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特集!あの人の本棚
284.

和嶋慎治   (人間椅子)


失敗ではなく試練として受け止める(和嶋慎治 インタビュー後編)

和嶋慎治
さまざまなプロフェッショナルの考え方を、その人の本棚、読書遍歴、本に対する思いなどから紐解いていくインタビュー。今回は、初の著書である自伝『屈折くん』を発表し、活動の幅を広げた人間椅子の和嶋慎治さんが登場。最新アルバム『異次元からの咆哮』にまつわる本についてインタビューしました。後編ではさらにディープな選書について語ります。
失敗ではなく試練として受け止める(和嶋慎治 インタビュー後編)

人間椅子で作詞・作曲の大半を手掛けるギター・ヴォーカルの和嶋慎治。ホンシェルジュ「本と音楽」連載陣の一人でもある彼に、最新アルバム『異次元からの咆哮』に関連した本をピックアップしてもらった。

苦しみをどう考えて解決していくか、その手がかりになればと思って、歌詞を書いています

── 次の本も宇宙人つながりですか? ジム・マースの『宇宙人UFO大事典―深〈地球史〉』。

『宇宙人UFO大事典―深〈地球史〉』 ジム マース

和嶋慎治(以下、和嶋) この本は現代のUFOの歴史を、否定も肯定もせずにうまくまとめてるんです。UFO史を眺めるうえでは非常に役に立ちます。ひと頃よくテレビに出ていたジョー・マクモニーグルのように、アメリカ軍部などで超能力を使って透視していた人が実際に見たことを記した「マインズ・アイ」という章が非常に面白い。いろんな超能力者にインタビューしてるんですけど、だいたいみんな、ソ連の潜水艦なんかを透視させられるわけです。で、その過程で必ずみんなUFOを見るらしいんだよね。そういうUFOは異次元から来てるってことが書かれたりしてて、「ああ、そうかもな」と思ったりする。で、この本によると、こういう超能力者は4次元にも行けるんだって。つまり、時間や空間を越えたところに移動できるらしいんです。そしてその世界を3次元に帰ってきてから描写しようとすると、まったくできない。そういうところが面白いと思ったんです(笑)。

―― (笑)。

和嶋 要するに、概念が違うんだって。仮に自分の精神がそこに行ったとしても、それはもう言葉では表現できないし、ましてや図式化もできない、と。結局何もできないってところが、わかったようなわからないような気にさせられるよね(笑)。それはつまり、悟りの境地を説明しようとしても無理っていうのとちょっと似てるかもしれません。

―― このアルバムに通じるものがあると思います。見えないはずのものを語ろうとする姿勢。

和嶋 そうそう! 例えば、自分が見た夢ってうまく説明できないでしょ。夢の中はものすごい自由な空間なわけですよ。場面も時間もどんどん飛ぶし。それに近いものがあるよね。僕もUFOに遭遇したことがあるんですけど、言葉で説明不可能な世界はあると思いますね。仮に死後の世界に行ったとして、こっち側の世界に戻ってからその世界を説明しようと思っても、たぶんできないんですよ。そうしたことを考えると、この現実世界も、数多ある世界の一つの側面に過ぎないのかもしれない。我々は現実に囚われがちですけど、そこで右往左往しなくていいよって言いたくなって。つまりは色即是空で、煩悩に囚われる必要はないんです。自分は悟ったわけではないですが、ロックをやってると、こういう怖いことや不思議なことを言いたくなるんですよね。

―― なるほど。納得します。

和嶋 非常に壮大なことをやろうとしてるんですけど、それを難しくやっちゃダメなんだなぁと常々思ってます。難しくやったら、誰も聴いてくれないので。こういうのって、たとえ話だと思うんですよ。いろんなものを曲に登場させて、わかりやすいたとえ話で不思議な気持ちになっていただければな、と。

『人類よ起ち上がれ! ムーンマトリックス[覚醒篇1] マインドに呪縛された人類~私を嘲笑せよ~』 デーヴィッド アイク

―― 次の1冊はデーヴィッド・アイクの『人類よ起ち上がれ! ムーンマトリックス』ですか?

和嶋 ええ。僕は結構、陰謀論が好きなもんで(笑)。現実は空(くう)かもしれませんよ。だからこそ、持って行きようで、どうにでもなるものかもしれなくて。そこに気が付いた人が、もしかしたら世の中を作ってるのかもしれないと思っちゃったりしてね(笑)。

―― (笑)。

和嶋 陰謀論で世の中を見ると、どんなこともほぼ説明できてしまうのが恐ろしいですよ! 世の中の捉え方の一つとして興味深いです。デーヴィッド・アイクは過激な陰謀論者で、我々の頂点にいるのは、レプティリアンっていう別次元から来た宇宙人だって言ってる人なんです。そういう過激な人だからこそ面白くて、いろいろ買って読んでます。僕は最初、この「覚醒篇」というシリーズから入ったんですよね。

―― 帯に書かれた文言、かなり危険な香りがしますね(笑)。

和嶋 そうなんです(笑)。デーヴィッド・アイクは、「人間は本質的には自由だから、そこに気付こう」と言ってるんです。結構ロックですよね。たとえば映画の『マトリックス』では、実はみんながコンピューターに騙されていて、すごい狭いところで奴隷のようにエネルギーを吸い取られていることが描かれています。いわば、夢を見せられてるわけですよ。陰謀論の人は、「みんなそういうふうに、陰謀を作っている人に奴隷化されてるんだよ」ってことを言うわけですよ。その考えでいくと、いろんなことに当てはまっちゃうのが怖いというか、面白い。ただ、あまり大きな声で言うと、「ちょっとおかしいんじゃないの!?」って思われちゃうし、やや危険思想ではあるなと思いますけど(笑)。僕も「そういうことって、あるかもしれないなぁ」なんて思って、それを歌詞の中に少し入れちゃうこともあります。こういうトンデモ話は、これぐらいで止めておきますけれども(笑)。

