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特集!あの人の本棚
273.

大葉ナナコ   (バースコーディネーター)


仕事も子育ても諦めたくない女性へ。5児を育てながらキャリアアップした私の方法

大葉ナナコ
「子供も産み育てたいし、仕事も諦めたくない。でもどうやって両立したらいいか分からない。」そう思い悩む、働く女性は少なくありません。そこで出産や育児に関する知識を伝え、活躍されている大葉ナナコさんに、『出産とキャリア』をテーマにインタビュー!大葉さん自身、5児を育てながら3つの法人を経営するワーキングマザー。彼女がこれまで、どのように仕事と育児を両立されてきたのか、秘訣を教えていただきました。
仕事も子育ても諦めたくない女性へ。5児を育てながらキャリアアップした私の方法

22歳で出産。子育てをしながらキャリアをスタート!

短大卒業後の留学準備中に、交際3年目の彼との間に子供を授かり、22歳で出産しました。平均初婚年齢25歳、平均初産が27歳の時代です。周りの女性に比べると、少し早いタイミングではありましたが、「この私から産まれたいと言う人がいるんだったら、会ってみたい」と素直に思いました。

また海外に留学するのは、いつでもできる。これから『母親大学』に入って、まずは命について学ぶ大切な時期に入るんだと感じました。もちろん不安はありましたが、産まないという選択肢は私にはありませんでした。

一方で、私の母も子育てをしながら働いていましたし、産後働かないという選択肢もなかった。だから長男を産んで間もなく、家でできる仕事をしようとポップライターの資格を取得。家の近くにあるレストランや和菓子屋さんをまわって「こんなポスター作りませんか?」「こんなメニュー表作りませんか?」と声をかけたり、知り合いの不動産会社からチラシ作成のお仕事をもらったりして、少しずつ働き始めました。

またパブリック・スピーキングの力も高めておこうと、アナウンサーのスクールも受講。その後、週末に司会の仕事をいただくようになり、土日の2日間は夫や両親に長男を見てもらい働きました。司会の仕事は週末2日間で10~15万円ぐらい報酬をいただけましたし、ポップライターは長男がお昼寝の時間にできる。子育てをしながらでも、効率よく仕事を続けることができました。

自分から情報発信し、ママが集まれる場を作ったらテレビ出演の依頼が!

2人目を出産する直前に、夫の仕事の都合で広島へ引っ越すことに。しかし誰も知り合いがいなかったので、どうやったら気の合うママ友達ができるか考えました。そこで、自分から情報発信をして、子連れでママが出会える場を作ろうと、『ケセラセラ通信』というニュースレターを発行。親子で参加できるバーベキューや芋掘り大会を企画し、そのイベント情報を掲載したニュースレターを、色々な所で出会ったママ達に配りました。

当時はインターネットがない時代。「1号目は無料ですが、2号目から購読希望の方は、封筒に自分の名前と住所を書いて、切手を貼ってこちらの住所に送ってください」とお知らせした所、なんと2号目から約100人の購読希望者が集まりました。なぜなら私が住んでいた地域は、子供を連れて出かける場所が少なく、寂しい思いをしていたママ達がたくさんいたからでした。

次第にこの活動がどんどん大きくなっていき、地元広島のテレビ局の目にも止まり、なんとレギュラー出演の仕事が2本も舞い込んできたのでした。

チャンスがきた時に掴めるよう、経験値を高めておく

東京に住んでいた時、ポップライターの技術を学びポスターやチラシを描いていたので、広島に引っ越してすぐニュースレターを書くことになっても、苦ではありませんでした。またアナウンススクールに通って司会の仕事をしていたので、テレビ出演の依頼が来ても躊躇することなく引き受ける決断ができました。

その頃の私はまだ、『引き寄せの法則』なんて知りませんでしたが、「こういう5年後だったらいいなぁ」という目標を常に意識して、計画を立ててスキルアップをしたり、自分のバージョンアップに繋がる機会を得ようと行動していました。そこで意識してきたのは、持っているスキルをアマチュアレベルから、プロフェッショナル化しておくということ。突然チャンスを掴めたのも、仕事相手のニーズに沿った成果を出せるレベルまで、スキルアップしてきたからだと思います。

