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特集!あの人の本棚
279.

坊垣佳奈   (株式会社サイバーエージェント・クラウドファンディング 取締役)


女性のキャリアに正解なんてない!自分はどうなりたいかを考えて、その道を正解にするしかない【サイバーエージェント 坊垣佳奈さん】

坊垣佳奈
これからもずっと働き続けたい。でも私達の母親世代は専業主婦が多いし、周囲にもロールモデルがいないため、将来が漠然としていてなんとなく不安。…という思いを抱えながら働いている女性も少なくありません。

そこで、サイバーエージェント・クラウドファンディングの取締役として活躍する、坊垣佳奈さんにインタビューを企画。坊垣さん自身、その時々で悩んだり迷ったりしながら、これまでキャリアを積み上げてきたといいます。そんな等身大の若きリーダーが考える『これからの女性の働き方』について、お話を伺いました。
女性のキャリアに正解なんてない!自分はどうなりたいかを考えて、その道を正解にするしかない【サイバーエージェント  坊垣佳奈さん】

大企業に勤めていても、どうなるか分からない時代。自分の市場価値を上げられる会社を選んだ

―― まずサイバーエージェントに入社した理由を教えてください。

坊垣佳奈(以下、坊垣) 実は学生時代、具体的に「こういう仕事がしたい」という希望はなかったんです。それに就職活動は世の中を知るチャンスだと思ったので、様々な業界を一通り受けました。その過程で多くの社会人に会ってお話を伺い、10年後20年後に自分はどうなっていきたいかを真剣に考えました。

同時に、ネット産業が発達していくことで、これから世の中も働き方もどんどん変わっていくだろうとも感じました。

例えば、複数の名刺を持って様々な仕事をする人や、時間や場所にとらわれずに働くノマドワーカーのような、今までにはなかった働き方をする人が増えていくだろうし、大企業に入ったとしても終身雇用は難しくなる。であれば、個人の名前で食べていけるよう、自分の市場価値を上げないと危ないのではないか。そこで、若い内から責任ある仕事を任せてもらえ、経験値が得られそうなサイバーエージェントに興味を持ったのです。

それに私は、結婚や出産をしてもずっと働き続けたいと思っていたので、就職活動中は各企業の人事担当者に、『女性の働き方』について質問していました。

その頃のサイバーエージェントは、社員のほとんどが20代。今のように制度が確立されていなかったので、人事部長に「この会社は、女性が働き続けるために、今後どのようにしていこうと考えていますか?」と伺いました。すると「坊垣さんが入社をして、女性が働きやすい環境を作っていってほしい」と言われたのです。

その言葉は、他の会社ではありえない返答でした。どの企業に同じ質問をしても、福利厚生の詳細や女性の復帰率など形式ばった返答しか返ってこなかったからです。「この会社では、決められたルールに従っていくのではなく、必要だったら自分でその道を作っていけるんだ。それを人事部長みずから言えるなんて、すごい会社だな。」と思い、入社を決意しました。

結婚や出産などライフイベントに影響される前提で、キャリアを考えた方がいい

―― 入社をしてすぐ、子会社であるサイバー・バズの立ち上げに携わりました。自ら希望して配属先を決めたとのことですが、その理由はなんですか?

坊垣 先ほど市場価値を上げるために、サイバーエージェントに入社したとお話しましたが、人と同じことをしているとより競争が激しくなり、レッドオーシャンです。なので、自分の価値を上げるため、人と違うことをしたいと考えました。

また私はできるだけ下積みをせずに、すぐにでも経験できる部署に行きたいと思っていました。なぜなら、女性はいつ結婚や出産などのライフイベントが来るか分からないから。もし旦那さんが転勤族だったら、それに合わせて仕事を変えなければいけないし、出産し子供が病弱だったら仕事を辞めなければいけないかもしれない。

そうなった時に、自分が辛くならないように、できるだけ早くポジションを上げたかった。ポジションを上げた方が、自分で働き方を選べますから。下積みが長ければ長いほど、成長途中でライフイベントが来てしまう気がしたので、早く経験を積みたかったのです。

それは、人との競争の中で出世したいという感覚よりも、「自分は将来こうありたい」という理想像から逆算した時に、早く経験してポジションを上げておくことが最適な手段だったという感覚なんですよね。そのように考えていた時に、サイバー・バズの社長に声をかけていただき、3年目の社長、2年目の先輩、そして新卒の私と同期という若手4人で会社の立ち上げをしました。

辛かった経験は無駄にならない。あの時頑張った自分がいるから、今の私がある

―― 新卒1年目から、子会社であるサイバー・バズの立ち上げに関わってみて、いかがでしたか?

