在籍するThinking Dogs。今回、約1年ぶりのシングル「Are you ready?」をリリースするバンドにインタビューを敢行。わちゅ〜を含め、メンバー4人のおすすめ本を紹介してもらった。
「もどかしさ」を言葉で表現するのは難しい(Thinking Dogs インタビュー)

2015年にメジャーデビューしたThinking Dogsが、約1年ぶりとなる4thシングル「Are you ready?」を発表。秋元康作詞による「Are you ready?」、元GO-BANG’Sの森若香織作詞による「ユメハグ」、そしてバンドにとっては初収録となる自作曲の「ハートビート」。歌とコーラスをメロディアスに聴かせたかと思えば、一体感のあるバンドの演奏がグルーヴを生み出す。歌詞の内容も含めて、Thinking Dogsの現在と未来が鮮やかに感じられる3曲なのだ。 わちゅ~(B)とはホンシェルジュ連載スタート後、リアルに対面するのはこれが初めて。今回は彼の他に、TSUBASA(Vo)、Jun(G)、大輝(Dr)にもおすすめの本を選んでもらって話を聞くことにした。

人生を変えた一冊(TSUBASA)

赤い指(東野 圭吾)

―― まずはTSUBASAさんからお願いします。

TSUBASA  僕、活字を読むのがすごく苦手だったんですよ。小説を好きになるきっかけになった本は、東野圭吾さんの『赤い指』で。とある家族に巻き起こって進んでいくストーリーの展開とか、「こんなに面白い小説があるなら、早く出会っておきたかった!」と思いました。それからは東野さんの作品のファンで、先日も『祈りの幕が下りる時』っていう別の作品を読んだばかりなんですけど、東野さんの作品に共通する終盤30ページくらいの爽快感がたまらなくて。自分にとって『赤い指』は人生を変えた一冊です。

一枚の写真から感じる奥行き(Jun)

ふるさとのねこ(岩合 光昭)

―― 続いてJunさん。

Jun 僕は写真・カメラが大好きなんですけど、『ふるさとのねこ』という写真集を最近読みました。自分も猫好きで、実家で猫を飼ってるんですけど、可愛い瞬間ってホント一瞬なんです。でも、この本に掲載されている写真はみんな可愛い。この瞬間を切り取るのにどのぐらい粘ったんだろうとか、どんな設定で撮ったんだろうとか、写真・カメラ好きの視点でも好奇心をくすぐられるというか。たった一枚の写真から、すごい奥行きを感じるんです。

―― 他にも猫写真集みたいなのはチェックしてるんですか?

Jun はい。自分、田舎育ちで、それこそカモシカとかが普通に走ってるようなところだったんですよ。なので、自然の風景を切り取った写真を見るのが好きですね。

改めて見ると発見が多い(大輝)

バムとケロのそらのたび(島田 ゆか)

―― 大輝さん、お願いします。

大輝 思い出として印象に残ってる絵本がありまして、島田ゆかさんって方の『バムとケロ』シリーズです。犬とカエルが出てくる話で、小学生の頃、ピアノ教室に置いてあったのを読んで好きになりましたね。キャラクターとか可愛いんですよ。おやつにドーナツを食べるんですけど、そのドーナツがすごく美味そうなんです。

―― 大人になってから絵本とか読み直したりします?

大輝 たまに見ますね。子供向けに作られてるから、お話がしっかりしていますし、仲間でワイワイやってるだけの話に見せかけて、友達や家族は大事にしなさいよ、みたいなテーマが分かりやすく表現されてる。改めて見ると発見することも多いです。

―― そういえば、今回のシングルに収録されている「ハートビート」の作詞は大輝さんなんですよね。

大輝 はい、やらせていただきました。

―― 初めて歌詞を書いてみて、どうでしたか?