時々「将来のために何をしていいか分からないんです。」とおっしゃる方もいらっしゃいますが、何事も経験しなくては自分の強みも、やりたいことも分からない。トライなくしてチャンスなし、だと思います。もし具体的な目標がなかったとしても、ピンときたことは後に特技になるかもしれないと色々チャレンジして、経験値を高めておくのは大切なことだと思います。

子供を5人産み育てながら、夢に向かって少しずつ積み上げていった

28歳で3人目の子供を出産した後、広島から東京に戻りました。そのタイミングで改めて、「自分の生涯をかけてできる仕事をしたい!」と思いました。私は22歳で第一子を出産しましたが、実際に子育てをしてみて、親になる前に知っておくべきことが沢山あることを知りました。またその知識を知っていたら、もっとハッピーな親御さんが増えるのではないかと思うことも多々ありました。そこで将来は出産教育を伝えていこうと、まずは国内の通信講座を受講し学び始めました。

そして32歳で4人目の子供を妊娠中に、バースコーディネーターとしての活動を開始。保育園に子供を預けながら、平日の昼間は出版社で働き、週末や平日の夜に1ヶ月に約4回のペースで、出産教育を伝える仕事を始めました。

すると新聞社主催のカルチャーセンターや、大学のオープンカレッジの講座でご好評いただき、少しずつ仕事の幅が広がっていきました。さらにテレビ局や出版社から声をかけていただく機会も増え、雑誌に掲載されたり、出産教育に関して本を出すようにもなりました。

『えらぶお産---妊娠前から出産後まで、カラダとお産のホント』 大葉 ナナコ 『いのちはどこからきたの?―9歳までに伝える「誕生」のしくみ』 大葉 ナナコ

その後、36歳で5人目の子供を産んだ時、「この子が大人になるまでに、あと20年。私はトータル37年間も子育てをしていくことになるんだ」と気づきました。子育てがひと段落してからでは遅いかもと、出産教育関連の会社を立ち上げ、本格的に起業をしました。

15〜20年前は今よりワーキングマザーが少なく、「働いているお母さんは、ちゃんと子育てをしていないんじゃないか」というレッテルを張り批判する人もいて、悲しい思いをしたことも沢山あります。でもその分、「絶対、子供がハッピーになれる子育てをしたいし、同時にクオリティの高い仕事もしていきたい!」と強く思うようになりました。お陰で、どちらにも全力投球できた気がします。

両立の秘訣(1)子供が小さい内はローギア、時々トップギア

5人の子育てをしながら仕事もしているというと、「一体どんな風に両立しているの?」とよく驚かれます。私の場合、4年おきに出産があったので、子供の成長に合わせてその都度その都度、働き方を変えていきました。

私はよく、仕事と子育ての両立を、マニュアル車の運転に例えています。マニュアル車はローギア、セカンドギア、サードギアと、その時々に応じてギアチェンジをして運転します。子供が小さいうちは、重いものを運ぶ力はあるけれど、スピードが出ないローギア運転。でも子供が成長するごとに、セカンドギア、そしてサードギアに切り替えて、仕事もどんどんスピードアップしていけるんです。

私も子供達を保育園に入れずに育児をしていた時は、基本的にはローギア運転でした。月に2~5日ぐらいは夫やベビーシッターさんに子供を預かってもらい、司会の仕事をしたり、テレビの仕事をしたりとエンジン全開になれるトップギアの日を作っていました。

もし長時間子供を預けられないなら、1日2時間ベビーシッターさんに預かってもらうでもいい。1日2時間だったら、平日5日で10時間。1ヶ月で40時間になります。もちろんワーキングマザーによって、親のサポートがあるかとか子供の状況など、それぞれ違う。その人に合ったやり方で、トップギアになれる日を工夫しながら作っていくのがいいと思います。

両立の秘訣(2)『6・9の母』時間術

また時間の使い方も工夫しています。午前6時~9時と午後6時~9時は家事と育児をする時間と決めていて、私はそれを『6・9の母(ロックの母)タイム』と名付けていました。

この6時~9時の間に母親が一番やるべきなのは、子供に親の愛情を感じてもらうこと。そのために、子供との対話は欠かせません。

子供が小さい時はワイワイと毎日一緒にお風呂に入り、寝る前には絵本を読んでいました。また保育園や塾の送り迎えや、寝る前の時間など、できるだけコミュニケーションを深めました。夫婦の間でも、「5人の子供各自と両親のそれぞれが、一対一でデートできる時間も大事だよね」と話していたので、出張が多い夫は休日、私は平日のデートを担当していました。