『神との対話―宇宙をみつける自分をみつける』 ニール ドナルド ウォルシュ

―― 取り扱いを慎重にしないといけないですね(笑)。最後の1冊は『神との対話』ですね。

和嶋 これはベストセラーにもなった、わりと東洋思想も入ってる本ですね。著者のニール・ドナルド・ウォルシュは、何をやってもうまくいかなくて、一時期ホームレスになっていたことがあるんですよ。もう自分はどうしたらいいかわからないという時に、「神がいるなら、出てきて何か私に言ってください!」って言ったら、神と対話ができたんですよ。自動書記みたいな感じで、手が勝手に動いて、神の言葉を書いたのがこの本というわけです。その神は、基本的には仏教の「縁起の法(えんぎのほう)」を言ってるんですよね。わりと東洋的な神でキリスト教の神じゃないんだよね。あなたが今ここにいる状態は、すべてあなたが選んだ結果に過ぎないのであって、苦しむ必要もないということを言っていて。「俺はダメだな」と思ってると、どんどんダメになりますよね。自分もそうでした。そういうことをやめようと思った時から、上り調子になってきたんです。ウォルシュの本に共感したり勇気づけられたりして、自分もそういうことを詞によく書くようになりました。例えば、今回のアルバムの「痴人のモノローグ」という曲では、わりとそういった題材をストレートに書いています。僕は、失敗なんか存在しないと思ってますからね。それはちゃんと試練になっているんですよ。

―― 歌詞に「失敗は試金石」と書かれています。やはり、読んだ本からの影響は大きいんですね。

和嶋 わりと誰でもそうだと思いますけど、本って自分の気質に合ったものを読みますよ。基本的には、共感できたり、自分の考え方を強くしてくれるものを、都合よく読んじゃうというか。それで、自分の考えと違うことが書いてあったら、そこは真摯に受け止めて対話してみる。分からなかったら、何度でも読み返す。それが本の良いところです。助言してくれる友達と会話してる感じになるんですよね。

―― すごくわかります。ひと通り、お持ちいただいた本について話していただきました。この秋にはツアーも始まりますね。

和嶋 そうですね。何よりもまず、このニュー・アルバムを聴いて楽しんでいただければと思います。自分としては、ただ物事を難しく考えようって提案してるつもりはなくて、とにかく曲を聴いてスカッと気持ちよくなってほしいんです。少しでも悩みやつまらなさを抱えているならば、別の光を見せてあげたい。「こういう悩みってあるんだ。自分も似てるな」と思うことによって、また一つ感動も深まるでしょうし。苦しみをどういうふうに考えて解決していくか、そういうことの手がかりになればいいなと思って、僕は歌詞を書いています。

―― さまざまな想いが込められているんですね。今後もますます楽しみです!

和嶋 今度のツアーでは、例えば「超自然現象」の“パワー”の部分をみんなと歌ってみたりしてね(笑)。

―― 異常に盛り上がりそうですね。そのうちライヴ会場でUFOを呼べるかもしれません(笑)。

和嶋 演出ではなく、本物のUFOにいつか来てほしいね! そしたらみんな、僕の話を信じてくれるかなぁ(笑)。

前編はこちら

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プロフィール

和嶋慎治
和嶋慎治
人間椅子

1965年12月25日生まれ。青森県弘前市出身。大学時代、高校の同級生であった鈴木研一とハードロックバンド「人間椅子」を結成。ギターとヴォーカルを担当。1990年、デビュー。ドラムのナカジマノブは2004年に加入。一時は低迷期を経ながらも休止はせず、地道に活動を継続。2013年および2015年には、OZZFEST JAPANに出演し、近年再ブレイクの兆しを見せている。2016年、通算19枚目のアルバム『怪談 そして死とエロス』を発表。2017年には2枚組のライブアルバム『威風堂々~人間椅子ライブ!!』をリリース。また、初の自伝『屈折くん』を発表して話題を集める。10月4日には通算20枚目のアルバム『異次元からの咆哮』をリリースする。それに伴うワンマンツアーが10月31日から始まる。
http://ningen-isu.com

ライターについて

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志村つくね

しむら・つくね/1980年大阪府生まれ。国際基督教大学教養学部人文科学科卒業。同大学院比較文化研究科比較文化専攻博士課程修了。博士(学術)。大学院在学中の2013年5月に『MASSIVE』と『ユリイカ』でデビュー。その後、『ヘドバン』『ROCK AND READ』等の雑誌や各種Web媒体で執筆し、現在、フリーランスの文筆家として活動中。人間椅子・和嶋慎治自伝本『屈折くん』では制作協力を務めた。

プロフィール

和嶋慎治
人間椅子

1965年12月25日生まれ。青森県弘前市出身。大学時代、高校の同級生であった鈴木研一とハードロックバンド「人間椅子」を結成。ギターとヴォーカルを担当。1990年、デビュー。ドラムのナカジマノブは2004年に加入。一時は低迷期を経ながらも休止はせず、地道に活動を継続。2013年および2015年には、OZZFEST JAPANに出演し、近年再ブレイクの兆しを見せている。2016年、通算19枚目のアルバム『怪談 そして死とエロス』を発表。2017年には2枚組のライブアルバム『威風堂々~人間椅子ライブ!!』をリリース。また、初の自伝『屈折くん』を発表して話題を集める。10月4日には通算20枚目のアルバム『異次元からの咆哮』をリリースする。それに伴うワンマンツアーが10月31日から始まる。
http://ningen-isu.com

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