坊垣 「意志決定権の多い部署で働き、早く経験を積みたい」という理由で配属先を決めたものの、想像以上に意思決定権がありました(笑)。サイバー・バズは、当時最先端だったクチコミ・マーケティングの会社で、私の仕事はその広告サービスそのものを作ること。配属されてすぐに「2ヶ月後の7月にはサービスを開始するから、それまでパワーブロガーを200人集めて、管理システムを作ってほしい」と言われました。

私以外のメンバーは営業で外回りをするため、サービス開発担当は私一人。でもすべてが未経験で、まず何から着手していいかさえ分からなかったので、サイバーエージェント本社の様々な部署の方に聞きまわり、見よう見まねでなんとかサービスを作っていきました。

もう何が何だか分からずに、必死で働いていたので、たくさんの方にご迷惑をおかけしましたね。だから、今だに当時お世話になった方々には言われますよね。「あの頃、坊垣ちゃんは本当に色んなトラブルを起こしたよね」って(笑)。

そうやって多くの方に助けていただいたお陰で、無事にサービスを開始することができ、さらにすぐに売上も立ち黒字化できたので、リリース2ヶ月後の9月には、サイバーエージェントの総会でベストプロジェクト賞を受賞。その半年後の総会でも、連続で受賞することができました。

―― ゼロからの立ち上げということで、大変なことも多かったのでは?

坊垣 当時はメンバー全員、寝る間も惜しんで働いていました。途中から私もメディアだけでなく営業も兼務していたので、体力的に限界になることもあり、今だから言えますが辞めたいと思ったこともあります(笑)。

でも振り返ってみると、あの時頑張った自分がいるから、今の私があるんですよね。仕事をしていると色々大変なこともありますが、「あの時に乗り越えられたんだから、何でもできる」と自信になりましたし、役員になった今も、サイバー・バズ時代の経験がすごく活きている。どんな経験も絶対無駄にはならないですね。

やりがいのある仕事を見つけると、女性はより力を発揮できる

―― 2010年にはサイバー・バズでマネージャー、取締役に昇格。その後ゲーム事業子会社2社を経て、2013年にはサイバーエージェント・クラウドファンディング(マクアケ)設立と同時に、取締役に就任されました。この事業に参画しようと思った理由は何ですか?

坊垣 クラウドファンディングは、もしかしたら日の目を見なかったかもしれない『良いもの』、『世の中に必要なもの』に光を当てる仕事。今までは一部のお金持ちが投資をすることによって、成立してきた商品やサービスってたくさんあったけれど、実際に人々がそれらを求めていたかというと、そうじゃないことも多い。本当に良いものや必要とされているものが、世に出ているわけではないんですよね。

でもクラウドファンディングは、数多の人が「これを世の中に出しましょう」と賛成しないとお金が集まらない。すごくフラットだし本質的だと思いました。

また人間って新しいものが好きだから、放っておいてもどんどん変化していく。でもそれが、本当に人を幸せにする変化ではないこともある。私は仕事を通して、世の中を良い方向に変えたいという思いが強いので、社長で同期の中山亮太郎にクラウドファンディングの会社を一緒に立ち上げようと誘われた時、すぐに「これは私がやっていきたいことだ!」と確信しました。

実際に『マクアケ』というクラウドファンディングのサービスを始めてみると、資金を集めたい側や払う側だけでなく、多くの方々に必要とされているサービスだと感じました。

例えば金融機関も、融資の判断が難しい場合は、マクアケでうまくいったかどうかを判断材料にしたいということで、一緒にプロジェクトを進めています。伊勢丹や東急ハンズなどの流通も、これから流行りそうな商品を仕入れる際に指標にしたいと、ご活用いただいています。また地方自治体からも、これは地元の事業発展に貢献するサービスだという声をいただいています。

最近だと、大ヒットした『この世界の片隅に』という映画に関わらせていただきました。あの映画こそ、後世に残すべき素晴らしい作品だと思うのですが、マクアケで資金を集めなければ、実は世に出ていなかった可能性が高いんです。クラウドファンディングによって4000万円集まったからこそ、映画の配給会社が決まってロングセラーの大ヒットとなり、今やフランスやニューヨークをはじめ世界中で放映されています。

このように、様々な領域・側面で必要とされている。だから「この事業が成功することは、世の中を確実に良くしていく!」と自信を持って言えるので、私自身、心の底から情熱を持って働くことができています。

また弊社では女性社員の活躍もめざましいのですが、それは女性の特性を活かしやすい仕事だからかもしれません。比較的女性は、男性のように「出世をしたい」とか「お金を稼ぎたい」というより、「誰かに喜んでもらいたい」「社会に貢献したい」という方がモチベーションになる人が多い。女性はやりがいのある仕事を見つけると、より力を発揮しやすいのだと思います。

今やりたいことが見つからなくても大丈夫。まずは目の前のことに集中し、成果を出すことを考えよう!

―― 坊垣さんのように、やりがいのある仕事をしたい女性は多いと思います。そういう仕事に出会える自分になるためには、何をしたらいいでしょうか?