また子供に愛情を示す方法は、人それぞれ得意分野があると思いますが、私の場合は手作りの食事を心がけ、家族で食卓を囲みました。もちろん仕事をしているので、子供が学校から帰宅しても「お帰りなさい」は言えないですし、子供の側にずっといることはできない。でも一緒にいる時間は、子供が喜ぶ言葉をあえて口にしたり、抱きしめたり、手紙を渡したりして、愛情を分かりやすく伝えていきました。

仕事もしっかりやりたいので、午前9時~午後6時の間に集中して働きました。そして夜の9時以降は残務処理や未来への投資時間。実は昔から、5人目の子供が中学校に入学したら、自分も大学院で学びたいと思っていたので、この夜の時間帯に猛勉強し社会人大学院に入学しました。現在、筑波大学大学院にて学び、修士論文では「働く妊婦のストレス」をテーマに書きました。

このように、仕事や子育てをして時間的制約が多いからこそ、挑戦する時間を効率的に作れた気がします。

両立の秘訣(3)家事=『家族の仕事』。子供にも家事のスキルを身につけてもらうと、自立も早い

日本のお母さんは、全ての家事を一人で抱えがちですが、私は家族に分担させてきました。家事とは家族の仕事と書きます(笑)。家族みんなでやるべき仕事だと伝えて、子供が小さい内からお手伝いではなく、家事の担当を持たせました。新聞を取ってくる大臣さん、玄関そうじ大臣さんなどなど、役割を持たせると喜んで責任を果たします。

あとはゲーム方式で動機付けも。例えばテレビの前に洗濯物を置いて、「みんなでたたんだら、テレビが見れますよ~!」とゲーム形式にすると、子供達も楽しみながら家事を一緒に済ませてくれました。

また色々な家事デビューイベントも作っていました。例えば『小学1年生になったら、お米とぎデビュー』という節目行事を作って、保育園時代は米をとぎたくてとぎたくて仕方がない状態で我慢させておいて、モチベーションを高めていきました(笑)。

他にも小学2年生はお味噌汁デビューの年なのですが、三女はそれが特別に嬉しかったみたいで、『初めて作ったお味噌汁』というタイトルの作文を書いて、都庁で表彰されていました(笑)。家事も目標設定マネジメントをして、子供にモチベーションを持たせるといいと思います。

うちの子供達は、小学校の頃から色々な家事をさせていたので、お皿洗いも各自でするし、中学生からは自分の洋服は自分で洗濯しています。今、私がメインで担当する家事は、ご飯作りとバスタオルやシーツの洗濯、掃除機かけぐらい。そうやって小さい頃から家事をさせていると、子供の自立も早いんです。最近は高一の息子や大学生の娘もご飯を作ってくれる日が増えたので、だいぶ料理も楽になりましたね。

両立の秘訣(4)仕事も育児もスムーズにできるよう、環境を整える

また「仕事と子育ての両立をさらに快適にするには」と、常にあの手この手で考え尽くしましたね。起業してからは、家と職場と保育園の移動時間を短縮するために、それぞれ徒歩10分間の距離内に収まる場所に引っ越しをして、『10分間トライアングル』と名付けていました。そうすると仕事中でも「子供が塾にいく前に、ご飯を食べさせてくる」と家にちょっと帰ったり、保育園に迎えに行くこともできますから。

万が一があった時のためにも、サポートをしてくれるご近所ネットワークを作っておくのも大切です。夫は出張が多い仕事でしたし、親も同居していない。だから仕事中に子供が熱を出して、すぐに駆けつけられない時は、信頼している方々にもお世話になりましたね。

両立の秘訣(5)幸せなワーキングマザーのロールモデルを探せ!