大輝 もともと割といろいろ考えるのが好きで、例えば「みんな仕事大変だろうけど、どんな思いしてるんだろう?」と突然夜中に考えたりするタイプで。そういったことを今まで文字に起こしたりはしてなかったんですけど、今回歌詞を書かせてもらうタイミングがあったので、初めて挑戦してみました。これからも機会があったらやってみたいですね。

人気ゲームを小説家(わちゅ~)

ICO-霧の城-(宮部 みゆき)

文章だからこそ分かるトリック(わちゅ~)

十角館の殺人(綾辻 行人 )

―― では、わちゅ~さん。連載では毎回独自の切り口で書評してもらっているので、今日は読書遍歴を聞かせてもらってもいいでしょうか。

わちゅ〜 僕はゲームがすごい大好きで、中学入るぐらいまではゲームっ子だったんです。で、中学、高校の頃に「ICO」っていう泣けるゲームがあると聞いて、すごくやりたかったんですが、その頃は既にバンドに夢中で手に取らなかった。いつかはICOをやりたいなと思いながら大学生になって、本屋さんにたまたま雑誌を買おうと思って立ち寄った時に、ICOの小説(『ICO-霧の城-』)が置いてあったんですよ! それは後々見てみたら、宮部みゆきさんがゲーム好きでICOを小説家されたものだったんですね。ゲームをやらずにICOの世界観が分かる!と思って、初めて小説を買いました。読んだらすごく楽しくて、そこからいろいろと読み始めていきましたね。でも当時は読書が生きがいになるほど熱心に読んでいたわけではなくて、その後、書店で働く本好きの姉から綾辻行人さんの『十角館の殺人』を勧められて、それがきっかけでした。

『十角館の殺人』には、超有名な作家さんの名前が、アガサ・クリスティ、ヴァン・ダイン、ポー、ルルーとか、たくさん出てくるんですけど、読んでる当時はまったく分からなくて。でも、それ以上に最後の1行が凄まじすぎて、人生を変えたと言ってもいいくらい衝撃を受けました。小説の楽しさにそこで初めて気づいたんですね。『十角館の殺人』で使われてるトリックは叙述トリックというものなんですけど、読者にミスリードさせる、つまり作者が読者を騙すっていうこの手法にビックリして。絵で見えない、文章だからこそ分かるっていうトリックの存在を知ったときに、もう本当に衝撃を受けたんです。そこからはミステリー小説を漁るように読み出して、綾辻行人さんをきっかけに、新本格系のミステリー小説に手を出すようになりました。叙述トリックが使われてる折原一さん、歌野晶午さん、最近だと西澤保彦さん、米澤穂信さんとか。

―― 子供の頃はゲームにどっぷりだったのに、それ以上の刺激がミステリー小説にはあったんですね。

わちゅ~ 小学生の頃、実は国語が大の苦手で、文章読むこと自体が本当に嫌いだったんです。文章読むよりもゲームのほうが刺激的でしょ?っていう感覚だったんですけど、そういう偏見があったからこそ、ミステリー小説の結末に出てくるどんでん返しとか、文章だけで世界がガラっと変わるんだ!と衝撃で。今では小説の衝撃を超えるものって他にないんじゃないかって感じるくらい、読書は大好きですね。

小説とは異なる歌詞の面白さに圧倒されました(わちゅ~)

―― さっき話に出た「ハートビート」は作曲がわちゅ~さんなんですよね。もともと自分で作曲活動をしていて、編曲もこなせるわけですが、それだけ読書が好きになってしまったら作詞をもっとやりたいとか思ったりしませんか?

わちゅ~ 曲を作るとき、皆にデモを作って送るんですけど、仮歌の歌詞は僕が書くんですよ。メロディ先行だったりもするんですけど、まず印象的な一文を歌詞に置いて、そこから広げる場合も結構あったりして。自分が好きな小説、好きな作家さんの一文、例えば何気ない公園の説明とか落ち葉の描写とか、綺麗な描写の一文を持ってきたりするんです。そこからメロディを考えたり、曲の構成をアレンジしたりもするので、作詞しないときでも「文章」というのは僕の作曲の要になってますね。

―― なるほど。今回のシングル表題曲「Are You Ready?」と「ユメハグ」は外部の方による作詞ですが、だからこそ自分たちバンドを客観視できるところもあるのでは?