坊垣 私も最初はやりたいことが分かりませんでしたが、色々な仕事をさせていただく中で、徐々に見えてきたんですよね。だから後輩やメンバーにも「もし今、やりたいことが見つからなくても大丈夫だよ」と伝えています。

それがいつ見つかるかは、人によって違うんですよ。例えば天才ピアニストの中には、子供の頃に自分の天命を知る人もいるし、老年になって気づく人もいる。人によって、いつそのタイミングが来るか分からない。

だから、やりたいことが見つかった時に、それができる自分になっているよう、目の前のことに集中して成果を出し、経験を積んでおく。「本当にこれでいいのかな」と迷っている暇はない。今考えても答えが出ないことをずっと悩んでいても、時間がもったいないですから。それより、早く成長して次の世界を見ることの方が、手っ取り早いですよね。

ロールモデルはいないに等しい時代だから、自分で選んだ道を正解にするしかない

坊垣 今の時代は、女性の生き方に正解がないので迷いやすいと思います。なぜなら私達の母親世代は、専業主婦になって子供を持つことが幸せで正解だとされていたけれど、私達の世代ってもっと色々な選択肢がある。

それに、輝いている女性はいるけれど、それが果たして自分のスタイルとして正しいかなんて、誰も分からない。ロールモデルもないに等しいんです。だから今は、働く女性の過渡期なんだろうなと思います。

でも結局は、誰も正解を教えてくれないし導いてくれないんだから、「私はそういう時代に生まれてきたんだ」と割り切って、自分がどうなっていきたいかをちゃんと考えて、選んだ道を正解にしていくしかない。それに早く気づいて前に進めるか、だけだと思います。そのように考えられると、過剰に誰かを頼ろうとしなくなるし、他人と比較することもなくなるので、気持ちも楽になるのではないでしょうか。

女性が幸せに働き続けられる環境や方法を、提案していきたい

―― 最後に、今後の目標や挑戦していきたいことを教えてください。

坊垣 まずはクラウドファンディングの市場を拡大し、国内だけでなく海外でも事業を展開していきたいです。また個人的には、『新しい女性の働き方』を提案していきたいなと思っています。

私の中で、働くことを止めるという選択肢はありません。でも家庭を持つということもしたい。それを両立するというのが私の目指したい姿で、どちらも中途半端にはしたくない。でも今の日本は、どちらかをちょっと諦めているような雰囲気がありますよね。

幸いにも私は今、世の中に必要なものを生み出す仕事をしているし、組織の中で働き方を作れる立場にもいる。これからますます、女性の活躍が求められると思うので、女性が幸せに働き続けられる環境や方法を、提案していきたいですね。

女性の働き方を考える時におすすめの本

『妹たちへ』日経WOMAN編 『スマイルズの世界的名著 自助論 知的生きかた文庫』サミュエル スマイルズ 『最高のリーダー、マネジャーがいつも考えているたったひとつのこと』マーカス バッキンガム
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プロフィール

坊垣佳奈
坊垣佳奈
株式会社サイバーエージェント・クラウドファンディング 取締役

1983年兵庫県姫路生まれ。2006年同志社大学文学部心理学科を卒業後、株式会社サイバーエージェントに入社。新入社員の時には株式会社サイバー・バズの立ち上げに携わる。2010年にマネージャー、取締役に昇格。その後、ゲーム事業子会社2社を経て2013年、サイバーエージェント・クラウドファンディング設立と同時に取締役就任。主に大型プロジェクトのコンサルティングと広報PRを兼務しながら、クラウドファンディング市場の拡大、ビジネスとしての成立に挑戦している。

ライターについて

Writer 13
鮫川佳那子(さめこ)

NY在住ライター/ニューヨーク女子部♡主催。青山学院大学フランス文学科卒業後、サイバーエージェントに入社し広告制作・メディア編集・イベント企画運営に携わる。2015年より夫の海外転勤で渡米し、現在はニューヨークの新聞をはじめ様々な媒体でコラムや、海外で活躍する日本人のインタビュー記事を執筆。またNY在住の20~30代女性が約400名所属するコミュニティ「ニューヨーク女子部♡」を主催し、イベント企画運営も行っている。

プロフィール

坊垣佳奈
株式会社サイバーエージェント・クラウドファンディング 取締役

1983年兵庫県姫路生まれ。2006年同志社大学文学部心理学科を卒業後、株式会社サイバーエージェントに入社。新入社員の時には株式会社サイバー・バズの立ち上げに携わる。2010年にマネージャー、取締役に昇格。その後、ゲーム事業子会社2社を経て2013年、サイバーエージェント・クラウドファンディング設立と同時に取締役就任。主に大型プロジェクトのコンサルティングと広報PRを兼務しながら、クラウドファンディング市場の拡大、ビジネスとしての成立に挑戦している。

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