ネット時代はポジティブな情報よりネガティブな情報の方が、どうしても広まりやすい。そのため『仕事をしながら、子育てをするなんて大変だ!』という情報の方が耳に入ってきて、不安になってしまう女性も少なくありません。しかしネガティブな情報ばかり鵜呑みにしていたら、自分の持っている可能性さえも曇らせてしまう。それはとっても勿体無いことです。

私は子供が小さい時は、「子育てがひと段落したら、こんなチャレンジをしよう」とわくわくしながら計画を練っていました。子供がある程度大きくなったら、今度はトライ&エラーでチャレンジを重ねていきました。そんな私を見て、大人になった娘達が「ママを見ていると、何歳になっても子供を産んでも、何でも挑戦できるんだと思った。だから自分も未来が楽しみ」と言ってくれたことがあり、これで良かったんだと感じました。

世の中には、楽しくポジティブに仕事も子育ても両立している、ワーキングマザーがたくさんいます。そういう女性達がいることを知っていれば、不安も和らぎ勇気が出るのではないでしょうか。幸せなワーキングマザーのロールモデルを探して、彼女達を参考にしながら、自分に合ったやり方を取り入れていくのがいいと思いますよ。

【最後に】子育ては長旅。子供が見せてくれる、スローで美しい風景を楽しみながら、育児もキャリアも自分のペースで進んでいこう

子育ては長旅です。特に働きながらの子育ては、その時々で各駅列車や急行列車、特急列車に乗り換えながら進んでいきます。その中でも子供が乳幼児の時期は、どうしても各駅列車に乗るような毎日。スピードが急激に落ちて、焦ってしまうお母さんもいるかもしれない。

でもこの時期は、子供に愛情のシャワーをたっぷり注いで、心の根っこを育てていく大切な時期だから、かえって各駅停車でいいんです。小さい時にじっくり心の根っこを太くした方が、子供が大きくなった時、暴風雨が吹き荒れたとしても倒れない大木のように、たくましい子になるから。

またその頃にはお母さん自身も、思いっきり急行列車や特急列車に乗れるようになって、仕事もバリバリできるようになるでしょう。だから、小さいお子さんを抱える若いワーキングマザーには、焦らなくても大丈夫だよと伝えたいです。

それに、子育てをしているからこそ、経験できることもたくさんあります。子供が見せてくれる、お花摘みや泥んこ遊びをしている時の輝き、お日様の香りがする柔らかい髪の毛……。そんな期間限定のスローな美しい風景を眺めながら、近い将来訪れる仕事にまい進できる日々を楽しみに、育児もキャリアも自分のペースで進んでほしいなと思います。

『キャリアと出産:働く女性のワーク・バース・バランス』 大葉 ナナコ
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プロフィール

大葉ナナコ
大葉ナナコ
バースコーディネーター

公益社団法人誕生学協会代表理事。一般財団法人ベビー&バースフレンドリー財団 理事長。株式会社バースセンス研究所 代表取締役。1987年の初産時から女性の身体能力やセルフケアに関心を持ち、国内外の出産準備教育を学ぶ。

多くの世代が妊娠出産の基礎知識やいのちの大切さを学べるようにと、1997年バースコーディネーター業を創職。2003年にバースセンス研究所を設立。2005年に日本誕生学協会を設立(2011年3月公益認定を受ける)。

著書は『えらぶお産』『キャリアと出産』(河出書房新社)、『Life 誕生学の現場から』(ポプラ社)、など多数。2男3女の母親でもある。現在、筑波大学大学院に在学中。
http://www.birth-sense.com

ライターについて

Writer 13
鮫川佳那子(さめこ)

NY在住ライター/ニューヨーク女子部♡主催。青山学院大学フランス文学科卒業後、サイバーエージェントに入社し広告制作・メディア編集・イベント企画運営に携わる。2015年より夫の海外転勤で渡米し、現在はニューヨークの新聞をはじめ様々な媒体でコラムや、海外で活躍する日本人のインタビュー記事を執筆。またNY在住の20~30代女性が約600名所属するコミュニティ「ニューヨーク女子部♡」を主催し、イベント企画運営も行っている。

プロフィール

大葉ナナコ
バースコーディネーター

公益社団法人誕生学協会代表理事。一般財団法人ベビー&バースフレンドリー財団 理事長。株式会社バースセンス研究所 代表取締役。1987年の初産時から女性の身体能力やセルフケアに関心を持ち、国内外の出産準備教育を学ぶ。

多くの世代が妊娠出産の基礎知識やいのちの大切さを学べるようにと、1997年バースコーディネーター業を創職。2003年にバースセンス研究所を設立。2005年に日本誕生学協会を設立(2011年3月公益認定を受ける)。

著書は『えらぶお産』『キャリアと出産』(河出書房新社)、『Life 誕生学の現場から』(ポプラ社)、など多数。2男3女の母親でもある。現在、筑波大学大学院に在学中。
http://www.birth-sense.com

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