わちゅ~ 「Are You Ready?」は秋元康さん、「ユメハグ」は森若香織さんに歌詞を書いていただいたんですが、やっぱり第三者の視点っていうのは自分たちにないものなので、改めて僕たちはどう見られているのかが分かったりします。小説と歌詞の違いって、文章の量が圧倒的に違うと思うんですよね。歌詞は短い文章の中での表現ですし、秋元さんの書いてくださる歌詞も、たった一言に比喩表現があって、その一言だけで状況が分かったりするぐらいの繊細な比喩を使われていたりとか。森若さんに書いていただいた歌詞も、Thinking Dogsの、今の等身大の僕らを書いてくださっていて、その言葉遊びや感覚には圧倒されましたね。短いフレーズでこんなに僕たちを表現できるんだって。

―― 前作から1年ぶりのリリース。いろいろ溜めていたものを爆発させることが出来そうですね。

TSUBASA  デビューから約2年経ったんですけど、最初のデビューの1年は、せっかく頂いた大きなチャンスを活かしきれなかった僕らもいて。そんな悔しかった1年目がありつつ、2年目はライブ活動に力を入れつつ、個々の活動も幅広げていって、自信のついた1年だったんですね。前作からの1年2カ月を経て、今の僕らがすべて詰まったものが4thシングルになったと思います。また一からのスタートのつもりで、「Are You Ready?」で歌われてるように、さらに突っ走っていく勢いでいますね。

―― 「ユメハグ」の歌詞にも書かれてますが、夢や目標って簡単に叶えられるものじゃないから面白いし、やりがいがあるというか。理想と現実、希望と絶望、相反するものの中で、それでも続けていくんだ!という気持ちが大事ですよね。そういう意味でも「ユメハグ」はこれから長く大事にされそうな曲だなと思いました。

わちゅ~ 何かしたいけど抜け出せない自分っていう「もどかしさ」を言葉で表現するって難しいと思うんですよ。正直、バンドの現状を文章でうまく説明するのは難しいけど、それが一曲の中にまとまっている。不安も感じつつ、ただでもどうしても先に行きたい!って希望があったりとか、周りからの期待も表現されていて。そういった意味では僕らの現状であると同時に、未来への希望が書かれているので、「Are You Ready?」「ハートビート」と並んでこれからも大事にしていきたい曲です。

Photographs by Motoki Adachi

インタビューの一覧

プロフィール

Thinking Dogs
Thinking Dogs
バンド

TSUBASA(Vo)、わちゅ〜(B)、Jun(G)、大輝(Dr)によるロックバンド。2014年6月からバンドを始動させ、 2014年夏に行われた大型野外ロックフェスティバル「イナズマロック フェス 2014」連動型のオーディション「イナズマゲート 2014」へ出場。 ライブパフォーマンスが評価され、ファイナリストとして選出され、準グランプリを獲得。 メンバーチェンジを経て伝説のプロデューサー、サイモン利根川氏に見いだされThinking Dogsと改名し、2015年6月にシングル「世界は終わらない」でメジャーデビューを果たす。2016年2月にはテレビ東京系アニメーション『NARUTO -ナルト- 疾風伝』エンディングテーマ曲でもある3rdシングル「そんな君、こんな僕」を発売した。2017年4月19日には4thニューシングル「Are you ready?」がリリースされた。
http://www.thinkingdogs.jp/

ライターについて

Writer 5
ホンシェルジュ編集部・芸術/芸能班

音楽、映画、アイドル、その他の芸術/芸能に詳しいライターによる班。もちろん皆が本好きだが、そのレベルや守備範囲はさまざま。日本のエンタテイメントのトップランナーを通じて、本/読書の楽しみへの入り口をつくりたい。あるいは本/読書という切り口を通じて、トップランナーの新たな一面を引きだしたい。

プロフィール

Thinking Dogs
バンド

TSUBASA(Vo)、わちゅ〜(B)、Jun(G)、大輝(Dr)によるロックバンド。2014年6月からバンドを始動させ、 2014年夏に行われた大型野外ロックフェスティバル「イナズマロック フェス 2014」連動型のオーディション「イナズマゲート 2014」へ出場。 ライブパフォーマンスが評価され、ファイナリストとして選出され、準グランプリを獲得。 メンバーチェンジを経て伝説のプロデューサー、サイモン利根川氏に見いだされThinking Dogsと改名し、2015年6月にシングル「世界は終わらない」でメジャーデビューを果たす。2016年2月にはテレビ東京系アニメーション『NARUTO -ナルト- 疾風伝』エンディングテーマ曲でもある3rdシングル「そんな君、こんな僕」を発売した。2017年4月19日には4thニューシングル「Are you ready?」がリリースされた。
http://www.thinkingdogs.jp/

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